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2023年03月24日

【思考術】『思いつきを価値あるアウトプットに変える 思考の手順』田中耕比古


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思いつきを価値あるアウトプットに変える 思考の手順 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気が高かった思考術本。

著者である田中耕比古さんの作品をここ最近立て続けに取り上げておりますが、それだけテーマが当ブログ向きということは言えると思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書の著者は、コンサルティングファームに転職したことで、「考える」ということに真剣に向かい合うことになりました。そして、いろいろな本を読み、たくさんの先輩から教わり、多種多様なコンサルティングプロジェクトに従事する中で、苦労しながら、少しずつ「考える技術」の体系化を進めてきました。そのエッセンスが、この1冊で学べます。

相変わらず中古価格が定価を上回っていますから、「21%OFF」とさらにお得になったKindle版がオススメです!





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【ポイント】

■1.価値のあるアウトプットをする
「もっとしっかり考えなさい」
「もっと深く考えなさい」
 そういう指摘を受けたことが、誰しもあるでしょう。
 あなたがしっかりと考えたのかどうかは、外から見ていてもわかりません。それにもかかわらず、そうした「もっと考えるべきである」というような指摘が出てくるのは、相手が、あなたの提示したアウトプットを見て、「十分に考えられていない」と判断したということになります。(中略)
 そもそも、考えるという行為は、自分の中で完結させても、あまり意味がありません。考えた結果、生み出された何かが存在し、それを自分の外側、つまり社会や組織に向けて発信することによって、価値が生み出されます。
 そのように、価値を生じさせるためのプロセスとしての「考える」を行ったが、出てきたアウトプットに価値を感じられない、という状況が、「もっと考えてほしい」という周囲からの指摘につながっています。


■2.最初に行うべき情報の具体化と構造化
 情報の具体化とは、頭の中にあるイメージを、言語化していく作業、言葉・文章として書き出していく作業です。「情報を太らせる」と言い換えても良いでしょう。自分の頭の中にぼんやりと浮かんでいることにいろいろな情報を足し合わせながら、誰かほかの人に説明し、わかってもらえるように、具体的な表現にしていってください。(中略)
 続いて、情報の構造化です。「構造化」というと 仰々しく聞こえて、何だか難しそうだなと感じるかもしれませんが、その場合は「情報を整理する」という風に捉えていただければ良いかなと思います。あるいは、もう少し具体的に表現すると、「手元にある情報同士の関係性を明らかにしていく作業」と言うこともできます。
 似ている情報同士をグループ化する。相反する情報、対立する情報を区分けする。どちらかが他方を内包するような 包含 関係を見つける。どちらかが他方よりも必ず先、もしくは後になる前後関係を見つける。そういった作業を行うことで、情報を体系的に整理し、構造を明らかにすることができます。


■3.思考を「言語化」する
 自らの思考を客観視するために、最初に意識すべきことは「言語化」です。
 ぼんやりとした思いは、言葉として形にすることによって、思考に昇華されます。思い、感情、気持ち、などといった不明瞭なものは、そのままでは誰かに伝えることはできません。しかし、ひとたびそれを言葉として書き表せば、それは、他者と共有可能になり、相手に理解してもらうことができるようになります。
 新人コンサルタントだった頃、先輩から「書かれない思考は、思考ではない」と、口酸っぱく言われました。頭の中にあるイメージは、そのままでは何も意味をなさない。どれだけ深く、一つのことだけを考えているつもりでも、ついつい違うことを思い浮かべてしまう。「お腹が空いたな」とか、「この曲は誰の歌だったっけ」とか、「そう言えばあのメールに返信しないとな」とか、そういうことに気を取られてしまう。だから、とにもかくにも脳内にあるものを徹底的に書き出していくのだ、と。
 この指導は、私の中にとても大きなインパクトを残しました。そして、これを実践していく中で、これこそが思考の整理・体系化の最大のコツだという確信を得るに至りました。


