2024年05月31日
【仕事術】『努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術』尾原和啓,伊藤羊一
努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのも、昨日に続いて先日の「未読本・気になる本」の記事からの大人気作。IT批評家の尾原和啓さんが、当ブログではおなじみの伊藤羊一さんとタッグを組んで書かれた、新時代の仕事術本です。
アマゾンの内容紹介から。
「ChatGPT使えねぇ」って舐めてない?
まだそんなシンドイ努力してるの?
このゲームチェンジに気づいていない人は、生き残れない!
ChatGPTを使えば、「頭の良さ」をコピーできる。「経験」もコピーできる。「センス」もコピーできる。誰もがラクをして楽しく成長しながら、多くのチャンスを手にきるようになる。
というより、これからはラクをしなければ、成果を出せない。
ChatGPTの登場によって起きた、「努力革命」というゲームチェンジ。
成長の方法も成功のあり方も180度変わってしまった世界をサバイブするための実践の書。
中古に送料を加味すると定価を上回りますから、「14%OFF」のKindle版がお買い得です!
【ポイント】
■1.「ファクト⇒抽象化⇒転用」をChatGPTで行うたとえば、先述の「スターバックスに行列ができている」というファクトだったら、以下のように聞いてみましょう。Q コンビニエンスストアで買うより高いのに、毎朝スターバックスでコーヒーを買ってしまいます。この理由を抽象化し、5個挙げてください。すると、こんな感じで抽象化してくれます。A スターバックスでコーヒーを買う理由を抽象化して以下のように5つ挙げることができます:(中略)これを転用し、自分の仕事に役立つヒントを得るためには、さらに質問を繰り返します。Q この5つの抽象化の可能性を持つ、他の生活習慣を10個、理由とセットで挙げてください。すると、「ジムやフィットネスクラブに通う」「美しい景色を眺める」といった習慣も、スタバに通うのと同じ理由を持つものとして挙がりました。
そうしたら、スタバとは直接関係のない、ジムやフィットネスクラブに通うこと、日常生活で美しい景色を眺めることにも、スタバのような付加価値をつけていくことはできないか、と、さらにアイデアを展開させていくことができます。
■2.抽象化と具体化を行き来する
「面倒くさいな」と思ったり、うまく考えられなくてモヤモヤしたりしたら、サッサとChatGPTに聞いてしまいましょう。
具体化を促すための質問としては、たとえば以下のようなものがあります。・この問題に直面した具体的な状況は何ですか?抽象化を促す質問 としては、たとえば以下のようなものがあります。
・似たような事例で成功した具体的な方法はありますか? (中略)・この問題の根本的な原因は何だと考えますか?思考を深めるには、まず具体的な質問で状況を明確にし、それから抽象的な質問を用いて視野を広げ仮説をつくっていく、「具体→抽象」の順番がおすすめです。
・この状況を一般化するとどういう傾向になりますか?(中略)
■3.課題のセンターピンを見つける
たとえば以下のような3段階で聞いてみましょう。[第1段階]
私の仕事は○○です。
ここ数年、会社の業績が低迷しています。
「業績を回復させる」という大きな課題を、より小さい、解決可能な○個の課題に分解し、番号を振ってください。[第2段階]
それぞれの課題について、具体的な解決策を○個挙げて、番号を振ってください。[第3段階]このように尋ねると、ひとつのボールでたくさんのピンが倒れる解決策を答えてくれます。
上記の解決策のなかで、ひとつの解決策で複数の課題が解決する可能性のあるものはどれでしょうか。解決策と課題の番号をセットにして説明してください。
■4.憧れのリーダーの「経験」をコピーしてみる
憧れのリーダーから学ぶには、インタビュー記事や書籍を読んだり、話を聞きにいったりすることが役立ちます。
さらにChatGPTを使うと、インターネット上のさまざまな情報を編集して、自分専用にアレンジして教えてくれます。Q 孫正義さんの著書の要約を探してきて、それを簡潔にまとめてください。そのまとめから孫正義さんのキャラクターを想定して、10個のアドバイスをください。ChatGPTは、孫正義さんがどのような人物か、過去にどのような発言をしてきたかなど、インターネット上に蓄積されたニュースや取材記事、書籍の要約から情報を集めて、何通りものアドバイスを提供してくれます。
そこに、「自分は○○メーカーの○○事業部のプロジェクトリーダーです。○○ビジネスの赤字改善を求められています」といった設定を加えていけば、自分用にカスタマイズされた、孫正義さんのアドバイスを受けられるわけです。
■5.アナロジー(類推)力もChatGPTは優れている
アイデアのセンスがあるビジネスパーソンは、アナロジー(類推)力が優れています。
アナロジーとは、一見なんの関係もなさそうなものの間に共通項を見出す力です。
「牛丼とかけて海と解く。その心は、両方『なみ』があります」という謎かけ遊びがありますが、これもアナロジーです。
このアナロジー力を鍛えることで、新しいアイデアの創出につながります。
こうした発想のプロセスも、ChatGPTを使うと簡単にできます。Q 「成功と失敗は、○○という意味で一緒」だという文章があります。○○に入る可能性のある文章を5個、理由とセットで考えてください。Q 「自由と束縛は一緒である、なぜならば?」という形式で、2つの対義語を並べて抽象化すると気づきがありそうな組み合わせを10個考えてください。
