2023年07月13日
【マネジメント】『心理的安全性 最強の教科書』ピョートル・フェリクス・グジバチ
心理的安全性 最強の教科書
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「東洋経済新報社 夏のビジネス書フェア」の中でも大人気の1冊。当ブログではおなじみであるピョートル・フェリクス・グジバチさんが、昨今よく目にする「心理的安全性」について掘り下げた作品です。
アマゾンの内容紹介から。
職場のストレスがなくなる!
意見やアイデアが飛び交う!
生産性&成果がアップする!!
注目のマネジメントキーワード「心理的安全性」を高めるための、「考え方」と「行動」がこれ1冊でわかる決定版!
Google元アジア・パシフィック人財・組織開発責任者が、日本のビジネスパーソンのために書き下ろした「チームが最高の成果を生む61の鉄則」
なお、中古価格が定価を上回っていますから、このKindle版が700円以上お買い得となります!
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【ポイント】
■1.心理的安全性には建設的な意見の対立が必要「心理的安全性」の定義を改めておさらいしておきましょう。心理的安全性とは、「リスクある行動を取っても、馬鹿にされたり罰せられたりしないと信じられること」だと「はじめに」 で述べました。
この「リスクある行動」を象徴するものが、チーム内の「意見の対立」なのです。たとえば、相手の立場に関係なく、「それ、違うよ」「自分はそうは思いません」と異論を唱えられるかどうか。あるいは、メンバーからの反論や批判を恐れずに、自分が言いたいことを言えるかどうか。
もちろん、常に意見の対立がないといけないわけではありません。ただ、対立がまったくない職場は危険です。このことを僕は強調したいのです。
意見の対立が奨励されない職場では、正しい議論を行うことができません。立場が上の人や声の大きい人の意見だけが通り、多様な価値観や考え方の衝突からよりよいアイデアや提案が生まれる機会が奪われます。
■2.人とタスクを区別する
次のような場面を想像してみてください。メンバーが商品紹介文を作成し、それをマネジャーのあなたに確認してほしいと言ってきました。読んでみると、ユーザーに誤解を招くような表現が所々に見られます。この場合、メンバーにどんな言葉でフィードバックするとよいか考えてみてください。
人とタスクを区別せずに伝えると、おそらくこんな感じになるでしょう。「こんな誤解を招く表現では、とてもじゃないけど掲載できないよ。なんであなたはまともな文章が書けないの?」いかがでしょうか。ついこんなふうに言っていませんか。
この伝え方がマズいのは、「タスク」に関するネガティブフィードバックだけでなく、「なんであなたはまともな文章が書けないの?」と、タスクを担った「人」のことも否定してしまっている点です。
では、人とタスクを区別しながら伝えると、どうなるでしょうか。「昨日は遅くまで残ってこの文章を考えてくれたんだね。お疲れ様。ただね、この表現はお客様の誤解を招くから、このままでは掲載できないな。この部分の表現を再検討してくれるかな」
■3.自己認識ができていると、仕事が楽しくなり、成果も出せる
ブランドパーソナリティを形づくる土台となるのが、自己認識です。
自分は何が好きで、何が嫌いなのか。何が得意で、何が苦手なのか。これらを自分で把握していれば、自分の好きなことや得意なことで相手に価値を提供しやすくなります。自分の好きや得意で勝負できるということです。
その結果、相手から感謝され、承認されると、仕事が楽しくなり、「自分には価値がある」という感覚も育まれ、自己肯定感が高まります。自分が最も力を発揮できることにさらに集中していけば、感謝と承認の好循環が生まれ、心理的安全性が高まります。
逆に、自分の不得意なことで価値を提供しようとしても、成果が出にくいので、自分がつらくなってしまいます。
もし、自分の力を発揮したつもりなのに、周りの人に迷惑をかけたり、相手に不利益を招いたりしたなら、自己認識の不足が原因と思ったほうがいいでしょう。あなたが周りの人に貢献できることは他にあるかもしれません。
■4.相手のことを理解するための質問例
相手が大切にしている価値観や判断基準、理想の働き方、将来の夢、好きなことや強みなど、「相手のトリセツ」を手に入れるための質問例をご紹介しましょう。・あなたは仕事を通じて何を得たいですか?これらの質問はまた、過去の経験や感情を振り返り、自分に問いかけることで、本人の自己認識を促す質問としても活用できます。
・それはなぜ必要ですか?
・何をもっていい仕事をしたと言えますか?
・なぜ今の仕事を選んだのですか?
・去年と今年の仕事はどんなふうにつながっていますか?
・あなたの一番の強みは何ですか?
