2023年07月08日
【コミュニケーション】『聞く習慣』いしかわゆき
聞く習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本キャンペーン」の中でも人気が高いコミュニケーション本。今年4月に出たばかりですから、今回がセール初登場の作品になります。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「会話が苦手」という人はたくさんいますよね。
なかでも、特に多くの人が頭を抱えているのが、先輩、後輩、取引先、微妙な知り合いなど、それほど親しくなかったり、親しくなりたいと思えない人と話すときです。
「仕事相手との距離を縮めたいけど、話すことがないな……」
「今度、上司と飲むけど、プライベートには興味が湧かないな……」
こういった、「興味を持てない相手」との会話こそ、「なにを話せばいいかわからない」という感情を抱いてしまう、会話の悩みの本質と言えます。
本書の著者も、かつては多くの人に対して、「1ミリも興味を持てない!」と悩んでいました。
ところが、インタビューライターという仕事を通じて、「当たり障りなく会話できる」スキルを身につけたことで、人間関係がググッとラクになったのです。
本書では、そんな著者が見つけた、「興味を持てない相手」ともうまく話すためのコツをお伝えします。
中古に送料を足すと定価を超えますから、このKindle版が800円以上お買い得となります!
Listen / iantmcfarland
【ポイント】
■1.「1対1」のサシで話す状況をつくる会話が苦手な人のなかには、誰かとサシで会うほうが緊張するという人もいるかもしれません。
でも、わたしはどちらかというと「Aさんの話を聞いて、その話題を知らないBさんのために補足して、Cさんが言った否定的な発言をフォローして……」と、マルチタスクで会話をするほうがずっと難しいんじゃないかと思っています。
一方で、サシで会うことはシングルタスク。会話のあいだは「その人だけ」に集中していればいいので、じつはラクなのです。
だからこそ、わたしはできるだけ「サシ」で話すようにしています。
会話が苦手な人ほど、 複数人の集まりに行くよりも、1対1でじっくり話す機会をつくるんです。
■2.インタビュアーのつもりで「読者」のために聞いてみる
わたしが「人にあまり興味がない」ながらも、インタビューライターとしてこれまでやってこれたのには理由があります。
それはたぶん、「自分が知りたいこと」を聞いていないからです。
では、なにを聞いているのか。それは「自分が知りたいこと」ではなく、
「読者が知りたそうなこと」です。
それを除いて、人に聞きたいことってあまり思い浮かびません。
なぜなら人に興味がないからです(何度でも言う)。
これは日常会話でも同じです。
だから、いまでも誰かと話すときは、「雑談をしよう」と挑むのではなくて、「この人にインタビューをしよう!」という気持ちで挑んでいます。
そうすると、インタビュアーモードにカチッとスイッチが切り替わり、ラクに会話できるようになるんです。
■3.「それ、聞いてどうするん?」と思わせない
意図がわからない質問って、なんだか警戒しちゃいますよね。
わたしも「好きな異性のタイプはどんな人?」と聞かれたら、「わたしのこと狙ってるんか?」と思うし、「フリーランスって稼げるの?」と聞かれたら、「もしかして貧乏だと思われてる?」と思うぐらいには疑い深いです。
あと、聞いている意図がないと、「とりあえず自分に合わせて聞いてくれているのかな」と思われます。(中略)
聞いている意図がよくわからないと、
シンプルに「答えづらい」のです。
それがたとえば、「自分はアイドルがあまりわからないので教えてほしい」「音楽が好きだからキャッチーな曲があれば聞いてみたい」と、聞く理由をセットにしてみると、相手もぐっと答えやすくなると思います。
■4.「相槌」に必要なのは言葉より感情のバリエーション
わたしも一時期、相槌ストックを頑張って増やしていた時期があります。
でも、取材を進めていくうちに、相槌のバリエーションはそこまで多くなくとも会話が成り立つことに気づきました。
相槌のレパートリーを増やすよりも、同じ言葉でも抑揚をつけたりして、感情を乗せたほうがラクじゃない? と思ったのです。
なので、わたしはインタビューライターのくせに相槌のパターンがそんなに多くありません。
よく使うのは、「なるほど」「うんうん」「わかるー」の3パターン。人の話を聞くときの姿勢は、基本的に「同意」でいいと考えているからです。
相槌を打つときに大事なのは、「なにを言っているか」よりも、「どう思っているか」を感情で示すことだと思います。
だから、同じ「なるほど」という言葉でも、新しい発見をしたときの「なるほど!!」や、独り言のように頷く「なるほど……」など、
感情でバリエーションをつけています。
■5.誰かの話を聞くだけで「自己肯定感」が上がる
まず、「聞く」によって得られることのひとつに、「自己肯定感」があると感じています。
自己肯定感とは、「自分を受け入れられる感覚」といった意味ですが、それを持つのって、すごく難しいことのように感じますよね。
その低さに悩んでいる人も多く、わたしも、そのひとりです。
人ともうまく関われないなかで、「わたしなんて……」とネガティブに陥ることは少なくありませんでした。
でも「聞く習慣」があれば、誰かの話を聞いてあげることで、「わたしも誰かの役に立てているんだな」と実感して、自分を肯定できます。
世の中には「お悩み相談コンテンツ」がたくさんあります。
それらを見たり聞いたりしていると、「わざわざ時間を割いて、いろんな人の悩みに答えていてすごいなぁ」と思うこともあります。
ですが、いざ自分が悩みを相談される立場になって、「わざわざ悩みに答える理由」に気づいたんです。話を聞いて、誰かの悩みに答えることって、
