2023年11月17日
【フリーランス】『フリーランス稼業成功の心得』村田らむ
フリーランス稼業成功の心得―東洋経済ONLINE BOOKS No.1
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「東洋経済新報社 年に1度の大セール」の中でも一番人気の作品。「50%ポイント還元」に加えて、もともとのKindle版のお値段が、紙版の半値であるのが大きいのかもしれません。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、東洋経済オンラインで人気連載中の『非会社員の稼ぎ方』から、本書のテーマに沿って、記事を抜粋し、一部修正と加筆を加えてまとめたものです。特に、エピソードのあとにある「成功の心得」を新たに加え、フリーランスの方やフリーランスを目指している方に向けて、わかりやすく解説しています。選りすぐりの14人の生き方から、「安定をかなぐり捨てた世界を生き抜く」フリーランス成功術を学びとっていただきたい。
オンデマンドで中古がないため、このKindle版が実質1200円弱お買い得となります!
Steven Digital Nomad / szwerink
【ポイント】
■1.スタッフは視覚に障害のある人で構成たとえばインタビュー記事などを書く場合、インタビュー中に音声を録音する場合が多い。そしてその音源を聞きながら文字を起こし、原稿に活かす。
「文字起こし」は、ライターからは「手間のかかる、できるなら省略したい仕事」と思われることが多い。その「文字起こし」を、代わりに行う会社なのだ。
そして合同会社ブラインドライターズのいちばんの特徴は、文字起こしをするスタッフは全員視覚に障害がある人で構成されているということだ。文字起こし以外のスタッフも車いすユーザーといった、障害のあるスタッフで構成されている。
「全員自宅作業、自由な時間に作業してOK」というとてもフレキシブルなスタイルな環境だったため、コロナ禍の緊急事態宣言下でも、休業せずに仕事が続けることができて、被害は最小限で済んでいるという。
■2.過去の経験を現在に活かす
また銭湯以外にもサービスを提供している。
もともと殿上湯の近くに、賃貸アパート物件を持っていたのだが、最近では民泊として提供している。
「旅館業法でとりたかったんですけど、許可がおりませんでした。昨年、民泊新法がスタートして、180日まで貸すことができるようになりました。現状、ほぼすべて埋まっています。アパートとして貸すよりずっと利益がでますね」
民泊の客の多くは、欧米人だという。
室内は畳敷きのシンプルな部屋なのだが、それがアメリカ人やヨーロッパ人にはウケる。
「スノボーをやってたときなどに、海外の友達はたくさんできました。たくさん話して、彼らが日本に何を望んでいるかはわかってました。結局、畳が敷いてある部屋に泊まって、銭湯に入るというのが、いちばんなんですよね」
■3.ホームレスの人たちから色々学んだ
やしろさんが通っていたネットカフェは、日雇い労働者が集まる、いわゆるドヤ街と呼ばれる場所の近くにあった。
やしろさんがお弁当を食べるために立ち寄った公園には、ホームレスのおじさんたちがたくさんいた。その中で1人弁当を食べた。
「1年以上そうやって公園でお弁当を食べていました。毎日ホームレスのオジサンたちとしゃべっていたので仲良くなりました。彼らからはいろいろ学びましたね。だいたいの人は酒と女で失敗してるんだな、とか。たまに株で失敗した人もいるんだ……とか。(中略)」
いつものようにお弁当を食べていると、ホームレスのおじいさんに、「こんなところで親の弁当食べてるんじゃねえよ! お前は俺らが戻りたくても戻れないところにいるんだから頑張れよ。全員がうらやましいと思う生活をしてるんだ!!」と、説教された。
「叱られて、確かにそのとおりだと思いました。そして心機一転、高校2年からまた学校に行きはじめました。ホームレスの皆さんと過ごした経験は、今でも生かされてると思います」
■4.非マーケティング思考で本を作る
中村さんがいちばん嫌いな言葉はマーケティングだ。そこいらの一般の人たちのご機嫌をうかがって、本を作るなんておかしい。マーケティングだのコンサルティングだの言っている人は全員、紳士面した詐欺師だと思っている。
「編集主導ではなくて営業主導で本を作ったら、どんどん面白くなくなっていきます。本はそもそもただの商品ではなくて、文化的なもの、だからこそ再販制度で守られているんですよね? みんな忘れているんじゃないでしょうか? 僕には大した力はありませんが『僕こそが出版界の良心で、出版界を背負っている』って本気で思ってます。うちは作りたい本しか作りません。気の置けない信頼できるメンバーでしか作りません」
■5.お金だけではなく、おいしいラーメン作りを目指す
「麺屋 丈六」には食券機は置かれていない。食べ終わり、帰るときに現金を払う昔ながらのシステムだ。30〜40人並ぶラーメン店ならば、食券機にしたほうが絶対に効率はいい。
「食券機にしたら、最初にお金払っちゃうから嫌なお客さんを帰せないでしょ。『気に入らんかったら、お金いらんから帰れ!!』って言うためには、食券機は置いちゃダメなんですよね(笑)」と丈六さんは気さくな感じで笑う。
丈六さんは、商売だからもちろんお金のことは考えているが、それだけではないと思っている。お店が繁盛しはじめたとき、隣の家も借りて連結させた。お店は倍の広さになった。そしてそこを待合席にした。
「家賃倍払って、待合所作るって普通の経営感覚で考えたらアホですけど。いやいやそうじゃないよと」
【感想】
