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2024年01月14日

【時間術】『金より価値ある時間の使い方』アーノルド・ベネット


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金より価値ある時間の使い方 (角川文庫)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA ポイント還元セールの中でも一番人気の時間術本。

かなりの古典的名著らしいのですが、私は今回初めて知りました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
この45分の読書が人生に奇跡を起こす。――時は金なりと言うが時間は金よりもずっと価値がある。しかも全ての人に平等に与えられ誰にも奪えない。どう使えば限りある人生をよりよく生きられるのか。「毎朝あなたの財布には24時間がつまってる」「1晩おきの1時間半がきらめく真珠に」「原因と結果の法則を叩きこめ」等、心に刺さるメッセージが満載。時代と国境を超え多くの知識人に愛される時間術の名著、新訳! 解説・特典も充実。
原題 How to Live on 24 Hours a Dayの新訳!

送料を足す以前の中古本体が、定価と変わりませんから、Kindle版が400円弱お買い得です。

なお、18日というセール期限はあくまで予想なので、お求めはお早めに!





where does the time go / cmcbrown


【ポイント】

■1.毎朝あなたの財布には二十四時間がつまってる!
 朝起きる。すると、見よ! あなたの財布には、不思議なことに、あなたのこれからの人生世界を編み出す未使用の二十四時間がつまっている! これほど大切な財産はない。実に独特なものであり、それがあなたに与えられる与えられ方も独特だ。
 だって、いいですか! それをあなたから誰も奪えない。盗めない。そして、他の人が持つ時間は、あなたが持つ時間より多くも少なくもないのだ。(中略)
 これは、まさに奇跡ではないか?  
 あなたは、この毎日の二十四時間を使いこなさなければならない。そこから、健康、余興、金、満足、尊敬を紡ぎ出し、自分の魂を高めなければならない。時間の正しい使い方、最も効果的な使い方を知ることこそ急務なのだ。こんなに刺激的な現実問題はない。すべてが時間の使い方次第なのだから。


■2.「時間がもっとあるとき」など決してこない
 すでに述べたように、一定の割合で時間が供給される点の一番よいところは、時間の前借りができないところだ。来年、明日、次の一時間は、これからのものとして完全に手つかずで取っておかれている。まるで、これまで一瞬たりともむだにしたこともなければ、まちがえた使い方をしたこともないかのように、まっさらな時間が用意されている。そう考えると安心できるし、元気が出る。その気になれば、いつでもやり直しができるのだ。それゆえ、来週になったらやろうなどと考えてはいけない。明日に延ばすのも厳禁だ。来週になったら、水が温かくなって、飛び込むつらさが緩むかもしれないなどと期待してはいけない。そうではない。気おくれすればするほど、水は冷たく感じられる。


■3.一晩おきに1時間半がきらめく真珠になる
 あなたは、素人の合唱サークルで歌ってくれと口説かれて、3か月間、1日おきに夜2時間ずつ練習したときのことを覚えているだろうか。そんなふうに楽しみにしている何かがあるとき──全力を傾ける目標があるとき──そのことを思うだけで、一日が輝いて、活気に満ちてくるのではないだろうか。
 つまり、こういうことだ。退社時の6時に、あなたは疲れ切ってはいないという事実を認めるのだ(だって、やろうと思ったらやれるのだから)。
 そして、毎晩行おうとしている計画が、途中に食事が入って中断されないように調整する。そうすれば、少なくとも3時間は時間が取れる。
 何も毎晩3時間張りつめて暮らせというのではない。まずは、一晩おきに、1時間半程度、精神を高める活動をつづけてみてはどうだろうか。