・今どんなサポートが必要ですか?(中略)
■5.フィードバックはひとつに絞る
メンバーに何かフィードバックするときに、ついつい「あれも」「これも」と思い出し、全部そのままぶつけてしまうことはありませんか。
フィードバックが大事だからといって、あれもこれも一気にフィードバックすると、メンバーの心理的安全性を損ねるおそれがあります。
というのも、ポジティブなフィードバックなら問題ありませんが、「ここは間違ってるよ」「ここは直して」といったネガティブなフィードバックが重なると、相手は「自分の全部が悪い」と思い込んで、身動きが取れなくなってしまうからです。当然、本人の自己肯定感も下がります。「あなたのここを是正して」と言われれば気をつけることができても、「あれもこれも」となると、「もうこの仕事は、自分じゃなくて、総取り替えで他の誰かがやったほうがいいってことかな?」となりますよね。
相手にとってネガティブなフィードバックは、同時にいくつも伝えるより、ポイントを絞って伝えることで、本人の心理的負担に配慮するようにします。
【感想】
◆冒頭でも触れたように「心理的安全性」をテーマに、多角的に述べられた作品でした。そもそも「心理的安全性」という言葉に対して、漠然としたイメージしかなかったのですが、本書を読んで知らないことが多くて驚いたと言いますか。
たとえば第1章から抜き出した上記ポイントの1番目のお話ですが、パッと見「意見の対立」なんて「心理的安全性」の真逆にありそうじゃないですか。
ところがむしろ、建設的な意見の対立を生まないような職場だと、逆に「心理的安全性」が脅かされるということに、ビックリの巻。
実は同じ第1章の別の部分で言われていることなのですが、「心理的安全性の高い職場」とは、「Nice(気持ちいい)」な職場ではなく、「Kind(思いやりのある)」な職場を目指すのだそうです。
要は自分にも相手にも誠実であることで、一時的に対立が生じたとしても、相互理解が深まり、人間関係が構築されていくのだとか。
◆続く第2章から抜き出したのが、上記ポイントの2番目で、「人とタスクを区別する」のも、「心理的安全性」にとっては大事なことです。
特にマネジャーは、「人にやさしく、結果に厳しく」なければなりません。
さすがに、上記引用内の「区別しない」パターンの言い方は、パワハラチックではありますが、ここまでひどくなくとも、区別できていない人は結構多そうな。
もう1点、この第2章で割愛した中で大事なのは、職場の「心理的安全性」を高めるには、ローコンテクストなコミュニケーションを前提としなければならない、というお話です。
確かに色々なことが明確になっていれば、不安や猜疑心が減る、というのは当然でしょうね。
◆ここまでが第1部の「理解編」で、第3章からは第2部の「マインドセット編」がスタート。
その第3章からは、上記ポイントの3番目の自己認識のお話を引用してみました。
自己認識が、どう「心理的安全性」と結びつくのかというと、要は自己認識ができていると、まさに上記にあるように
自分が最も力を発揮できることにさらに集中していけば、感謝と承認の好循環が生まれ、心理的安全性が高まります。ということになる次第。
逆に自己認識ができていないと、成果も出にくいわけですから、まさしく「悪循環」になります。
◆一方、1つ飛んだ第5章からは上記ポイントの4番目をセレクト。
これは各メンバーの価値観や判断基準を理解するための質問例なのですが、これらを行う前に、マネジャーの方が先に自己開示をしておく必要はあります。
そしてマネジャーと各メンバーが、こうして価値観レベルで相互理解を深めることで、信頼関係が構築されるという。
また、たとえお互いに考え方や意見が異なっても、信頼関係があれば、職場の心理的安全性は確保されるワケです。
なお、上記ポイントの5番目は。第3部の「実践編」に属する第8章からのもの。
これはTIPSレベルのお話になりますが、確かに同時にいくつもフィードバックを返すと、メンバーの「心理的安全性」を損ないかねませんから、注意したいところです。
もちろん場合によっては、いくつも言いたいこともあるかもしれませんが、そこは時間差なり選別するなり対処していただきたく。
「心理的安全性」を深く理解することができる1冊です!
心理的安全性 最強の教科書
はじめに
第1部 理解編
第1章 心理的安全性とは何か
第2章 第2章 心理的安全性を高める「考え方」の基本
第2部 マインドセット編
第3章 心理的安全性を高めるマネジャーの「自己認識」
第4章 心理的安全性を高めるマネジャーの「自己開示」
第5章 「相手を知る」「理解する」マネジャーの心構え
第3部 実践編
第6章 職場におけるメンバーとの「接し方」のヒント
第7章 メンバーの「問題を解決する」「成長を促す」マネジャーの心得
第8章 心理的安全性を高める「目標設定・管理・評価」
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【編集後記】
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参考記事:【未来予想図?】『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』河合雅司(2018年06月24日)
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