【ブックガイド】『人生で読んでおいた方がいいビジネス書75冊』土井英司:マインドマップ的読書感想文

2023年12月25日

【ブックガイド】『人生で読んでおいた方がいいビジネス書75冊』土井英司

人生で読んでおいた方がいいビジネス書75冊

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも、予想どおり大人気だった1冊。

おなじみ土井英司さんが満を持してリリースした、ビジネス書のブックガイドになります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

これまでに読破したビジネス書は30,000冊。
元Amazonのカリスマバイヤーにして、メールマガジン『ビジネスブックマラソン』編集長。
日本随一のビジネス書の目利きとして知られる著者による「最速で成長するための」ビジネス書ガイド。

さっそく単行本が品切れで、中古にプレミアムが付いているようなので、Kindle版がオススメです！

【ポイント】

■1.20代の成功は、「どこにいるか」で決まる

　みなさんの成功に関わることですから、率直に言いましょう。どの業界で仕事をするかが、あなたの成長スピードを決めます。安定した大企業に行きたい欲求を抑え、成長著しい業界、これから伸びる業界で働きましょう。
　成長産業に行けば、そこには、成長の機会を貪欲に求める面白い人間か、負ければ後がない必死な人間が集まってきます。どちらも将来成功する人材ですが、そこにいるだけで魅力的な人たちを師匠にしたり、将来のビジネスパートナーにしたりできるって、ワクワクしてきませんか？　
　そして、せっかくそんな業界に入ったのなら、躊躇してはいけません。日常業務はさっさと終わらせ、岩瀬さんのように、「ご迷惑でなければ、一緒に連れていってください」と言うのです。

入社1年目の教科書

■2.スキルを身につけるための「練習」の教科書

　前提としたいのは、教師が生徒の理解度を確認して練習を進めることです。この本ではこれを「習得の確認」と呼んでいます。
　次に大事なのは、最大の価値を生む20％に集中して取り組むこと。「80％の結果は20％の原因から生まれる」という「パレートの法則」はよく知られていますが、これを練習に応用したものです。
　人間はつい、取り組みやすいものや簡単なもの、得意なものから先に着手してしまう性向がありますが、結果を生む20％に集中することが成功のカギです。
　そして熟達するために大事なことは、「無意識にできるようになるまで徹底する」こと。
　この本ではさらに、「無意識にできるようになれば、創造力が解き放たれる」と言っています。

成功する練習の法則: 最高の成果を引き出す42のルール

■3.わかりやすく話すための3段ピラミッド

　わかりやすい話し方という点で言えば、おそらくこの『1分で話せ』は過去30年間でナンバー1の本ではないでしょうか。
　この「結論」＋「根拠」＋「たとえば」という型は、デキる人ならみなやっていることですが、なぜかこんなにシンプルにまとめた人はこれまでいませんでした。(中略)
「1分でまとめる」技術は、いろんなところから出されていますが、この本ほど仕事におけるコミュニケーションの本質を突いた本も珍しいと思います。
　コミュニケーションのゴールが「相手を動かす」ことであることや、「相手の身になる」ための具体的要素とは何か、論理的なプレゼンに欠かせない述べ方の順番など、大事なことが過不足なく書き込まれています。

1分で話せ世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術

■4.戦略の本質と、良い戦略の条件を学ぶ

　なぜIKEAの戦略は秘密でも何でもないのに、競合他社が真似しないのか、なぜKマートはウォルマートに敗北したのか、なぜアップルはマイクロソフトに1億5000万ドルもの投資をさせることができたのか、といった謎が、戦略の視点から解き明かされていて、じつに刺激的な読み物です。
　戦略の事例として、第一次世界大戦、第二次世界大戦、湾岸戦争、トラファルガー海戦、ローマを打ちのめしたハンニバルの戦略なども登場し、まさに戦略の教科書と呼ぶにふさわしい1冊です。
　本当に役立つ戦略の本は、ちょっと読み進めるたびに自らのビジネスに応用できるヒントを与えてくれるものですが、この本はまさにそんな内容です。

良い戦略、悪い戦略 (日本経済新聞出版)

■5.これまでの常識を覆すパーソナルファイナンスの新常識が書かれた本

　次に、お金本の超ロングセラー『金持ち父さん貧乏父さん』『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』以来の衝撃の書が『JUST KEEP BUYING』です。(中略)
　所得に対して一律に「何パーセント貯蓄しよう」とアドバイスするのがなぜ間違いなのか、節約よりも収入を増やすことが大事な理由、収入がアップした場合、どの程度まで生活レベルを上げていいのかなど、気になるトピックに明確な答えを出しており、賢い人生設計を考える読者には、ぜひ読んでいただきたい。
　ファイナンシャルプランナーの方は、この本の主張を知らずに従来の「常識」を振りかざしていると、職を失うことになるかもしれません。

JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則

【感想】

◆さすがビジネス書を3万冊超読破した土井さんの作品だけあって、読みどころ満載でした。

今回はその75冊の中から、上記のように5冊だけ選んだのですが、もちろんその他にもオススメしたい作品が多々。

なお、やや意外だったのが、比較的新しめの作品も選ばれていることで、上記ポイントの1番目の岩瀬大輔さんは一応10年経ってますが、3番目の伊藤羊一さんはもちろん、最後の『JUST KEEP BUYING』に至っては、今年6月の作品です。

もちろん、その一方で『7つの習慣』や『私はどうして販売外交に成功したか』、『影響力の武器』といった、古典的名作も選ばれていますからご安心を。

とくに『影響力の武器』には、結構なページを割いていました。

その一方で、「知る人ぞ知る」といったタイプのこんな本も選書されているのが、土井さんらしいといいますか（過去のセミナー等では俎上にあがっていました）。

ケアの本質―生きることの意味

達人のサイエンス―真の自己成長のために

◆さて、本書の構成は下記目次にもあるように、出発から到着という流れを模したもの。

まず第1章では、「マインド＆準備編」ということで、上記ポイントの1番目の岩瀬大輔さんの大ヒット作を選んでみました。

この本60万部も売れているということで、新人さん向けのビジネス書として、かなり有名なのではないでしょうか。

ただし、ここでも触れているように、本人の努力以上に「どの業界にいるか」が大事である……というのは、すでに会社に入社済みの新人さんには「今さら言われても」となりかねませんが。

実際、確かに成長する業界か否かは大事でして、私の新卒の頃に人気だった企業（業界）なんて、今ボロボロですからねー。

特に都銀がここまで集約されるなんて、思いもよりませんでしたし。

◆続く第2章のテーマは「スキルと時間」なんですが、実はこの章のボリュームが異様に多くて、本も半分弱の36冊選ばれています。

とはいえスキルアップ系や時間術は、当ブログでも大好物ゆえ、これはありがたいところ。

まずはスキルアップ全体に通じる『成功する練習の法則』を上記ポイントの2番目としてセレクトしました。

なお、この本の当ブログでのレビューは、ブクマが390も付いて、ホッテントリ入りしていますので、よかったらご覧ください。

参考記事：これは凄い！『成功する練習の法則』を便利にする8つのツール（2013年07月22日）

また、同じ第2章からは、上記でも触れた『1分で話せ』もピックアップしました。

こちら土井さんが「過去30年間でナンバー1」とか、「この本ほど～の本質を突いた本も珍しいと思います」と激賞していて、少々びっくりの巻。

もっとも、数字的にも60万部は突破しているようですから、世間的にも支持されている作品だと思います。

◆一方、第3章の「転職＆起業」も、テーマ的には見逃せないもの。

ここでは上記ポイントの4番目では、「起業家のための戦略」という趣旨で『良い戦略、悪い戦略』という定番本を選びましたが、他にも見逃せない作品が沢山ありました。

とくに、楠木建さんの『ストーリーとしての競争戦略』は、未読の方がいらしたら、ぜひご覧いただきたく……。

ストーリーとしての競争戦略 Hitotsubashi Business Review Books

参考記事：【スゴ本】『ストーリーとしての競争戦略』楠木建（2010年10月20日）

こちら、上記のKindle版は「Kindle本年末年始セール」の対象のため、中古よりも800円弱お買い得のようなので、あわせてご検討ください。

また、本来の（？）「転職」をテーマにした作品では、北野唯我さんのこちらも、興味深かったです。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法

レビューが5400超付いているのもスゴイですし、それで評価平均が「4.5」なのですから、質の高さが伺われるかと。

◆そして第4章のテーマは「お金持ちになるには＆お金持ちになったら」ということで、お金本が登場。

上記ポイントの5番目の『JUST KEEP BUYING』は、土井さんの

『金持ち父さん貧乏父さん』『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』以来の衝撃の書

というフレーズが決め手となってセレクトしました。

特にここで掲げられている、いくつかの論点については、本書内で解説されていますので、気になる方はそちらにてご確認ください（『JUST KEEP BUYING』を読まれてもいいのですが）。

また、「お金」を論ずる場合の大事なテーマの1つが「節約」。

本書では、こちらの作品が「現状いちばん苦労せずにお金が貯まる、最強の節約術」と言われていましたので、ご参考まで。