■4.朝イチで思考を集中する
 家を出たら、1つのことを考えなさい(まずは、何でもかまわない)。10メートルも行かないうちに、何か視界に入ったものに気をとられ、角を曲がれば別の物に思考を中断されるだろう。
 思考の首根っこをつかまえて、元に引き戻しなさい。駅に着くまでに、40回も引き戻すことになるだろう。あきらめないで。つづけて。がんばって。きっと、うまくいく。がんばりさえすれば、失敗なんかしない。自分には集中力がないと決めつけてはいけない。思い出してください。ある気がかりな手紙を受け取り、とても慎重に言葉を選んで返事を書かなければならなかったあの朝のことを。どう返事を書こうかと考えつづけ、会社に着くまでずっと集中したではないか。あのときはああいう状況に陥っていたから、あれほど集中して、自分の心を暴君のように支配できたのだ。(中略)
 そうした集中が常にできるようになると(それには 秘訣 などない──集中するのみだ)、自分の思考をいつでも、どこでも自由にコントロールできるようになる(コントロールできるのは思考であって、あなたの魂ではない)。


■5.幸福になるための内省時間は夕方の帰り道に
 あなたに何らかの行動原則を押し付けるつもりはない。あなたの行動原則が何であろうと(あなたが人生で何をしたいのであろうと)一向にかまわない(この場合)。泥棒をしてもいいと信じる行動原則であろうと、私は気にしない。
 言いたいのは、自分の行動原則に合わない行動をするような人生は、馬鹿げた人生だということだけである。そして、行動を行動原則に合わせるには、日々確認し、内省し、決意を新たにするほかない。(中略)
 この重要な作業はいつ行えばよいか。夕方帰宅する通勤列車で独りきりになれる時間が、私にはふさわしいように思える。その日の稼ぎ分働いたあとでは、自然と内省的な気分になるだろう。もちろん、この基本にして実に重要な作業の代わりに、新聞を読みたいというのなら(新聞は夕食を待つあいだにも読めるが)、私は何も言わない。とにかく、一日のうちのどこかでやらなければならないのだ。


【感想】

◆色々な意味で(?)「ユニーク」な作品でした。

言っていることは「時間の本質」ですし、そのエッセンスが濃縮されている、というのも分かります。

ただ、冒頭の内容紹介で「解説・特典も充実」とあるのを見た時、「おー、これは楽しみ!」と思ったことは認めますが、まさか全体の半分弱(約43%)がそうした「解説・特典」だとは思いもよりませんでした。

つまり本書を評価する場合、そうした「付加部分」をどう考えるかにかかっているわけでして……。

まぁ本書は文庫ですから、元々のお値段も抑えめですし(しかもセールで買ってますし)、「本文だけにして値段を下げよ」とは思いません。

とはいえ、その辺のことはタイトルでとは言いませんが、何かしら(帯等で?)うたっておいて欲しかったかも。


◆ただ、一方で、解説がないと分かりにくい部分があったのも事実です。

たとえば、第1章に「たとえあなたがカールトン・ホテルの荷物預かり係ほど大金を持っていようと」という表現があるのですが、なぜに大金持ちではなくてホテルの荷物預かり係なのか?
これは恐らく、1904年10月20日、カールトン・ホテルの荷物預かり係トマス・マカラーがホテルを訴えて勝訴して50ポンド(約140万円相当) を獲得した判決への言及と思われる。荷物預かり係は週5シリングの給与のほか客からのチップで生計を立てていたが、カールトン・ホテルは客から得たチップをすべて集めて従業員に分割する制度を取っており、マカラーは18か月間個人的に受け取ったチップ総額83ポンド19シリングの返却を求めて訴えて(全額ではないが) 勝訴したのである。
総額で235万円相当だそうですが、そんな裁判知りませんがな!!

