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2023年07月05日

【バイアス?】『情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編』情報文化研究所(著),高橋昌一郎(監修)


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情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「Kindle本キャンペーン」でも人気の1冊。

前作が、2021年の当ブログ売上第1位だったにもかかわらず、本書をご紹介するのがすっかり遅れてしまいました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
合計60の認知バイアスを解説します。
なぜか人間に実装されている脳のバグとも言うべき「認知バイアス」。
本書では、「行動経済学」「統計学」「情報学」の3つの研究分野からアプローチし、計60の認知バイアスを豊富な図版とイラストを用いて解説します。

中古価格が定価よりも1000円以上高値ですから、「61%OFF」のこのKindle版がお買い得です!





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【ポイント】

■1.実業団スポーツは所属従業員に影響を与える
 企業スポーツに力を入れている自動車メーカーの従業員へアンケート調査を行った研究がある。この企業の強化チームである野球、ラグビー、駅伝の試合結果が、一般従業員の労働意欲に変化をもたらすか5段階評価で質問した。チームが勝ったときには、従業員は喜び、労働意欲が向上した。逆に負けたときには、怒ることはなく労働意欲も低下しなかった。そして従業員の年齢が上がると、勝利が労働意欲向上につながる確率が0.7%高まることがわかった。これは高年齢になれば長年勤務している可能性があるので、会社に対する帰属意識が高くなったと考えられる。
 では、選手と同じ部署で働く人たちに限定すれば、その成果はさらに高まるのではないだろうか。調査によると、同僚選手が試合に勝った場合、意欲が向上すると答える確率が10%以上高まった(ラグビーは約14%、野球は約17%、駅伝は約11%)。負けても、同僚従業員の意欲に低下は見られなかった。負けても寛容的な態度であることから、勝ち負けよりもがんばっている姿に共感しているように考えられる。


■2.おとりの選択肢に注意する
 ここでは英語のビジネス雑誌「The Economist」の年間購読料を使ったシンプルな実験を見てみよう。電子版の購読料は59ドル、印刷版は125ドル、電子版と印刷版のセットは125ドルである。結果はセット販売に集中した。ここで不人気の印刷版を取り除いて電子版とセット販売の2択にすると、多くの人が電子版を選択した。注目してほしいのは、誰も選ばない印刷版125ドルという選択肢を加えたことで、125ドルの契約数が32人から2.6倍の84人に増えていることだ。このような選択肢は、おとりとして使われる。
 私たちは非常にわかりやすいものに注目して、相対的に判断してしまう傾向がある。さらにおとりが隠れているとなると、ますます複雑さを増す。これからは、即決には注意が必要だ。


■3.物事は平均へと回帰していく
 直近の数試合で活躍したスポーツ選手に対して、今後も同じような活躍を続けてほしいと期待する一方で、不調の選手には試合に出てほしくないと感じてしまうこともある。しかし、短期的に不調な選手であっても、1年間の成績を見れば、前年までの年間成績と比べて極端に差は出ないということだって大いにありえる。
 業績が悪くなった企業が経営者を変えたことでV字回復したとすれば、後継の経営者が優秀な人であると感じるかもしれない。しかし、経営者が誰に変わったとしても業績は回復する方向に転じていた可能性もある。
 これらは、回帰の誤謬の例であるが、結果に対して直感的に何らかの要因を関連付けようとすると、誤った考えが正しいものだと感じてしまう。あなたが大きな成功や失敗を経験したとしても、あなたの能力だけが原因ではなく、単に偶然の結果である可能性もある。平均への回帰が起こりうることを念頭に置いて誤った判断をしないように気をつけたい。


■4.「モンティ・ホール問題」では、扉を変えるか否かをあらかじめ決めておく
 モンティ・ホール問題において正しい解答を求めるためのポイントは、扉を変えるか否かをあらかじめ決めておくことにある。
 では、あらかじめ扉を変えないと決めて、もう一度モンティ・ホール問題を考えてみよう。
 まず、3つの扉から1つの扉を選ぶとき、当たりの扉を引く確率は1/3である。この後、扉を変えるかどうか尋ねられるが、扉を変えないと決めているので、はじめに選んだ扉が当たりの扉でなければいけない。つまり、扉を変えない場合、景品を獲得する確率は、はじめに当たりの扉を選ぶ確率と同じであるから1/3となる。
 次に、扉を変えると決めた場合を考えよう。このとき、はじめに外れの扉を選ぶと、もう1つの外れの扉は司会者によって開けられるので、扉を変えれば挑戦者は必ず当たりの扉を引くことができる。したがって、扉を変えた場合に景品を獲得する確率は、はじめに外れの扉を選ぶ確率である2/3となり、扉を変えない場合よりも確率が高いことがわかる。


■5.自分より他人が影響を受けると考える「第三者効果」
 第三者効果を初めて提唱した社会学者が着想を得たきっかけは、第二次世界大戦中の日本軍の軍事戦略だ。日本軍は硫黄島での戦闘に際して、米軍のアフリカ系兵士で構成された部隊にプロパガンダを仕掛けた。
「白人のために命を脅かす必要はない、日本人は有色人種と戦わない、降伏せよ」という内容のビラを撒いたのだ。
 このビラがどの程度アフリカ系兵士の心を動かしたのかはわかっておらず、むしろ説得効果はほとんどなかったという説もある。
 しかし、この部隊を統率していた白人の司令官は部隊を撤退させたのだ。司令官はビラによって黒人兵士の士気が下がったことを懸念したと考えられる。アフリカ系兵士に送ったメッセージが、結果として本来ターゲットではなかった第三者である司令官の行動に影響を与えているわけだ。


【感想】

◆いきなりですが、前作がツボだった方なら、本書もきっと気にいってもらえるのではないでしょうか?

