【モテ?】『100歳まで出会える人生』三輪賢治:マインドマップ的読書感想文

2023年04月20日

【モテ?】『100歳まで出会える人生』三輪賢治

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本日が最終日である「Kindle本社会・政治書キャンペーン」からの恋愛本。

扶桑社分のランキングで、いきなりトップとなっていた（僅差ですが）のですが、必ずしも中高年以上向けというワケではないので、ご留意ください。

アマゾンの内容紹介から。

婚活、パパ活、既婚者合コン、卒婚、メタ婚etc.
AI婚活から性別を超越したバーチャル世界まで“マッチング3.0”によって人は死ぬまで恋愛できる時代に。
「昭和」「平成」「令和」と出会いの方法はどう移り変わったのか。
また、多様化する出会いと共に、男女の「結婚観」や「夫婦観」はどのようにアップデートされているのか。過去から未来を読み解いていく。

中古があまり値下がりしていないため、このKindle版が400円弱お買い得です！

woodwork couple / strollers

【ポイント】

■1.カジュアルな小遣い稼ぎである「ギャラ飲み」

　今、人気のある遊びの1つにギャラ飲みがあります。顔の広い女性が容姿端麗な若い女性を集めて開催したり、アプリなどを利用してマッチングする方法があります。
　レストランなどで開催されますが、女性側は飲食費を払わずに済むだけでなく、ギャラがもらえるのが特徴です。ギャラの額は人によって異なりますが、一般的にはキャバクラやクラブで遊ぶよりも安く済むことが多いです。また、会社員やエステティシャンなどの仕事をしている女性が副業で行っていることが大半なので、素人っぽさを求める男性から人気が高いという一面もあります。(中略)
　もちろん、ギャラ飲みで出会い、その後、愛人関係などに発展していくこともあります。〝パパ〟を探す女性にとって、〝愛人〟を探す男性にとっては、まずは食事をして会話をして、お互いに交際をしていけるかどうかを確かめられる機会にもなります。

■2.「AI婚活」で理想の人と出会える？

　すでに2016年度から本格的にAI婚活を先取りして導入している「えひめ婚活支援センター」（愛媛県）では、過去のお見合い希望の結果をAIが分析し、お互いにお見合い希望は出していないけれど、カップリングが成立する可能性が高い組み合わせが導き出されたら、紹介することにしています。その結果、お見合いに至った割合は、それまでの 13％から 33％に上がったというデータも出ています。
　また、埼玉県でも2018年に1500万円を投入して、AI婚活を行っています。婚活支援サービス・パートナーエージェントを運営するタメニーと提携し、「自分には人並み以上の知力がある」「仲間とはいっしょに楽しい時間を過ごす」などの価値観に関する112の質問に答えると、希望に近い人をAIが導き出して紹介してくれるシステムです。
　つまり、価値観の一致度を重視したカップリングをAIが提供してくれるというわけです。埼玉県少子政策課の発表では、2019年度に成婚した38組のうち、過半数の21組が、AIの推薦によるカップルだったという報告も出ています。

■3.近年注目を浴びている「趣味コン」の世界とは？

　さて、出会いにおけるコミュニケーションのハードルの高さは、初対面同士があれこれ話さなくてはならない点にあります。(中略)
　ですが、その点において、趣味コンであれば「趣味を一緒にやっている」という前提があるため、「大変ですね」「気持ちいいですね」「いい景色ですね」など、自然な会話が生まれやすくなります。この点が最も参加者の精神的な負担を下げているのではないかと考えています。(中略)
　実際、〝オタク〟をテーマにした趣味コンは多く開催されており「オタコン」「オタパ」などのネーミングさえつけられています。
　結婚相談所にもオタクをテーマにした業者が現れており「ヲタ婚～ヲタクに婚活は難しくない！」というサイトを運営。交際成立率は60％、そのうち成婚率は62.１％と非常に高い成婚率がアピールされています。

■4.アプリ、サイト等での業者の見分け方

　では、事前に業者を見分けることはできないのでしょうか。様々なプロフィールを分析したところ、次のような女性は業者の可能性が少なくありません。
・モデルのような美人が顔出ししている写真を使っている。
・胸の谷間やスタイルを強調した写真を使っている。
・好みの男性の年齢幅が広い（20歳～60歳など）。
・メッセージで過剰に性的なアピールをしている。
・すぐに会いたがる。
・別のサイトに誘導してくる。
　業者の作った偽アカかどうかを見定めるために、ウインクやピースなど、ポーズを指定した追加写真や動画をリクエストするという方法で危機回避を試みる人たちもいるようです。

■5.既婚者専用マッチングアプリ＝不倫系ではない

　まず根本的に注意しなくてはならないのが、既婚者マッチングアプリ、イコール不倫系アプリではないということです。既婚者マッチングアプリのほとんどが、基本スタンスとして不倫を推奨しておらず、不倫を助長すること自体をＮＧとしています。
　既婚者同士の出会いの場を作っておきながら、不倫は推奨していない!? と、確かに混乱を呼ぶスタンスです。(中略)
　想像してみてください。もし職場や習い事、またはこどもの学校のPTA活動といった場所で、家庭もあり子供もある人間が、ギラギラと出会いを求めていたらどうでしょうか？　ドン引きされてハブられるのは必須ではないでしょうか。ネット上でも同じこと。既婚者には、〝建前〟が求められるのです。もちろん、運営サイドが不倫を助長していると批判を受けないためというのもあります。
　つまり、既婚者マッチングアプリでは不倫相手を探すことだけが目的なのではなく、配偶者との関係における悩みを相談したり、既婚者ならではの孤独感を分かちあったりと、既婚者同士でなければわからない問題についての話し相手を探している場合も多いのです。

