2024年06月16日
【Q&A?】『40歳からの「仕事の壁」を越える勝間式思考』勝間和代
40歳からの「仕事の壁」を越える勝間式思考
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気が高かった、勝間和代さんの最新刊。タイトルにもあるように40歳から起こりうる、さまざまなお悩みに対して、勝間さんがロジカルに回答されています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、2011年から始めた勝間塾で実践してきた、「5年後、なりたい自分になるために必要な考え方」をお伝えするとともに、40歳から直面する具体的な働き方、生き方の悩みをロジカルに解決していきます。1つ1つの悩みに対する回答を読むことで、刷り込まれていた常識の壁を乗り越える思考法が身につくでしょう。「仕事の壁」を越え、起業や海外大学院留学といった夢を実現した40代、50代のケースも併せて紹介しています。キャリアに停滞感を感じている人、人生後半の生き方に悩む人に役立つ1冊です。
上記記事の時点ではなかったKindle版も、現在ご用意されています!
【ポイント】
■1.上司には抗議ではなくて提案する「自分の残業を減らしてほしい!」ではなく「こうしたら効率化ができて業績が上がりますよ」という提案をして、そうなったら上司であるあなたの評価も上がりますよ、とメリットを示すわけです。また、何の前触れもなく提案すると相手を構えさせてしまうので、折に触れ「残業続きで部下の育成に手が回らないんですが、どうしたらいいですかね」という感じで、チラ出ししていきましょう。
上司に、この改革を進めたら自分は出世できるんじゃないか、ぐらいの気持ちにさせるのがポイントです。実際、そうなる可能性が高いですから、うそではありません。同業他社で、働き方改革をして業績が上がった好例を添えるのも、説得力が増して効果的だと思います。
■2.サイコパスやソシオパスが身近にいたら読むべき本
相談者さんにぜひ読んで欲しいのは、『ソシオパスの告白』(M・E・トーマス著、高橋祥友訳/金剛出版)です。この本は、元弁護士でソシオパスと診断された女性が匿名で書いたものです。心理学者が客観的に分析した本ではないので、彼らが他人をどう見ているのかが怖いほどよく分かります。
著者は多くの人を踏み台にしたり蹴落としたりして生きているのですが、そのことに対して本当に、1ミリも罪悪感がないんです。相談者さんの上司も、この著者と同じ思考回路の持ち主だと分かれば、そばにいることがいかに危険なことかを理解できるはずです。頑張って耐えればいつか報われるはず、とか思っちゃダメ。サイコパスやソシオパス相手に、報われることは絶対ありません。「人と人はいつか分かり合えるもの」という考え方が一切通用しない相手も世の中にはいるのです。
ソシオパスの告白
■3.働かない管理職が多い会社は危険信号
これは勤めている会社次第です。会社がヤバいかどうかを見極めるにはまず業績ですが、加えて働かない管理職や中間管理職がどのくらいいるかもポイントです。今は業績が伸びていなくても、新しい商品やサービスを次々に出す勢いがあればセーフ。勢いもなくて業績が悪い上、働かない管理職と中間管理職が山のようにいる会社は、遅かれ早かれ潰れます。
管理職や中間管理職はいていいんですよ、ちゃんと働いていれば。問題は働いていない場合。働かない管理職と中間管理職がいるとなぜダメかというと、彼らの給料分まで商品やサービスの代金に含まれて、高くなるからです。当然、市場競争に負けますよね。今の消費者は安くていいものしか買いませんし、よりいいものに対する情報感度も高いから、競争力のない商品やサービスはいずれ淘汰されます。
■4.ドリームキラーのアドバイスは聞かない
意見を聞いたほうがいいのは、母親がかつて50代で会社員を辞めて夢を追いかけたら経済的に困った、という同じような経験がある場合のみだと考えます。つまり、同じような体験に基づいた当事者性のあるアドバイスは聞く価値があり、「そう思う」「そう聞いた」ぐらいの当事者性がないアドバイスは無視してOKということです。これは親に限らず、ネガティブな言葉で自分の夢を邪魔してくる、いわゆるドリームキラー全般の対処法にもなります。(中略)
ドリームキラーは親やきょうだい、友人、学校の先生など身近な人に多いのが特徴で、「あなたのことが心配で」とか「あなたのためを思って」と言ってきます。仮に親身になってくれている様子が伝わってきても、当事者性がないアドバイスなら聞き流したほうが賢明です。単に善意からでも、自分には考えもつかないことだから否定する、あるいは心配するふりをして人の可能性をつぶそうとしているケースだってあります。当事者性のないアドバイスは「クソバイス」と覚えておきましょう。
■5.所有するか否かは使用頻度と原価構造で考える
パンだって毎朝食べるなら、自分で作ると本当は安く済みます。皆さん、お米は生米を買って自分で炊きますよね。レンジでチンするだけのご飯を毎日食べている人は少ないのに、なぜパンは作らないのか。パンを買って食べるのは、そのレンチンご飯を食べるのと同じことじゃないですか。
ホームベーカリーも中古だと安くて1万円ぐらいで手に入る。仮に、6枚200円のパンを毎日1枚食べる場合、3人暮らしだと2日に1袋なくなるから、パン代は月3000円。材料代はかかるとしても、数カ月で回収できますよ。(中略)
要するに、使用頻度と原価構造なんです。ホームベーカリーのように使用頻度が高いものはなるべく自前のものを利用し、車のように使用頻度が低いものはなるべく外のサービスを利用する、と。これを逆にしている人が結構多いんです。パンは毎日食べるのに外で買って、車は大して乗らないのに自家用車を持っている、という人が多い。
【感想】
◆相変わらずの「勝間節」が満喫できる作品でした。本書の特徴は、勝間さんが一方的に話す(書く)のではなくて、冒頭でも触れたように「悩み相談」のようなスタイルをとっていること。
これが勝間塾という勝間さんの私塾の塾生さんからの質問なのか、編集さんが独自に考えられたものかが明らかにされていないのですが、いずれにせよ、本書の第2章から第5章までにおいて、下記目次のようなテーマでQ&Aがまとめられています。
