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2024年04月22日

【勉強法】『超「超」勉強法――潜在力を引き出すプリンキピア』野口悠紀雄


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超「超」勉強法――潜在力を引き出すプリンキピア


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 ゴールデンウィークセール」からの、野口悠紀雄先生の手による勉強本。

版元であるプレジデント社さんは、まだ記事にしていないのですが、一足先にこちらの本を読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から。
人間だけが「勉強」で運命を変えられる。
成績は「能力」ではなく、勉強の「やり方」で決まる。
名著『「超」勉強法』が、AIやリスキリング等の最新トレンドを盛り込み、完全アップデート。
<「超」勉強法の「学びの3原則」>に基づき、かつ、大幅に進化したメソッドで勉強がもっと楽しくなる、あなたの人生が動き出す!

送料を加味した中古よりも、このKindle版が400円以上お買い得です!





Maths Revision Notes - Maths Study Notes / exampapersplus


【ポイント】

■1.「超」勉強法の3原則とは
1 問題の解き方を覚えて、それを当てはめる。
2 平板に勉強するのでなく、重要なところに努力を集中する。
3 全体を把握して、部分を理解する。英語は文章を丸暗記する。
 この勉強法は、私自身の経験から導き出したものです。私は、こうした勉強法が最も強力なものだと強く信じています。
 ただし、これは通常いわれている勉強法とはかなり異質のものです。このため、「超」勉強法と称しています。(中略)
 本書は、主として学校での勉強を想定し、どうしたら良い成績を取れるか、そして入学試験に合格できるかを示しています。
 ただし、「超」勉強法の有効性は、学校での勉強に限ったものではありません。社会人が勉強する場合にも、基本的な指針になります。資格試験のための勉強や、リスキリングにおいても偉力を発揮します。


■2.数学は暗記
 数学の問題を解く際に最も強力な方法は、「この問題は、これまで解いたどの問題と同じタイプのものか?」と考え、そのとき使った方法に当てはめることです。問題の形を覚え、どのやり方を当てはめれば解けるかを判断し、それに従って解くのです。
 学校の算数や数学についてこの方法が正しいことは、明らかです。どんな問題も、基本形そのもの、あるいはその変形、あるいは複数の基本形の組み合わせに還元できます。
 ですから、どのパタンに当てはめればよいかが分かれば、解くことができます。少なくとも試験問題は、この方法ですべて解けます。
 考えてみれば当たり前のことで、1時間や2時間という限られた時間内に、まったく独創的な方法を創造することが求められるはずはないのです。


■3.ヘリコプター勉強法で重要な箇所を見出す
 ヘリコプター勉強法は、重要な事項は何かを把握するためにも有効です。高いところから全体を俯瞰すれば、重要なものが分かるからです。これを「鳥の目法」と呼ぶことにしましょう。(中略)
 この方法は、とくに数学の場合に有効です。できるだけ早く、できるだけ高い場所に登ってしまうのです。すると、そこに至るまでの概念や理論の位置づけが分かり、なぜある概念が必要なのか、個々の概念がどのようにつながっているのか、どの程度の重要性のものなのか、といったことが分かります。進んだ段階から見れば、それまでのところはよく分かるのです。
 したがって、できるだけ早く、できるだけ広い範囲をざっと勉強してしまうべきです。例えば高校1年生なら、高校の全課程をできるだけ早く勉強する。理解できないことが多少残っても構わないで、どんどん進むのです。
 学校の勉強の場合には、教科書という格好の手引きがあるので、できるだけ早く、教科書を最後まで読んでしまえばよいのです。


■4.単語を覚えるのではなく、文章を丸暗記する
 多くの人が、単語帳を使って 英単語を覚えようとしています。意味を知らない単語を 単語帳に書き出し、それを覚えるという方式です。
 しかし、この方法では、いつになっても英語は上達しません。単語帳の言葉を1つ1つ、別々に、孤立して覚えようとしても、できません。人間は関係のないものを、バラバラに覚えることができないのです。だから、英単語を孤立して覚えることはできません。これは外国語に限ったことではありませんが、とくに外国語についてはそうです。
 その証拠は、 略語を覚えるのが難しいことです。例えば、SDGs、NFT、IOT、WHO、LGBTなど。SDGsだったか、それともSGDsだったのか、分からなくなったりします。
 略語を覚えるより、もとの言葉を覚えるほうが、ずっと楽です。例えば、SDGsでなく、Sustainable Development Goalsのほうが覚えやすい。意味を知って覚えるからです。


■5.文系数学で必要な「危険分散の理論」
例えば、 食糧危機に対処する最も重要な方策は、供給源を世界に分散することです。しかし日本では、まったく逆に、 国内自給率を高めることが必要だと考えられています。あるいは、金融資産を、 期待収益率だけで評価しようとします。そして、 リスクを無視します。
 危険分散の理論は、中世のイタリアですでに知られていたことであり、現代の最先端理論ではありません。しかし、その理論を知り、それを実際の仕事に活用できることは、現代の世界でも、間違いなく最強のスキルです。
 これを学ぶのに、セミナーを受講する必要はありません。独学すればよいのです。日本企業の全員が、統計学の基礎を身につけ、それを日常の仕事で活用するだけで、日本は大きく変わると思います。それは、社員がセミナーでデジタル化の最新事情を知るより、ずっと重要なことです。