さすがにこういう時代背景を踏まえた表現は、そこまで多くないですが、とりあえず本書が本として最初に出たのは、1907年であり、当時と今とではさまざまな状況が違うということは、ご留意いただきたいと思います。

一応、本書は1908年に出版されると大評判になり、ヘンリー・フォードが500冊買って、友人や従業員に配ったそうですが。


◆個人的には、上記ポイントの1番目が今さらのように刺さりました。

よく、時間のメタファーでお金が用いられますが、まさに毎朝、24時間という同額が、誰でも平等に財布につまっていると考えると、ある意味すごいことだな、と。

ただしそれらを無駄にするのも、有意義に使うのも各人の自由です。

そこで本書は、後者にすべくいくつか提言をしており、その1つが上記ポイントの3番目。

「一晩おきに1時間半程度」を捻出して、自己を高めることに用いるよう説いています。

実は本書の他の部分で、「週6日、朝の列車で新聞を読む30分を削る」ようも言っており、合計すると0.5×6日+1.5×3の7時間半が、自己啓発タイムに相当する次第。

そこで、この7時間半で何をすべきかが問題になってくるわけです(具体的には本書の9章以降をご参照のこと)。


◆他方、習慣として身につけておきたいのが、上記ポイントの4番目の「朝の『思考の集中』」と、5番目の「夕方の帰り道での『内省』」。

ともに朝夕の通勤中に列車の中で行えるのがミソです。

なお前者は、「何を考えても構わない」とのことなのですが、具体例に挙げられているのが「マルクス・アウレリウスやエピクテートスの短い章を反芻してみてはどうだろう」と、ややハードルは高め。

ただし、この2人はいずれもストア派に属する哲学者であり、解説でストア派哲学についてかなりのページを割いていますから、そちらでご確認ください。

また、後者の「内省」も当ブログでご紹介してきた作品で、過去何度か登場していましたっけ。

たとえばこちらとか。

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1日5分 「よい習慣」を無理なく身につける できたことノート

参考記事:【内省?】『1日5分 「よい習慣」を無理なく身につける できたことノート』永谷研一(2016年10月10日)


◆なお、上記のストア派は、シェイクスピアにも影響を与えているそうで、その辺は上記で触れた解説部分にも詳しいです。

その流れで、本書では下記目次にもあるように、「時間をめぐるシェイクスピアの名言」なるパートもアリ。

これが結構名言揃いで、原文と出典作品名、さらには簡単なコメントまで付されている親切設計です。

そういえば、解説は訳者である河合祥一郎さんが担当されているのですが、この方、翻訳だけでなく、シェイクスピア絡みの作品も結構出版されてるんですね。

Amazon.co.jp : 河合祥一郎

その河合さんの「時間管理の7つの法則」が、訳者あとがきにまとめられていますので、こちらもお見逃しなく。


時間術の古典的名著を、この機会にぜひ!

B0CPDQTC8B
金より価値ある時間の使い方 (角川文庫)
はじめに 賢いワーク・ライフ・バランスは一杯のお茶から
第1章 毎朝あなたの財布には二十四時間がつまってる!
第2章 知的好奇心を持てば本当の人生が送れる
第3章 「時間がもっとあるとき」など決してこない
第4章 一日のプロローグとエピローグという考えを捨てる
第5章 一晩おきの一時間半がきらめく真珠になる
第6章 一週間を六日とし週七時間半で奇跡を起こす
第7章 史上最高の賢人たちの提案──「思考の集中」
第8章 幸福になるための内省時間は夕方の帰り道に
第9章 教養を身につけることで充実する毎日
第10章 原因と結果の法則を叩きこみ退屈な人生を変える
第11章 読書好きのあなたに勧める「熟慮を要する読書」
第12章 日常に奇跡を起こす最初の一週間
解説 ハズリットのエッセイ「詩一般について」
抄訳 オシアン「セルマの歌」夏目漱石訳
時間をめぐるシェイクスピアの名言
訳者あとがき


【関連記事】

【内省?】『1日5分 「よい習慣」を無理なく身につける できたことノート』永谷研一(2016年10月10日)

【時間術】『仕事も人生もうまくいく! 勝間式 タイムパフォーマンスを上げる習慣』勝間和代(2023年02月15日)

【超時間術?】『時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』ジェイク・ナップ,ジョン・ゼラツキー(2019年06月21日)

【時間術】『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』尾石晴(2021年01月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記】

◆一昨日の「KADOKAWA ポイント還元セール」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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金より価値ある時間の使い方 (角川文庫)

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