2023年05月29日
【問題解決】『会社の問題の9割は「4つの武器」で解決できる』高松康平
会社の問題の9割は「4つの武器」で解決できる
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中であるの中でも人気の高い1冊。テーマが「問題解決」という、当ブログでも定番のものだけに、それも当然かもしれません。
アマゾンの内容紹介から。
「業務ミス」「売上目標の未達」「収益性の悪化」「新事業開発」の4つの問題を解決すれば、ビジネス上の問題の9割は解決できる。元マッキンゼーの「問題解決」のプロが、それぞれの問題を解決するのに欠かせない「4つの武器」を解説する。
中古に送料を加算すると定価を上回りますから、セール期間内であれば、このKindle版が900円弱お買い得です!
Maze Puzzle (Blender) / FutUndBeidl
【ポイント】
■1.「なぜなぜ分析」の前に「どこどこ分析」業務ミスやスケジュール遅れが起きた際には、すぐに「なぜそのミスが起きたのか(原因)」を深掘りしたくなりがちです。しかし、その前に「どこどこ分析」を行う必要があります。
この2つは少し似ているので、ここで、その違いを押さえておきましょう。
どこどこ分析では、起きた問題を単純に切り分けます。いわば、問題の分解です。例えば、「どこの部署で業務ミスが起きたのか」「どこのプロセスでスケジュール遅れが生じたのか」などといったことを確認します。つまり、問題を分解し、事実を確認することで、問題が起きた場所(悪い部分)を特定するのです。
それに対して、ステップ2で行うなぜなぜ分析では、その問題の原因を探ります。いわば、原因の分析です。「入力を間違えたから」「スケジュールに追われていて焦っていたから」などと問題が起きた原因を探ります。
「まずは、どこどこ分析」と覚えてください。その後に、なぜなぜ分析を行います。
■2.課題をまとめる3つのコツ
(1)因果関係を一文にまとめる1つめのコツは、「問題が起こる構造(因果関係)を一文にまとめる」です。(2)短くまとめる必要はない
因果関係とは、問題と原因の関係のことですが、それを一文で表現することで、「問題が起こる流れ(今起きている状況)」を確実に表現できます。課題をまとめた文章は、とても長くなることがあります。 課題は、無理に短く表現するのではなく、長くてもよいのです。(3)具体的な言葉で表現する課題が抽象的な表現になってしまうと、解決策立案も芯を外したアイデアになってしまう可能性があります。
例えば、自社の課題を「らしさを失ったから」と表現してしまうと、どんな「らしさ」を失ったのかがまったくわかりません。解決策立案に進んだとしても、何を考えればよいのか解釈の幅が大きくなってしまいます。
■3.原因仮説の7パターン
(1)市場に変化が起きているのでは?
(2)ターゲットセグメントに変化が起きているのでは?
(3)顧客ニーズを満たせていないのでは?
(4)顧客に自社サービスの魅力を届けられているか?
(5)(顧客価値を継続的に提供する)バリューチェーンを構築できていないのでは?
(6)バリューチェーンを支える組織に問題はないか?
(7)外部環境に大きな変化はないか?
(詳細は本書を)
■4.直すべき原因を2項対立で表現する3つのメリット
(1)納得感が上がる課題をまとめた後に上司に報告すると、決まって言われる言葉があります。(2)スピードが上がる
「それが本当に課題なのか?」「他にはないのか?」です。(中略)
そこで、課題はこれであると断定せずに、最初から2項対立にすることで、「他の選択肢もある中でこちらを選んだ」と伝えるのです。選択肢が2つある中から選んだ課題だとわかれば、上司の納得感も上がります。イシューに言い換えることで、最終ゴールに向かって、「どこを直せば問題を解決できるのか」と思考を進めることができるため、時間のロスがなくなります。(3)議論が巻き起こる良いイシューは、ミーティングなどの場で議論を巻き起こします。
「〇〇を直すのか? ××を直すのか?」という2択になると、意見が分かれ、多くの意見が出てくることがあります。
■5.新規事業の提案が通らない原因
新規事業の提案が通らない原因の1つは、考えるべきことを考えられていないことです。自分の思いついたアイデアに興奮してしまい、これで絶対いけるはずだとテンションが上がり、視野が狭くなってしまうことがあります。
ビジネスプランとして考えるべき要素を考えていないのです。
もうひとつの原因は、ビジネスプランとして検討すべき要素は網羅できているものの、それぞれの要素がつながっていないことです。
新規事業を考える際のフォーマットは、書籍やネットで調べればさまざまなものが見つかります。ただし、それらの中には、フォーマット通りに空欄を埋めただけでは、「なぜ成功が期待できるのか」が理解できないものも含まれています。
また、新規事業の提案が通らない原因が、評価者にある場合もあります。
自分の経験や勘に基づいて評価してしまい、新しい可能性を潰してしまうのです。新規事業を期待しているのに、自分が理解できるものだけを評価するのであれば、何のために新規事業プランを作ってもらっているかがわかりません。
【感想】
◆マッキンゼー上がりの著者さんの作品だけあって、非常にロジカルな内容でした。また、コンサルさんの作品によく見られるように、箇条書きが効果的に用いられていたり、ロジックツリーで章立てしたかのように、レイヤー感をひしひしと感じたのですが、当ブログの場合ボリュームの関係で、上記ポイントもレイヤーは気にせずハイライトを引いた部分から選んでいます。
たとえば、第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目の「どこどこ分析」のお話。
これは「業務改善担当」のステップの2番目(1番目は「現状分析」)に該当します。
確かになんでもかんでも「なぜなぜ分析」を行いたがる会社は多いですが、その前にまず「どこどこ分析」をせよ、というのは、非常に納得。
この後に、本丸である「なぜなぜ分析」のやり方も詳しく載っていますから、ご自分(や部下)にミスが多い、と思われる方は、この第1章は要チェックです。
