2023年04月06日
【言語化】『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』荒木俊哉
瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて人気が高かった1冊。電通の売れっ子コピーライターである荒木俊哉さんが、思考を言語化するテクニックを指南してくださっています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、そんな「思いをうまく言葉にできない……」と悩むビジネスパーソンに向けて、「言語化力」を鍛えるメソッドを伝えるものだ。
そのメソッドとは、「頭に思いついたこと」を、A4一枚の「メモ」に次々と書いていくだけの、非常にシンプルなトレーニング。
ただし、「1枚2分」の短い制限時間内で「素早く」書く。
1日3枚で終わらせる。
この「言語化力トレーニング」を毎日の習慣にする。
すると、いつでも必要なときに、必要な言葉が、「瞬時に」出てくるようになる――。
そんな「瞬時に言語化できる」世界へと、あなたをお連れしよう。
上記記事の時点では定価だったKindle版が、「10%OFF」と値下げになっています!
Pennsylvania School Counselors Association Conf. / ArmyStrongPA
【ポイント】
■1.「コミュニケーション本」を読んでも、「言語化力」は身に付かない「言いたいことはあるのに、うまく言葉にできない……」
本書を手に取ったあなたは、こんな悩みを持っているのではないでしょうか。(中略)
「言語化」がうまくできなければ、「あっ、この人は何も考えていないな」「あの人は何が言いたいのかよくわからない」と、社会人としてのレベルをかなり低く見積もられてしまいます。
しかし、そんなにも重要な能力であるにもかかわらず、日本では訓練される機会がまったくと言っていいほどありません。だからこそ、冒頭のような「言語化コンプレックス」を持つ人の多くは、書店に並ぶ「コミュニケーション本」に救いを求めるように感じています。
しかし、そういった本に書かれているスキルをいくら習得しても、「言語化力」を高めることはできません。なぜなら、世の中のコミュニケーション本のほとんどは、すでに言語化された言葉を「どう言うか」という「伝え方」のスキルを学ぶ本だからです。
■2.感じていても「気がついていない」
では、「言語化ができる人」と「言語化ができない人」の差はどこで生まれるのか? まずは、「日々の何気ない日常の中でも、自分は必ず何かを感じている」という事実に、気がつけるかどうかです。「気がつく」だけで、言語化できるようになるかの 50%は決まるといっても過言ではないでしょう。(中略)
たとえば、テーブルで隣になった若者たちが誰もビールを飲んでいない様子を見かけた瞬間、人は何を感じるのか。試しに言語化してみたいと思います。「若者って本当にビール飲まないんだな」他にもたくさんあるかもしれませんが、こうやってひとつひとつ言語化してみると、自分が一瞬のうちにたくさんのことを感じていたことにきっと驚くと思います。そして、言語化することで初めて、自分が感じたことを理解できるようになるのです。
「乾杯する行為自体は今の若者も変わらずやってるんだな」(中略)
■3.言語化力を磨くための6つのステップ
(1)「思い」のほとんどは頭の中で言語化されていない
(2)頭の中にあるほんの一部の「言葉」を、まずは書き出してみる
(3) 書き出された「言葉」がトリガーとなり、「無意識の思い」が言語化される
(4)言語化された「無意識の思い」をさらに書き出す
(5)追加で書き出された「言葉」が再度トリガーとなる
(6)「思い」が言葉の状態で大量にストックされる
(詳細は本書を)
■4.具体的なメモの書き方
A4コピー用紙ですが、「1枚にひとつの問い」をルールにしてトレーニングに取り組んでもらいたいと思います。(中略)
次に、ひとつの「問い」を決めたら、それをA4コピー用紙の一番上に書きましょう。そのときに、できるだけ大きく書くのが大切です。
さらに、書いた「問い」を四角で囲んで目立つようにしてください。(中略)
次に、用紙の真ん中に線を引いて、用紙を上下に分割してください。上には問いに対する「思考(思ったこと・感じたこと)」を書き出してもらい、下には「理由(そう思った理由・そう感じた理由)」を書き出していただくためです。(中略)
では、あなた自身が決めた問いについて「思いついたこと」を何でもいいので、まずは一行書き出してみましょう。(中略)
ここで「それって、どういうこと?」と自分に対して、疑問を投げかけてください。 そこであなたが感じたのが「相手の意見を否定しない姿勢」だとした場合、1行目の下に罫線を引っ張って、2行目にその内容を書き出します。(中略)
まずは、「思考」ブロックで最後に書き出したメモを「丸」で囲みます。そこから、「そう思った・そう感じた理由」を、下の「理由」ブロックに書き出していきます。(中略)
さらにそこから、「芋づる式言語化思考法」を使って、「理由」についても言葉を深めていきましょう。
■5.「できごと」だけでなく「感じたこと」も思い出す
チームの課題点をメモに書き出しながら言語化していくにあたって、まずは「チームでの経験」を思い出そうというお話を先ほどさせていただきました。たとえば、最近チームで行った会議についてご自身の記憶をたどってみましょう。
そのときに重要なのは、「このあいだチームで会議をやったなぁ」という「できごと」で思考を止めないことです。残念ながら「できごと」ばかり思い出しても、それはあなたの意見や思いの言語化にはつながりません。その「できごと」を通じて、あなたが「感じたこと」は何だったのか。そこにまで思いを巡らすことこそが「チームでの経験を思い出す」ということなのです。
【感想】
◆本書に関して、まず最初に挙げておきたいのが、結構前からビジネス書の一大ブームとなった「伝え方本」と、本書は根本的に違うということ。おそらくこの本の大ヒットを契機として、「伝え方本」が非常にたくさん書かれたという記憶があるのですが。
伝え方が9割
参考記事:【こんな方法あったんだ】『伝え方が9割』佐々木圭一(2013年03月05日)
何せこの本、単独で100万部を突破したらしいですから、それは「柳の下〜」となりますよね。
