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2023年08月11日

【中高年必読?】『「老年幸福学」研究が教える 60歳から幸せが続く人の共通点』前野隆司,菅原育子


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「老年幸福学」研究が教える 60歳から幸せが続く人の共通点


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、現時点で一番お求め頂いている自己啓発書。

「幸福学」でおなじみの前野隆司さんが、「老年学」の研究者である菅原育子さんと、「お互いの知見を踏まえつつ議論を重ねて」できたという作品です。

アマゾンの内容紹介から。
「年賀状はやめる? やめない?」「お金が多ければ、幸せも長続きする?」「持病があることは不幸せ?」……幸福を科学的手法で評価する「幸福学」と、老化や長寿について研究する「老年学」のさまざまなデータから見えてきた、「年をとるほど幸せな人」の意外な共通点とは。これからの人生を「幸せの上り坂」に変えていくための、お金、健康、人間関係などのヒントを紹介します。

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Look left, look right / _Franck Michel_


【ポイント】

■1.一度下がった人間の幸福度は60歳から再上昇する
 横軸に年齢、縦軸に幸福度を取ってグラフを描いてみると、図のように真ん中が底になる「U字カーブ」を描くことがわかります。10代から20代前半くらいの若いときは幸福度が高いのですが、そこから徐々に下がっていき、40〜50代が一番低くなります。この年代は、仕事での責任が増す一方で、子育てや親の介護などでの問題も起こりがちな世代です。また、家のローンや老後の資金といった、お金の不安も尽きません。しかし60代を過ぎると、幸福度は再び上昇していくのです。
 このように、少なくとも心理学に基づく研究では、高齢者は不幸どころか中年時代よりもずっと幸福であることがわかってきました。
 しかも、この傾向は日本だけではなく、世界共通のものです。世界数十カ国のデータから、国や人種、民族の違いを超えて、やはり同様のU字カーブを描くことが明らかにされています。何歳頃が底になるのかは、文化や社会によって微妙に違うようですが、幸福度のU字カーブに違いはありません。


■2.性格がいい人が長生きする
 容易に想像がつくかもしれませんが、性格のいい人が幸せであることは、心理学の研究結果を見ても明らかです。意地悪な人は猜疑心 が強く、不幸な傾向が高いという結果が出ています。もちろん、意地悪じいさん、意地悪ばあさんのような人が長生きするケースもあるかもしれませんが、それは少数派でしょう。
 言い換えれば、性格にひどく難がある人は早めに亡くなる可能性が高いため、80歳、90歳、100歳と年をとっていくにしたがって、きんさんぎんさんのように、いつもニコニコしている人の比率が増えていくのだとも考えられます。
 いずれにしても、性格がいい人は幸せであり、幸せな人は長生きする、つまり性格がいい人は長生きするといってよいでしょう。


■3.幸福度は人数が増えてもそれほど上がらないが、単身世帯は低い
 少子化や生涯未婚の人が増えたことで、いわゆる「おひとりさま」が注目されています。加えて、離別や死別後にひとり暮らしをする高齢者も増えています。
 前にも挙げた神奈川県寒川町のデータでは、単身世帯より、2人以上の同居家族がいるほうが、幸福度が高いという結果が得られています。とくに、「人生の満足度」に関する質問で大きな差が出ています。
 同居人数が多いほど幸福度が上がるという結果も出ていますが、人数が増えてもそれほど幸福度は上がりません。単身世帯だけ幸福度が目に見えて低いのです。
 もちろん、これはあくまでも平均値なので、この結果だけを見てひとり暮らしは気の毒だから避けるべきというつもりはありません。ひとり暮らしで幸せに生きていれば問題ありません。ただし、不幸せになるリスクはあるので、趣味や友だち、生きがいを持つように心がけたほうがよいといえるでしょう。


■4.人のためにお金を使うと、自分も幸せになる
 お金の使い方については、おもしろい実験があります。カナダの社会心理学者エリザベス・ダン教授を中心としたブリティッシュ・コロンビア大学のチームが、お金を自分のために使った場合と、他人のために使った場合とで幸福度を比べる実験をしたのです。
 アメリカ人630人を対象にした実験では、お金を自分のために使ったときと、他人のために使ったときの幸福度をそれぞれ5段階で評価してもらったところ、他人のために使ったときのほうが、幸福度が高いという結果が出ました。
 また、カナダの大学生にお金を手渡し、その日のうちに使うよう指示した実験では、他人のために使ったグループのほうが、自分のために使ったグループよりも幸福度が高くなりました。


■5.実年齢に満足している人ほど人生満足度が高い
 さまざまな研究データでは、幸福学の「ありのままに因子」が示す通り、「年をとるのも案外悪くない」と考えて老いを受け入れる人のほうが、幸福度が高いという結果が出ています。
 例えば、50歳以上のアメリカ人1万3752人を4年間追跡した調査では、「自分が年齢を重ねることに満足している」など、年をとることに対してプラス思考を持っている人ほど、4年後に身体的健康の改善、健康によい行動の促進、主観的幸福感の向上が実現していました。
 また、ノルウェーの40歳から80歳まで6292人を対象にした15年にわたる追跡データの分析では、「実年齢より若くいたい」と感じている人ほど人生満足感が低下しやすく、身体的健康が悪化しやすいという結果が出ました。逆にいうと、実年齢に満足している人ほど人生満足度が高く維持され、身体的健康も保たれるというわけです。


