2023年10月23日
【思考法?】『メタ思考〜「頭のいい人」の思考法を身につける』澤 円

メタ思考〜「頭のいい人」の思考法を身につける
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、一番人気だった作品。当ブログではおなじみである、元マイクロソフト業務執行役員である澤 円さんの思考法が学べる1冊です。
アマゾンの内容紹介から。
頭のいい人の思考回路をインストールする!
ルールを疑わない人は思考停止している。
正解もルールも変わる時代で、頭のいい人はどこを見て、何を聞き、どう考えているのか?
上記未読本記事の投稿後、Kindle版もリリースされましたのでご検討ください!

Visual Thinking Techniques / cambodia4kidsorg
【ポイント】
■1.他者から「ありがとう」と言われることをあげられるか?以前は自分の長所とも表現できたと思いますが、ここではより具体的にイメージするために、他者から「ありがとう」と感謝された行動だったり、性質だったりを考えてみましょう。
そのためには、自分を客観的に認識することが必要です。普段から、「自分はどんな行動をしているかな?」と、自分自身に問いかけるのも大事だと思います。
注意したいのは、会社や組織で定義された業務以外の部分で、「ありがとう」といわれることだということです。繰り返しになりますが、仕事で求められることに応えるのは、ビジネスパーソンとしてあたりまえですから、これは必ずしも「ありがとう」といわれることと同じではありません。月に3件の契約をとってくるのがあなたの仕事なら、それを達成しても「ありがとう」とはいわれません。
そうではなく、自分の業務にプラスオンしていく部分を、自分でいかに見つけて定義し、行動につなげていくのかが大切なのです。
■2.恐れをなくすにはまず「知る」こと
以前、総合格闘家の青木真也さんとお話しさせてもらったときに、彼はとても興味深いことをいいました。それは、格闘技においてもっとも重要なことは、「情報量」だというのです。
もちろんフィジカルの強靱さや、動きの俊敏さは大事。でも、ある程度トップ層の選手になると、それよりも大事なのは、相手について「知っていること」だというのです。(中略)
そして、最上位層の選手になると、お互いのことで知っている情報がたくさんあるだけに、今度は経験値という情報量の多さが勝敗を分ける要素になる。つまり、格闘技のトレーニングは、さまざまなタックルや打撃のかたちを体験して、かわし方や攻撃の仕方、身体の使い方の情報量を増やしていくプロセスなのだそうです。
この話からもわかるように、「外」の世界へ踏み出して冒険をはじめるためにも、今いる場所で最大限に自分の能力を発揮するためにも、情報量を増やす必要があるということです。
■3.議題を共通の話題になるように抽象化する
たとえば、「会社の会議で話していても、いまいちメンバーに伝わっている感じがしない」と感じているリーダーであれば、議題をみんなの共通の課題になるように抽象化すれば、メンバーも前向きに参加してくれるようになるはずです。
それぞれのメンバーが、その課題を自分の利益に関係する「自分ごと」としてとらえてくれるようになると、汎用的なアイデアが次々と出てくるようになるでしょう。
これは、よく考えると面白い現象です。
職場でなにかを少し変えようと提案しただけでも、人間には現状維持バイアスがあるため、必ずといっていいほど反対意見が続出するものです。実際、そんな経験をしたことがある人も多いと思います。
しかし、そんなときに課題を抽象化して共通の課題であることを説明したり、主語を換えたりするだけで、みんなが受け入れやすくなる可能性が高まります。
つまり、ものごとは変わっていないのに、わたしたちの認知のあり方や、その範囲が変わったわけです。
■4.自分の弱点は周囲に助けてもらう
自分が精神的にへこんだときに「どのくらいで元に戻るのか」を、経験をもとに把握しておくのも、とても役に立ちます。それを知っていれば、元に戻るだけの時間をスケジュール上で空けておくことができるからです。
そして、できればそれを信頼できる相談相手やメンターとシェアしておくのです。(中略)
もし、それをシェアしていなければ、まわりの人はよかれと思って、きっといろいろと世話をしてくれたり励ましたりしてくれるでしょう。でも、へこんでいるときは、そんなことが精神的な負担になるものです。ましてや対応が雑になってしまうと、「せっかく気にかけたのに!」と相手が気分を害して、人間関係もおかしくなりかねません。
そんな面倒な事態も、あらかじめきちんと自己開示しておくだけで防ぐことができます。心が弱っているときに、あれこれ細かいことを考えるのは負担ですから、これもまた事前に準備しておくわけです。
■5.SNSでは「主語が大きい」情報に注意する
最近の政治やジェンダーなどの話題に多いですが、「日本は◯◯だ」「女性は◯◯を求めている」などという情報が流れてきたときに、それらが自分に深く関係するかというと、たいして関係しない場合が多いのです。
もちろん、属性が一致するなど、少しは関係する情報だから気になるわけですが、事実かどうかがわからず、自分にさほど関係もないのなら、そんな情報に対していちいちカチンときたり、心をかき乱されたりしてしまうのはバカバカしくありませんか? なにかの主張に対して腹を立てたり、ものをいいたくなったりするのは人間の性ですが、本来メンタルが整っていれば、「ま、世の中にはそういう意見もあるよね」というだけの話で終わるはずです。
このように、SNSでは、「自分が関係したいと思うことだけに時間を使う」ことを心がけるのがコツです。そして、繰り返しになりますが、たいていのことは自分には関係がないことなのです。
【感想】
◆今までも当ブログでは、「メタ」「メタ思考」というテーマの作品を何冊かご紹介してきました。一番典型的なのが、タイトルにモロに入っている、おなじみ細谷功さんのこちらなのですが。

メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問 (PHPビジネス新書)
参考記事:『メタ思考トレーニング』が想像以上に凄い件について(2016年05月20日)
お読みいただいた方はお分かりのように、「いかにも」思考法といった内容であり、「メタ思考」という概念的には、こちらの方がマッチしていると思います。
一方、澤さんの書かれた本書は、よりビジネスシーンにマッチした上で、「メタ思考」に言及している感じ。
たとえば第1章から抜き出した上記ポイントの1番目も、業務において自分自身を客観視(≒「メタ」)することを推奨しています。
◆一方、事例として興味深かったのが、第2章からの上記ポイントの2番目。
もともとここに出てくる青木真也さんは、格闘家としては異質なくらい、言語能力が高い方で、著作も何冊か出されています。
ちなみに当ブログでもこちらをご紹介済み。

空気を読んではいけない
参考記事:【ストイック?】『空気を読んではいけない』青木真也(2019年06月26日)
第2章の章題が「思い込みから自由になる思考法」というものですから、まさに情報によって、「思い込み」からも自由になれるわけです。
ただし、澤さんいわく「全力投球する必要はない」とのこと。
ピボットをイメージしながら、95%くらいは今の環境(会社など)に軸足を置きながら、残り5%くらいで「外」の世界へ足を踏み入れていくだけでも、新しい世界が開けていくと思います。なるほど、5%でもいいのならば!
◆また、「メタ」的なお話として、取り上げたかったのが、上記ポイントの3番目。
これは第3章から抜き出したのですが、「客観視」と並んで、本書におけるもう1つの「メタ」である「抽象化」について言及したものです。
よくあるのが、会社の改善方法についてコンサルタントが提案しても「うちは特殊だから」とクライアントが難色を示すというお話。
これなども、抽象化することに慣れているコンサルタントからすれば、どの会社も似たようなものなのに、レイヤーが低いままで上げられないクライアントからすれば、それは「自社は特殊」となりがちなのに似ています。
実際、この話も私自身は「会社レベルの話」で留めており、ポイントの3番目にあるように、「個人レベルのお話」でも同様、ということに気がつけませんでした。
……まさにレイヤーが低いままでしたね。
◆そしてよりビジネスシーンに寄り添っているのが、ストレスをテーマにした第6章からの上記ポイントの4番目。
私も自分がコロナ等で長期に渡って休んだりした場合に備えて、どこに何があるかくらいを第三者が見て分かるレベルのまとめはしていましたが、「精神的にへこんだとき」というのは考えておりませんでした。
これも結局、「自分を過信している」と言えないこともないので、同じように万が一に「備えて」おくべきかもしれませんね。
また、同じ第6章から抜き出したのが、上記ポイントの5番目のSNSのお話。
最後の一文にある「たいていのことは自分には関係がないことなのです」というのは、まさにその通りなのですが、世の中には自分の意見を言いたい人の多いこと……。
私が若い頃、というかインターネットができる前は、何か主張するにしても、せいぜい雑誌やラジオに投稿するのが関の山でしたから、ストレスとは無縁だったんですよね。
主語の大きいか否かと同様に、私も「自分自身が言うべき必要があるのか?」ということは、常に心がけたいと思います。
「メタ思考」を実践するために読むべし!

メタ思考〜「頭のいい人」の思考法を身につける
序 章 ルールに縛られない発想力
第1章 正解にとらわれない観察力
第2章 思い込みから自由になる思考法
第3章 課題を発見していく認知力
第4章 新時代のマネジメント作法
第5章 視野を広げる人間関係術
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『メタ思考トレーニング』が想像以上に凄い件について(2016年05月20日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉 (扶桑社BOOKS)
著者の産婦人科医さんのことは存じ上げなかったのですが、こちらの自己啓発書はKindle版が1100円以上お得。

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