【話し方】『話し方の正解誰とでもうまくいく人の55のルール』桐生稔:マインドマップ的読書感想文

2023年04月24日

【話し方】『話し方の正解誰とでもうまくいく人の55のルール』桐生稔

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本ゴールデンウイークセール」の中でも個人的に読みたかったコミュニケーション本。

おそらくセール初登場となる、桐生稔さんの昨年秋の作品です。

アマゾンの内容紹介から。

“自分が言いたいこと”と“相手が聞きたいこと”はまったく違う――。
話し方というと、何をどういう順番で話すか、つかみはどうする、笑いがとれる間のとり方は、といったことに思いをめぐらしがちですが、それ、間違っています。
とくに、人間関係を大事にしたいなら、まず「相手の頭の中」を透視してください。透視? というといかがわしく聞こえるかもしれませんが、余計なことを考えずに、頭の中を想像してみましょう。相手がしてほしいこと、期待していること、投げかけてほしい言葉を察知してください。
話し方の正解は、「相手の頭の中」にあります。それをキャッチして、会話に盛り込めば、あなたが描いた通りになります。相手を嫌な気持ちにすることなく、あなたが望んだ通りに相手を導くことができるでしょう。

まだ中古があまり値下がりしていませんから、このKindle版が600円弱お買い得です！

Cameron giving Jared a pep talk / juliejordanscott

【ポイント】

■1.相手の頭の中を想像する

　これは、知り合いのコンサルタントから聞いたお話です。
　取引先に「腸内を健康にするサプリメント」を販売している会社があったそうです。
　そのサプリは腸内フローラが5兆個、20種類のビフィズス菌が入っており、いかにも腸に良さそうな素晴らしい商品です。しかも、値段は1カ月分1000円と破格の安さ。
　しかし、サプリの販売者は「いろいろ良さをアピールしているのですが、全然売れません……」とコンサルタントへ相談にきたそうです。
　さて、あなたならどうやってこのサプリを売り出しますか？
　そのコンサルタントは数分間考えて、こう提案したそうです。
「腸内フローラが5兆個、20種類のビフィズス菌……よりも、こう打ち出しましょう。
〝オナラの匂い、解消しませんか？〟」と。
　私は「相手の頭の中を想像するとはまさにこういうことだ!!」と思いました。

■2.「もし＋○○」の質問で相手の興味を引き出す

「もし」で質問されると、その後には必ず空白が生まれます。
　もし＋◯◯（空白）？
　相手は答えたくなるのです。
　ビジネスシーンで、部下からアイデアがほしい場合は、
「もし、社内のコミュニケーションを円滑にするなら、何に取り組めばいい？」
「もし、今すぐ実施できることがあるとしたら、何だと思う？」
「もし、1つだけあげるとしたら、何ができるかな？」
　と質問します。「もし」で質問されると、社内のコミュニケーションなんて私には関係ないと思っている部下も、何かしら考え始めます。(中略)
　仮の話なので、答えても責任が発生せず、相手は答えやすいのです。
「もし」から始まる質問は非常に単純ですが、効き目は抜群です。

■3.「具体」「類比」「被せ」を使って言葉を取り出す

司会者「○○さん、今のプレゼンはいかがでしたか？」
　　　　　　↓
×あなた「良かったと思います」
　これだけだと、何が良かったのかよくわかりませんよね。
　ただ、「良かった」と思う背景は必ずあなたの中にあるはずです。
　その背景を取り出します。
　このようなやり方です。
「良かったと思います」＋
(1)具体「具体的には、数字が明確に示されていて非常にわかりやすかったです」
(2)類比「まるで、一枚の絵を見ているかのようにイメージが鮮明に伝わってきました」
(3)被せ 「大変納得でした。本当に素晴らしいプレゼンでした」
　具体とは、具体的に伝えること。類比とは、似ているものを示すこと。被せとは、同じようなことを被せていくこと。「良かった」「大変納得」「素晴らしい」……すべて同じようなことを言っていますが、「良かった」だけよりも気持ちは伝わります。

■4.会話の主導権は聞き手にあり

　会話のイニシアティブは、常に話を聞いている側にあります。
　例えば、次のような会話です。
「そうなんですね。ということは、最近あまりお休みがないんですか？」
　これは相手の話を聞いているようで、話すテーマを決めているのは聞き手です。(中略)
　相手の話に耳を傾け、話を聞き、質問し、また聞き、質問し、相手の話を受け取る。
　相手は話したいことを話している感覚になりますが、実は話の方向性を決めているのは聞き手です。
　だからよく言われるのです。
「コミュニケーションの達人は、話し上手より、話させ上手」 と。
　ただ、「うんうん」と聞いているのではありません。
　自分が設定したテーマについて、どんどん相手に話してもらいます。

