2024年03月18日
【影響力】『人の心を動かす「影響力」〜操らない、騙さない、ただ、そうしてくれる。』ヘンリック・フェキセウス
人の心を動かす「影響力」〜操らない、騙さない、ただ、そうしてくれる。 (だいわ文庫)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「大和書房 ポイント還元キャンペーン」からの心理ネタ本。「影響力」とタイトルに付いた本に、つい執着してしまう私としては、読まずにはいられませんでした。
アマゾンの内容紹介から。
人は何秒で他人を信用するのか、どうしてあの人の思い通りに事が運ぶのか、場を支配する人は何をしてるのか、人間関係を科学的に解説!数々の実験から導き出された、科学的に人を暗示にかけて「場を支配する」究極のテクニック!
中古が値崩れしていますが、送料加味すればこのKindle版の方がお買い得です!
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【ポイント】
■1.気が散る環境にいると、人の意見に流されやすくなるテレビを見ている相手のほうが、ちゃんと話を聞いている相手よりはるかに説得しやすい。たとえテレビの音声がミュートになっていたとしても、だ。
テレビがついているとき、相手の脳はあなたの言うことを聞くだけでなく、視覚情報の処理にリソースを割かなければならない。その結果、テレビをつけていないときにはできたであろう反論に、脳のリソースを割くことができなくなる。電話をしながらネットで買い物をすると、不必要なものまで買ってしまうのは同様の現象である。
これは幾度となく証明されている事実だ。気が散った状態(つまり、脳がいくつかのことを同時に行っている状態) では、ひとつのことに集中しているときよりも、外部からの影響を受けたり、意見を変えたりしがちなのだ。
■2.「逆接」ではなく「順接」だと説得しやすくなる
「わかります、iPhoneは高いですよね……ということは、つまりそれだけ良い製品だということです」
普通このような言い方はあまりしないだろう。次のように言うことのほうが多いのではないだろうか。
「わかります、iPhoneは高いですよね。ですが、それはつまりそれだけ良い製品だということです」
違いがおわかりだろうか?
「賛同の公式」を活かすためには、それに続く文章を順接でつなげなければならない。この状況で逆接を使うのは致命的なミスになる。(中略)
この順接のパワーは非常に強く、不思議と前後の発言内容が順接にマッチしているかどうかは気にならなくなる。試しに、先ほどの文章を見てみよう。
「わかります、iPhoneは高いですよね……ということは、つまりそれだけ良い製品だということです」
実際は高いからといって製品の質が良いとは限らない。ところが、順接の接続詞を使うと、その2つに何かしらの因果関係があるように聞こえるのだ。
■3.頼み事に小さな付箋メモを付ける
どんなに大きな権力も、きわめて小さな戦略から始まる。誰かに助けてもらいたい、調査に協力してもらいたい、もしくはお願いをきいてもらいたいと思うときは、そのお願いが「個人的」なものであればあるほど、引き受けてくれる可能性が高くなるということを知っておこう。付箋のメモで「協力ありがとう、◯◯より」と書いておけば、効果は抜群だ。これは超低予算で最大の効果を発揮する秘密兵器となる。
付箋の影響力が大きいことは、すでに証明されている。黄色い付箋に手書きでメッセージを書くと、何もしないときに比べて、お願いをきいてくれる可能性が2倍以上も高まるのだ。付箋を付けずにアンケートの用紙を渡すと、35パーセントの人しか回答しないところ、付箋を付けると75パーセント以上の人が答えてくれるようになる。
■4.特別な共通点があると影響力が格段に上がる
被験者にある特定の人物の話を聞いてもらい、その影響力を調べるという実験があった。被験者は3つのグループに分けられており、特に何も知らされていないグループは、48パーセントの確率でその人物の発言に影響を受けた。2つ目のグループは、自分たちがその人物と同じタイプの指紋を持っており、その指紋の特徴は一般的なものだと伝えられた。彼らは55パーセントの確率でその人物の話に影響を受けた。この2つは大きな差ではない。しかし、そのタイプの指紋を持つ人は世界で2パーセントしかいないと伝えられた3つ目のグループは、86パーセントもの確率で影響を受けた。
つまり、たとえ共通点があったとしても、それが「2人だけの共通点」でなかった場合は、そこまで強く影響しないのである。同じ共通点を持つ人がたくさんいればいるほど、つながりは弱まり、少なければ少ないほど絆は強くなる。誰かに影響を及ぼしたければ、個人的で特別な共通点を見出して、相手に告げると効果的ということだ。
■5.「NO」のサインは仕草に出る
プロの交渉人は、仕草を見て、相手が「NO」を口にする前の兆候を読みとる。こうしたサインに注意を払うことで、「NO」と言われる前に、会話を軌道修正することができる。相手が「NO」と言って自らの意見を強化してしまわないかぎり、こちらには言い直したり、意図を明確にするチャンスが残っている。「YES」に変えることもできる。(中略)
