2023年10月21日
【名言集】『ウォーレン・バフェット 賢者の名言365』桑原晃弥
ウォーレン・バフェット 賢者の名言365 (かや書房)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」からの人気作。おなじみウォーレン・バフェットの各時代ごとの名言を、合計365個も集めた作品です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
バフェット自身が「成功例よりも、失敗例のほうが得るところが大きい」と語っていることと、失敗から教訓を得て、同じ失敗は繰り返さないように人生を歩んでいることから、彼が6歳から「お金を増やすこと」を始め、92歳(2023年2月現在)の現在至るまでを5章に分ける形にしてあります。
章ごとの扉にはその年代でバフェットが行った行動を書き、内容を説明してあります。
さらに、年表もつけ、世界でどんなことが起こり、バフェットがいくつの時に、何をして、この名言が生まれたのか、をわかりやすく説明してあります。
また、本書は400ページぐらいの大著ですが、電車の中でも読めるように一つの名言についての解説を分かりやすくまとめてありますのでスラスラ読めるようにしてあります。
中古があまり値下がりしていないため、今回のセールではこのKindle版が700円弱お得な計算です!
Numbers And Finance / kenteegardin
【ポイント】
■1.「手あたりしだい、読むことです」バフェットは猛烈な読書家として知られている。それも並みのレベルではない。「10歳の時にはすでに、オマハ図書館にある金融という言葉がタイトルに入っている本はすべて、2回ずつ読みました」というほどだから、幼い頃から手に入る本すべて、関心のある本すべてをそれこそくり返し読むのがバフェットのやり方だった。(中略)
こうした習慣はその後も続き、大学そして大学院へと進んでからも、株式や投資に関する本を片っ端から読み、それこそものによっては著者以上に本の内容を熟知していたことさえある。そんなバフェットだからこそ、「投資家として大成功するためには、何をするべきですか?」という質問にはいつもこう答えている。
「手当たりしだい、読むことです」
■2.「本当に私はこの散髪に30万ドルを費やしたいだろうか」
バフェットにとって投資とは、消費を延期することを意味している。もし手元にある100ドルを消費に費やせば、そこで100ドルは消えてなくなるが、消費を先延ばしして複利で運用したならば、5年後、10年後にいくらになるのかがバフェットの複利式の考え方だ。(中略)
結婚して2人目の子どもが生まれようとしていたバフェットは、生まれて初めて一軒家を購入した。価格は3万1500ドルだが、バフェットの頭の中では100万ドルに等しい買い物であり、すぐに「バフェットの愚行」と名付けている。そして妻スージーが何かを買いたいと訴えると、「そんなことで50万ドルをふいにするのはどうかな」と答え、自らの散髪にも「本当に私はこの散髪に30万ドルを費やしたいだろうか」と自問した。
少額のお金も消費を先延ばしして運用すれば数年後、数十年後にはちょっとした資産になる。複利式の考え方と、質素な生活がバフェットを大投資家へと育てることになった。
■3.「本当は、他の人がやっていない時に興味を持つのがベストです」
株式市場に、これまで投資と無縁の人がたくさん入り込んで来たり、金融や投資と関係のない雑誌などが投資の特集を組み始めた頃というのは、たいてい絶好調だった市場がピークを過ぎた頃というのはよくある話だ。バフェットは、こう忠告している。
「大半の人は、他の人がやっているからという理由で株式投資に興味を持つようです。でも本当は、他の人がやっていない時に興味を持つのがベストです。既に人気化した株を買っても、高い投資利回りを残すことはできません」
バフェットが言うように、大半の人は「他の人がやっているから」と慌てて投資を始めようとする。そして、「他の人が買っているから」「他の人が売っているから」という理由で株の売買をする。投資で成功したいのなら、他の人と逆を行く勇気も必要だ。
■4.「変化の速い業界に投資すれば 莫大な利益を得られるかもしれませんが、そこには私たちが求める確実性は存在しないのです」
バフェットによると、企業買収でも、あまり大きな変化が起きそうにない企業や業界にあえて投資を行っている。理由はシーズ・キャンディーやコカ・コーラといった業界であれば、変化は起きたとしても、IT業界で起きるような急激な変化は起きづらいし、10年、20年先にも横道にそれさえしなければ、競争の優位性を保つことが想像できる。バフェットは言う。
「変化の速い業界に投資すれば莫大な利益を得られるかもしれませんが、そこには私たちが求める確実性は存在しないのです」
バフェット自身、IT業界などに起きている変化を毛嫌いしているわけではない。しかし、その変化は投資家にとっては宇宙探検のようなもので、各社の努力は讃えながらも自ら宇宙船に乗りたいとは思わない、というのがバフェットの考え方だ。
■5.「私は暗号資産を一切所有していないし、今後も所有することはないだろう」
世界最大の暗号資産であるビットコインが2020年末から年明けの1月3日までにおよそ23%上昇したことで、ビットコインの投資家にとっては素晴らしい年明けとなったが、バフェットは2014年に「殺鼠剤のようなもの」とコメントして以降、まったく関心を示していない。
ビットコインが1万ドルになった2020年2月、CNBCでこう言い切った。
「私は暗号資産を一切所有していないし、今後も所有することはないだろう」
バフェットによると、ビットコインには裏付けとなる価値がないうえ、収益も配当も生まれない。それは1637年にオランダで起きた「チューリップ・バブル」と同じで、本質的な価値がないものが熱狂によって高騰すると、いずれバブルは弾けることになるというのがバフェットの考え方だ。
【感想】
◆単行本だと400ページ超の大作ということで、読むのになかなか骨が折れました。この手の名言本でも「100」くらいならままありますが、「365」というのは、数としては過去最多ではないでしょうか。
ただし、基本的に1つ1つが独立しており、見出しだけ見て飛ばすことも可能です。
