2024年06月29日
【脳ネタ】『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』加藤俊徳

なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Prime Day Kindle本(電子書籍)セール」からの脳ネタ本。版元のクロスメディアさんはまだチェックしていませんが、ひと足先にレビューしてみました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「ひとり言」というと、なんだか地味で、暗い感じがするかもしれません。
これまでひとり言の効用を取り上げる人は、あまり多くなかったはずです。
ですが、ひとり言にはさまざまな効用があり、奥が深いものだと言えます。
本書ではそんなひとり言のメカニズムを、脳科学的な視点から解き明かし、日常生活の中で上手にひとり言と向き合うことで、自分の能力を高める方法を提案していきます。
なお、中古に送料を足した金額よりは、Kindle版が500円弱お得です!

【ポイント】
■1.本当の知恵や宝は自分の中に眠っている左脳由来であれ、右脳由来であれ、ひとり言は自分自身の内側から自分に向けられた、重要なメッセージであることに変わりはありません。
そのメッセージをいかに真摯に受け止めることができるか?
つまり、ひとり言を言っている自分を、しっかり認識することが大切になります。
たとえば思わずひとり言が口から出たとき、ほとんど気にも留めず、ひとり言を言っていることすらも気がつかない人もいます。
それではせっかくの重要な情報、メッセージを見逃してしまうことになります。
「あれ? 今、何かをつぶやいたぞ……」
「なんだ? 今何て言ったんだっけ?」
ひとり言を再確認するという行為が、とても大事になるのです。それによって、無意識で出たひとり言を意識化することができます。
■2.失った記憶を呼び覚ます便利なひとり言
また、蓄えられた長期記憶を呼び覚ますときにも、ひとり言が大きな力を発揮します。探し物をするときに、無言で探すより、「ノートはどこに行ったのかなぁ」とひとり言をつぶやきながら探してみてください。
すると、ノートという言葉をキーワードにして、さまざまな連想が浮かび、それが長期記憶を刺激して、ノートのありかがフッと思い出されるわけです。
長期記憶に入っている情報は、ワーキングメモリを使わないと取り出せません。そのワーキングメモリを動かすのが、ひとり言なのです。
■3.ネガティブなひとり言は脳の自殺行為だ
「ダメだ」「できないよ」といった自分を否定するような言葉や、「ちくしょう!」「ばかやろう!」という怒りの言葉、「もう嫌だなぁ…」といった嫌悪の言葉をつぶやいていませんか?
残念ながら、このような言葉を発すると、脳の働きが一気に悪くなります。神経細胞も活性化することなく、脳はフリーズ状態になるのです。
前述したように、うつ病の患者の脳がまさにこうした状態になっています。「視覚系」、「聴覚系」といった情報入力に関係する脳番地が落ち込むことで、「思考系」や「理解系」などワーキングメモリーに関係する脳番地が慢性的にフリーズし、「記憶系」や「感情系」の脳番地が動かなくなるのです。
そうなると、ますます気分が落ち込んで、さらにネガティブな言葉を発してしまいます。この悪循環によって、うつ状態から抜け出すことが難しくなってしまうのです。
■4.ポジティブなひとり言を意識してつぶやく
私たちは覚悟を決めるときや自分を鼓舞するときに、「よし、決めた!」とか「さあ、やるぞ!」という具合に、ひとり言をつぶやいていると思います。
自分自身の気持ちを整理して、次の行動に乗り出すときに、意識的に自分に掛け声をかけているのではないでしょうか。
ふだん、無意識にやっていることかもしれませんが、意識してやることで自分自身をコントロールすることができるようになります。
私自身も、意図的にひとり言を発していることが多々あります。 「いやぁ、今日は最高に気分がいいなぁ」、「これは面白くなりそうだね!」というような、「ポジティブなひとり言」を意識して使うことで、気分がグッと乗ってくるのがわかります。
■5.「移動中」に次の予定をつぶやくと計画的に行動できる
私は移動するときに、次の予定や計画などをつぶやいています。
朝、マンションからクリニックに向かうときは、「まず、スタッフに書類を揃えるように仕事を頼まなきゃ」とか、「今日は何時に誰が来るんだっけ?」、「あぁ、そうだ。Aさんが10時に来るんだ」、「午後は都内で会合があるんだな」などと、ブツブツとつぶやきながら歩きます。
つぶやいているうちに、1日の仕事の流れが整理され、すんなり仕事を始めることができるのです。
逆に、家に帰るときも、「家に帰ったらまず夕刊を読もう」、「テレビで夜のニュースをチェックしなきゃ」と、帰ってからやることをつぶやきます。移動中のひとり言は、移動の時間を有意義に使いながら、次の行動をスムーズに行える点で一石二鳥といえるでしょう。
