2023年10月13日
【仕事術】『やることを8割減らすダンドリ術』飯田剛弘

やることを8割減らすダンドリ術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて人気の高かった仕事術本。効率よく仕事をこなすためには、事前準備が必要という意味でも、本書が注目を浴びるのは分かる気がします。
アマゾンの内容紹介から。
8割の無駄を捨て、本当に大事な2割に集中する方法!
「その仕事、本当に必要」?
抱え込んでいた仕事の8割を見直し、本当に大事な残り2割に集中すれば、評価はそのままでグッとラクになる!
真面目で完璧主義なあなたにこそ読んでほしい、全く新しいダンドリの本!
相変わらず中古が高値な一方、上記未読本記事の時点では値引がなかったKindle版が、若干ですがお安くなっています!

gantt-chart / jean-louis zimmermann
【ポイント】
■1.限られた時間で成果を出す大学卒業後に、はじめて入ったベンチャー企業では、僕は「とにかくがんばる」「週末もがんばる」みたいな感じで、仕事中毒になっていました。当時、がんばればがんばっただけ成果が出たこともあって、さらにがんばろうという気持ちになり、かなり長時間、仕事をしていました。
しかし、外資系企業に転職したときに、この「がんばる」だけでは、うまくいかないことを痛感しました。今となっては日系企業でも当たり前のことですが、僕が転職した外資系企業では、残業して結果を出すなんてもってのほか。「定時内」で成果を出す必要がありました。
今までの僕の「がんばる」は、「長時間、がんばって仕事をする」「気合と根性でがんばる」という意味だったので、外資系企業で必要とされる、 限られた時間で成果を出すためのがんばり方ではなかった のです。今すぐ根本的に働き方や考え方を変えないと、自分の役割を果たせないということを悟りました。
■2.「価値の低い仕事」でエネルギーを消耗してはいけない
本当に大事なのは「クリティカルでなければ、とにかくやらない」という考え方です。ここでいう「クリティカル」とは、「きわめて重要」や「深刻」、「大きな影響を及ぼすこと」というくらいの意味合いです。
つまり、「絶対必要でなければ、とにかくやらない」という考え方のことです。
ダンドリ上手な人は、進め方がうまいだけではありません。自分が「やるべきこと」と、「やらなくてもいいこと」を見分けるのがうまいのです。自分のやりたいことや、やるべきことには全力を注ぎますが、それ以外のことには気をつかわないのです。
やらなければならないことを増やさないためにも、「やらないと深刻な問題になることや、あとから修正するのが難しいこと」だけに集中することをオススメします。
何度もお伝えしますが、目指すべきは「8割やらない」ことです。
■3.タスクを「ECRS(イクルス)」する
「ECRS」とは、Eliminate(削除)、Combine(結合)、Rearrange(並べ替え)、Simplify(簡素化) の頭文字を取ったものです。
これまでのやり方に対して、この4つのステップ(削除 → 結合 → 並べ替え → 簡素化) を行うことで、より効率的に作業に取り組むことができます。(中略)
では、研修で参加者の方からよく聞く例をいくつか、ご紹介します。削除:意味がない会議をやめる、引き出しの中身を断捨離する、使わないサービスを解約する、何となくやっていた情報収集をやめる、など
結合:用事をまとめてする、個別ではなくグループチャットで送る、書類を種類ごとにまとめる、など
並べ替え:会議の配付資料を会議前にメールで配付する、午前と午後の仕事の内容を変える、夜寝る前にスマホを見ずに本を読む、など
簡素化:繰り返し作成する資料やメールはテンプレート化する、オンラインサービスを使う、簡単なつくり方に変える、など
■4.どんなに準備をしてもアクシデントはやってくる
ダンドリが苦手な人の多くは、「最初に立てた計画は絶対に守らなきゃ!」と思い込んでいます。しかし繰り返しますが、途中で計画がずれること自体は、それほど大きな問題ではありません。むしろ「遅れるのは仕方ない。人生には付き物だ」くらいに考えることです。(中略)
ここで大切な、2つのポイントがあります。
1つ目は、その遅れが、全体の計画に影響するかどうかです。
たとえば、カレーライスをつくるとき、まずは材料を切ってから煮るでしょう。「煮る」ことは「材料を切る」が終わらないと始められません。だから、「材料を切る」ことが遅れると、すべての工程に影響します。結果、カレーの完成が遅れます。
このように全体の計画に影響する場合は、優先度を高くして、先にやるべきです。遅れている場合は、その遅れを取り戻すことが最優先です。(中略)
2つ目は、繰り返しますが、遅れを取り戻す「リカバリープラン」があるかどうかです。リカバリープランがあれば、遅れが生じたとしても、代替のそのプランに従って進めるだけです。
■5.前日の夜にその日の振り返りと翌日のToDoリストを作成する
これによって、明日が、今日よりもスムーズに進みます。ほんの小さなことのようですが、これが大きな違いを生み出すのです。
夜の数分間を利用して、その日を振り返ることで、自分自身の経験から、何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのかを学び取ることができます。
また、次の日にやるべきことをリストアップしておくと、頭の中が整理されます。やるべきことを忘れることも少なくなり、翌日に計画的に行動できるようになります。特に、「あれもこれもと考えがちで、何も手をつけられない」という悩みを抱えている方にオススメの方法です。
また、リストをつくるときに、何が重要なのかを考えることにもなりますから、翌日のタスクの優先順位が決めやすくなります。朝からすぐに優先すべきことに取り組めるようになりますし、ただ何となくメールやメッセージをチェックするような受動的な時間が減っていきます。
【感想】
◆仕事術本としては、きわめて真っ当な1冊でした。「ダンドリ」というと、どうしても事前準備や根回しを真っ先にイメージしてしまいますが、予定管理や他人への仕事のアサイン、ToDoリストの活用等も、広い意味では「ダンドリ」かと。
本書では下記目次にもあるように、合計10の章を費やしてこうした「ダンドリ」について掘り下げています。
さて、そもそも著者の飯田さんが、こうした仕事術に辿り着いた大きなきっかけは、プロローグから抜き出した、上記ポイントの1番目にもあるとおり。
お恥ずかしながら私も、残業や休出が当たり前の働き方で、当時それなりに評価されてはいましたが、今考えたら「過剰品質」の部分もありました。
もっとも当時はまだパワーポイントもなく、冗談抜きで紙の切り貼りで会議の資料を作っており、かといって役員会で手書きの資料が許される会社ではなかったのですが。
◆そこで考えるべきは仕事の「選択と集中」です。
上記ポイントの2番目は、本書の第1章からのものですが、確かにやるべき仕事とそうでない仕事を見極めない限り、「限られた時間で成果を出す」ことなど不可能でしょう。
ただし、自分が「やらなくてもいいこと」と判断しても、上司がそれを認めてくれないと、いかんともしがたいところ。
そういった意味でもチェックしておきたいのが第6章で、ここでは他人に仕事を頼んだり、逆に仕事を頼まれた場合の上手な断り方が指南されています。
そういえば、先日このような作品もレビューしましたっけ。

