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2024年02月19日

【ライター指南?】『「書く力」の教室 1冊でゼロから達人になる』田中泰延,直塚大成


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「書く力」の教室 1冊でゼロから達人になる


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本ポイントキャンペーン」の中でも注目を浴びている1冊。

『読みたいことを、書けばいい。』が当ブログでも人気を博した田中泰延さんが、ライター志願の学生さんを指導する、という興味深い作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「書く仕事」を全公開。
「プロのライター」を志し、ライターの大先輩で、シリーズ累計20万部突破のベストセラー『読みたいことを、書けばいい。』『会って、話すこと。』(ダイヤモンド社)の著者である田中泰延の元に弟子入りした23歳の学生・直塚大成。
「書いてお金をもらうって、どんな感じですか?」
「プロのライターが書く前にやっていることって、なんですか?」
「魅力的な文章を書くには、何をどうしたらいいですか?」
田中さん、世界一わかりやすく教えてください!
プロのライターが実践している「調べて、書く」全スキルが身につく徹底講義が今、幕をあける!

中古が値下がりしていないため、このKindle版が900円以上お買い得です!





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【ポイント】

■1.「静かな文章」を心がける
要は、いいものって空気とか水みたいな感じで、スルスルと入ってくるのよ。主張しすぎず、つまりは「静か」なんです。文章も、そういうのはかっこいい。さりげないけど、心に響くんやな。だけど「350円のハンバーガー」みたいな文章はくどくて、ダサい。要するに、「うるさい」。その筆頭は、「自分語り」です。
 SNSが普及して、誰もが自由に発信できる環境になってから、いつしか人は「何か書いて発信すれば、この世界の誰かが読んでくれるに違いない」「感動してくれるに違いない」と錯覚するようになってしまった。そして「何か書いて発信する」ときに、一番手っ取り早いのが「自分のこと」を書くことなんや。だけど現実は、「お前の話なんて誰も読みたくない」わけです。


■2.「取れ高」を気にしてはいけない
 取材準備のところで、「取材は相手との会話であり、ライブ的なもの」だと話しました。こちらが投げたボールに対して、相手がどんな風に投げ返してくるかわからない。Aという質問をしたら、Cという答えが返ってくる。Bという質問をしたら、Hという答えが返ってくる。どんな答えが得られるかは、実際に聞いてみるまでわからない。だからこそ、直接話を聞きに行くことには価値がある。
 にもかかわらず、想定外の返答があったら、「それじゃ、原稿にならない」って勝手にガッカリして、その答えをなかったことにする。「取れ高」を気にするっていうのは、そういうことなの。こんなに相手に失礼なこと、ないで。
 取材で得られた要素を使って、クライアントの要望に応える原稿を書くのがプロ。仮にCという答えが自分の予想や期待どおりじゃなかったとしても、それが相手の本当の答え。だからCを活かして、クライアントの要望に応える原稿を書くわけ。


■3.対話の中にある「心の結び目」を見つける
 まずやるべきことは、「心の結び目」を探し出すことなんです。会話って長ーい糸みたいなものだけど、自分の琴線に触れたところや、お互いの気持ちが 通ったところ、深い理解が生じたところに「結び目」ができるんや。それが「心の結び目」。たとえば、メモを取らなくても記憶に残っているフレーズなんかも「心の結び目」です。文字起こしを読みながら、こうした「心の結び目」にマーカーを引いていくといいんや。
 もちろん、仕事で書く原稿には必ず目的があるから、「その目的に合致する」という条件を満たす「心の結び目」を洗い出していく必要があります。その「心の結び目」が、原稿でいうところの「感動のへそ」になるわけ。つまり、「ああ、ここ、ここ。あとは、ここもよかったなあ」という風に取材を追体験しながらマーカーを引いたところを元に、原稿を書いていくんです。


■4.「ダメ出し」は、伸び代の証
誰かの依頼を受けて書くというのは、「自分ではいいと思うものでも、人から見ると、そうでもない場合がある」っていうことを思い知る体験でもあります。
 こういうと悲観的に聞こえるかもしれないけど、そうじゃない。だって、今までは自分で選んだテーマで、自分が満足いくように書いていたものが、依頼を受けて書くようになると、クライアントという外側の存在の厳正なるチェックを経て、公開されるわけやん。つまり、クライアントの「ダメ出し」は、クライアントの、ひいては世の人たちのお眼鏡にかなうようにするためのもの。「ここを直したら、もっとよくなると思いますよ」ということだから、「ダメ出し」は自分の伸び代の証なんです。


■5.「素直」と「正直」は違う
君は、この仮題との自分なりの向き合い方を「正直に書いた」わけだ。でも、「素直に書くこと」と「正直に書くこと」は違うよ。(中略)
たとえば君がアナウンサーになったとして、2月初め、あるラジオ番組の冒頭で、こんな風にナレーションを入れるとする。
「節分の日といえば、豆まきですよね。でも、それ以外にも節分の日の風習があるんです。さて何でしょう?」
 ここではやっぱり、最初の部分を共有しないことには、次に行けない。
「節分といえば、豆まきですよね」
 これが素直に問題意識を共有するということです。ところが、生まれてこの方、節分に豆なんかまいたことのないアナウンサーの直塚氏は、正直に「俺は生まれてこの方、節分の日に豆なんかまいたことないから」と言って、そのナレーションをすることを拒否する。今の原稿で起こっているのは、こういうことなの。


