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2023年06月15日

【アプリ恋愛?】『マッチング・アプリ症候群 婚活沼に棲む人々』速水由紀子


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マッチング・アプリ症候群 婚活沼に棲む人々 (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも個人的に読んでみたかった新書。

AERA等でもおなじみのジャーナリスト・速水由紀子さんが、「マッチング・アプリ」を舞台にフィールドワークを行った力作です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
結婚相手を見つけ、2人で退会するのがマッチングアプリのゴール。しかし本書では、このアブリ世界に彷徨い続け、婚活より自己肯定感の補完にハマり抜け出せなくなってしまった男女を扱う。アプリで次々に訪れる流動的な人間関係の刺激は、中毒性が強い。相手をどんどん乗り換え続けることで生きる糧を得ている人々、離婚や失恋でトラウマを抱え、婚活と名乗りつつセフレ的な付き合いしかできなくなった人々、等身大な自分を見失って500の「いいね!」をコレクションし、自己肯定感の上昇のみを求める人々。マッチングアプリの婚活沼に依存するディープな住人たちを、「マッチング症候群」と名付ける。

中古が定価の倍値以上しますから、若干でもお得なKindle版がオススメです。






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【ポイント】

■1.好印象を与えるための「言い換え」プロフの例
「周りに裏表がないと言われる」 KYで気を使えない
「決断力がある」 俺サマで協調性がない。相手の意見が聞けない
「経営者」 月商10万に充たないネット通販ショップなどの経営
「年より10歳は若いと言われる」 リップサービスを真に受けている
「すぐに仲良くなる」 付き合っていなくてもすぐやろうと誘う
「家事はできれば一緒にしたい」 と言ってもあくまで口だけ
「デート代は自分が多めに払う」 最初だけは
「実家暮らし」 生まれてから実家を出たことがない。母親が上げ膳据え膳
 ざっとこんな感じだ。噓とまでは言えないが、現実とはかなりの落差がある。もちろん女性もメイクや写真加工など自己申告と内実のギャップはいろいろあるだろうが、特に人間的な本質に関わることをすぐバレる噓で美化するのは逆効果でしかない。


■2.アプリの出会いは自分から動かないマグロ男子を救うのか?
 自分を否定されることを恐れるのはどの世代でも同じ。しかし恐怖心に駆られて否定されるリスクのある行為をすべてやめてしまう、という極端な男性が増え続けていることも確かだ。
「デートをしたことがない」「彼女がいたことがない」というのは、「デートをしようと誘ったことがあるが断られた」「付き合おうと誘ったが断られた」ではない。「デートしようと誘ったことがない」「付き合おうと誘ったことがない」のほうがずっと多いのだ。
 ジュンさんのようなマグロ男子でも、アプリでマッチングしさえすれば面倒見のいいおかんタイプと出会うことも可能かもしれないが、丸投げOKのおかんタイプがどんどん減っている令和の今、その可能性は極めて低い。


■3.腹筋割れトレーナーの集客詐欺
 つまりシンさんはアプリで知り合い、関係を持った女性をジムに入会させ、同時進行で適当に転がしていたのだ。ジムは担当顧客の歩合制だから、そうすれば客も収入も増えるし欲望も満たせて一石二鳥。本当は私もその仲間入りのはずだったのに、深い関係になる前に踏みとどまれてよかった。
 あの筋肉写真は、集客用の宣伝だった。
 やはり最初に抱いた違和感は正しかったのだ。(中略)
 ホストを始め水商売の裏を熟知しているシンさんは、飴と鞭の使い分けに 長けている。結婚を前提とした交際を餌にするやり方はまさに、ホストの「釣り」とまったく同じだ。
 そしてこういう相手ほど性的な関係に持ち込んで、相手を経済的にからめ捕るのが極めてうまい。性関係に進んでしまうと、アプリ外で起こるすべてのトラブルが降ってくる。
 プロフィールや自己紹介に1つでも怪しいと思う要素があったら、絶対に深い関係に進まないことをお勧めする。


