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2023年07月31日

【思考術】『世界で一番やさしい考え方の教科書』榊巻 亮


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世界で一番やさしい考え方の教科書


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「Kindle本ポイントキャンペーン」でも大人気の1冊。

当ブログでも好評の「若手女子の成長物語から学ぶ人気シリーズ」第3弾になります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
物語の主人公は、会議術や資料作りを学んで中堅社員になった女子社員です。コンサルタントの父から教わった「思考の循環サイクル」を実践し、普段意識することがなかった「考える」という行為を順序立ててこなしていきます。すると、会議や資料の質が上がるのを実感できるのです。
本書では主人公の成長を見ながら、「考え方」の原理・原則をつかんでいただきます。

まだ4月に出たばかりの作品で、中古が定価の倍値近くしますから、今回のセールではこのKindle版が900円弱お買い得です!





Le Penseur / Juanedc


【ポイント】

■1.「認知、思考、行動」のサイクルを回す
「大事なことだから強調しておくが、ビジネスでは『一発で正解を出す』のは難しい。そうではなく、『認知、思考、行動』のサイクルをグルグル回すことで、段階的に思考の質を上げていくんだ」(中略)
「間違えてもいいってこと?」
「間違えるというか、最初に考えて書いた答えは『たぶんこうなんじゃないか?』という仮説なんだよ。考え方の循環サイクルを回すことで、その 仮説を段階的に確信に近づけていけばいい」
(段階的に点数を上げていくってこと? 何それ?!)
「正解がない世界では、一発で合格点を取るのは難しい。だから段階的に精度を上げていくしかない。ビジネスでは、それが思考するってことなんだ。ウチの会社では『考え方の循環サイクル』と呼んでいる」
「言われてみれば、そうかもしれないけど…。何、この考え方…!」


■2.認知の3要素を確認する
「父さんが柏さんにこう言われたら、まずは『言葉』を確認するだろうな。柏さんは冒頭で『違和感がある』と言っている。だけど、それが何なのか分からない。違和感ってなんだ? どういう意味だ? 分からないだろ。だから『違和感とは具体的にはなんですか?』とストレートに確認する。遠慮は無用だ」(中略)
「次は状況の確認だ。柏さんはどんな状態なんだろうか? 施策に反対なんだろうか? 施策の理解は十分なんだろうか? これもよく分かっていない。だったら、そのまま確認すればいい」(中略)
「最後に意図を確認する。柏さんは何を伝えたくて、どんな意図があって、この発言をしているのか?  コミュニケーションには必ず意図がある から、それを確認する」


■3.思考の4つのステップ
●STEP1:問いを書き出す
・疑問形で問いを書き出し「Thinkリスト(問いリスト)」をつくる
・リストができると、頭が整理される
●STEP2:考えるべきことに順番を付ける
・考える順番はとても大事
・他の問いの前提になるものは、優先度が高くなる
●STEP3:問いに対する答えを出す
・答えに自信がなくても構わない。「たぶん」「きっと」でよい
・頭に浮かんだことを逐一書き出す。書き出せば、思考の迷子が減る
●STEP4:「具体的には?」「なぜ?」で思考を深める
・「具体的には?」で解像度を上げる
・「なぜ?」で論理を通す


■4.なぜ思考に時間がかかるのか
「なるほど。じゃあ、どうすれば、思考が速くなると思う?」
「えーっと、頭の回転が速ければ、パッと考えられるから、スピードが上がりますよね。キレキレの頭脳っていうか、脳の回転が速いというか」(中略)
「結論から言うが、脳の回転速度を上げてもダメ。処方せんは、それじゃない」
「えー!?」。目が点になる葵。
「考えるのに時間がかかるんじゃないんだ。 考えていない時間が長いから、 結果的に思考に時間がかかる んだよ」
「え、え? どういうこと?」
「言い方を変えると、走る速度が遅いんじゃなくて、休んでいる時間が長いってことだ。休んでいる時間を短くすれば、自然に思考の速度は上がる」


■5.洞察とは何か
「葵が挙げた問いはどれも、新商品を紹介するため、つまり仕事を完了させるために必要な問いだ。目的に向かって真っすぐ進むための問いともいえる」
 これらの問いがスッキリすれば、迷わず新商品の紹介ができそうだ。
「うんうん。それで洞察は?」。葵は首を傾げる。
「洞察ではあえて、少し横にそれてみる。さっき葵は『依頼されてもやる気にならない』って言ったよな?」
「え? うん。やる気は出ないね…」
「洞察を深めるなら、『なぜ私はやる気にならないのか?』という問いが有効だ。これは仕事を進めるのに直接関係がない問いに見えるだろ?」
 葵は驚いた。普段そんなことは考えない。さっさと仕事を進めたいし、土屋がそんなことを考えていたら、早く仕事しなさい!と注意してしまいそうだ。
「他にも『やる気になるときと、ならないときの差はなんだろう?』とか、『ここから得られる示唆はなんだろう?』なんて問いも洞察っぽいな」。父がノートに書き込みを増やしながら言った。


【感想】

◆前作をお読みの方なら、ご存じだと思うのですが、物語(&シリーズ全体)の主人公である鈴川葵さんは、前作のエピローグで彼氏である片澤さんにプロポーズされていました。