【感想】
◆本書の冒頭にある「はじめに」で、著者の加藤先生は、ご自身が「けっこうひとり言をつぶやく方だと思います」と言われており、なるほど、だから本書も執筆されたのだ、と。逆に私は、ほぼほぼひとり言は言ったことがない……と思っていたのですが、どうもそうではなさげです。
というのも、私たちが口に出してしゃべり、他者とのコミュニケーションに用いる言葉は「外言語」、脳内で発される言葉は「内言語」と呼ぶのですが、普通に考えたら、ひとり言は「外言語」に属しそうな。
ただし明確な相手がいない以上、「内言語」に近いと考えられる、とのことです。
そう考えると、内言語も声にこそ出さないけれど、「ひとり言」であると言ってもよさそうです。なるほど、私も学生時代に語学留学した当初は、あまりに自分が英会話能力が低くて誰とも大して話せなかったので、1人で脳内で延々と発言する練習をしていたのも、立派なひとり言だったんですね(発音等考えたら、実際に口に出すべきでしたが)。
思考するとき、私たちは頭の中でひとり言をつぶやいているわけです。
◆さて、そんなひとり言のメリットをあれこれ挙げてくれているのが、本書の第1章。
加藤さんいわく、「脳内の思考が口をついて言葉になって漏れ出してきたものがひとり言」なのだそうです。
……それでも私の場合、漏れだすとしたら、料理を食べて「美味っ!」とか、物を落として「おっと!」とかいう位で、思考でもなんでもありませぬ。
ただ、これはあくまで私の話ですので、皆様におかれましては、重要なメッセージを、流すことなく再確認していただけたら、と。
なお、この第1章では「ひとり言のすごい効果」と題して、7つほどメリットが挙げられていましたから、こちらもぜひご確認ください。
◆続く第2章では、「ひとり言と脳の関係」と題して、具体的に脳のどの部位や機能と、ひとり言とに関係があるのかが述べられています。
中でも注目したかったのが、上記ポイントの2番目の探し物をしているときの効果について。
まさか探し物をする際に、その対象を口に出すと良いとは知りませんでした。
もちろん、自分が何を探しているかを明言して、他の人から情報を得られる可能性はあるとは思いましたが、実際に脳への影響があるのだとは。
私ももうちょっと年を取って老眼鏡を多用するようになったら、おでこにメガネをあげたまま「メガネメガネ……」と探しそうですが(違
◆一方第3章では、ひとり言にもポジティブな面とネガティブな面があることに言及。
上記ポイントの3番目はネガティブな方で、こちらは予想どおりの悪影響ぶりです。
ちなみに、最悪なひとり言は「どうせ私は〜」というフレーズだそうなので、心当たりのある方はご留意を。
また、次の第4章は「潜在能力が開花するひとり言5段活用」という章題なのですが、その5段活用の5段目が、上記ポイントの4番目の「ポジティブなひとり言を意識してつぶやく」でした。
なお、このポジティブなひとり言にも、色々なパターン(「問題提起型」「自己肯定する「感謝を口にする」等)があるようなので、上記で引用したもの以外は、こちらをご覧ください。
◆そして上記ポイントの5番目は、第5章から抜き出しました。
この章ではさまざまなシーンでのひとり言を紹介しており、この「移動中」というのは、確かにひとりでいることが多いですから、ひとり言にうってつけ。
私も健康のために、あえて歩く距離が長い通勤経路を使っているので、今度ブツブツ言いながら歩いてみたいと思います。
他にも「テレビを見ながら突っ込みを入れる」というのも、黙って見ているよりは脳にとってはるかにいいのだそう。
確かに黙読よりも音読の方が脳にとって良い(さまざまな部位に刺激を受けるため)ですし、今後は今までよりもひとり言を言ってみたいと、本書を読んで素直に感じた次第です。
ひとり言で「脳活」すべし!

なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?
第1章 ひとり言のすごい脳活効果
第2章 ひとり言と脳の関係
第3章 脳に「良いひとり言」と脳に「悪いひとり言」
第4章 潜在能力が開花するひとり言5段活用
第5章 朝・昼・夜 時間別・効果的なひとり言
第6章 ひとり言による自分脳改革
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【編集後記】
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【編集後記2】
一昨日の「Prime Day Kindle本(電子書籍)セール」の早川書房さんの記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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