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2023年08月14日

【思考術】『「考えるスキル」を武器にする』筧将英


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「考えるスキル」を武器にする


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 夏のセール」の中でも、個人的に読んでみたかった思考術本。

新刊の時点で未読本記事で取り上げたものの、Kindle化されていなかったこともあって、読むタイミングを逸しておりましたが、今回晴れて取り上げることができた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
一般的に「考えること」は難易度が高いと思われています。
ところが、元電通の戦略プランナー、筧将英さんによると、ちょっとしたコツをつかみ、何回か練習を重ねれば、誰もが「考えること」を自分の強みに変え、仕事を前進させるための「ツール」として活用できるそうです。
そのために必要な、3つのコツと10個のワザを解説したのが本書です。

中古が定価よりも高値ですから、こちらのKindle版が1200円以上お買い得となります!






3D Employment Graph / StockMonkeys.com


【ポイント】

■1.考えるにはとにかく「書く」
「考えることが苦手」と言う人のほとんどは、頭の中で同じことを繰り返し“思っている”だけなのです。
 そもそも「思う」と「考える」は別物です。多くの人はこれを知らないから、あるいは同じだと勘違いしているから、考えることが苦手なのです。
 では、「思う」ではなく「考える」にはどうしたらよいのでしょうか?
 解決策は「書くこと」です。紙でもPCでもスマホでもよいので、とにかく書く。それだけで、頭の中で思考を堂々めぐりさせることなく、考えられるようになります。なぜならば、人間は同じことを書きつづけることはしないからです。同じことを繰り返し書いてもムダだとすぐに気づきます。


■2.誰しも知識のないところからアイデアを考えるのは難しい
 仮に、この本を読んでいるあなたが天才であれば、何の知識もなしにアイデアをどんどん考えられるかもしれません。しかし、私を含めて世の中の99%以上の人は天才ではありません。
 また、第一線で活躍する優秀な人たちに話を聞くと、全員が若い頃から大量のインプットを継続的に行なっていることがわかります。
 つまり、アイデアを出そうと思ったら、新しいものをインプットして、それを基に着想し、考えていくしか方法はないのです。「アイデアが出ない」「考えられない」という人は、まずインプットからはじめてください。自分の努力で知識を増やすのです。意識的に情報を詰め込んでいくようにしましょう。


■3.まず考えるべきは「問題」「課題」「戦略」
 それぞれについて説明しましょう。
「問題」とは、「あるべき姿」を阻害されている状態のことです。
「課題」とは、その阻害要因を解消するために解決すべき具体的なポイントを指します。私たちが直接的に解決しなければいけないのは「課題」です。
 そして「戦略」は「目指すところへ到達するためのアクションプラン/大方針」であり、「戦術」は「そこに至るまでの個々のステップやアクション」を指します。
 たとえば、売上目標を達成できずに困っている会社の場合、次のようになります。
問題:売上目標に達することができていない
課題:新規顧客を獲得するために、顕在顧客層に認知される必要がある
戦略:認知度を向上させる施策に投資する
戦術:タクシー広告を実施する


■4.課題を特定するために「因果関係」を整理する
 あらゆる事象には、それを引き起こした原因が存在します。ですから、 課題を特定する際には、まず事象と原因の「因果関係」を整理していくことからはじめていきます。(中略)
 書き出したら、次は要素同士の因果関係の矢印で結んでいきます。
 たとえば、原因「ストレスがたまるからお酒の量が増える」→結果「お酒を飲むから運動が続かない」といった具合です。
 1つの要素に対して1つの矢印だけとは限りません。1つの要素が複数の要素につながっていることもあります。要素をつなげていくと、人間の行動にはさまざな要因が絡み合い、相互に作用していることがわかります。
 整理したあとに、各要素につながっている矢印の数をカウントします。
 たとえば、「飲み会が多い」には6本の矢印が出入りしているため、「6」と記載します。
 つながっている矢印の数が多い要素が解決しなければいけない課題です。なぜなら、複数の問題と絡み合っており、ここを解決することでさまざまな問題点を一気に解決できる可能性が高いからです。


■5.ターゲットが同じ企業やサービスを見つける
 たとえば、ビールメーカーが「若い社会人に飲んでもらいたい」と考えたとします。もちろん、ほかのビールメーカーも同様のことを考えている場合が多いので、ほかのビールメーカーとの協業は難しいでしょう。
 そこで、「若い社会人」をターゲットとしている他業種の企業を考えてみます。
 たとえば、スーツメーカーはどうでしょうか? 最近、若い社会人がスーツを着る機会が減っているから、もしかしたら「もっと若い社会人の顧客を獲得したい」と考えているかもしれません。そうであれば、「スーツを着用をしている人にはビールを割引する」などのキャンペーンを一緒に展開できるかもしれません。


【感想】

◆本書は、ぶっちゃけ事例が広告業界に特化している点が気にならなければ、非常に学びの多い本だと思いました。

たとえば第1章から抜き出した、「書く」というお話。

よく考えがまとまらないときに「紙に書け」と言われますが、その理由が「『考えることが苦手』と言う人のほとんどは、頭の中で同じことを繰り返し“思っている”だけ」というのはなるほどな、と。

確かに可視化してしまえば、同じことは2回も思いませんよね。

なお、このようにして頭の中を書き出すにしても、「決してまとめようとしてはいけない」のがミソらしく、ひたすら、頭の中身をそのままの形で書き出すようにしなければなりません。