【感想】
◆概略も触れずに具体例ばかり列挙してしまってスイマセン。一応、もうちょっと一般的なお話にもハイライト引いているんですが、5つしか選べないとなったら、背に腹は代えられず(?)。
とにかくChatGPTを中心とした、生成AI本を初めて読んだ私にとっては、「目からウロコ」のお話の連続でした。
もちろん、はてブホッテントリで、英語の勉強にChatGPTを活用する手法の記事等を読んで、「なるほど、これは使える」と思ったことはありましたが、具体的にビジネスシーンへの転用は考えたことがなく。
今般、上記ポイントのような質問を投げかければよいのか、と納得した次第です。
◆そんなわけで、序章、第1章と大事なお話はあるのですが、とりあえず最もハイライトだらけになった第2章が、私にとっての本書のキモでした。
たとえば上記ポイントの1番目の「ファクト⇒抽象化⇒転用」。
実はこれ、前田裕二さんの『メモの魔力』で、「最強のフレームワーク」と呼ばれていたものです。
メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)
参考記事:【抽象化?】『メモの魔力 -The Magic of Memos-』前田裕二(2020年09月13日)
上記ポイントでは、スタバでコーヒーを買う理由を抽象化して5つ挙げてくれています(長いので省略)が、こんなの普通だったら、ウンウン考えて何とか捻り出すもの。
しかもその先の「転用」になると、よほどの「アイデアマン」でもない限り、10個も挙げられません(しかも理由とセットで)。
おまけにここでは割愛していますが、「自分の仕事(ここではアパレルメーカーのマーケター)」を質問に加えた上で、同じように10個挙げさせることも可能です。
……めっちゃ仕事できる人みたいじゃないですか。
◆また、同じ第2章から抜き出したのが、上記ポイントの2番目の「具体化と抽象化」です。
この2つは、当ブログでも細谷功さんの本を中心に繰り返し取り扱ってきましたし、思考を深めるには両者を行き来しなくてはなりません。
確かに「面倒」なんですが、それがこんなに簡単に代わりにやってもらえるとは……。
さらに、上記ポイントの3番目の「センターピンの特定」に至っては、本来なら経営者レベルのお話ではないでしょうか。
そういえば、ここを読んで思い出したのが、任天堂の宮本茂さんが、かつて「アイデアというのは、複数の問題を一気に解決するものである」と言われてたそうなのですが。
アイデアというのはなにか?:HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN - 1101.com
これもChatGPTを使えば、何かできそうな気がします(思いつき)。
◆さすがに1つの章だけで押し切るわけにもいかないので、続く第3章から引用したのが、上記ポイントの4番目のイタコテクニック(孫さんは生きてますw)。
これ普段から「●●さんだったら、どうするだろうか」と考えている方だったら、そのまま使えるTIPSです(ネット上に情報等がある方に限りますが)。
もちろん、たとえ憧れていなくても、「この問題だったらこの人」みたいな使い分けもできますし、今までだったらある程度の知識や情報がないとできなかったものが、簡単に実践できるという。
なお、これの応用的に、複数の著名人にバーチャルディスカッションを行ってもらうことも可能です。
Q 「ミッション、ビジョンと哲学」というテーマについてディスカッションをします。ディスカッションのメンバーとしてふさわしい名経営者を5人挙げてください。これに対して挙げられたのは、イーロン・マスク、マリッサ・メイヤー、ジェフ・ベゾス、インドラ・ヌーイ、ラリー・ペイジの5人ということで、なるほど納得の人選でした。
◆そして上記ポイントの5番目の「アナロジー」のお話は、第4章から抜き出したもの。
これこそいわゆる「アイデア」の本丸とも言えるものですし、ここまでChatGPTができるとは考えてもみませんでした。
ただし、最初のお題を投げる部分は、さすがに私たちが自力でやるべきところ。
いずれにせよ、自分で考えるところと、ChatGPTにやってもらうところを、キチンと切り分けて、活用していきたいと強く思いました。
なお、本書はChatGPT自体のトリセツ本ではありませんので、私のような完全な初心者は、また別途他の本で情報を仕入れる必要はあります。
また、割愛してしまいましたが、ChatGPTを使う上での4つの注意点(「最新情報は知らない」等)にも触れられていますので、こちらもあらかじめご留意を。
新時代の働き方が学べる1冊です!
努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術
序章 ChatGPTがもたらした3つのゲームチェンジ
第1章 ChatGPTで壁打ちする
第2章「頭の良さ」はコピーできる
第3章「経験」はコピーできる
第4章「センス」はコピーできる
第5章 ChatGPT時代の学び方
第6章 それでもコピーできないものがある
第7章「やるべき」でなく「やりたい」を起点に
第8章 普通の人だってこんなに高くまで行ける
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【スキルアップ!】『Study Hack! 最速で「本当に使えるビジネススキル」を手に入れる』StudyHacker編集部,澤 円(監修)(2021年09月20日)
【編集後記】
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