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情報を正しく選択するための認知バイアス事典

参考記事:【バイアス?】『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』情報文化研究所(著),高橋昌一郎(監修)(2021年07月24日)

何せ、構成自体は完璧に前作を踏襲しています。

つまり、前作のレビューで書いた
項目のタイトルに続いて、「意味」として簡単な説明があり、「関連」と題した他の認知バイアスも掲載されています(Kindle版だとリンクになっていて、クリックでその認知バイアスに飛べる仕様)。
という仕様はまったく同じ。

また、参考文献は本書でも巻末でまとめず、各項目の最後に掲載されているので、いちいち飛ばなくてもいいのが助かります。

ちなみに、今さら気が付いたのですが、同じ参考文献がいくつもの項目で使われている場合、Kindle版だとその書名(や著者名)で検索をかけると、すべての項目が列挙されて便利でした。

その結果、本書の5項目で挙げられていたこの本が、やはり名著だと思った次第。

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行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)

参考記事:「行動経済学」友野典男(著)(2006年07月20日)


◆さらに、「前作で60項目も挙げておいて、まだあるのか?」と思ったバイアスは、今回も同じく60個掲載。

その際、分野ごとに20個ずつで計60個なのですが、具体的にはサブタイトルにもあるように「行動経済学・統計学・情報学」の3つになります。

実は前作も同様に3分野(具体的には「論理学・認知科学・社会心理学」の3つ)でまとめられていたのですが、サブタイトルにないこともあって、すっかり忘れていました(ダメじゃん)。

いずれにせよ、2冊合わせて6分野の合計120個を押さえておけば、大抵のバイアスはカバーできると思います。

さて、当ブログではこのシリーズに限らず、大量にバイアス/行動経済学関係の書籍をレビューしていますから、まったくの「新ネタ」というのはやはり多くはありませんでしたが、そんな中、私が知らなかったバイアスの1つが、第I部の「行動経済学」から抜き出した上記ポイントの1番目。

こちらは「ピア効果(同僚効果)」と呼ばれるもので、私はてっきり実業団スポーツは、広告目的なのかと思っていましたが、こういう好影響もあるのだとは!?


◆続くポイントの2番目の「The Economist」のお話は、やはり第I部から抜き出したのですが、事例自体は類書で読まれた方も多いと思います。

いわゆる「松竹梅効果」ではあるものの、あきらかに「選ばれない」選択肢を加えることによって、意図した商品が選ばれるのがミソ。

一方我が国の日経新聞はどうかというと……。

ご購読の申し込み:日本経済新聞・日経電子版

「朝刊のみ」があるので、多少ややこしくなっていますが、申し込みがゼロになるような「おとり」は使っていませんね。

なお、この第I部には他にも興味深いバイアスがいくつもあって、割愛した中では「確率加重関数」のお話は初めて知りました。

簡単に言うと、「低い確率をやや高く感じる(だから宝くじが売れる)」一方、「高い確率をやや低く感じる(生死にかかわると90%でも足りない)」というのは、感覚的には理解できます。


◆続く第II部からは、まず上記ポイントの3番目の「回帰の誤謬」をセレクト。

これはいわゆる「ビギナーズラック」や、「2年目のジンクス」として知られるものです。

ただし、この動きと本来関係のない要因と結びつけるとシャレになりません。

特に体罰でたまたま成績が上がったりすると、それが要因とみなされるという、恐ろしいことになりかねないという……。

さらに、上記ポイントの4番目の「モンティ・ホール問題」は、過去何度も類書で目にしてきましたが、今回抜き出した「扉を変えるか否かをあらかじめ決めておく」という解説は、初めて読みました。

なるほど、これだと扉を変えた方が有利だというのが、迷いなく分かりますから、今後は他人に説明するときは、このロジックを使わせてもらいます!


◆そして最後のポイントの5番目の「第三者効果」は、第III部の「情報学的アプローチ」からのもの。

当事者以上に外野が気にする、というのは結構身の回りにも多いと思います。

実際、最近ではSNS等と合わさることで、昨今のメディア規制や自粛傾向に拍車をかけているような。

また、この第III部には、「ウーズル効果」や「グーグル効果」といった、初めて知るバイアスが結構ありました。

ただ、呼び名が果たして正しいのか、類書で読んだことがあっても、確か違う名称だったような……。

いずれにせよ本書は、各項目の小見出しも、すべてバイアス名で統一されており、辞書的な使い方ができるのもありがたいですね。


行動経済学好きなら読むべき1冊!

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情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編
監修者まえがき ―「認知バイアス」を理解して「騙し」に打ち勝つ!
・第吃堯’知バイアスへの行動経済学的アプローチ
・第局堯’知バイアスへの統計学的アプローチ
・第敬堯’知バイアスへの情報学的アプローチ


【関連記事】

【バイアス?】『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』情報文化研究所(著),高橋昌一郎(監修)(2021年07月24日)

「行動経済学」友野典男(著)(2006年07月20日)

【オススメ】『不合理だからすべてがうまくいく』ダン・アリエリー(2010年11月26日)

【行動経済学?】『不合理 誰もがまぬがれない思考の罠100』スチュアート・ サザーランド(2017年05月28日)

【ヒューリスティック】『思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則』レイ・ハーバート(2012年04月24日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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