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2023年11月08日

【イノベーション】『仕事を減らす』田中猪夫


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仕事を減らす


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、人気の高かった仕事術本。

もっとも仕事術というより、アイデア系にも近いと言える作品なのですが。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
1日の仕事が1時間で終わる。
外資系企業の営業職で、同僚が1日10時間かけてあげる以上の成果を、1日わずか1時間働くだけで挙げられたのは、頭のいい人が無意識に使っている3つの思考法を使いこなしたからだった。
「引いて考える」
「組み合わせ」
「試す」
この3つを直列にして使うことで仕事のやり方に小さなイノベーションを起こし、仕事にかかっていた時間を誰でも劇的に減らせる。
言われるがままやっていた、それまでの仕事のやり方を、創造的に破壊してしまえ。

中古が定価を上回る一方、定価と同額だったKindle版が、若干ですが値下がりしています!





Business Model Prototyping and Customer Development V2 / Alex Osterwalder


【ポイント】

■1.靴を脱ぎ散らかす子どもが一変した「小さなイノベーション」
 玄関から部屋に上がるときに、靴を脱ぎ散らかす子どもがいた。「靴を脱いだら揃えなさい!」と、何度注意しても聞く耳なし。母親はイライラが募るばかりだった。
 あるときチョークで玄関の床に、子どもの靴にぴったりの足型を描いた。すると子どもは自然と靴を、そこに揃えるようになった。子どもは犲分だけの場所瓩玄関にできてうれしかったのかもしれない。あるいは狢型に靴をはめるという遊び瓩楽しかったのかもしれない。ともあれ、できないことを指摘され怒られてばかりだった子どもは、一転して褒められるようになった。
 また、母親にとっても「注意する」ことで疲弊し苛立つのではなく、子どもが靴を揃えることを気分よく「褒める」だけでよくなったのである。


■2.「仕事を減らす」には、まず「引いて考える」
「仕事を減らす」小さなイノベーションを起こすには、まず「引いて考える」というフェーズが必要だ。「引いて考える」目的は、困りごとの裏に隠された使命が何かを明確にすることである。犹劼匹發貌仔租な習慣を身につけさせる瓩里使命と見極めたら、次にそれを達成する手段を考える。牘宙飛行士を月面で歩行させる瓩里使命なら、次にそれを達成する手段を考える。(中略)
 マクドナルドを利用する人の多くは、マクドナルドを爛魯鵐弌璽ーを売る会社瓩塙佑┐ちだ。しかし経営の視点まで「引いて考える」と不動産業となる。
 マクドナルドの直営店とフランチャイジーの比率は全世界では1対9、日本では3対7とフランチャイジーが圧倒的に多い。これは大多数の店舗で、マクドナルドの本部が出店予定地と建物と設備を取得して賃料契約をするということだ。
 賃料は売上に連動するため、店舗経営がうまくいけば不動産コストよりかなり高い収入が見込める。この契約を増やすことで、マクドナルドは莫大な利益を生み出しているのだ。


■3.既存の知識を「組み合わせ」ることで小さなイノベーションは生まれる
 オーストリアの経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターは、それまで試していない組み合わせを「新結合」(New Combination)と呼んだ。またフランスの数学者、物理学者であるアンリ・ポアンカレは「創造的、独創的なものは、2つの知性の結合によって生まれるものだ」とした。
『イノベーションのジレンマ』の著者クレイトン・クリステンセンは「イノベーションは一見、関係のなさそうな事柄を結びつける思考」と位置づけ、知的発想法のロングセラー『アイデアのつくり方』の著者ジェームス・W・ヤングは「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」とした。
 偉大な先人たちが示したように、既存の知識を「組み合わせ」ることで小さなイノベーションは生まれる。モアハウスに筋肉の知識しかなかったら、あの考えは生まれなかっただろう。彼が専門とする「筋肉の知識」と、NASAで働いたことで新たに得た「宇宙船内の設計という知識」が組み合わさったのである。


■4.失敗は創造性の一部
 発明家のトーマス・エジソンは、数千もの失敗を経験し(試す)、電球の発明をした。それを「失敗したのではなく、うまくいかない方法を1万通り見つけただけだ」とまで豪語した。人類史に残る発明王エジソンですら「組み合わせ」を「試す」ことを幾度となく繰り返したのである。
 本書の課題は「仕事を減らす」ことだ。
 であれば、たとえ仕事のやり方を変えて満足な結果が得られなかったとしても自分の仕事が減らないだけで、誰にも迷惑はかからない。低リスクで「試す」ことが可能 な領域だ。小さなイノベーションを生み出す創造性は「試す」ほど磨かれる。
 もちろん、ただやみくもに行動するのではなく「引いて考える」「組み合わせ」というステップを踏んだうえで「試す」のが、最も効率的で成果にもつながりやすい。


■5.特徴を凝縮した1行を挿入しておく
「引いて考える」ことでプレゼンにおける使命が明らかになった。いよいよ、この使命を実現するための小さなイノベーションを考えることになる。営業職なら決裁者や合議の場への参加者、企画職なら企画会議の参加者など、プレゼンを直接聞いた人に好印象を与えつつ、プレゼンを聞いていない人にも内容を正確に共有できるようにしておかなければならない。(中略)
 ここで新しい、プレゼンの小さなイノベーション案が浮かんでくる。資料の冒頭や最後には必ず、要点を押さえ特徴を凝縮した1行を挿入しておく。これなら「会議室A」で説明した顧客の担当者2名に伝わり、その上司にも伝わり、さらに役員会に参加した人たちにも正確に伝わりやすい。
「既存のプレゼン資料と、特徴を凝縮した1行の組み合わせ」
 これによってプレゼン資料そのものをわかりやすくするために修正や加筆を繰り返してきた労力は、特徴を凝縮した1行を考えるという頭脳労働に変貌した。これは電車に乗っているときでも、食事中でも、散歩中でもできる。それをプレゼン資料に書き込む時間は5分とかからないだろう。


【感想】

◆冒頭の内容紹介で、「引いて考える」「組み合わせ」「試す」という「3つの思考法」が明示されていたので、そちらを中心にまとめてみました。

ただ、その前に触れておきたいのが、本書の序章にて登場した、上記ポイントの1番目の「小さなイノベーション」のお話です。

本書における「仕事を減らす」作業というのは、こうした「イノベーション」を見出すことに他なりません。

つまり、この「靴の脱ぎ散らかし」の例で言うなら、毎日揃っているか確認をし、揃っていなければ小言を言って……という工数がほぼゼロになるわけですから、確かに「仕事を減らした」ことになるでしょう。

最近ではこういうのを「ナッジ」というような気もしますが。

行動経済学で人の心を操る現代の魔法「ナッジ」とは何か | ノーベル経済学賞セイラー教授の「発明」 | クーリエ・ジャポン


◆さて、第1章では上記の「3つの思考法」を解説しています。

まず上記ポイントの2番目では「引いて考える」について言及。

この部分だけだと分かりにくいですが、他の個所と合わせて考えると、当ブログでよく言う「レイヤーを上げて考える」ことに近いと思います。

確かに目先の事だけにとらわれずに、いったん「視点」を上げることは大事ですが、本書によると物理的な話だけでなく、過去や未来といった「時間軸」で考えたり、他の社会や世界と「比較」して考えることも「引いて考える」に該当するとのこと。

また、上記ポイントの3番目の「組み合わせ」は、まさに『アイデアのつくり方』にて言われていることです。

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アイデアのつくり方

参考記事:「アイデアのつくり方」 ジェームス・W・ヤング (著)(2006年04月14日)

なお、最後の方に出てくる「モアハウス」というのは、スポーツ医学の専門家であるローレンス・モアハウスのことで、アポロ11号の3人の乗組員が、無重力下における筋力の低下を抑えるための「小さなイノベーション」を考え出したとのこと(ネタバレ自重)。

なるほど、そういう知識や経験の組み合わせから、このアイデアは生まれたとも言えますね。


◆そして上記ポイントの4番目のエジソンの人生は、それこそ広く知られているように、まさに「試す」ことの連続でした。

当ブログでもこのTIPSに関しては、多くの作品をご紹介していますが、逆に多すぎてご紹介するのは割愛させていただきます。

ちなみにこの「3つの思考法」については、著者の田中さんいわく
頭のいい人や成功している人の多くは「引いて考える」「組み合わせ」「試す」の3つのどれかを、あるいは複数を無意識に実践している
とのこと。

むしろいずれも「王道的」なアプローチだけに、これで「小さなイノベーション」が起こせる、というのは少々意外でした。


◆なお、第2章以降では、営業やプレゼンといった具体的なシチュエーションを例に、仕事を減らす手順が明らかにされています。

上記ポイントの5番目のプレゼンのケースもその1つ。

ここでは「引いて考え」た上で、方法を「組み合わせ」て、実はボリュームの関係で割愛しているものの、何度か「試し」ています(もちろん最初は失敗)。

また、私は営業経験がまったくないので、今ひとつピンとこなかったのですが、第4章における「プロダクト営業」「ソリューション営業」「インサイト営業」等における、アプローチの使い分けは、参考になる方が多いのではないかと。

タイトルどおり、ダラダラと時間をかけて仕事をしてしまっている方にこそ、お読みいただきたい1冊でした。

ただし、「イノベーション」にはある種の創造性が必要なだけに、読めば必ず成果が出る、というものでもないことはあらかじめご了承ください。


大胆に仕事を減らしたい方に!

B0CLTTB6DT
仕事を減らす
序 章 仕事を減らす「小さなイノベーション」とは
第1章 仕事を劇的に減らす3つの思考ステップ
第2章 伝え方に小さなイノベーションをもたらし「仕事を減らす」
第3章 「仕事を減らす」決意を揺るぎないものにする
第4章 会社を巻き込みダイナミックに「仕事を減らす」
第5章 仕事を減らし、できた時間で「人生を拡張する」


【関連記事】

【イノベーション】『イノベーション道場 極限まで思考し、人を巻き込む極意』高岡浩三(2023年02月13日)

「アイデアのつくり方」 ジェームス・W・ヤング (著)(2006年04月14日)

【紙1枚!?】『トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術』浅田すぐる(2015年02月17日)

【マーケティング】『すごい立地戦略 街は、ビジネスヒントの宝庫だった』榎本篤史(2017年04月22日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記2】

◆一昨日の「日本文芸社64周年記念 大感謝祭」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々

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眠れなくなるほど面白い 図解 経済とお金の話

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眠れなくなるほど面白い 図解 内臓脂肪の話

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眠れなくなるほど面白い 図解 大人のための日本語と漢字

よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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