2023年05月17日
【受援力?】『社会人に最も必要な 「頼る」スキルの磨き方 あなたの力を120%発揮させる「伝え方+考え方」』吉田穂波
社会人に最も必要な 「頼る」スキルの磨き方 あなたの力を120%発揮させる「伝え方+考え方」 (角川書店単行本)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA 文芸&実用書フェア」の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。私自身、ある時期まで他人に頼るのが苦手だったこともあり、深く納得した作品でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
人口減少が続き、新型コロナウイルス感染症予防で人との対話が生まれにくくなっている社会において、重要性を増す力「受援力」。自分と相手の自己肯定感を高める、「困った時に他の人の助けを求めることができる力」を紹介します。
著者自身の経験をふまえ、受援力が高い人の共通要素を抽出しながら、公衆衛生学、コーチング理論、脳神経科学などの科学的な知見を整理したのが本書です。
送料を加算した中古よりは、このKindle版が400円以上お買い得となります!
Be kind, for everyone you meet is fighting a harder battle. ~Plato / katerha
【ポイント】
■1.「頼り合う」ことを肯定する「人に助けてもらう経験」は、自分自身を「人助け上手」にすることにもつながります。
自分が人助けをしていい気持ちになった場合に、相手に対して優越感を覚えているばかりでは、逆の立場になろうとは思いません。でも、人から助けられる経験をすると、同じように困っている人の存在に気づき、手を貸せるようになるのです。
なぜかというと、自分が助けてもらった経験を通して、自分に限界があることを知ると同時に、誰にでも限界というものがあることが理解できるようになるからです。すると、誰かを助ける時も謙虚になり、自然と手を貸す気持ちになります。自分が助けられることで謙虚になり、助けられることで人の優しさや自分の人間関係資本(ソーシャル・キャピタル/後述)に気づくことができるのです。
■2.相手に自分の持つ3つの感情を伝える
【敬意】何かを頼む時は尊敬・敬意を示してからです。「あなただから、頼ることができる」「あなただから、相談したい」と個人への敬意を示します。その一番簡単な方法は、相手の名前を呼んで「今、いいですか」と相手の都合にも配慮することです。【承認】相談する前に「聞いてくれて嬉しい」「助かります」「あなたがここにいてくれてよかった」と相手の存在を承認します。【感謝】相談を終えたら、相手が答えを持っていようといまいと、力になってくれるかどうかにかかわらず、可能な限りの感謝と喜びを伝えましょう。悩みごとが解決するかしないかではなく、自分の相談を聞いてもらえた、そのことだけでもありがたいという感謝の気持ちを示すのです。
■3.言葉をネガポジ変換する
「自分はどうしてこうなんだろう」そんなことを独りごちたりすると、自己肯定感が下がり、落ち込み、人に頼る気持ちにもなれません。自分を卑下してしまい、こんな自分のために他人の貴重な時間を費やしてもらうのは申し訳ない、こんな自分のために人の助けを借りるなんて……と思ってしまいます。(中略)
「どうしてできないんだろう」
そこで、「どうして、うまくいかないんだろう……」という言葉を頭の中で変換して、「どうしたら、うまくいくんだろう?」と言い換えてみると、どうでしょう?
先ほど説明したオートクラインを実践し、口に出して、自分の耳に聞かせると効果的です。自分の耳から前向き質問を聞いた脳が、その言葉を受け止め、解決策を探すよう、前向きな思考が起こるのです。
■4.「SBAR」で報連相
人は誰でも慌てると、とっさに物事を順序立てて話すことが難しいものですが、語呂合わせをするように定型文が出てくるようになれば、しめたものです。
「S」「B」「A」「R」という語呂さえ覚えておけば、話すべき「内容」と、話すべき「順序」を忘れなくなります。
この「SBAR」のそれぞれの英字が表しているのは、S/Situation「状況」というものです。この内容、順番で話すことで、相手に素早く(緊急性を)伝えつつ、適切な対処をしてもらうことができます。基本的には医療従事者のための、緊急時のコミュニケーションに適したノウハウですが、ビジネス上でも、「とっさに言葉が出てこない」時に使えるメソッドだと思います。慌てている時、頭が真っ白になっている時も、「SBARで報連相」と思い出してみてください。
B/Background「背景」
A/Assessment「評価」
R/Recommendation「提案」
■5.部下の受援力を肯定する
もしかしたら、読者の皆さんの中には、「自分一人で自分の人生を切り開いていきなさい」「何でも自分一人で解決できるようになりなさい」と教えられてきた人もいるでしょう。そして、同様のことを、自分が教えられてきた通りに部下に伝え、背中を押そうとしている人がいるかもしれません。しかし、そのように教えられた若い人たちが、本当に苦しい立場に置かれた時、迷わずSOSを出せるでしょうか。