たとえば上記ポイントの1番目のTIPSは、もともとは「働き方改革によって、管理職の負担が増えてつらい」という、Nさん(保険業・48歳)からのお悩み相談に対するもの。
いわゆる「働き方改革」では、多くの場合に仕事の総量を変えずに残業を規制した結果、中間管理職の負担が増えているワケで、Nさんは「今のような職場の状況や仕事のやり方を変えるには、何から考えたらいいでしょうか?」と質問してきたのでした。
勝間さんは上記回答のほか、「同じ悩みを持つ同僚の中で信用できる人を最低3人」集めて結託することを推奨。
他にも色々と提案をされていますから、詳しくは本書にてご確認ください。
◆また、上記ポイントの2番目の「ブックガイド」的な内容は、相談者の「サイコパス的な上司に疲弊、異動できないならどうする?」というお悩みに対するもの。
これに関して勝間さんは、「異動できないなら転職せよ」とまで言われているのですが、いわく日本ではその危険性に対して認識が甘いサイコパス/ソシオパスに対して、米国では「採用時にテストで弾く」のだそうです。
なぜなら、どんなに優秀な人材だとしても、周りの人を疲弊させてパフォーマンスを落とし、組織全体の業績も落とすからです。1人のサイコパスやソシオパスのために、人の入れ替わりが激しい不安定な職場になる。結果として業績悪化につながるので、組織は中に入れたくないわけです。また、こうした人物を容認する会社の体質にも問題がある、と勝間さんは指摘されていました。
なお、こうした関連書籍の紹介は、実は本書における勝間さんの、全24の回答それぞれにも付せられており、ホントはそれだけで記事が書けるな、と思ったくらい。
ちなみに、当ブログでレビュー済みの作品は、以下の4冊のみでした。
さあ、才能に目覚めよう: あなたの5つの強みを見出し、活かす
参考記事:【自分の"強み"を調べてみました】「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」マーカス・バッキンガム(2008年06月26日)
いつも「時間がない」あなたに (ハヤカワ文庫 NF 483)
参考記事:【オススメ!】『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール(2015年03月01日)
お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)
参考記事:【力作!】「お金は銀行に預けるな」勝間和代(2007年11月22日)
最高の体調 進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法 (ACTIVE HEALTH)
参考記事:【健康】『最高の体調 ACTIVE HEALTH』鈴木祐(2019年06月12日)
読んだことがなくとも、知っている本はそれなりにあったのですが、逆にまったく知らなかった本も意外とあって、この辺はさすが勝間さんだな、と。
◆一方、上記ポイントの3番目のお話は、「事業縮小、営業所統合…今の会社で定年まで大丈夫?」という質問に対するもので、これは気になる方も多いのではないでしょうか?
たとえ上記引用部分をクリアしたとしても、昨今、いつ自社が吸収合併されても不思議ではないですから、定期的に転職情報等をチェックして、不測の事態に備えることを勝間さんは推奨なさっています。
他にも、たとえ人材が優秀だったとしても、ビジネスモデル的に、時代の波(ネットやDX化等々)に逆らえないところもあるかと。
たとえば、私が個人と事務所の両口座を持っている某メガバンクの築地支店は、数年前に引っ越してオフィス面積が7割減になりましたが、その数年後に銀座支店に併合されました。
……転職、起業、社内での出世のどの道に進むにしても、身に付けておくといい、と勝間さんが言われたものは!?(ネタバレ自重)。
◆さらに上記ポイントの4番目では「クソバイス」なるキラーワードも登場。
ここで登場する「ドリームキラー(ネガティブな言葉で、その人の夢や目標を壊す人)」なるものは、勝間塾に参加するための唯一のルールとして「ドリームキラーにならないこと」と言われるくらい、勝間さんは忌み嫌っています。
ただし、自分にとって「ドリームキラー」になるのは親兄弟や友達、先生等の身近な人が多いのが特徴で、それについて私は今まで「完全に無視すれば良い」と思っていたのですが、「同じような体験に基づいた当事者性のあるアドバイスは聞く価値がある」というのは、今回初めて知りました。
また、このような起業を志す方には、いきなり会社を辞めて起業するのではなく、休暇を利用して「お試し」をすることを勝間さんはオススメ。
まぁ、この辺は他の起業本でも言及されていますので、よかったら当ブログで色々チェックしてみてください(宣伝)。
起業全般:マインドマップ的読書感想文
◆そして最後のポイントの5番目のお話は、勝間さんお得意の自炊ネタ。
ただし私自身、「使用頻度と原価構造」なんて考えたこともありませんでした。
確かに毎日食パンを食べる方なら、ホームベーカリーを買う方が合理的ではありますが、実際にそうしている人は少ない気がします(炊飯器に比べて)。
それはさておき勝間さんの作品は、たまに内容的に置いていかれることもあるのですが、本書は私たちにとって身近なテーマで構成されており、その点もGood。
特に中高年の方なら、きっと元が取れると思います!
まさに「人生後半の生き方に悩む人に役立つ1冊」!
40歳からの「仕事の壁」を越える勝間式思考
第1章 5年後、望む仕事で稼ぐ力をつけるには
第2章 組織の中で働き続ける悩みには
第3章 キャリア不安・転職の悩みには
第4章 定年後の働き方・独立の悩みには
第5章 老後のお金・カラダの悩みには
第6章 勝間塾生が一歩踏み出したら
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【編集後記】
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