【感想】

◆冒頭でも触れたように、タイトルにある「100歳まで」というフレーズには、少々違和感のある作品でした。

と言いますか、年齢で区切ったり、中高年（100歳と言ったら老年ですが）に特に向けたサービスというのも、本書には登場してきません。

確かに内容紹介には「人は死ぬまで恋愛できる時代に」というフレーズがありますし、「100歳『まで』」ですから、「ティーンエイジャーも含まれる」と言われたらそのとおりなのですが。

さらに、「家族としての形が変わるという意味を込めた『卒婚』」なるテーマは登場していますから、それを踏まえると上の年齢層の方が読んでもおかしくはないのかも。

もっとも、特に中高年以上の方が、パートナーを探すのであれば、こちらの作品の方をお薦めしたく。

人は死ぬまで結婚できる　晩婚時代の幸せのつかみ方 (講談社＋α新書)

参考記事：【熟慮婚?】『人は死ぬまで結婚できる晩婚時代の幸せのつかみ方』大宮冬洋（2018年04月04日）

◆一方、肝心の本書はというと、比較的最近のトレンドについてもカバーしています。

たとえば上記ポイントの1番目の「ギャラ飲み」。

こちら、何となく噂には聞いていましたが、昨今のスマホアプリのおかげで、マッチングも容易になったことが、ブームの要因にもなっているようです。

ただ、アプリを用いることで、マッチング会社に税務調査が入れば、お金の動きは丸見えですから、ギャラ飲みで報酬を得ていた女性が追徴課税になったという話も。

また同様に、アプリによって急拡大したのが、いわゆる「パパ活」です。

本書の第3章では、このパパ活をかなり掘り下げているのですが、いわゆる「売春」的な行為と言えなくもない（デートだけの人も当然いますが）ので、今回は割愛しました。

◆逆にまじめな出会いをお探しの方にチェックして欲しいのが、第2章から抜き出した上記ポイントの2番目の「AI婚活」です。

実際に何にAIを使っているのかよく分かっていなかったのですが、本書によると

AIは性格、価値観、趣味思考、行動パターン、異性との付き合い方といった、いままでの婚活ではマッチングに適用しにくかった要素を数値化することで、会員の大量のデータを様々な角度から検証して、相性のよい相手を選び出していきます。過去のマッチングの成功例や失敗例などが蓄積されていれば、その膨大なデータを活かせるのが強みとなります。

とのこと。

確かに従来だと、一般的なスペック(年齢、身長体重、収入等）でしかマッチングしにくかったのが、それ以外の曖昧な要素も活用できるのは大きいです。

しかも、実際に成果が上がっているようならば、今後も期待できるそうな。

また同じ第2章からは、上記ポイントの3番目の「趣味コン」のお話もセレクトしました。

いきなり「趣味コン」と言われても分かりにくいですが、「合コン」的な飲み会を「街」レベルでやる「街コン」というものがあって、それを「趣味」をキーに募集するのが「趣味コン」になります。

実際、他の婚活本でも「趣味コン」の話を読んだことがありますが、特にスペックに自信がない人にとっては、それ以外でアピールできる点で秀逸なよう。

◆また、前述のように第3章は「パパ活」話がメインになります。

相場やら、隠語（特に売春関係用語等の削除対象ワード検索を逃れるための）やら、インタビューが掲載される中、出会い系全般に使えそうなのが、上記ポイント番目の「業者の見分け方」。

昔から出会い系には業者がつきものですが、これらの要件に引っかかったら、即、切っちゃって良いと思います。

……そもそも、そんな美味い話が、何で向こうからやってくるのか考えてみたら分かりそうなものですが。

さらには、最後の「ポーズを指定した追加写真や動画をリクエストする」というのは、ナイスアイデアでしょう。

もっとも私が業者だったら、「疑ってるのね！ヒドイ！」とか「ショック！」とか返事して、相手の譲歩を引き出しますが（ダメ元で）ｗ

◆さらに第4章では、大胆にも不倫について言及しています。

そしてこちらもやはり、マッチングアプリが主戦場らしく。

そういえば昔、「アシュレイ・マディソン」という不倫サイトが情報漏洩して、実は女性がほとんどいなかったことが話題になりました。

不倫サイト「アシュレイ・マディソン」に女性はほとんどいなかった？　情報流出であらわに - ITmedia NEWS

一方、現在主流なのは、上記ポイントの5番目にある、「非不倫系」とも言える「既婚者マッチングアプリ」なのだとか。

ただし、100％ピュアなわけではなくて、運営側としては「既婚者マッチングアプリは、『既婚者同士が出会ってコミュニケーションをとる』もので、その先に、もしかしたら交際が待っているかもしれないけれど、運営側は関知しませんというスタンス」なのだそうです。

……なるほど、奥が深い。

出会いが欲しい方なら、セール最終日の本日中にぜひ！