部下を応援する立場の人こそ、受援力を肯定し、それを鍛えさせる姿勢が必要です。若い人たちや部下に対して、「頑張っているあなたは、助けられていいし、守られていい」「一人で孤独に立ち向かわなくてもいい」「必ず誰かが手を貸してくれる」「何ならいつでも連絡しておいで」と言ってあげられるのは、受援力の大切さと難しさを知っている皆さんにほかなりません。
【感想】
◆そもそも私は、「人助け(?)」とまではいかなくとも、日常生活ではちょくちょく他人さまのお役に立っていました。今のようにスマホのおかげで道案内が不要になる前は、銀座界隈で道を尋ねられるのもしょっちゅうでしたし(1日2回とか)。
ただ、逆に子どものころから、妙にプライドが高かったのか、あまり人にモノを頼んだり助けてもらったりとかは無かった方だと思います。
ところが今から15年ほど前、引っ越し当日の夕方に、0歳児のムスコをベビーカーに乗せつつ、荷物を運んで降りた駅には、改札階から地上まで、エレベーターもエスカレーターもありませんでした。
ムスコだけ先に地上に運ぶか……いや、それも危険か……などと途方に暮れていると、見ず知らずのサラリーマンが「お手伝いしましょうか?」と声をかけてくれまして。
迷うことなく「ありがとうございます!」と、二人がかりでベビーカーを運んで、その後丁寧にお礼を申し上げたのでした。
◆あの時の私には、断るという選択肢が物理的になかったので、素直にお願いできましたが、もし荷物がなかったり、ムスコがもうちょっと軽かったら(当時10キロあったんですw)、「いえ、大丈夫です」と断っていたかもしれません。
でも、あの夜をきっかけに、私はそれまでよりも、誰かに「頼る」ことが自然にできるようになった気が。
また、助けてもらったありがたさが身に染みてわかったので、今まで以上に誰かのお手伝いもしています。
……バスでベビーカーを下すのを手伝うのは、私の十八番なんですよw
これぞまさに、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目に書いてあること、そのまんまですよね。
◆続く第2章では、頼るための手順を指南。
「頼るスキル」である「受援力」を磨くべく、上記ポイントの2番目の「3つの感情」を伝えていきます。
「尊敬・敬意」を示して、相手の存在を「承認」し、結果の如何にかかわらず、「感謝」を伝える。
著者の吉田さんは、この「受援力」をテーマにした講演をされる際は、この3つのポイントを使って、お互いに頼み合う「受援力ゲーム」をするのだそうです(ゲームの詳細は本書を)。
一方第3章では、頼る際にネガティブな考えに陥るのを避けるため、上記ポイントの3番目にもあるように、ポジティブな言葉に言い換えることを推奨。
確かに気分が落ち込んでいると、かえってモノを頼みにくいというのは、個人的には盲点でした。
当ブログでもこんな本をご紹介していますが。
一生使えるポジティブ言い換え言葉 - 好感度も運気もあがる魔法の言葉選び -
参考記事:【言い換え】『一生使えるポジティブ言い換え言葉 - 好感度も運気もあがる魔法の言葉選び』えらせん(2021年07月16日)
◆また、上記ポイントの4番目の「SBAR」なるものは、第4章から引用しました。
普段から、相手にものごとを伝えるのが苦手な人が、いざ頼みごとをするとなったら、さらにテンパること必至ですから、こちらも押さえていただきたいところ。
本書では、実際に「受援」の例も掲載されていますので、そちらをご紹介しておきます。
S/明日の会議を休まなくてはいけなくなりましたなるほどこれなら、相手をイライラさせることもなさそうですね。
B/子どもが熱を出したため小児科を受診し看護休暇を取ります
A/本日の会議資料はメールで送りました
R/資料を配付し、詳しい質問があったら持ち帰って検討しますと答えてください
◆そして1つ飛んだ第6章から抜き出したのが、上記ポイントの5番目のお話。
そう、自分が「受援力」を発揮するだけでなく、部下がいたら部下にも「受援力」を発揮してもらわねばなりません。
特に部下にとっては、上司の態度ひとつで、頼めるものも頼めなくなりますから、これも当然のことでしょう。
さらには、部下が言ってこなくとも、「SOS」のサインを見逃さないこと!
「頼り合える組織」こそが、私たちが目指すべき目標なのですから、部下がいらっしゃる方ならこの第6章は必読でしょうね。
もちろん、私のように頼み下手の方なら、全章チェックしてください。
「受援力」を身につけるために読むべし!
社会人に最も必要な 「頼る」スキルの磨き方 あなたの力を120%発揮させる「伝え方+考え方」 (角川書店単行本)
第1章 頼るのは「弱いから」ではない
第2章 上手に頼るための「伝え方」
第3章 上手に頼るための「言い換え」
第4章 「うまく主張する」「うまく断る」方法
第5章 「人間関係資本」と「チーム」について
第6章 心理的安全性の高い職場と社会をつくろう
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【言い換え】『一生使えるポジティブ言い換え言葉 - 好感度も運気もあがる魔法の言葉選び』えらせん(2021年07月16日)
【編集後記】
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