【感想】

◆冒頭の内容紹介にもあるように、本書は野口先生の過去の著作である『「超」勉強法』をアップデートしたもの。

私は13年くらい前に、こちらの本をレビューしているのですが……。

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実力大競争時代の「超」勉強法

参考記事:【勉強法】『実力大競争時代の「超」勉強法』野口悠紀雄(2011年04月08日)

目次を見ても上記レビューを見ても、どうも内容が違うな、と思ってググったところ、どうも本書のリバイス元はこちらの本のようです。

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「超」勉強法

……四半世紀前以上の本ですから、アップデートというより、普通ならほぼ書き直しに近いんじゃないかと。

95年と今では、「AIやリスキリング」以前に、ネットやスマホ、Google他の検索エンジン等の技術、サービスもなかった頃でしょうし。


◆ただし、勉強法の本質は、当時と今とでも、さほど変わりがない、というのが分かるのが、「はじめに」から抜き出した上記ポイントの1番目に挙げた「『超』勉強法の3原則。

引用部分で野口先生が、「これは通常いわれている勉強法とはかなり異質のものです」と言われていますが、確かにまだ「勉強法」や「勉強本」というものの存在が、今ほど大きくなかった頃を思うに、確かに「異質」だったのかもしれません。

同じように「異質」とも言えるのが、第1章の「数学は暗記だ」の章題そのものである、上記ポイントの2番目です。

これは、野口先生が大学1年のときに、「S助教授」が講義の途中で言われたセリフだそうなのですが、野口先生が大学1年ということは、1959年辺りのハズ。

ということは、和田秀樹先生が、この本の中で言われたことを、そのずいぶん前に既に理解されていたことになります。

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受験は要領: 難関大学も恐くない たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ (PHP文庫 わ 11-3)

私の中では、「数学は暗記」というのは、和田先生の専売特許だったのですが、もし野口先生がその前に「『超』勉強法」を出されていたら、野口先生のウリになっていたかもしれません。


◆同じく第2章「平板に勉強してはいけない」から引用した上記ポイントの3番目も、今となっては、追随者が多数います。

特に「理解できないことが多少残っても構わないで、どんどん進む」という部分は、「理解か暗記か」の論点においても、よく言われていること。

実際私も、税理士試験の勉強中は「よく分からないまま暗記」したことが、後になって腑に落ちることが何度もありました。

もちろん、本質的には「暗記する」のが大事というお話ではなく、「全体を把握する」ことを推奨しているのですが。

また、この第2章で触れられているのがいわゆる「2:8の法則」です。

要はキモとなる2割を中心に勉強することで、費用対効果も高まるわけですね。


◆続く第3章は、章題が「丸暗記法で英語は完璧」というだけあって、上記ポイントの4番目を抜き出しました。

野口先生が、丸暗記法ではない「分解法」(単語を覚えて、それを文法でつなぎ合わせようとする方法)を否定しているのは、「英語と日本語が1対1対応をしないから」なのだとか。

ただし、丸暗記法は、文章を丸ごと暗記しますから、時間がかかります。

それでも野口先生は、「分解法では成果が上がらない」「丸暗記法のほうがずっと効率的な勉強法です」と言われていますから、英語に本腰を入れたい方は、一度お試しあれ。

あくまで私見ですけど、何かしらの受験対策で行うには、上記の「2:8の法則」とは逆に、少々費用対効果が悪い気がするのですが……。


◆なお、ここまで触れてきた部分は、ある意味恒久的であり、「AI時代か否か」は関係なかったのですが、上記ポイントの5番目は、第6章の「AI時代に必要なスキルは何か?」から引用しました。

野口先生いわく、数学にも「文系数学」なるものがあり、わが国ではこの教育が著しく欠けているとのこと。

そこで「危険分散の理論」が登場するのですが、ここで載せきれなかった部分は、本書にてご確認ください。

ちなみに後半の第4章と第5章は、「知的生産術」のお話としては、非常に面白かった(ハイライトも引きまくってます)のですが、「勉強法」としては直接関係ないと判断して、丸ごと割愛しています。

ただし、前半の勉強法のTIPSが、今となっては類書でも言われている王道であり、野口先生らしいのは、むしろ後半部分ではないか、と思うワタクシ。


旧版をお読みの方も要チェックの1冊です!

B0BZXNXZTS
超「超」勉強法――潜在力を引き出すプリンキピア
第1章 数学は暗記だ
第2章 平板に勉強してはいけない
第3章 丸暗記法で英語は完璧
第4章 文章で能力を評価される
第5章 論理は重要だが、比喩も重要
第6章 AI時代に必要なスキルは何か?
第7章 いつまでも勉強を続けよう


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方

「強力な企業文化を醸成・浸透させるノウハウを解説」したという1冊は、Kindle版が1300円弱お得。

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崖っぷちの自我 (扶桑社コミックス)

43評価の平均が「4.8」という高評価なコミックエッセイは、Kindle版が300円強お得な計算です!


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本 ゴールデンウィークセール」のKADOKAWA分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の 超呼吸法

参考記事:【超呼吸法?】『ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の 超呼吸法』根来秀行(2019年01月14日)

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心が疲れない「正しい」休み方

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歩くだけで不調が消える 歩行禅のすすめ

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戦いの日本史 武士の時代を読み直す (角川選書)

よろしければご参考まで!


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