2024年04月19日
【ファッション】『一瞬で心をつかむ エリート・カジュアル 一流の男だけが知っている、ビジネスファッションのニュースタイル』しぎはら ひろ子
一瞬で心をつかむ エリート・カジュアル 一流の男だけが知っている、ビジネスファッションのニュースタイル
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だったファッション指南本。当ブログでファッション系の作品が人気なのは珍しいので、私もさっそく読んでみました。
アマゾンの内容紹介から。
徹底指南! ライバルに差がつく、ビジネスカジュアルのすすめ
これまで、ビジネスカジュアルといえば、ジャケットに革靴、そこにおしゃれを加える場合は、素材や柄に個性の入ったテーラードジャケットというのが主流でした。ところが、2020年のコロナ以降の働き方、服装は大きく変わりました。本書は、コロナ禍以降のビジネスカジュアル、つまり「エグゼクティヴ・カジュアル」をテーマとしたビジネスファッションを伝えるものです。これからのビジネスファッションで目指すべきは、おしゃれではなく、「装いで存在を示す」こと。では、相手に伝わる 「装いで存在を示す」とは? 相手に伝わるきちんと感とは? 著者はこれまで15,000人にファッション指導をしてきたカリスマのしぎはらひろ子氏です。
Kindle版が、この手の本にありがちな固定レイアウト式ではなくリフロー形式なのが、個人的にはポイント高かったです!
Mens fashion / Valerie Everett
【ポイント】
■1.最後はスマホに写した写真でチェックするトップスを決めたら、次に、合わせていくパンツや靴を選んでください。最後に、上から下まで全身が映る鏡で、目的に合った見た目になっているかどうかを、客観的にチェックしてください。客観的に自分を評価するときに有効なのが、スマホに写した写真です。なぜなら、人間の肉眼が直に捉えた「現実」は脳で補完され、本人が見たいところしか見ない偏りが生じるからです。それに対して、カメラは「真実」を写します。私がスタイリングする際は、必ずスマホ画像の全体像を見て評価します。
あなたもコーディネートに迷うときは、この方法で冷静にジャッジしてください。
■2.ミュラー・リヤー錯視
「ミュラー・リヤー錯視」は、同じ線分の両端に内向きの矢印を加えたときと、外向きの矢印を加えたときで、長さが変わって見えるものです。(中略)
ファッションでは、この内向きの矢印がついた線を身体の中心に縦に置くことで、「背が高く見える効果」に応用できます。[図2-7]のように、VネックのTシャツやニットを着て足に高さのあるものを履くと、背が高く、スリムな印象に見えることがわかります。
イタリア人のようにシャツのボタンを2つほど開け、足元をロールアップにして素足でくるぶしを見せるような着こなしは、縦長の効果を十分に活かしているということになります。ただし、ビジネスの場では、胸をはだけた状態はNGです。背を高く見せたいときは、深めのVネックのベストなども効果的です。
反対に、丸首のTシャツやタートルネックのニットなど、首の詰まった服を着て、かかとの低いシューズを履いたときは背が低く見えます。
■3.色の面積のバランスは6:3:1
色のルールの中で大事なのが、色の占める割合です。配色デザインの世界では「ベースカラー70%、サブカラー25%、アクセントカラー5%が黄金比率」といわれています。
これを参考にファッションに当てはめると、コーディネートに使う3色の面積は、それぞれ「6:3:1」にするとバランス良くまとまります。6割「ベースカラー」:ジャケットやパンツなどいちばん広い面積を占める色ベースカラーとサブカラーには、[図4−2]で紹介した3色のベーシックカラーを割り当ててください。アクセントカラーは、「カラーホイール(色相環)」を参考に正反対に位置する「補色」を選びましょう。
3割「サブカラー」:2番目に面積が広いシャツやインナーのニットなどの色
1割「アクセントカラー」:バッグや靴、ネクタイやチーフなどの、いわゆる差し色
■4.ECサイトは返品ができる
ECサイトで買うことのメリットは、自分の家で思う存分試着ができ、合わなければ「返品ができる」ことです。サイズが合わなかった、好みでないと思ったら返品することも可能です。