◆さまざまなフリーランスの皆さんの、生い立ちから現在まで、想定以上に掘り下げていた作品でした。私はこの14人の中では、著名ブロガーでもあるやしろあずきさんと、ご本を紹介したことのある藤原麻里菜さんしか存じ上げませんでした(すいません)が、それぞれの皆さんの働かれている界隈では、かなり名の知れた存在である可能性大。
ただし、たとえ名前を知っていても、その方の幼い頃や、有名になるまでのお話は、知らないのが普通でしょう。
たとえば上記ポイントの3番目に、そのやしろさんが登場していますが、引きこもり経験者だったことや、高校時代にホームレスの人たちと仲良くなっていたことまでは、私は知りませんでした。
しかもご本人いわく、その時の経験が「今でも生かされている」そうですから、こうした掘り下げも有益だということ。
もっとも、まったく知らない方の「今の仕事とは関係ない幼少期のお話」だと、読み続けるとつらいでしょうが……。
◆さて、最初から見ていくと、まず上記ポイントの1番目は、フリーランスのライター、編集者の和久井香菜子さんのお話。
ただし引用した部分は、和久井さんが代表を務める会社のビジネスモデルが興味深くて引用したので、厳密には「フリーランス」とは違うのですが。
とはいえ、視覚障碍者だからこそできる「書き起こしクオリティ」というのは、なるほど、とうなずけるもの。
私はこういうアイデア系のお話に目がないのですが、これ、和久井さんが思いついたのではないとのこと。
たまたま和久井さんが「インタビュー取材をして本にする」という仕事をタイトなスケジュールでこなさねばならなくなったときに、知り合いの編集者にそういう文字起こしスキルのある視覚障碍者を紹介してもらったことがきっかけでした。
ただ、その障碍者の女性に「もっと仕事が欲しい」と言われて、仕事を次々と紹介できたのは、フリーランスとしての和久井さんの顔の広さゆえかと。
ちなみに、こうして会社を立ち上げる前の和久井さんの人生も波瀾万丈すぎるので、こちらも本書にてご確認ください。
◆また上記ポイントの2番目は、来たく西ヶ原にある銭湯「殿上湯」の5代目オーナー、原延幸さんのお話。
公式ホームページが「老舗銭湯のモノとは思えないほど洗練されている」というので見てみたら、本当でしたw
殿上湯-denjyoyu- 駒込にある老舗銭湯
ただし、こちらも銭湯の傍らで営んでいる、民泊のお話が興味深かったです。
欧米人にとって、「銭湯」と「畳の部屋」は、同じ地続きにあるのだな、と。
そういう意味では、「お風呂屋さんがやってる民泊の部屋」としては理想的だと言えるでしょうね。
◆一方、上記ポイントの4番目は、東京キララ社という出版社の、代表の方のお話。
東京キララ社は、サブカル系の作品を出されているとの事なので、試しにアマゾンで検索してみたところ、こちらがオススメのトップでした。
マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー
……これは確かに、ウチではレビューできません罠w
ただ、「文化的なものだから再販制度で守られている」という指摘は、私もすっかり忘れておりました。
さらに上記ポイントの5番目では、ラーメン店「麺屋 丈六」の店主、丈六達司さんが登場しています。
ちなみにここで引用した、現金後払いのシステムのメリット(?)は、個人的には目からウロコ。
そうまでして嫌なお客さんに出てってもらいたいかは別として、逆に待合室をわざわざ作る等、一本筋の通った経営をなさっていると思いました。
フリーランスのさまざまなスタイルを学べる1冊!
フリーランス稼業成功の心得―東洋経済ONLINE BOOKS No.1
【1】49歳、「文字起こし」に鉱脈得た彼女の快活人生
【2】斜陽の「銭湯」で大胆に集客する44歳の経営手腕
【3】不登校からトップブロガーになった30歳の稼業
【4】34歳「地図の新しい見方」を探求する男の仕事観
【5】32歳「元専業主婦」の彼女がのめり込む書く現場
【6】25歳「ムダなモノ」をつくって稼ぐ彼女の生き方
【7】45歳、大阪の会社員→バー経営者が得た稼業
【8】42歳「社会科見学」に鉱脈を得た男の放浪人生
【9】神保町で異色出版社を興した男の譲れない志
【10】46歳「コスチューム作り」で生きる女の稼ぎ方
【11】43歳「4つの稼ぎ方」並行する男の快活な人生
【12】スーパーで働きつつ寿司屋を開いた男の達観
【13】東京生まれ42歳の彼がタイに見つけた居場所
【14】「麺屋 丈六」を作った元原発作業員の快活人生
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。「数字」が読めると本当に儲かるんですか?
489評価の平均が「4.3」と結構高い数字本は、中古が値崩れしていますが、送料を足せばKindle版がお得。
地球の歩き方 E10 南アフリカ 2020-2021
「地球の歩き方」シリーズの南アフリカ本は、Kindle版が1400円弱お得な計算です!
【編集後記2】
◆一昨日の「東洋経済新報社 年に1度の大セール」の追加分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。「価値」こそがすべて!―ハーバード・ビジネス・スクール教授の戦略講義
「感情」は最強の武器である―「情動的知能」という生存戦略
新 管理職1年目の教科書―外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール
「協力」の生命全史―進化と淘汰がもたらした集団の力学
よろしければご参考まで!
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