【自衛隊流?】『「もう歩けない」からが始まり――自衛隊が教えてくれた「しんどい日常」を生きぬくコツ』ぱやぱやくん:マインドマップ的読書感想文

2024年04月08日

【自衛隊流?】『「もう歩けない」からが始まり――自衛隊が教えてくれた「しんどい日常」を生きぬくコツ』ぱやぱやくん

「もう歩けない」からが始まり――自衛隊が教えてくれた「しんどい日常」を生きぬくコツ (扶桑社ＢＯＯＫＳ)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本社会・歴史・哲学・政治書セール」の中でも個人的に読んでみたかった1冊。

元陸上自衛官である「ぱやぱやくん」が、自衛隊流の処世術を指南してくれる作品です。

アマゾンの内容紹介から。

大丈夫！　両脚を動かし続ければ、いつかはゴールにたどり着く！
公式Ｘ（旧Twitter）フォロワー24万超の元陸上自衛官・ぱやぱやくんが、苦しい訓練、厳しい規律、過酷な任務の日々を送る自衛隊員が行っている自己管理法、サバイバル術、メンタルコントロール、組織論、思考法を伝授!!

送料を加味した中古よりは、Kindle版が700円弱お買い得となります！

【ポイント】

■1.辛いときは3日後をイメージする

　私が陸上自衛隊で学んだ教えですが、辛いときは、「ネガティブなイメージに負けてはいけない」と、「3日後だけをイメージして生きる」があります。
　辛いときに将来のことを考えると、ネガティブなイメージに引っ張られてしまうので、まず考えることはやめましょう。
　また、人生にどんなに悲観をしても、「3日後に生きているイメージ」は想像しやすく、現実的に物事を考えることができるので、気持ちのブレが少なくなります。
　どんなに辛い100㎞行軍だって、3日後にはコーラを好きなだけ飲んで暖かい布団でぐっすり眠ることができます。きっとそのときは、100㎞行軍の辛さなんて 95％くらい忘れています。
　この考え方は、日常生活で絶望をしたときにも有効です。どんなに辛くても、3日後の自分をイメージして生活し、3日目になったら、また3日後をイメージして生活してみてください。

■2.疲労を取りたいならカフェインよりアミノ酸

　もし、疲労で困っている人は、バリン、ロイシン、イソロイシンといったアミノ酸を摂取することをおすすめします。
　ハードな訓練を行う陸上自衛官は、味の素が販売している「アミノバイタルプロ」など、アスリート向けの製品を愛用している人が多いです。こうした製品は、疲労回復や筋肉への栄養補給などの効果が期待できます。そして、訓練の最後までしても、バテずに済むのです。
　アミノ酸の摂取をすべき人は、ハードな運動をする人だけにとどまりません。オフィスワークも実は筋肉を使っています。また、仕事で緊張しやすい人は筋肉が硬くなるので、肉体的な疲労度が高くなっています。バリン、ロイシン、イソロイシンなどのアミノ酸が多く配合された製品は、満員電車の疲れや夕方以降の疲労にも、実はかなりの効果があります。
　夕方以降に疲れを強く感じる人や、満員電車でクタクタになってしまう人は、アスリート向けの疲労回復サプリに目を向けてみるのもいいでしょう。そうすることで、カフェインが多量に入った栄養剤・栄養ドリンクよりも、疲労感を根本から改善することができるかもしれませんよ。

■3.治安は張り紙でわかる

　転職や引っ越しなどにより、新しい環境に移ることを考えている人は、その環境を判断するために張り紙を見るのがおすすめです。張り紙は治安や民度のバロメーターだからです。
　そもそも、みんながルールを守り、常識的な行動をしていたら、張り紙を貼る必要などありません。張り紙が貼られているということは、「ルールが守られていない」という証拠です。
　まず、職場ですが、
「貴重品をしっかり管理しよう」
「明るく挨拶をしよう」　
　と書かれているようであれば、「貴重品が紛失したことがある」「挨拶が少ない」と考えていいでしょう。(中略)
　次に賃貸物件を借りる際の話をしましょう。まず、マンションのロビーに、
「夜中は小さな声で話しましょう」
「ドアは静かに閉じましょう」
　と大きく書いてあったら要注意です。まったくマナーを守らないうるさい住人がいるか、非常に神経質な住人がいる可能性が高いです。

■4.話を聞いてないヤツほどいい返事をする

　これは自衛隊だけではなく、民間企業でも同じかと思います。上司にいい印象を持たれたいばかりに、
「はい！」
「わかりました！」
「できます！」
　と元気よく返事をしますが、実際はあまり理解していない社員です。
　しかも、元気よく返事をした手前、わからないことを聞き直すこともできず、結局仕事ができないことがよくあります。そんな彼らは、「誤発注しちゃったけど、どうしよう」、「取引先が激怒しているけど、どうしよう」と心の中で問題を抱え込み、最終的に損害を大きく広げてしまうことさえあります。元気の良さだけでデキる人かどうかを判断するのはやめておきましょう。
　なお、陸上自衛官もいつまでも元気だけが取り柄の新隊員ではありません。厳しい訓練を通して実力や知識をつけていき、わかってないのに「わかりました」ということが部下の命を奪うことを、身をもって知ります。