社会人に最も必要な 「頼る」スキルの磨き方 あなたの力を120%発揮させる「伝え方+考え方」
参考記事:【受援力?】『社会人に最も必要な 「頼る」スキルの磨き方 あなたの力を120%発揮させる「伝え方+考え方」』吉田穂波(2023年05月17日)
◆一方、1つ飛んだ第3章から引用したのが、上記ポイントの3番目。
ここで言う「ECRS(イクルス)」は、類書でも何度か登場しておりますが、作業の効率化の点では非常に有益なTIPSなので、改めてご紹介しました。
なお、仕事だけでなく、生活の中で意識し実行することで、時間をより有効活用することができるそうですから、試してみる価値はありそうな。
ワタクシごととして例を挙げると、このブログのKindleセール記事も、以前は1冊ごとにコメントを付していましたが、同じ本であれば毎回似たようなモノになる上、価格に関する部分はセールが終わると意味をなさないため、数年前から割愛しております(月替わりセールを除く)。
これなどは、「Eliminate(削除)」の一例かな、と。
◆さらに第5章では「遅れ」や「トラブル」の対処をテーマにしており、そこからは上記ポイントの4番目を抜き出しました。
実は私も、かつては完璧主義者を目指していた部分もありますので、非常に耳イタイお話です。
なお、ここで具体例としてカレーライスが登場していますが、「材料を切る」は後工程に影響がある作業であるのに対して、影響がない作業は何か?
上記では割愛したものの、本書で挙げられているのが「ごはんを炊く」こと。
なるほど、最終的にカレールーが出来上がるまでに炊きあがっていれば問題がないですし、むしろ早く炊けすぎても意味がありません。
また、「リカバリープラン」ももっともな話で、世間的に何か問題が起こった場合、「この人たち、代替案(Bプラン)を考えていないのでは?」と思わせられることが多いような。
私たちはそうはならないよう、事前に考えておきたいものです。
◆そして上記ポイントの5番目は、やや飛んで第8章からのもの。
「翌日のToDoリストを作成する」、というのは、これぞまさに「ダンドリ」と言ったところでしょうか。
実は同じ第8章では、「『デジタルカレンダー』を取り入れよう」という節があり、具体的にはアプリ名は出ていないものの、その対象の1つは、間違いなくGoogleカレンダーでしょう。
私はスマホに変えたあたりから、Googleカレンダーを使っていましたが、比較的最近になって、Google ToDoリストが、Googleカレンダーと連携していることを知りました(情弱)。
このGoogleカレンダーとGoogle ToDoリストを用いると、タスク(や予定)が可視化されますから、かつての手帳以上に肌身離さないスマホで、これらを確認できるのは、非常にありがたい次第。
効率的に仕事をしたい方なら要チェックで!