【感想】

◆タイトルだけ見ると、純粋な文章術の本のようですが、冒頭での内容紹介でも明らかなように、これはもはや「ライター指南本」。

「てにをは」はもちろんのこと、一定レベルの文章は普通に書ける前提で話は進みますから、ご了承ください。

そもそも共著者でライター志望者の直塚さんは、本書の企画を立ち上げた際のオーディションで選ばれた逸材ですから、最初の時点から普通に文章はお上手でした(さすが田中さんの弟子になるだけあって、ギャグ系の表現も板についていたという)。

ただ、それではあくまでアマチュアのレベルのお話であって、プロのライターになるには、身につけなければいけないスキルがいくつもある次第。

それを田中さんが一年かけてしごいていく過程が、本書では描かれているわけです。


◆ちなみにライターの実践本としては、当ブログでは以前、こちらの作品をご紹介したことがありました。

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書く仕事がしたい

参考記事:【実践的?】『書く仕事がしたい』佐藤友美(2021年11月01日)

正直、この作品は、「仕事の取ってき方」のような、ライターとして生計を立てるための生々しい話もあったのですが、本書はその辺はメインテーマとはしておらず、純粋に「ライター」としてのスキルアップがほとんど。

ただし、ライターとしての重要な作業として、インタビューや調査のような、アウトプット以前のインプットのお話にもページが割かれているのが特徴でしょう。

たとえば、第3章から抜き出した上記ポイントの2番目は、「3つの取材心得」の中の1つ。

取材に何も準備せずに行くのは論外ですが、準備したからといって、それに固執してはいけないわけです。

なお、比較的よく聞くフレーズである「話を本題に戻しますが」というのは、NGとのこと(詳細は本書を)。


◆さて、取材が終わって、膨大な量の文字起こしを前にやらなくてはならないのが、上記ポイントの3番目の「『心の結び目』を見つける」ことです。

これは第4章から引用したのですが、なるほど、こういう追体験をするには、本書の別の部分で言われているように、文字起こしを「要点だけまとめる」のではなく「一言一句をすべて逐一起こす」のが正解かと。

そして、田中さんいわく
 文字起こしを読む→「心の結び目」を探し出す→それを元に原稿を構成する。これを何度も繰り返すとだんだんと慣れてきて、文字起こしを読むスピードも上がってくる。
のだそうです。

さらに同じ第4章からは、上記ポイントの4番目もセレクト。

これは書き上げた原稿をクライアントに提出後、ダメ出しをされた際のお話になります。

私自身、かつて紙媒体に原稿を書いた際、それまで原稿に赤入れされたことがなかったので、「意見の擦り合わせ」という意味でも良い経験になりましたっけ。


◆この「擦り合わせ」にも関連するのが、最後の第7章から抜き出した、上記ポイントの5番目のお話。

実は直塚さんがクライアントの依頼に基づいて書いた原稿は、キモとなる「感動のへそ」が定まっていませんでした。

その理由は読者との問題意識が共有されていないから。

その結果、体裁は整っていても「興味がない」ことがすすけた文章になってしまい、それを田中さんは、節分の豆まきのお話にたとえたワケです。

そこから直塚さんは、どう立て直すのか?

クライアントのOKは出るのか?

最終納品の文章を含め、続きは本書にてご確認ください。


ライターを志す方なら、必読の1冊!

B0CKX22MSS
「書く力」の教室 1冊でゼロから達人になる
はじめに/田中泰延
プロローグ ライターに、なりたいの?
第1部「書く前」に知っておくべきこと
 第1章 「書くこと」の基本
第2部 取材・執筆
 第2章 準備する
 第3章 取材する
 第4章 書く
第3部 調べる、人に会う、執筆する
 第5章 調べる
 第6章 依頼する、会って話を聞く
 第7章 構想を練る、書き上げる
エピローグ ライターに、なってしまった
おわりに/直塚大成


【関連記事】

【超文章術?】『読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術』田中泰延(2019年06月18日)

【実践的?】『書く仕事がしたい』佐藤友美(2021年11月01日)

【プロインタビュアーの技術】『聞き出す力』吉田 豪()

【バイブル!?】『調べる技術・書く技術』野村 進(2011年07月28日)

【スゴ本】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎(2011年09月09日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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地球の歩き方 A24 ギリシアとエーゲ海の島々&キプロス 2019-2020

おなじみ「地球の歩き方」シリーズのギリシャ編。

データとしてちょっと古めなのが気になりますが、これでも最新刊らしく、Kindle版が1200円弱お買い得です。


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本ポイントキャンペーン」の日経BP分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B0CQXYPKPZ
論点を研ぐ 戦略コンサルタントが明かす「問題解決」の実際

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仕事の速い人がこっそり使っている 最強のWebアプリ活用術

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達人だけが知っている! PC&ネットのずるテク大全(ずるいテクニック)

B0CL5SQQ9S
妻の実家のとうふ店を400億円企業にした元営業マンの話

よろしければご参考まで!


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