ECサイトによっては購入枚数の制限いっぱいまで取り寄せて、全部を返品することも可能ですが、中にはサイズ違いやイメージ違いの返品や交換を受けつけないケースもあります。送料のことも含め、各ショップの「返品ポリシー」を事前によくチェックしておきましょう。
返品期限も1〜3週間くらいと、サイトによってまちまちなので注意が必要です。
この他、試着時にはタグを取らない、包装の袋は破らない、ジャケットはハンガーに戻す、汚したりしわくちゃにしたりしないといった常識的なルールを守りましょう。香水の匂いをつけたりすることももちろんNGですし、暑い時期の汗にも注意が必要です。また、忘れがちですが、服を触る前には石けんで手を洗うというのも、商品を扱う上での大切なマナーの1つです。
■5.失敗を恐れない
以前、スタイリングのご依頼を受けたお客様から「女性を相手にビジネスする上で、好感を持たれる服飾戦略をお願いします」というリクエストをいただきました。
そのときに私が用意したのは「ピンクストライプのクレリックシャツ」でした。
大手銀行の役職から独立されたその方は非常に驚かれて、「自分には似合わないのではないか?」と不安そうでした。そこで「小さな冒険から始めましょう! だまされたと思って、ターゲットとするお客様の前で着てみてください」と背中を押したのです。すると後日、「自分でも驚くぐらい女性から褒めていただき、好印象を持っていただきました」と、うれしい報告を受けました。あのときから、お仕事も順調に拡大し、20年近く経つ今でも、ビジネスの場でピンクのシャツをご愛用いただいています。
【感想】
◆久しぶりのビジネス系ファッション本でした。そもそも、普通ビジネス系のファッションを追求すると、必然的にスーツの着こなしがメインとなり、正直どなたが書いても7割くらいは内容的にかぶってもおかしくありません。
それもあってか、10年くらい前までは、当ブログでも結構スーツ本をレビューしていたのですが、最近だと直近が2019年のこの本という……。
世界一簡単なスーツ選びの法則 (ポプラ新書)
参考記事:【ファッション】『世界一簡単なスーツ選びの法則』MB(2019年05月09日)
しかもこの本も、著者のMBさんが、どちらかというとカジュアル強め(ユニクロ本多数)なだけに、本当にビジネスシーンを意識した本というと、2018年のこの作品までさかのぼらないといけません。
未来を変える「外見戦略」
参考記事:【外見戦略?】『未来を変える「外見戦略」』川園 樹(2018年08月21日)
一方で、コロナ禍で出勤する機会やそれに伴いスーツを着る機会も減り、かつては「クールビズ」で注目を浴びた「ビジネス・カジュアル」が、再度シーンをリードすることになり、その着こなしを指南しているのが本書というわけです。
なお、世間的には「オフィス・カジュアル」という用語が知られていますが、本書の著者のしぎはらさん曰く「内勤(オフィス)だけでなく、接客や商談をすることもある」ということから、本書内では「ビジネス・カジュアル」という言葉を使っていますので、ご留意を。
◆さて、第1章では「ビジネス・カジュアル」の前提となる考え方や用語を解説。
本書では「ビジネス度」と「カジュアル度」を判定し、カジュアル寄りになるほど、各アイテムに★が増えていきます。
たとえば、礼服は★がなしで、逆にカジュアル度が最大だと★5つという仕様。
各アイテム(ジャケット、パンツ、シャツ、ネクタイ等)ごとに、デザイン、色、柄、素材によって、それぞれカジュアル度が解説されているのですが、詳しくは本書にてご確認を。
なお、章の最後に「メンズビジネス・カジュアル」の注意点が5つほどあがっているのですが、上記ポイントの1番目はそこからのものになります。
自分自身を見るのに補正がかかるのかと思いきや、しぎはらさんご自身もスタイリングの際にはスマホ画像にて確認しているとのことですから、私も今後はキチンとスマホで撮影するようにしなくては。
◆続く第2章は、ファッションにおける「錯覚」がテーマなんですけど、まさかのエビデンス系のお話でした。
一般的にファッション本では「〜にした方が細く見える」「背が高く見える」と、効果のみ述べているところ、本書ではその理由まで載せているという。
……なるほど「深めのVネックのベスト」に「背が高く見える」効果があるのは、上記ポイントの2番目の「ミュラー・リヤー錯視」と呼ばれるもののためだったんですね。
他にもデルブーフ錯視とか、フィック錯視、ヘルムホルツの正方形といったところが登場しますが、こちらも図があった方が分かりやすいので、詳細は本書にて。
中でも興味深かったのが、フィック錯視(垂直水平錯視)なんですが、これ、分かっていても不思議です……。
Illusion Forum イリュージョンフォーラム 錯視幾何学的錯視 垂直水平錯視
◆一方、第3章では、私たちの体型を5つ(長方形、三角形、逆三角形、台形、楕円形)のタイプに分けて、各タイプごとの着こなしを2つずつ提案。
ビジネス度強めとカジュアル度強めのぞれぞれについて、ジャケットから靴、小物まで、全部のアイテムを挙げた上で、解説がされています。
全部で10の着こなしがありますから、そこからどれか1つでも、上記でポイントとして抜き出そうと思ったのですが、とにかく長い!
また、それらも本来、本書に収録された着こなし画像を見て納得すべきものなので、本エントリーでテキストだけご紹介しても、ピンとこないでしょう。
それに、そもそも体型が違うの着こなしを読んでも参考になりませんから、ここは、ばっさりカットしてしまいました(スイマセン)。
本書をお読みの際には、最初にフローチャート(アマゾンの「出版社より」に現物があります)で体型を確認してから、ご覧ください。
◆なお、ポイントの3番目は第4章からのもの。
色の面積バランスのお話は、体型関係ないので、安心して(?)抜き出せました。
ここにある「[図4−2]で紹介した3色のベーシックカラー」というのは、こちらのサイトにある「配色のイメージスケール WARM-COOL / SOFT-HARD」の図と同じものだと思います。
イメージスケールの基本 | カラー戦略の専門家 | NCD-WEB | 色彩心理・生活者研究・トレンド分析の日本カラーデザイン研究所
……私はそこまで意識して色を選んだことはないですが。
また、第5章では、新時代の「服の買い方」がいくつか挙げられているのですが、最後に触れられていたのが、ECサイトでした。
私はサイズ違いや色違いを一緒に注文して、いらない方を返品することができるサイトを使うことが多いので、ECサイトに躊躇している方は、ぜひ一度お試しいただきたいところ。
さらには、色々な手持ちアイテムとの組み合わせを確認できる点でも、ポイント高いと思います。
◆そして上記ポイントの5番目は、巻末の「おわりに」から抜き出したもの。
ちなみにここにある「ピンクストライプのクレリックシャツ」でググったら、こんなアイテムでした。
[シップス] シャツ ブリティッシュ オルタネートストライプ クレリック シャツ メンズ 111100567
……これは金融業界上がりの方が初めて見たら、それはビックリします罠。
ただ、本人に似あうか否かもさることながら、仕事の内容から戦略的にファッションを選ぶ、というのも、本書の意図するものでしょう(結局、この方は大満足していますし)。
私も、ここ数年腹が如実に出てきたため、まずサイズが合うかどうかから考えていましたけど、本書を読んで少し考えを改めようと思います。
相手の心をつかむために読むべし!
一瞬で心をつかむ エリート・カジュアル 一流の男だけが知っている、ビジネスファッションのニュースタイル
第1章 【新常識1】ビジネス・カジュアルは「ビジカジ度数」で決まる
第2章 【新常識2】ファッションは「錯覚させる」が正解
第3章 【新常識3】似合う服は「型」ではなく、「自分の体型」で決まる
第4章 【新常識4】「色×心理学」で自分を表現する
第5章 【新常識5】服はもうたくさんいらない
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門 プライシング・ポートフォリオ・リスク管理
「これまでファイナンスの本を読んでみたけど挫折したという方は、ぜひ本書で始めてください」と主張する(?)ファイナンス本。
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