◆続く第2章では、「ミス」ではないものの、いわゆる業績悪化等に対応して、売上目標を達成するための施策を検討。
そこで必要となってくるのが、第2章の章題にもある「営業の視点」です。
ここでもステップを踏んで検討していくのですが、「問題分解」⇒「原因分析」ときて、3番目のステップが「課題抽出」。
上記ポイントの2番目は、この「課題抽出」において、課題をまとめるコツを3つ列挙しています。
中でも注目すべきは、1つ目の「因果関係を一文にまとめる」であり、典型的なまとめ方はこうなるのだとか。
「課題は、●●という背景があって、××という営業活動をしていることである」なお、「●●」という部分には、「営業の視点」でいう「戦略」や「個人力・組織力」に書かれた点を入力し、「××」には、「営業活動」について記述するのだそうです。
また、3番目にある「らしさを失ったから」という抽象的な表現は、きわめて日本的だな、と感じました(自戒を込めて)。
◆一方、第3章では「収益性や成長性を高めていく」という、「問題解決」にしてはやや高度なテーマが登場。
こちらでも「問題分解」⇒「原因分析」というステップを踏むのですが、上記ポイントの3番目の「原因仮説の7パターン」は、問題が起きる原因の典型的なパターンなのだとか。
ちなみに、本書ではこの7つについて解説があるものの、より詳細を知りたい方は、本書の著者である高松さんのこちらの作品をお読みください(この本も今回のセール対象で「50%ポイント還元」になっています)。
筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」
参考記事:【問題解決?】『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』高松康平(2020年03月28日)
……当ブログでご紹介済みであるにも関わらず、今回のセール記事では2020年まで遡れなくて、掲載されていなかったのですが。
なお、仮説を考えたら、それを検証するわけなのですが、何も検討せずにいきなり情報に当たってしまうと、情報探しに夢中になってしまうので、「どんなデータを集めたいのか」を先に考えねばならないのだそうです。
◆また、上記ポイントの4番目は、同じ第3章の3つ目のステップである「課題抽出」からのもの。
小見出しに「直すべき原因を2項対立で表現する」とありますが、この「直すべき原因を2項対立で表現したもの」を、本書の以降の部分では「イシュー」と呼んでいます。
……これが一般的な呼び名なのか、ググってもよく分からなかったのですが。
ただ、ここにある3つのメリットのうち、1番目の「納得感が上がる」というのは、目からウロコでした。
確かにあらかじめ「2項対立」させておけば、上司も納得しやすそうな。
また3番目の「議論が巻き起こる」ことによって、第3の選択肢が現れるかもしれません。
◆そして最後の第4章では、それまでの章の「問題解決」とは異なり、新規事業創出の思考法におけるステップが指南されています。
ただし上記ポイントの5番目は、そのステップに入る前の前段階のもの。
思い付きのアイデアを膨らませても、実現性がなかったり、すでに誰かが考えていて、失敗ないしは事前に却下した可能性もありますから、落ち着いてよく考えてもらいたいところです。
ただ、「新規事業」はテーマが膨大な上に、なかなか経験値が積めない以上、スキルをマスターするのも難しそうな。
個人的には、新規事業を考えるなら、こちらの本はお目通しいただきたく。
解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法
参考記事:【オススメ】『解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』馬田隆明(2023年04月26日)
なお、本書は各章を通じて、架空の会社である「メガネフィット」を舞台としたケーススタディが章末に収録されており、理解が深まるのに役立ちました。
問題解決をマスターしたい方なら、要チェックです!
会社の問題の9割は「4つの武器」で解決できる
序 章 「4つの武器」で9割の問題は解決できる
第1章 「業務改善担当の視点」でミスをなくす
第2章 「営業の視点」で売上目標を達成し続ける
第3章 「事業部長の視点」で収益性や成長性を高めていく
第4章 「新規事業部長の視点」で新しいビジネスを創る
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【問題解決】『世界一速い問題解決』寺下 薫(2019年03月20日)
【問題解決】『「ゴール仮説」から始める問題解決アプローチ』佐渡 誠(2019年01月30日)
【オススメ】『解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』馬田隆明(2023年04月26日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。W27 世界のお酒図鑑 112の国と地域の地酒を酒の雑学・お約束とともに解説 (地球の歩き方W)
「地球の歩き方」とは思えない(?)内容の1冊は、Kindle版が1400円弱お得。
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同じく日替わりセールに何度か登場している「眠れなくなるほど面白い 図解」シリーズからのストレス本は、Kindle版が200円弱お買い得となります!
【編集後記2】
◆一昨日の「かんき出版 初夏の電書祭!」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。限りある時間の使い方
付加価値のつくりかた 一番大切なのに誰も教えてくれなかった仕事の本質
「正義」は決められるのか?
世界No.1の利益を生みだす トヨタの原価
よろしければご参考まで!
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