ただし、上記ポイントの1番目で触れているように、「伝え方本」というのは、すでに言語化されたものの「伝え方」を学ぶものであって、そもそもの「言語化」には言及されていません。
◆そこでその「言語化をいかにするか」を考える上で、まず押さえておきたいのが、上記ポイントの2番目にあるように「自分が何かしら感じたことに『気がつく』」ということ。
目の前の風景に関して、頭の中ではぼんやり感じているのに、普通はそれに気がつかないんですよね。
つまりそれは言語化されていないからであって、感じたことを、1つひとつ言語化することで、感じたことに気がつけるワケです。
……なお、私は最初「感じる」という言葉から、いわゆる五感的なもの(「うるさい」「美味しそう」「いい匂いがする」)を想像したのですが、本書において「感じる」は俗に言う「思う(「考える」ほどではなく)」的なものを指す模様。
これ、ひょっとしたら頭の中でブツブツ独り言を言うと良いかもしれません。
◆さて、その「感じた」ことを、本書では「とりあえず書き出す」ことを推奨しています。
そうすることで、言語化力が磨かれるそうで、具体的には6つのステップを踏むとのこと。
上記ポイントの3番目でその6ステップを挙げてみましたが、これらはいずれも小見出しであり、本書ではそれぞれ細かく解説されています。
ちなみに(4)で「さらに書き出す」とありますが、基本的には水平ではなくて、垂直方向に掘り下げる感じ(「芋づる式」と言われています)。
私は結構、あれこれ書き出す(書き散らかす)のは得意なのですが、掘り下げるとなると、苦戦しそうです。
しかも、このメモの書き出しには、1枚2分という制限時間が設けられているので、かなりハードな予感……。
◆そして具体的なメモの書き方は、上記ポイントの4番目に抜き出しました。
……のですが、文章で書くと、非常に分かりにくいのがつらいところ。
さらに簡単に言うと、まずA4用紙を縦にして、横書きで1番上に「問い」を、真ん中に線を横に引いて、上半分に「思考」(どう思う?/どう感じる?)を、下半分に「理由」(なぜそう思う?/なぜそう感じる?)を書きます。
そしてそれぞれをどんどん深掘りしていく(下に書き連ねていく)と、言葉の解像度が高まる次第。
これホント、収録された図を見ていただけると、よく分かるんですよね。
できれば版元には、アマゾンの方にでも画像として追加して欲しく……。
20230406追記
……などとぼやいていたら、著者様から画像をいただけました! ありがとうございました!!
メッチャ分かりやすいですよね?
この度は本の内容をブログで大変わかりやすくまとめていただきどうもありがとうございます。ブログ内に記載がありました本書で使用している図の画像に関して、出版社に許可を得ましたので、誠に勝手ながらお送りさせていただきます。もしよろしければご活用いただけますと幸いです。 pic.twitter.com/UKzEqzyug4
— 荒木俊哉 (@kushun1101) April 6, 2023
さらに第4章では、「実践編」と題して、「会議」「マネジメント」「商談」「プレゼン」等々、具体的な「問い」に対して、このA4のメモ書きが作成されていますので、ぜひこちらもご確認ください。
◆そして最後のポイントの5番目は、本書の第5章の「もっと『言語化』できるようになる方法【発展編】」からのもの。
ここではさらに高いレベルの「言語化力」を目指していきます。
特に触れていませんが、第4章の問いの例で「今のチームの課題点は何だろう?」というものがあり、その課題を掘り下げる以上、「チームでの経験」を思い出すことになるハズ。
そこで留意したいのが、「できごと(経験)」で思考を止めずに、「何を感じたか」まで考えなくてはならない、ということです。
これはもちろん、今回の問いに限りませんから、過去の経験を思い出す際には、「感じたこと」まで書き出すようにしてください。
ちなみに1人で「素振り」をするために、巻末にはテーマごとに合計500もの問いが用意されているという親切設計(鬼や〜😂)!!
言語化能力を高めたい方なら要チェックです!
瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。
第1章 人は「伝え方」より「言語化力」で評価される
第2章 どうしたら「言語化」できるようになるのか?
第3章 瞬時に「言語化」できるようになるシンプルなトレーニング
第4章 瞬時に「言語化」できるようになるシンプルなトレーニング【実践編】
第5章 もっと「言語化」できるようになる方法【発展編】
【関連記事】
【こんな方法あったんだ】『伝え方が9割』佐々木圭一(2013年03月05日)【言葉】『「言葉にできる」は武器になる。』梅田悟司(2018年10月08日)
【思考術?】『一番伝わる説明の順番』田中耕比古(2018年06月20日)
【20のメソッド?】『伝わっているか?』小西利行(2014年06月12日)
【マッキンゼー流思考術?】『思考を広げる まとめる 深める技術』太田薫正(2014年05月29日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。ことばの結びつき辞典 (コロケーション・定型句) (ことば選び辞典)
タイトルを見ても、何を扱っているのか分からなかったのですが、「『相槌を―』に続くのは『打つ』? 『入れる』? どっち?」のような、「決まったことばのつながり(=コロケーション)」が約3200項目も掲載されているのだとか。
お値段も「299円」と激安なので、とりあえず私も買っておきました。
【編集後記2】
◆昨日の「Kindle本 新年度応援キャンペーン」の最終回分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。食事のせいで、死なないために[合本版]
道徳教育は「いじめ」をなくせるのか 教師が明日からできること
NHK出版 なるほど!の本 あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて
マグロの最高峰 (NHK出版新書)
よろしければご参考まで!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
当ブログの一番人気!
10月17日まで
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです