2024年03月11日
【脳力Hack】『究極脳の作り方 脳科学の力で才能を引き出す』生塩研一

究極脳の作り方 脳科学の力で才能を引き出す
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日記事にした「Kindle本 科学・テクノロジーセール」からの脳ネタ本。何たって、あの池谷裕二さんが「本物の脳科学者が本気で発信する本格的な脳のトリセツ。そこいらのノウハウ本と一緒にしてもらっては困ります」とまで言うのですから、読まないわけには参りませぬ。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
人それぞれがもつ脳の能力を高めていけば、最大限の力を発揮することができる。これこそが「究極脳」と呼ぶべき状態であり、脳科学的なアプローチでそれを目指せる。他人と比べた相対的な究極ではなく、自分の中でできる限り最高の状態を作っていこう、というのが本書の主旨だ。
これからの時代を生き抜くには、これまでの型を捨て去り、自分で考えて行動することが必要不可欠となる。自らの脳の性能を最大限に引き出して「究極脳」を作ることで、才能を開花させ、明るい未来を切り拓いていこう。
送料を加算した中古よりは、このKindle版が500円弱お買い得です!

Allen Institute for Brain Science / Lavender Dreamer
【ポイント】
■1.作業の切り替えによる断片化を防ぐ足し算や引き算の実験のように処理内容を切り替えると、どうして時間がかかってしまうのだろうか。
それは処理の方法や内容によって担当する脳の部位が異なることが大いに関係している。これを脳の機能局在という。(中略)
先のチャン博士の実験からわかったのは、2つの作業があった時、頻繁に切り替えるより、同じ作業を続けるほうが効率がよいということだった。処理にあたるニューロンネットワークを切り替えると時間がかかるようだ。
足し算の計算が続けば、足し算を担当するニューロンネットワークのまま、切り替える必要がなく無駄がない。一方、足し算と引き算を交互に切り替えると時間がかかるということは、それぞれに対応したニューロンネットワークの切り替えに時間がかかるということだ。
■2.不安や心配事を抱えたままにしない
常に不安や心配事が頭にあるのは、サバンナのシマウマと同じ状態だと言える。そういった不安や心配事を気にしすぎず目の前の作業に集中できると、作業の効率化につながる。
何かを心配するタスクモジュールは、脳にある恐怖中枢とリンクしているため活性化されやすく、結果として前頭前野に干渉しやすくなり、注意をそらしてしまう。気にしすぎは前頭前野の処理能力を使ってしまうことになり、取り組むべき作業の効率を落とす。脳のパフォーマンスでいうと、一定の割合でパフォーマンスが下がった状態になってしまうし、心配事が気になって意識的に考え込んでしまうと、取り組むべきタスクモジュール自体が休息することになる。
したがって、不安や心配事は出来るだけ棚上げせず、面倒で気が進まなくても先にきちんと取り組んで減らしておくと効率化につながる。
■3.暇つぶしとしての情報収集を避ける
情報化社会にいる我々は、情報に敏感というよりむしろ、情報に接していないと落ち着かない、いわば情報中毒の様相を呈している。取引先や上司からのメール、最近追いかけているニュース、知人のSNSなど、たくさんの気になることがある。
作業が行き詰まったり、ちょっとキリがついたりしたくらいで、つい気になっていろいろとチェックしてしまうのは、まさに中毒状態という表現が相応しい。ただ、ここでは、ややマイルドに情報欲と呼ぶことにしよう。
情報欲を引き起こすものが脳を刺激すると、関連したタスクモジュールが活性化し、前頭前野に干渉して集中が途切れてしまう。
情報欲で仕事が邪魔をされないようにするには、情報欲を引き起こさせるような刺激物を自分から遠ざける環境づくりが有効だ。メールやニュースなどは見る時間をあらかじめ決めておくようにして、それ以外では見ないようにする。デスクの上などの作業スペースは目下の仕事に関係するものだけにする。これらは仕事の効率化でよく言われることだが、前頭前野の集中を情報欲から守るという点で統一的に理解できる。
■4.無邪気に喜びを解き放つ
理想のゴールをイメージして快楽中枢を活性化するには、そもそも快楽中枢が活性化しにくい状態になっていては困る。あなたの快楽中枢は鈍化していないだろうか。
若い頃は経験が浅い分、新たにできるようになることも多く快楽中枢が活性化する機会も多かっただろう。当時はかなり嬉しかったはずだが、経験を積むほど何かよいことがあったとしても、これくらいで喜んでいてはダメだと自制して喜ぶことを忌避してしまいがちだ。クールで格好よく見えなくもないが、快楽中枢が活性化する機会を自ら手放してはいけない。
脳の回路は筋肉と似た側面があり、よく使う回路ほどしっかり機能が維持・強化され、あまり使わない回路は衰えるようになっている。快楽中枢も活性化の機会が少ないと活性化しにくくなりかねない。
快楽中枢の活性化は生きる喜びでもある。活性化が弱いと何かを達成しても喜びが弱くなり、果ては生きること自体に意義を見出せなくなるやもしれない。何かできた暁には、密かにでも構わないので無邪気に喜びを解き放ち、快楽中枢を活性化させよう。
■5.睡眠で脳のDNAを修復する
2019年、ゼブラフィッシュという魚を使った実験で、睡眠によって損傷したDNAが修復されるということを示す実験結果が論文で報告された。
ニューロンのDNAが損傷する様子を追跡したところ、ゼブラフィッシュが覚醒中はDNA損傷が蓄積され続け、睡眠を阻害すると死んでしまうほどのレベルにまで至ったそうだ。ところが、深い睡眠状態になると、DNA修復に関わる遺伝子の活動が活発になり、DNAが修復されたのだ。
昼間でも眠らせるとDNA修復が進んだことから、このDNA修復は夜間に起こるような日内周期によるものではなく、睡眠自体によることもわかっている。
睡眠は、日中に脳を使って損傷したDNAを修復してくれる。翌日のパフォーマンスを上げるためにも、睡眠をしっかりとって、その日のDNA損傷はその日のうちに修復しよう。寝不足が続いているときは、昼間でもゆっくりする時間が取れたら、是非、昼寝で脳のメンテナンスをしてほしい。
【感想】
◆脳の仕組み全般について、改めて「脳科学的な裏付け」を知ることができた作品でした。正直、1つひとつのTIPS自体は、類書やビジネス書、自己啓発書でも述べられていますし、そこまで「目からウロコ」という感じではなく。
ただし、そのロジックについて言うなら、著者の生塩(おしお)さんは脳科学の専門家であり、冒頭でも触れたように、さすがあの池谷裕二さんが太鼓判を押すだけのことはあるな、と思った次第です。
たとえば、「仕事中に電話がかかってきて、それに出る」という一連の行為は、「作業を中断して、別の作業を行う」ことに他なりません。
どちらもそこまで複雑な作業ではなくとも、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目にあるように「担当する脳の部位が異なる」以上、パフォーマンスが落ちるのは当然のこと。
さらに、いったんトップパフォーマンスだった作業も、中断で落ち込むと、再度引き上げる(「ウォーミングアップ」というそう)必要があります。
……改めて、メールをまとめてチェックすることや、企業が「がんばるタイム」(自分の業務に集中し割り込みを一切受け付けない)を設けることに意義があるのだな、と。
◆また、上記ポイントの2番目の「心配事」のパフォーマンスへの悪影響は、以前、こちらの本で読んで衝撃を受けたものでした。

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房)
参考記事:【オススメ!】『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール(2015年03月01日)
なるほどこれも、「前頭前野の処理能力を使ってしまう」ことになるため、「作業の効率が落ちる」んですね(知らなんだ)。
ちなみに、このお話は第2章から引用したのですが、この章で割愛した中で興味深かったのが、「空腹時」における「食べ物の情報」も前頭前野に悪影響を及ぼす、というお話。
実験によると、「空腹状態で食べ物の写真を見たときに、食べ物にリンクしたタスクモジュールが活性化したため、その後の注意力や認知機能が下がった」のだそうです。
食べ物のタスクモジュールを活性化させないため、 仕事場には食べ物の匂いが来ないところを選んだり、目につくところに食べ物を置かないようにしたりといった工夫をしよう。確かに空腹時に食べ物の匂いがしたら、気がそがれますよね。
◆一方、自分が中毒状態になっていると、気がついていなかったのが、上記ポイントの3番目の「情報欲」のお話です。
私の中では、時間を浪費している意識はなかったのですが、四六時中、RSSリーダーの新規記事を読んだり、はてブホッテントリをチェックしたり、そもそもTwitterで「藤井風」氏をパブサしているワケでして……。
これらも、ムスコがスマホでゲームをしているのと大差ない、と意識して、極力減らすようにしたいと思います。
考えれば、こうして夜中にブログの下書きをしているのも、本来、それまでの時間に済ませればよいのですし、それが巡り巡って、上記ポイントの5番目の「睡眠」にもかかわってきますしね。
なお、そのポイントの5番目は、第5章の「脳のメンテナンスをする」からのもの。
この章ではと題して、睡眠、運動、食事、といった定番ネタを扱っており、私にとっては耳イタイ話ばかりでしたが、ぜひご確認を。
◆そして今回、「目からウロコ」と言っても良いのが、第3章から引用した、上記ポイントの4番目。
この章では「やる気」をテーマにしており、そこに大きく関わるのが「快楽中枢」です。
要は、自分の中で快楽体験があると、それを繰り返したくなるため、やる気が沸いてくるという仕組み。
ただし、私はまさに、ここにあるように「快楽中枢が鈍化」していると思われるタイプで、何かできても「この程度で喜んでいては……」と斜に構えてしまっていました。
なるほど、そういう時には、密かに喜ばないといけなかったんですね!?
勉強になりました!
脳科学の力でパフォーマンスをアップすべし!

究極脳の作り方 脳科学の力で才能を引き出す
第1章 脳の処理速度を上げる
第2章 集中力を上げる
第3章 脳にやる気を出させる
第4章 先延ばしを防止する
第5章 脳のメンテナンスをする
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【脳力開発?】『最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―』アンデシュ・ハンセン(2021年11月18日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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