これはインタビュー等でも同じで、相手が使った言葉を自分の言葉に言い換えずに、そのまま書き留めることが大事なのだそうです(詳細は本書を)。


◆また少し飛んで第4章から抜き出したのが、上記ポイントの2番目。

良いアイデアを出すには、やはりインプットするのは必要なようです。

ちなみにインプットには、目の前の問題に対処するための「短期インプット」と、自分の得意な領域を築くために行う「中長期インプット」がある模様。

本書を読むほとんどの読者が、即解決が必要な問題があるワケではないでしょうから、後者について触れておくと、著者の筧さんが若い頃やってみて、最も効果的だったのがRSSリーダー("Feedly")の活用なのだそうです。
 情報を収集したいニュースサイトやWebメディアなどを登録しておくと、Feedly上ですべての更新情報を確認できます。いちいちサイトを巡回する必要がないので効率的です。
 私は今でもFeedyを使っていて、マーケティング系の情報を発信しているWebメディアなどを登録しています。
当ブログでもPC版のサイドバーには、Feedlyの登録アイコンを掲載していますが、ぶっちゃけほぼどなたも使ってないような。

と言いますか、一時期(ブログが盛んだった頃)に比べたら、結構下火になっていると思うのですが……。

ただ、本書は各章の終わりに、業界のキレ者の皆さんのインタビューが載っているのですが、お1人やはりFeedlyを活用されている方がいたので、意外とこういう「枯れた技術」でかえって周りをリードできるのかもしれません。


◆また、考え方について非常に大事なのが、第6章から引用した上記ポイントの3番目のお話。

「問題」「課題」「戦略」の3つについては、この順番に考え、キチンと理解しておく必要があります。

ところが往々にして、この3つをすっ飛ばして、いきなり「戦術」だけ出してしまうケースの多いこと……。

上記の例だと、いきなり思いつきで「タクシー広告」を打ってしまうようなものですから、本当の問題がどこにあるかすら分かっていない可能性もあります。

本書では、その本当の問題をあぶりだすために、関係者やユーザーにインタビューを行うことを推奨。

この辺は、それぞれの抱えている問題次第ではありますが、インタビューを実施する際の注意点も、参考になりました。


◆さらに、今回本書を読んで一番「目からウロコ」だったのが、第7章から抜き出した上記ポイントの4番目です。

以前こちらの本を読んで、任天堂の宮本茂さんの言われた「アイデアとは複数の問題を一気に解決するもの」というフレーズが、非常に印象的だったのですが。

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岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)

参考記事:【オススメ】『岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。』ほぼ日刊イトイ新聞(2019年08月24日)

本書ではまさにその「複数の問題を一気に解決する」方法として、この「因果関係の矢印」が紹介されていました。

ただ本書では、この事例にそった「因果関係の矢印」の図解が掲載されていて、非常に分かりやすかったのですが、図なので引用できず(すいません)。

実際にスパッと複数の問題が一気に解決するのは難しいでしょうけど、機会があれば試してみたいです。


◆なお、上記ポイントの5番目は、第9章からのもの。

「トレードオフを解決するための3つの視点」の中の1つになります。

ちなみに他の2つは「3つ目の要素(変数)を考える」「自社の課題と他社の課題をぶつける」なのですが、これだけだと分かりにくい上に、キチンと説明するとかなりのボリュームになってしまうので、事例込みで本書にてご確認を。

さらに本書は、各章の終わりに「ワークシート」に記入する形式で、「学んだことをすぐに試す」仕様になっているのも、読者思いだと感じました。

いずれにせよ、本書は「考えるのが苦手」という方にとっては、一歩踏み出せる内容ではないか、と。


広告業界に勤めてなくとも一読の価値アリ!

B0C4KPYKF9
「考えるスキル」を武器にする
●初級編 頭の外に出す
考えたことを頭の外に出すのは意外と難しい
・第1章 「考えること」は「まとめないこと」
・第2章 「考えること」は「分けること」
・第3章 「考えること」は「図にすること」
●中級編 付加価値を作る
自分で考えた“新しい価値”を付け加えることで、はじめて“仕事”になる
・第4章 「考えること」は「知ること」
・第5章 「考えること」は「違和感に気づくこと」
・第6章 「考えること」は「仮説を持つこと」
●上級編 提案性を持つ
提案性が人を動かす
・第7章 「考えること」は「課題を作ること」
・第8章 「考えること」は「目標を再設定すること」
・第9章 「考えること」は「両立させること」
・第10章 「考えること」は「自分を出すこと」


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【問題解決】『「ゴール仮説」から始める問題解決アプローチ』佐渡 誠(2019年01月30日)

【仮説検証】『アウトプットの質を高める 仮説検証力』生方正也(2015年07月23日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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海外版の断捨離ともいうべきドミニック・ローホーのベストセラーは、中古が値崩れしているものの、「299円」というセール価格はさすがに中古よりお得。

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ごきげんビジネス出版さんの自己啓発書は、オンデマンドの定価がかなり高いこともあって、Kindle版が1500円弱お得な計算です!


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本 夏のセール」のかんき出版さんとクロスメディアさんの記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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付加価値のつくりかた 一番大切なのに誰も教えてくれなかった仕事の本質

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やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ

参考記事:【自分を動かす】『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』大平信孝(2021年11月08日)

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脳が強くなる食事〜GENIUS FOODS〜

よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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