一風変わった質問であってもかまわない。ネガティブな反応を引き出すためならば、ちょっと変な人だと思われてもいい。重要なのは、回答ではなく仕草だ。仕草を知ったら、交渉に移ろう。質問に答える「直前」の瞬間にこそ、もっとも興味深いサインが表れる。とくに発言とは矛盾するようなサインが表れるときには注意が必要だ。
相手が「あなたの提案は興味深いですね」と答えながら、ネガティブな仕草をしたら、あなたの提案は十分ではなかったということだ。もっと気に入ってもらえるように、何か加えるか、新しい提案を考えなければならない。
【感想】
◆本書に収録された数多くのTIPSの中から、個人的にビビビと来たものを選んでみました。この手の「影響力」本は、本家(?)の『影響力の武器』を初めとして数多く書かれており、当ブログでも結構な冊数をご紹介済みです。
影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報!】『影響力の武器』の[第三版]を[第二版]と比較してみました(2014年07月14日)
影響力の武器 実践編[第二版]「イエス!」を引き出す60の秘訣
参考記事:【スゴ本】「影響力の武器 実践編」がやっぱりスゴかった件(2009年06月10日)
それだけに、ネタがかぶっているものも当然あったのですが、今回上記ポイントで選んだのは、いずれもあまり記憶にないものばかり。
たとえば上記ポイントの1番目の「気が散る環境」というのは、目からウロコでした。
イメージ的には、話をよく聞かないうちに「ハイハイ」と言って断られるような気がするのですが、違うのですね。
◆また、上記ポイントの2番目の「逆接」「順接」のお話は、類書でも見かけますが、「逆接は避けましょう」で終わっている作品も多い気が。
そこを無理やり順接で繋いでしまうと、本来関係ないハズの前後の文に、因果関係が生じるというマジック!?
ただしこれも、たとえばセールスなら、ある程度断られるパターンを事前にシミュレーションしておいて、それぞれ順接でつないでおく方が良さげです。
一方、上記ポイントの3番目の「付箋」は、「手書きのお礼状」のミニチュア版のよう。
私も顧問先に書類を送るときは、いちいちポストイットの付箋を付けており、それなりにプラスの効果があるとは思っていました。
ただ、実際に「35%⇒75%」というエビデンスを出されると、今後も引き続き(特にお願いごとのときには)実践しようと思う次第。
◆また、上記ポイントの4番目の「共通点」も、それだけなら、多くのコミュニケーション本でも言及されていることです。
ただしそこに、「レアな共通点」という要素が加わると、話は別。
もっともこれって、どのくらいのレア度を目指したらいいのか、迷われるかもしれません。
出身大学や、好きなプロ野球チームくらいだと、ちと微妙かも。
ちなみに私は独身時代、クラブ仲間に紹介された女性が、同じイギリスの小さな街にホームスティしていたことがありましたが、確かにすぐ仲良くなりました(ただし彼氏持ちw)。
とはいえ、「共通点」は狙って同じにできるものではないので、リサーチ能力や勘を鍛えるしかないのでしょうね。
……事前に相手のことを調べて、偽るなら別ですけど。
◆そして上記ポイントの5番目の「NOの仕草」のお話も、私は初めて知りました。
しかも先に「NO」と言われる前提で質問をして、その「NOの仕草」を探る、というのも秀逸。
相手もまさか、仕草を探る目的で、質問されるとは思わないでしょうし。
ちなみに本書では、一般的なネガティブサインを列挙しており、「鼻や腕を掻く」「ペンをカチカチ鳴らす」辺りは、事前に意識しておくと分かりやすいと思います。
なお、本書は数多くの事例や研究結果等を収録しながらも、巻末に参考文献がなかったのが、やや惜しまれるところ。
もっとも翻訳本の参考文献は、ほぼ100%英文なので「無くても構わない」という方がほとんどだと思いますが。
影響力を駆使したい方なら要チェックです!
人の心を動かす「影響力」〜操らない、騙さない、ただ、そうしてくれる。 (だいわ文庫)
第1章 影響力の仕組み
第2章 言葉の魔術
第3章 権力のカラクリ
第4章 嫉妬と妬みの構造
【関連記事】
【速報!】『影響力の武器』の[第三版]を[第二版]と比較してみました(2014年07月14日)【スゴ本】「影響力の武器 実践編」がやっぱりスゴかった件(2009年06月10日)
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【オススメ】『人を操る説得術 ──7ステップで誰でもあなたの思いのまま』ニック・コレンダ(2017年09月15日)
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【編集後記】
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【編集後記2】
◆一昨日の「大和書房 ポイント還元キャンペーン」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)
人の心を動かす「影響力」〜操らない、騙さない、ただ、そうしてくれる。 (だいわ文庫)
自分を思いやるレッスン〜マインドフル・セルフ・コンパッション入門
成功したけりゃ、脳に「一流のウソ」を語れ
よろしければご参考のほどを。
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