やることを8割減らすダンドリ術
プロローグ ──「やることを8割減らす」という、まったく新しいがんばり方
Chapter 1 「8割のムダ」を減らす考え方
Chapter 2 「やらないことリスト」のつくり方
Chapter 3 立ち止まらない自分へ! 「行動ブレーキ」の外し方
Chapter 4 「切り替えのコスト」を見直し、 ムダを省く
Chapter 5 「プランB」があれば、 遅れやトラブルは怖くない
Chapter 6 「他人」を味方にすれば ダンドリはグッとラクになる
Chapter 7 計画通りに進まなくても、 あわてる必要はない
Chapter 8 大まかな「時間割」で、 日常をスッキリ整理しよう
Chapter 9 ちょっとした「細切れ時間」のチリツモ活用法
Chapter 10 時短&効率UP! インターネット活用術
エピローグ ── ダンドリとは「限りある時間を大切にする」こと
【関連記事】
【仕事術】『ケンブリッジ式1分間段取り術―――人生を変える50のメソッド』塚本亮(2020年03月24日)【仕事術】『仕事の結果は「はじめる前」に決まっている マッキンゼーで学んだ段取りの技法』大嶋祥誉(2017年09月10日)
【トヨタ式】『トヨタの段取り』(株)OJTソリューションズ(2015年10月17日)
【受援力?】『社会人に最も必要な 「頼る」スキルの磨き方 あなたの力を120%発揮させる「伝え方+考え方」』吉田穂波(2023年05月17日)
マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
B18 地球の歩き方 カナダ東部 2023〜2024
おなじみ「地球の歩き方」シリーズからの、カナダ北部編というややマニアックな作品は、Kindle版が1500円以上お得。

小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法
ムスコが小学生時代に出ていたら速攻買っていたであろう算数本は、Kindle版が1300円弱お買い得。

「すぐやる」よりはかどる!仕事を「短くやる」習慣
当ブログでは何冊か著作をご紹介している山本大平さんの仕事術本は、Kindle版が800円弱お得な計算です!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
当ブログの一番人気!
11月21日までのところ一部延長中
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです