【コミュニケーション】『世界最高の伝え方―人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える！「伝説の家庭教師」が教える「７つの言い換え」の魔法』岡本純子:マインドマップ的読書感想文

2023年11月12日

【コミュニケーション】『世界最高の伝え方―人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える！「伝説の家庭教師」が教える「７つの言い換え」の魔法』岡本純子

世界最高の伝え方―人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える！「伝説の家庭教師」が教える「７つの言い換え」の魔法

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「東洋経済新報社年に1度の大セール」の中でも、当ブログ向きの1冊。

以前『世界最高の伝え方』（こちらもセール対象です）をレビューしたことのある、岡本純子さんの現時点における最新作です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

【累計20万部！大好評「世界最高」シリーズ！待望の新刊は、「伝説の家庭教師」が日本人が苦手な「伝え方」を、世界一わかりやすくシンプルに完全解説！】
【たった「７つの魔法の言い換え」で、仕事も人間関係も、全部うまくいく！
【職場、家庭、日常会話、雑談、全部に使える！こんな「伝え方の本」が欲しかった！】

送料を足した中古よりも、こちらのKindle版が700円弱お買い得となります！

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【ポイント】

■1.叱る人の頭の中の「5つの誤解」

「叱る」人の頭の中には、5つの誤解が隠されています。
❶ 自分が「叱る」、相手は「叱られるべき」上下の関係性がある
❷ 相手は間違いや弱みを「わかっていない」ので、指摘してあげるべきだ
❸ 私が正しく、相手は間違っており、私のやり方は相手にも通用する
❹ 人は叱られないと、甘やかされ、成長できない
❺ 叱ることには効果がある
　このどれもが、じつは間違っています。
　上下関係に基づく、「上→下」の一方的なコミュニケーションは、人の考え方や行動を変えるうえでは、効果が薄い方法です。
　年齢や身分が上の者が常に正解を持ち、下の者は従うべきという考え方も、いまや時代遅れ。あなたの相手への評価が歪んでいる可能性も否定できません。

■2.「I トーク」の3つの要素

　たとえば、アメリカの心理学者らのある研究では、ティーンエージャーに対する「〝あなた〟×非難」 は、最も強い敵対心を呼び起こす反面、行動を喚起するという点では最も効果がないことがわかりました。
　一方で、「〝私〟×悲しんでいる気持ち」という発言は、敵対心を弱め、高い行動喚起傾向があることが示されました。
　この「I feel」メッセージの有効性を最初に提示したのは、アメリカの心理学者で、カウンセリングの大家として知られるカール・ロジャーズの弟子であるトーマス・ゴードンと考えられています。　
「ゴードンモデル」によれば、この「I feel」話法には 3 つの要素が含まれている必要があるそうです。
❶「改めてほしい」「許せない」と感じる相手の行動
❷ 自分の気持ち
❸ 相手の行動が自分に与えた具体的な影響
「連絡をくれなかったので、私は、とても困った。そのあと、重要な打ち合わせに遅れてしまったんだよ」といった感じで伝えてみましょう。

■3.行動は「説教」でなく「質問」で変えられる

　大切なのは、自らの考えを押しつけないこと。
　聞き手の役割は、話し手が自ら解決策を導き出すのを助けることです。
　言い換えルール「❷ 命令を提案に」でも詳述したように、「人を動かしたい」と思うとき、じつは「〇〇しなさい」というよりも「質問」を用いるほうが、効果が高いからなのです。
「質問行動効果」（Question-Behavior effect）と呼ばれるもので、質問をし、その答えを自ら考えてもらって、宣言してもらうことで、自分の行動により責任を持つように仕向けるのです。
　たとえば、遅刻の多い人に「遅刻しないように」ではなく「時間通りに来られますか？」、食生活が不規則な人に「野菜を食べましょう」ではなく「もっと野菜を食べませんか？」といったような質問を投げかけます。
　人は自らが考え、気づきを得なければ、本質的に変わることはできません。
「〇〇しろ」と回答を押しつけるより、上手に「質問」をしながら、問題も解決策も自分で考えさせ、発見させるように仕向けるほうが、本質的な行動変容に結びつきやすいのです。

■4.3つの「Kポイント」を意識する

まずは相手に「この話は聞いておかないと！」と思わせる、3つの「Kポイント」を意識しましょう。
　3 つの「Kポイント」とは「価値」「関係」「関心」です。
価値
　相手の価値を伝えることです。
　これは、相手を「認める」「共感する」「ほめる」「感謝する」。
　いわゆる「みかんほかんの法則」で紹介した内容です。
関係
　お金に関わる「損得」についての話、「身近」で「便利」で役に立つこと、個人や社会に「影響」があることや、個人的な「悩み」にまつわるような話題です。
関心
「有名」な人や企業、いまの「流行」、誰かの苦労・失敗・成功の「ストーリー」、「感情」をゆさぶる話、秘密の「告白」といった相手が興味を持ちやすいコンテンツです。
　しっかりと受け止めてもらい、持ち帰ってもらいたいのであれば、この「3Kネタ」をフックに、相手の耳をダンボにするように工夫をしなければなりません。

■5.「抽象」と「具体」を使い分ける

　抽象的な言葉とは、理論・基本原理・哲学・理念・コンセプト・方向性・長期目標・スローガンの類いで、たとえば「グローバル」「イノベーション」「 SDGs」「技術力」「企業改革」などといった言葉。
　目に見えないので、イメージがしにくいというデメリットがあります。
　その反対が、具体的な言葉。具体的事象・応用例・具体的アクション・行動指針などで、目に見えやすいので、イメージしやすくわかりやすいというメリットがあります。
　一方で、具体的なことばかりを並べると、結局、何が言いたいのかがわかりづらく、ダラダラとした説明になりがちです。
　ですから、説明では、
「一言でいうと」「つまり」「要するに」という「抽象的コンセプト・テーマ」
　　　　　　　　　　　　＋
「たとえば」「具体的にいうと」という「具体的な内容」
を組み合わせて使うのが理想的ということになります。

【感想】

◆冒頭でも触れたように、当ブログでは著者の岡本さんの処女作をご紹介しておりまして。

世界最高の伝え方―人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える！「伝説の家庭教師」が教える「７つの言い換え」の魔法

参考記事：【話し方】『世界最高の話し方―１０００人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた！　「伝説の家庭教師」が教える門外不出の５０のルール』岡本純子（2020年11月06日）

こちらをお読みになり気に入った方にとっては、「同じスタイル」を踏襲している本書は、かなり読みやすかったと思います。

「同じスタイル」というのは、具体的に言うなら、たとえば「強調の太文字」を多用していたりとか。

また、TIPSが箇条書きだったり、そのTIPSに名称が付けられていたり、と、東洋経済さんの作品としては比較的ライトテイストだと言えそうな。

それもあってか、この「『世界最高』シリーズ」は、累計20万部を突破しているそうですから、ファンも多いのではないでしょうか。

◆ただ、本書はテーマ的に『世界最高の話し方』と、部分的にかぶらざるを得ない（「伝える」には「話す」必要アリ）ワケで、上記ポイントではその部分を避けています。

たとえば、上記ポイントの4番目の中で、サラッと「みかんほかんの法則」というワードが出てきていますが、これは本書でも『世界最高の話し方』でも解説されているもの。

この辺、『世界最高の話し方』をお持ちの方で、かぶりが気になる方は一応ご留意ください。

逆に本書独自と言えるのが、上記ポイントの1番目の「叱り方」のお話です。

ここで挙げられている「5つの誤解」を読んで、すべてそう思っていない方がいたら、結構スゴイと思うのですが、読者の皆さんはどうでしょう？

私の場合部下がいないため、子どもを意識して考えてみたのですが、4番目以外は多かれ少なかれ、同意に近いのですが……。

なお、ではどうすべきなのか、については本書で詳しく指南されていますから、そちらをご覧いただけたら、と。

◆また、上記ポイントの2番目は、本書のサブテーマともいえる「7つの言い換え」の「ルール5」からのもの。

いわゆる「YOUメッセージ」と「Iメッセージ」のお話なのですが、本書ではさらに掘り下げています。

私自身、ここでいう「3つの要素」は知りませんでしたし、単に相手を非難（批判）する代わりに、自分がどう思ったかを言えばいいのだと思っていました。

今後はこの「3つの要素」を意識して発言する所存です。

さらに上記ポイントの3番目は「7つの言い換え」の「番外編ルール」から引用しました。

「Why系」の「質問」は、「詰問」になりかねませんが、こちらはむしろ「提案」に近い感じ。

我が家の子どもたちには、「説教」するよりこちらを試してみたいところです。

◆一方、上記ポイントの4番目は第5章から抜き出したもの。

特にセミナーや講演で、聴衆の注意を集めるには、こういう部分を意識しないといけません。

ちなみに本書でNG例として挙げられていたのが、話し始めが「わが社の資産運用商品について紹介します」なるもので、それでは聞いてもらえないこと必至。

逆にOK例はこんな感じです。

老後2000万円問題って聞いたことありますよね。実は2000万円どころではないって、ご存じでしたか？

……これは「耳ダンボ」になります罠。

なお、最後のポイントの5番目も同じ第5章からであり、思考術でおなじみの「具体と抽象」を活用しています。

これも具体的な例があったのでご紹介。

（抽象）私たちが目指すのは、要するに「実用志向のエコ」です
（具体）これはどういうことかというと、たとえば「石鹼の使い捨て」「 1 回限りの歯ブラシ使用」をやめるといったことです

こちらもどんどん実践していきたいですね。

伝えることが苦手な方なら要チェックな1冊です！

世界最高の伝え方―人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える！「伝説の家庭教師」が教える「７つの言い換え」の魔法

【第1章】＜「ネガティブ・否定的なこと」を伝える技術＞世界最高の“叱り方” ――人がぐんぐん育つ！伸びる！◯◯ハラにもならない！
【第2章】人を動かす「7つの言い換え」の魔法――家族、職場、友人、あらゆる場面に使える！
【第3章】やる気に火をつける「ほめ」の真実――日本人がとにかく苦手！誤解だらけ！
【第4章】＜「ポジティブ・肯定的なこと」を伝える技術＞世界最高のほめ方――人の行動を変える！人間関係が劇的によくなる！
【第5章】＜「ニュートラル・中立的なこと」を伝える技術＞世界最高の説明・指示・伝達のルール世界――たったこれだけで、あっという間に伝わる！
【特別付録】「世界最高の自己紹介」の方程式