その後の経緯等、特に触れることなく本書の物語もスタートし、第1章の途中で
翌日の午後。葵は実家に帰っていた。一歳半になる息子の俊介を連れて。
なんて一文が、シレっと出てきたものですから、ビックリの巻。

しかも、その直後に、本書は前作から4年後(第1作から6年後)の話であることは明らかにされるものの、旦那さんが誰かの記載が全然なかったものですから、一応「旦那さんは片澤さんだよね?」と思いつつも、それが明らかになる第3章まで気になってしょうがありませんでした。

……結局、何のどんでん返し等もなく、片澤さんが旦那さんだったワケなのですが(本題とはまったく関係ありませんw)。

それはさておき、本書のテーマは冒頭の内容紹介にもあるように「『考え方』の原理・原則」というもの。

今まで何冊(何十冊)も思考術本をご紹介してきた当ブログでさえ、本書には目からウロコのTIPSが多々ありました。


◆たとえば第1章から抜き出したのが、上記ポイントの1番目の考え方の循環サイクルのお話。

……なお引用内で葵さんに指南しているのは、前作同様、著名コンサルタントであるお父さんの義経さんになります。

要は「『認知、思考、行動』のサイクル」を回す」ということであり、この「認知」「思考」「行動」のそれぞれについても掘り下げることが多いため、第2章以降でそれぞれについて言及がされていました。

さっそく第2章のテーマは「認知」であり、上記ポイントの2番目において、認知の対象が「言葉」「状況」「意図」の各要素であることが明らかにされています。

ただ、この会話の前に、葵さんが営業のエースの柏さんに、相談事を持っていって玉砕した経緯があって、それを義経さんに相談した結果、この引用部分の指南になるという。

また、本書ではあわせて、「このように話せばよかったのでは?」というシミュレーションもあるので、あわせてお読みいただくと理解が深まると思います。


◆続く第3章では、いよいよ「思考」について解説。

義経さんいわく、スムーズに思考するには、上記ポイントの3番目にある「思考の4つのステップ」を踏むと良いのだそうです。

こちらもステップごとに、義経さんが事例を踏まえて指南してくれているのですが、何せ引用すると大変なボリュームになってしまうので割愛せざるを得ず(すいません)。

ちなみに、ステップ1の「問いを書き出す」際には、「シーン別の定番の問い」なるものがあり、こちらが活用できる模様。

本書では4シーン、合計27の「定番の問い」が列挙されていましたから、こちらもぜひ参考になさってください。

また、ステップ3までで一応答えが出るものの、思考力が高い人は、ステップ4を決してサボらないのだとか。


◆また、ある意味本書で一番「目からウロコ」だったのが、1つ飛んだ第5章から抜き出した上記ポイントの4番目。

よく「思考に時間がかかる」というのは、実際には「考えてない時間(休んでいる時間)が長い」のだそうです。

本書ではこれを「思考の足踏み」と呼んでいるんですが、具体的にどうなったら「思考の足踏み」かの具体例が挙げられており、これも参考になりました。

簡単に列挙すると
・ペンが止まる
・パワポの微調整を始める
・20分経つ
等々なので、思い当たるフシのある方は意識してみてください。

そして、足踏みしていることに気が付いたらすべきなのが「話す」「集める」「休む」という「3つの行動」です。

こちらも具体的に何をすべきかは、本書にてご確認を。


◆さて、義経さんのおかげで葵さんのプロジェクトである「標準化された請求書」も無事リリースされたものの、思ったようには使われていないことが判明します。

その改善策に用いられたのが、上記ポイントの5番目に挙げた「洞察」でした。

確かに義経さんが言うように、「なぜ私はやる気にならないのか?」とか「やる気になるときと、ならないときの差はなんだろう?」なんて問いは、普通ならしません。

ただ、たとえば営業が「標準化された請求書」を使わないことと、こうした問いは広い意味では関係があると言えるハズで、納得した葵さんは、施策を検討していきます。

なお、「洞察の問いなんて難しい!」とお思いの方のために、本書では「洞察の定番の問い」も表形式でご用意していますから、こちらを活用いただきたく……。

いやはや、至れり尽くせりの作品でした。


思考が深まること必至の1冊!

B0C22QBRRY
世界で一番やさしい考え方の教科書
1章:プロローグ
2章:「認知する」
3章:「思考する」
4章:サイドストーリー〜思考停止から抜け出す
5章:「行動する」
6章:洞察する
7章:エピローグ〜人の成長〜


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【仕事術】『抵抗勢力との向き合い方』榊巻亮(2017年12月14日)

【意思決定】『「洞察力」があらゆる問題を解決する』ゲイリー・クライン(2015年11月09日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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結局、自律神経がすべて解決してくれる

おなじみ小林先生のお得なテーマでの本書は、Kindle版が300円以上お買い得。

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元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書

元「コミュ障」でおなじみの吉田尚記さんのコミュニケーション本は、中古が値崩れしていますが、送料を加味すればKindle版がお得な計算です!


【編集後記2】

◆やっとアマゾンアソシエイトのレポートのデータがタイムリーに戻ったので集計できたのですが、一昨日の「Kindle本ポイントキャンペーン」の東洋経済さん分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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選択できる未来をつくる

B0BFHJV5ZP
Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

参考記事:【脱内省?】『Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』イーサン・クロス(2023年07月18日)

B0BSWZ9PZL
SECOND BRAIN(セカンドブレイン) 時間に追われない「知的生産術」

B08DY7P44P
LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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