■5.指示を出すときは企画の明示をする

「何のためにやっているかわからない」と考えた瞬間に、人はやる気を失い、低クオリティなアウトプットになってしまいます。
　そのような事態を防ぐために、陸上自衛隊では、「命令を出すときは企図の明示をしろ」と口すっぱく言われます。「企図の明示」とは、「なぜ行うのか」をしっかりと隊員に説明することです。
　待避壕の例では、「ここに待避壕を作れば、いかに命が助かるか」というメリットを隊員にしっかり伝えることです。隊員が、「そうだな、ここなら死なないよな」と思うと、「死にたくない」という本音と「任務達成する」という建前のギャップが埋まり、真剣に待避壕を掘るようになります。
　また、どうしても危険な任務を行う際は、「我々が命をかけることで、地域の市民（千人規模）を守れる」など、「命をかけるだけの価値がある」と伝えることによって、隊員の動きが大きく変わります。
　この「企図の明示」は、民間企業でも通用する方法だと思います。「とにかくノルマを達成しろ」や「明日までに書類を提出しろ」という指示は「穴掘れワンワン」と同じです。

【感想】

◆ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、本書の著者であるぱやぱやくんの著作としては、当ブログでは一昨年にこちらをレビューしております。

飯は食えるときに食っておく　寝れるときは寝る (扶桑社ＢＯＯＫＳ)

参考記事：【ライフハック】『飯は食えるときに食っておく　寝れるときは寝る』ぱやぱやくん（2022年10月20日）

「Kindle本社会・歴史・哲学・政治書セール」では、こちらも対象になってましたね（しかも「65％OFF」の「499円」）。

今回の作品も、テイスト的にはこちらの本と同様で、軽くユーモアを織り込みながらも、言ってる内容はガチという仕様。

特に本書は、タイトルからして限界に挑戦するかのような（？）表現をしていますし、最後の第5章では結構重いテーマも扱っています。

こちらはこちらで、考えさせられるお話ではあったのですが、上記ポイントではそこに至るまでの「役に立つ情報」でまとめてみました。

◆まず第1章から抜き出した上記ポイントの1番目の「辛いときは3日後をイメージする」というのは、初めてみるTIPSかと。

明日でも1週間後でも未来でもなく、「3日後」というのがミソですね。

自衛隊の訓練のように、「辛くて死にそう」なことが日常では起こりえない分、自分ごととして想像するのが難しいのですが、何かあったときのために覚えてきたいところです。

なお、上記のイラストのように、匍匐（ほふく）前進を訓練でする際には、時間と場所の都合上、距離は長くても数百m程度（ってそれでも十分長いですが）ですが、実戦だと平気で数km這っていくのだとか。

また、第2章からは上記ポイントの2番目のアミノ酸をご紹介しました。

実際、含まれる糖分が多いことから、栄養ドリンクを控えるよう主張する本は多いですが、代わりに取るべきはアミノ酸なのだそう。

具体的に商品名まで挙げられていますから、気になる方はお試しください。

味の素アミノバイタルプログレープフルーツ味顆粒アミノ酸 3800mg BCAA EAA コンディショニング 30個(x 1)

◆続く第3章は、テーマが自己防衛ということで、物騒な対象から身を守る術を。

護身術のお話もあるものの、興味深かったのが、火事場の馬鹿力は、犯罪者や麻薬中毒患者でも起こりえるので、多少鍛えている位では取り押さえるのは危険、という指摘でした。

　医療関係者から聞いた話では、せん妄状態にあるおじいさんや、てんかんの発作を起こした少年は、すさまじいパワーで暴れるため、複数人で全力で抑えないと対応できないそうです。
　リミッターの外れた人間の力は、常人の域を超えているため、相手の力を見た目だけで判断することはやめた方がいいでしょう。

さらに、相手がナイフを持っていたら一層危険です。

ちなみに格闘教官ですら「ナイフを持ち、興奮した暴漢に勝てる確率は五分以下」というくらいなので、万が一襲われたら「チャンスがあればすぐに逃げる」のが正解ですし、そもそも危険な場所には近づかないこと！

そしてその絡みでいうなら（次元が違いますが）、上記ポイントの3番目にあるように、張り紙の内容には注意してください。

……ウチのマンション、「騒音に気をつける」よう、注意している張り紙あるんですが（苦笑）。

◆一方、第4章から抜き出したのが、上記ポイントの4番目。

さすがに会社で「話を聞かずにいい返事をする」のは新入社員くらいだと思いますが、確かに問題の抱え込みには注意ですね。

さらに上記ポイントの5番目も、この第4章から。

「企画の明示」という表現は初めて知りましたけど、言っている内容はもっともです。

『影響力の武器』でも、「理由を添えると頼みごとが成功しやすくなる」と言ってるくらいですからね。

影響力の武器[第三版]　なぜ、人は動かされるのか

参考記事：【速報!】『影響力の武器』の[第三版]を［第二版］と比較してみました（2014年07月14日）

なお、本レビューではボリュームの関係でマルっと割愛してしまいましたが、自衛隊内部の小ネタを楽しめるのも、本書の魅力の1つと言えると思います。

……たとえば地方の自衛隊ごとに、そんなに特色が違うとは知りませんでした。

自衛隊流のライフハックに学ぶべし！