■5.リモートでは対話式プレゼンで聞き手との距離を縮める

　リモートでは「全員が目の前で聞いている」。
　この利点を活かすと、こんな考えが浮かんできます。
「目の前の人と、まるで対話するかのように話すのが最善」
　もちろん、実際に対話するわけではありませんが、まるで対話するかのように、プレゼンの中で聞き手にこう問いかけて話します。
「こんなことでお困りではありませんか？」
「この商品でお悩みを解決することができます」(中略)
　実際に聞き手から答えてもらうわけではないのですが、「？」を入れて話すと、話し手と聞き手が対話しているかのような感覚になります。
　オンラインでのプレゼンスタイルは、まさに「対話式」です。
　実際に聞き手の気持ちを代弁し、それに答えて、まるで対話をしているかのごとく一緒にその場を作り上げること。
　何と言っても、聞き手は全員目の前にいるのです。

【感想】

◆なかなか納得感の高い話し方本でした。

著者の桐生さんは、話し方のセミナーやスクールを運営する会社の代表取締役だけあって、その著作も話し方に関するものがほとんどです。

Amazon.co.jp: 桐生稔:作品一覧、著者略歴

その分、内容のかぶりもあるのかもしれませんが、とりあえず私が読んだことがあるのは、この1冊のみ、ということで、特に気にもなりませんでした。

「30秒で伝える」全技術　「端的に話す」を完璧にマスターする会話の思考法

参考記事：【話し方】『「30秒で伝える」全技術　「端的に話す」を完璧にマスターする会話の思考法』桐生稔（2021年04月04日）

さて、さっそく内容を見ていくと、冒頭の内容紹介の「話し方の正解は、『相手の頭の中』にあります」という一節に言及しているのが、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目。

確かにこの例だと、消費者は「腸内フローラを5兆個増やしたい」なんて思っていないのは明らかです。

そこで実際に「困っていることを解決してくれるもの」を提供することで、このサプリは爆発的に売れたのだそう。

◆続く第2章は「誰とでもうまくいく話し方」というテーマで、実はこの章から、本書のタイトルにある「ルール」が展開されています。

その中の1つが上記ポイントの2番目にある「『もし＋○○』の質問」。

確かに仮定の話として問われると、答えやすくなるものです……という話は以前読んだ何かのモテ本にも載っていたような。

また、モテ本つながりでいうなら、人は目を見て、相手の様子をジャッジするゆえ、「相手が話したくなるような目」をするのが良いとのこと。

そのためにすべきことは……まぶたを上げる!?

　相手に会った瞬間、パっと瞼を上げる。そうすると眉も上がります。表情が引き上げられ、エネルギーを感じるいい顔になります。

これも何かのモテ本で読んだことがあるテクですが、汎用性があったんですね。

◆一方第3章は、「仕事で結果を出す話し方」というテーマなので、当ブログ的にはハイライトを引きまくり。

中でも上記ポイントの3番目のTIPSは、類書でも見た記憶がないのでセレクトしてみました。

特に例文の中の「具体的には」と「まるで」は、定番の言い回しとして覚えておきたいところ。

ちなみに桐生さんは「類比」をとにかく多用するとのことで、まだ思いついていなくとも「例えば」「まるで」と言うと、似ているものが頭の中に浮かんでくるのだそうです。

他にもこの第3章は、謝り方から、部下のほめ方、叱り方等々、ビジネスシーン向けのTIPSが多いので、お見逃しなく。

◆また第4章では、仕事に限らない話し方の技術が数多く紹介されており、桐生さんの他の作品のテーマでもある雑談や、挨拶等についての言及が。

そんな中、上記ポイントの4番目のお話は、結構目からウロコでした。

なるほど上手に質問されると、人はついついそれに答えてしまうもの。

つまり、自分の意図する方向に質問を持っていけば、この小見出しのように聞き手が会話の主導権を握ることができるわけです。

……いや、確かに過去読んだ作品でも、「質問本」はどれも鋭いところを突いていましたしね。

◆なお、上記ポイントの5番目は、第5章の「リモート時代の話し方」からのもの。

私はまだオンラインでセミナーを受けたことはありませんが、本来（リアル）であれば「1対多」であるあところ、オンラインだと「1対1」のようになる次第。

そうなると、その状況を活かさない手はありません。

これは堅いテーマであっても同様で、リモートで100人に話すにしても、聞き手に寄り添って、共感しながら話すと、まるで目の前で丁寧に説明されているような感覚になるのだとか。

私は予定はありませんが、リモートでセミナーや講演を行う方なら、参考にしてみてください。

コミュニケーションスキルをより向上させるために読むべし！