自分も自己肯定感が上がるんです。
【感想】
◆なかなかユニークな「コミュ障向け」の聞き方本でした。こういうタイプの方の作品としては、当ブログでも人気の高かったこちらの本が思い出されるところ。
なぜ、この人と話をすると楽になるのか
参考記事:【結構スゴ本!】『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』吉田尚記(2015年02月21日)
どちらも「コミュ障である」部分を補おうとするのではなく、いい意味で「開き直っている」ところが痛快です。
たとえば吉田さんの作品では、「コミュニケーションのスキルを磨くには、何が必要なのか」という点について、「技術」と断言。
さらには、「コミュニケーションに『心』なんて便利な言葉を持ち出したら、押えなければいけない実態をスルーしてしまうことになりかねない」と言っており、その客観的な視点は、本書にも通じるものがあると思います。
◆実際、第1章から引用した上記ポイントの1番目のお話では、「相手に寄り添う」ため等ではなく、「マルチタスクが難しいから」という理由で「サシで話す状況をつくる」ことを推奨。
もっともこれは、本書が「聞き方本」という前提があるからこそであって、特に何も聞く必要がなければ、多人数でワイワイ話してもらって、自分は違うことを考えたりしていた方が楽ではありますが。
ただ、この引用の後の部分で、普段の飲み会ではふざけている同僚が、サシだと真面目な話をしてくれた、というエピソードがあって、やはり深い話をする際には、サシになることに意味があるようです。
また、第2章から抜き出した上記ポイントの2番目でも、「人に興味がないから」という理由から、自分以外の「読者が知りたそうなこと」を聞くとキッパリ。
いや、相手に興味がない、という心理が、相手に見透かされないかこちとら心配なんですけど、自分以外の誰か(読者)が興味がある、という前提なので、大丈夫なんでしょうね。
……私だったら、その人を好きになろうと努力しちゃうんですが、それは私が「コミュ障」ではないからなのかもしれません。
◆さらに同じ第2章からは、上記ポイントの3番目のお話をセレクト。
確かに相手に質問をする際には、その理由を述べると、相手も変な不信感を持たずに腑に落ちやすいでしょうね。
……『影響力の武器』でも「理由付け」の重要性は述べられていましたし。
一方、上記ポイントの4番目は第3章からのもの。
「相槌」のバリエーションを増やすことを勧める本は多かったですが、本書のように「感情」のバリエーションに着目する作品は珍しいと思います。
ちなみに著者のいしかわさんは、下記の「はぁって言うゲーム」が「めちゃくちゃ得意」なのだそう。
幻冬舎(Gentosha) はぁって言うゲーム 幅102x高さ150x奥行き28mm 112307 マルチカラー
今言った「はぁ」は、なんの「はぁ」?……なるほど、大いに関係ありそうですねw
感心の 「はぁ」、怒りの「はぁ」、失恋の「はぁ」・・・etc.
「はぁって言うゲーム」は与えられたお題に対して、各プレイヤーが割り当てられたシチュエーションを“声と表情だけ"で演技し、当て合うゲーム。
◆なお、最後の第6章から引用したのが、上記ポイントの5番目。
確かに誰かの話を聞くだけでも、その相手の「役に立っている」のは事実です。
ただ、そうすることで自分の肯定感が上がる、というのは、上記ではボリュームの関係で割愛しましたが、相手からの感謝があってのものなので、その点はご留意を。
そのほかにも「聞くこと」で得られるメリットが、この第6章には色々と列挙されていますから、こちらを読むと本書を実践したくなること必至でしょう。
特に上記でも触れたように、「コミュ障」ないしは「他人に興味のない」方なら、必読の1冊。
楽に会話ができるようになるための44のTIPSをぜひ!
聞く習慣
はじめに:相手に話してもらえば、会話はもっとラクになる
第1章:ハードルを下げると会話がしたくなる
第2章:面白い話を引き出せると会話が楽しくなる
第3章:うまく返せると会話が止まらなくなる
第4章:落とし穴を知っておくと会話が怖くなくなる
第5章:「書く」ことで「聞く」が習慣になる
第6章:「聞く」ことが与えてくれるもの
おわりに:「聞く」ことで知り得たもの、見つけられたこと
【関連記事】
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【傾聴】『アクティブ・リッスン! 「聞く力」を武器にする』澤村直樹(2015年09月23日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。プリズナートレーニング 超絶!! グリップ&関節編 永遠の強さを手に入れる最凶の自重筋トレ
筋トレ好きの方なら要チェックな1冊は、Kindle版が500円弱お買い得。
手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法
こちらのミニマリスト本は中古が底値ですが、送料を加味するとKindle版に軍配が上がります!
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本キャンペーン」のKADOKAWA分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。仕事ができる人は知っている こびない愛嬌力
色のひみつがすべてわかる! すごすぎる色の図鑑
未経験でも、はじめの一歩が踏み出せる! Web系フリーランス働き方超大全
動物農場 (角川文庫)
よろしければご参考まで!
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