【感想】

◆著者のお1人の前野隆司さんは「幸福学」の専門家であり、下記関連記事にもあるように、当ブログでも何冊かレビューをしております。

一方、もう1人の著者である菅原育子さんのご専門は社会心理学、社会老年学ということで、タイトルにもある「老年幸福学」という言葉は、両者を組み合わせた本書のための造語だそう。

もちろん「幸福学」の対象には、老年者も含まれていますから、一部当ブログでもご紹介済みの実験等も本書にはありました。

ただ、たとえば序章から引用した、上記ポイントの1番目の幸福度のお話は、私は初耳でしたし、しかもこのU字カーブは、80〜90代に向けてさらに上昇を続けるのだそうです。

そのカギとなるのが、「老年的超越」という考え方で、要は価値観が変わるということ。

確かに私も、若い頃のようにガツガツと成果を求める意欲は薄れてきましたし、さらに年を重ねるにつれて、より精神的な充足感を求めるようになるのかもしれません。


◆その「老年的超越」のシンボルとして本書で登場するのが、なつかしの「きんさんぎんさん」

2人とも100歳を超えて他界されたワケですが、「すべてを超越した様子で、にこやかな笑顔を振りまいていた」という本書の指摘は、うなずけるものです。

そして、このような「にこやかさ」ゆえに、長生きできた、という見解が、上記ポイントの2番目。

実際にメタ分析を用いて、20万人を超えるデータを解析した結果、楽観的な気質と死亡率との関連が示されたのだそう。
楽観的な人はそうでない人よりも死亡リスクが約86%に抑えられるということが明らかになったのです。
……これは下手に運動を頑張るより身体にいいのでは?(運動嫌い)


◆さて、続く第1章のテーマは「つながり」です。

子どもの頃は学校、大人になれば会社がありますが、定年後は、特に男性がひとりぼっちになりがちなのは、広く知られているところ。

そこで本書で提案されているのが、地域とのつながりです。

趣味やボランティア、ペット仲間等々、40〜50代のうちから「種まき」をしておくことが勧められていましたが、男性にとってはなかなかハードルが高いんですよね。

私も地域の知り合いなど1人もいませんし。

ただ、上記ポイントの3番目にあるように、単身世帯は「幸福度が目に見えて低い」とのことですから、該当される方はご留意ください。

とはいえ、ひとり暮らしの女性は、家族以外の集まりや友達と過ごす時間が多いそうですから、男性に比べればかなりマシらしく……。


◆一方、第2章のテーマは「お金」です。

ここで普通の中高年本ですと、「いかに稼ぐか」「いかに節約するか」が中心になるのですが、本書の場合は「お金の使い方」を指南。

確かに、ある一定金額以上のお金を持っていても、それ以上のお金は、幸福度に比例しない、という話もありますしね。

そこで上記ポイントの4番目で引用しているように、幸福になりたいなら「人のためにお金を使う」べし!

ちなみに高齢者の場合、自分のためにお金を使う機会が減ってくるので、これも上記ポイントの1番目の「U字カーブ」に関係してくるのかも。

ウチの母も孫には甘くて、私が子どもの時よりあれこれ買ってあげたりしてますが、それで幸せになるのなら、いいんじゃないでしょうか。


◆そして上記ポイントの5番目は1つ飛んだ第4章からのもの。

アンチエイジングに真っ向から対立するような主張は、多少なりとも若く見えたい自分にはちょっとショックでした。

私は相変わらず美容院ではカラーリングしてますが、先日久しぶりに会った私の妹はナチュラルにグレーヘアにしていたのは、正解だったのか……。

もっとも、中年(老年?)太りで腹が出てきたのは「仕方ない」とあきらめて、無理にダイエットをせずに、ここ1年でスーツを全部新調したのは、「老い」を受け入れたと言えるかも。

……単に我慢せずに、好きなものを食べたいだけ、という指摘は置いといてw


幸せになりたい中高年の方なら、一読の価値アリ!

B0CD6VSJT7
「老年幸福学」研究が教える 60歳から幸せが続く人の共通点
序章 年齢を重ねるほど、人は幸せになっていく
1章 「つながり」が多いほど幸せ
2章 お金の「多さ」より「使い方」が幸せの分かれ道
3章 「人のため」が「自分のため」になる生き方
4章 「幸せ」を感じていると「体」も変わる
5章 60歳からの人生を「幸せの上り坂」に変える方法


【関連記事】

【幸福学?】『7日間で「幸せになる」授業』前野隆司(2021年02月22日)

【幸福とは?】『実践・脳を活かす幸福学 無意識の力を伸ばす8つの講義』前野隆司(2018年06月25日)

【地位財?】『幸せとお金の経済学』ロバート・H・フランク (著),‎ 金森重樹 (翻訳)(2017年12月28日)

【科学的自己啓発書?】『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』エリザベス・ダン,ロバート・ビスワス=ディーナー(2015年01月12日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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