たまに別々のTIPSと見せかけて、エピソードが続いている(連番扱い)ケースがありますが、本書は完全独立仕様。
下記の目次をご覧いただければお分かりのように、バフェット自身の年代ごとに第1章から第5章まで分かれています。
私はレビューする関係で、前から順番に読んでいきましたが、巻末の一覧表で名言の番号を確認して、ピンポイントで読んでも良いかもしれません(逆に巻頭の目次は章題のみ)。
◆また、本書は著者が桑原晃弥さんということで、過去に出ている作品からエピソードを抜き出して、年代ごとにまとめている感じ。
巻末にその元ネタとなる参考文献が列挙されているのですが、たまたま現在「Kindle本ストア11周年キャンペーン」でパンローリングさんも対象になっており、以下の作品がお値打ち価格でした。
バフェットからの手紙 第4版
バフェットからの手紙 第5版
賢明なる投資家 ウィザード・ブックシリーズ10
バフェット合衆国 ──世界最強企業バークシャー・ハサウェイの舞台裏
もちろん、『スノーボール』等の一連の作品もリストには載っていますが、セール対象ではないのでここでは割愛。
この中では本書内で何度もタイトル入りで登場していた、ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』が気になりますね。
書影が小さくてブログだと読めませんけど、表紙でバフェットが「ししょー」と言ってるのも、当時はまんざらではなかったみたいですし(詳細は本書を)。
◆さて、本書は「名言集」だけあって、見開きの左ページの上に、その名言が記載されているのですが、1行程度で済むものはほとんどなく、結構長文なのもちらほら。
たとえば上記ポイントの4番目などは、パソコンで見ても3行になってしまっています。
私はいつも、レビューする本からポイントを引用する際も、小見出しは編集したりまとめたりしていましたが、今回は極力、本書に準じた次第。
実際、桑原さんも、上記のようなバフェット本から引用したものを、そのまま見出しにしているため、見出しと解説でまったく同じ文章(名言)が2回出てきています。
また、さすがに365個も選んだ関係で、いくつかのエピソードがかぶっていますが、元となるバフェット本が別だったりするでしょうから、その辺はお許しを。
◆一方、エピソードは別でも、バフェットの「人となり」自体は変わらない、というのは多々。
たとえば第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目の「読書家」というのは、後年になってもとにかく資料や報告書を読みまくる(IBMのアニュアルレポートを50年毎年読んでいたそう)のに通じます。
また、第2章からの上記ポイントの2番目の「節約家」というお話も、それこそ繰り返し登場するという。
……あまりにそのイメージが強いのか、実は晩年になってゼニアのスーツを着ていたにもかかわらず、そうは見られなかった(安物のスーツと思われていた)というエピソードには笑いましたが。
ちなみに、上記ポイントでは選んでいませんが、市場の評価に比べて、実質的な価値が高い企業の株を買う、という「バフェット流投資法」の典型的なお話は、もちろん何度も登場します。
◆さらに第3章から引用した上記ポイントの3番目の株式の買い方も、バフェットらしいもの。
ですから、株価が暴落した際には、むしろ株を買い増していることが多いようです。
また逆に、かつてのサブプライムローンの大暴落に関しては、時期はわからないものの、いつかは起こりうる、と判断してかなり前に関係株(フレディマック株&ファニーメイ株)を手放していたらしく。
そして第4章からの上記ポイントの4番目のコカ・コーラについては、バフェットの代表銘柄とも言えそうですが、シーズ・キャンディの株式を所有していた事は、お恥ずかしながら今回初めて知りました。
バフェットが愛する小さな菓子メーカー…その理由は美味しいチョコだけではない | Business Insider Japan
もっとも、バフェット自身はシーズを「割高」と判断していたのに対して、盟友のチャールズ・マンガーが説得して買わせたのだそうです(本書にてご確認を)。
◆なお、最後のポイントの5番目の「暗号資産」は、さすがに新しいネタだけあって、第5章からのもの。
今後また値上がりする可能性も否定できませんが、「本質的な価値はない」=「バブル」とバフェットは判断しているようです。
そのロジックで言うとNFTにも手は出さなさそうですね。
いずれにせよ、本書1冊を読むだけで、バフェットに関する多くの情報を一括して得られるのはありがたかったです。
もっとも本書の第1章でも
「少額でいいから、投資をしてください。本を読むだけではだめです」というありがたいお言葉あることはお伝えしておかなくては。
バフェットの人となりが分かる1冊!
ウォーレン・バフェット 賢者の名言365 (かや書房)
第1章 バフェットの6歳から21歳
第2章 バフェットの22歳から39歳
第3章 バフェットの40歳から55歳
第4章 バフェットの56歳から70歳
第5章 バフェットの71歳から
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。A14 地球の歩き方 ドイツ 2023〜2024 地球の歩き方A ヨーロッパ
おなじみ「地球の歩き方」シリーズのドイツ編。
送料を足した中古よりも、Kindle版が1200円以上お得です!
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本ストア11周年キャンペーン」のSBクリエイティブ分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。一度読んだら絶対に忘れない英文法の教科書
お金の減らし方 (SB新書)
参考記事:【お金論?】『お金の減らし方』森 博嗣(2020年04月17日)
2025年日本経済再生戦略 国にも組織にも頼らない力が日本を救う (SB新書)
福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇
よろしければご参考まで!
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