■4.「いいね!」10以下を狙え!
この苦難の経験を乗り越えたシオリさんは、最近ようやくマッチングした男性と結婚を前提に付き合い始めた。彼と知り合ったのは、3回の辛い退会騒動を反面教師にしたからだ。
「それまではルックスとか職業とか、婚活市場の理想の男性を探して『いいね!』をしていたが、『いいね!』が100以上つくような人気のある男性を選んでも結局、相手の1にはなれない。いつもキープにされて、相手に本命が見つかれば連絡を断たれてブロックされるだけ。だから選び方を変えて、地味だけど自分ならその人のいいところを見つけられそう、という男性を選ぶようにした。たとえ『いいね!』が10以下しかついてなくても、この人絶対一緒にいて楽しいと確信が持てそうな人」


■5.「条件」ではなくて「パートナーシップ」
 Hatelaboの日記を書いた独身男性も、そして多くのマッチング依存症の独身男性も、この覚悟が生涯独身から抜け出す最後のチャンスだ。
「条件」ではなくて「パートナーシップ」。
 その意味はおわかりだろうか?
 年収や肩書き、学歴という可視化できる条件も参考にはなるが、1番大切なのは相手との関係にどれぐらいの時間、コスト、労力を使うかの覚悟だ。
 別に相手は鬼畜の雇用主じゃない。悩んでいる時に寄り添ってほしい、子育てで死ぬほど忙しい時にきちんとサポートしてほしい、病気で倒れた時に食事を作って看病してほしいという当たり前の欲求を持つ相方だ。
 その当たり前ができなければ、あなたは結婚や同棲を望む資格はない。ゲームならいくらでも時間を注げるが、パートナーの悩みを聞いたり皿洗いや保育園の送り迎えはできないなら、生涯独身でどうぞ。


【感想】

◆帯にあるように「1年半に200人とマッチングしてみた」だけのことはあって、非常に興味深い内容でした。

出てくる登場人物も、一癖も二癖もある人ばかり。

それもてっきり男性ばかりだと思っていたら、男性会員から話を聞いて実際に会った「アプリの女王」やら、上記ポイントの4番目のシオリさんのような女性もいたりします。

ちなみに同じ「マッチング・アプリ」絡みでいうなら、以前こちらの作品をご紹介したことがあるのですが。

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大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。

参考記事:【婚活?】『大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。』高橋勅徳(2023年01月08日)

この本だと、どちらかと言うと、恋愛オクテな著者が、自分を見つめ直していくのに対して、本書は著者の速水さんが相手を観察&分析していく仕様。

なお、似たような分析系としては、石神賢介さんの一連の「婚活」作品もそうですかね。

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57歳で婚活したらすごかった (新潮新書)

参考記事:【モテ】『57歳で婚活したらすごかった』石神賢介(2021年05月31日)

ただ、本書の場合、ある種の男性に対して、意識改革を促している点が秀逸だと思います。


◆その1つが第2章から抜き出した上記ポイントの2番目の「マグロ男子」。

「2022年6月14日に公表された内閣府『令和4年版男女共同参画白書』」によると、
今までに一度もデートをしたことがない20代の男性が、全体の4割にも達しているのだ。
30代も男性34.1パーセント、女性21.5パーセントがデート経験がない。
のだそうです。

しかもこれが、断られたのではなく、誘ったことがない、らしいと知り、自分が若い頃、アプリなんぞなかった私は「目がテン」ですよ、ホントに。

今の若い人には、「ねるとん紅鯨団」でも観てもらって、みんなの前(というか全国ネットで放送されている)で壮絶に「ごめんなさい」される状況に慣れてもらわねば(違

当時の番組で公式なモノは当然ないので、貴さんがリメイク(?)したらしい番組を。



結局のところ、フラれるリスクを男性が取らないものだから(別に女性から誘ってもいいんですが)、「面倒見のいいおかんタイプ」が頑張るしかないのですが、彼女たちだって、我慢にも限界がありますし。

……もっとも、上記ポイントの1番目の「プロフ例」の「決断力がある」のが、俺サマだったりするのは、それはそれで問題なのですが。


◆もう1つは、第9章から引用した、上記ポイントの5番目の「パートナーシップ」という考え方。

最初の部分の「Hatelaboの日記」というのは、はてブホッテントリで話題になった、こちらの増田(はてな匿名ダイアリー)のことでした。

独身中年男性、狂ってきたので今のうちに書き残しておく

この人は結婚していませんが(今のところ)、むしろ「パートナーシップ」で問題なのは、熟年離婚を切り出される男性たちでしょう。
悩んでいる時に寄り添ってほしい、子育てで死ぬほど忙しい時にきちんとサポートしてほしい、病気で倒れた時に食事を作って看病してほしいという当たり前の欲求を持つ相方だ。
ということが理解できずに、それを怠ったことで、奥さんに「三行半」を突きつけられた結果、マッチング・アプリに出没したりするという……。

ただし、稼ぎがかなりいい、等の条件面がクリアできないと、マッチングはできない(しても長続きしない)だろう、というのが、速水さんの見立てであり、私もその可能性は高いと思います。

もっとも、こういう人に面と向かって説教できる女性はあまりいないし、できても相手は「馬の耳に念仏」でしょうから、アプリよりも結婚相談所に行った方がマシなような……。


◆また、アプリを使う上での注意事項も、本書ではいくつも収録されているのですが、ちょっと意外だったのが、上記ポイントの3番目のジムのトレーナーの件。

本来、会員に手を出すのはご法度のハズなんですが、歩合で収入も増えて、かつ、深い関係になるという「金&体」の一石二鳥を、このトレーナー氏は実践していたワケです。

ホストと違って、ジムだとそこまで注意はしないでしょうし、男性もアプリで出会う女性に、何かしらインセンティブがないかは注意した方が良いでしょうね。

なお、この人と速水さんは何もなかったのですが、別の男性からは、力ずくで危うく襲われそうになったのには、ビックリの巻。

……これ、普通に警察沙汰じゃないでしょうか。

そうでなくとも、既婚であることを伏せて口説いたり、たとえ独身でも「結婚を意識したお付き合い」をタテマエに、実際はヤリ目だったりする男性も当然いるので、女性の方は一応ご留意を。


◆なお、上記ポイントの4番目のTIPSは、第5章から抜き出したもの。

あまりに多すぎる「いいね!」の男性を避けたことが、彼女の成功の秘訣でした。

もちろん、「いいね!」が少ない理由も確認する必要がありますが、シオリさんが会った男性の場合は収入に関する記入に不備があったからとのこと(後に確認済み)。

速水さんもこれに習い、年収や職業で高条件の男性を全部スルーして、「いいね!」100以下に絞ったところ、「驚くほどの効率で続々と良マッチングできた」そうです。

実際にそのやり方で会った男性たちとの話も掲載されていましたが、なるほど「出会い」としては悪くないですし、感想としても「楽しかった」模様。

私も独身だったら、一度やってみたかったです。


マッチング・アプリで出会いを求める方なら、一読の価値あり!

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マッチング・アプリ症候群 婚活沼に棲む人々 (朝日新書)
はじめに 「マッチング・アプリ症候群」とは
第1章 アプリ婚活沼最強の捕食者、マッチング・アプリ症候群の人々
第2章 婚活沼という精神安定剤
第3章 究極の目標「2人で退会する」を叶えるポイント
第4章 マッチング依存で交際が性的・非性的に分岐する理由
第5章 アプリ婚活の奥義・「いいね!」10以下を狙え!
第6章 アプリからLINEへ お約束コースの罠
第7章 自分アバター化 マッチング・アプリの誰にも言えない副作用
第8章 マッチング依存だからこその最新婚活術
第9章 婚活に絶望した独身男性が選ぶべきたった1つの道


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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