■4.具体例のエッセンスを別領域に当てはめてみる
「仕事ができる」と評価される人に、経験豊富な人が多いのは、過去の経験によって多くの知識が蓄積されているためです。活用できる思考パターンが多いのです。
 一方で、経験が多くても、これらを類型化したり、抽象的・概念的に論理構造を理解していない人は、高い評価を得られません。応用力の有無が問われます。
「飲食店の例だから、マッサージ店に通用しない」ということにはなりません。「専門的な知識や技能が求められるスタッフを複数名抱えていて、マネジメントをしっかり行う必要がある店」という風に概念的に理解しておけば、とても幅広く適用できるはずです。
 あるいは、新商品の認知獲得の話は、古い商品のリブランドや、新装開店の集客などにも適用できるはずです。思考のショートカットを実現するためには、特定の具体例のディテールにこだわりすぎない方が良いのです。
 この「具体例のエッセンスを抜き出して、別領域のテーマにも当てはめてみる」をやっているかどうかが、ちゃんと考えている人とそうでない人の境目だといえます。


■5.「相手が知りたい順番」で伝える
 相手が、何を欲しているのか。どういう気持ちなのかを考えましょう。
 特に、自分の考えた順番で話すのは、あまり得策ではありません。
 これまで、いろいろな「考える手順」についてご紹介してきましたが、その手順はあくまでも「自分との対話」のための手順でした。その際に、あなたがどういう風に考えていったのかという経緯は、説明を受ける相手にとっては、さして重要なものとは言えません。
 相手が知りたいことを、知りたい順序でお伝えしていくように心がけるべきです。
 言いたいことを伝えるのではなく、相手が何を知りたいかを推し量るようにしましょう。
 一方的に話しすぎず、相手から聞くことにも力を注ぎましょう。
 相手からの質問には、しっかり答えていきましょう。


【感想】

◆著者の田中さんの最近の作品は、冒頭でも触れたように、つい先日こちらをレビューしております。

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仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番

参考記事:【働き方】『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』田中耕比古(2023年03月19日)

こちらは版元がフォレスト出版さんで、そこから出ている前作も『説明の順番』ということで、2冊続いて「順番」が切り口になっているという。

一方本書は、違う版元(PHP研究所さん)から出ているせいか、一応「手順」と切り口を変えているものの、広い意味では同じ、と言えなくもありません。

これは結構よいアイデアと言いますか、「順番」という切り口をそのままにして、テーマ(たとえば「コミュニケーション」「文章術」等々)だけ変えていけば、作品を量産できる次第。

ただ、テーマによってはこの「順番」がハマるものとそうでないものとがあると思います。

もっとも、上記レビューでも触れたように、必ずしも順番がネックとならないTIPSでも、「正解 vs 不正解」のように書くことで取り上げることは可能であり、本書もその傾向はありました。

いずれにせよ本エントリーでは、ハイライトをした中から選んだ結果、あまり手順とは関係ないものばかりなのですが。


◆まず第1章では、「思考とは何ぞや?」という問いが投げかけられています。

ならば逆に、どういうものが「思考ではないか」、という点に触れられているのが、上記ポイントの1番目。

客観的に見て「しっかり考えたかどうか」は、アウトプットにおいて第三者によって判定されるわけです。

いわゆる「ただぼんやりと『思う』」だけでは、考えたことにはなりません。
 また、言うまでもないことですが、「何を考えるのか」「何のために考えるのか」という、テーマや目的も存在しないといけません。
 テーマや目的もなく、そして、手元に十分な情報もない状態では「考える」ことはできません。それこそ、ただ「思う」だけになってしまいます。
なるほど確かに!


◆一方で、ふとひらめいて「思いつく」こともあるでしょう。

ただし本書においては、その「思いつき」を「考え」に昇華させることを推奨しており、その点に言及しているのが本書の第2章です。

田中さんによると
着想→具体化→構造化→情報補完→取捨選択
という手順を踏むとのことで、「思いつき」である「着想」から続く、「具体化」と「構造化」について触れているのが上記ポイントの2番目。

「具体化」によって情報が付加され、「構造化」によって情報同士の関係性が明らかになっていきます。

ただしこの2つは明確な前後関係があるわけではなく、相互に行き来した方が効率が良いのだとか。

本書では、「パートナーのお祝いイベント企画」を事例に、具体的にどう進めていくかが明らかにされていますので、ぜひご確認ください。


◆続く第3章では「思考を客観視する技術」と題して、自分の思考を一歩引いたところから眺めることが推奨されています。

その最初のTIPSとなるのが、上記ポイントの3番目の「言語化」。

ここで言語化するものは、結論に留まらず、思考過程や疑問、迷っているポイントなどもすべて書き出すのがミソです。

ちなみにこの章では、書き出すためのツールが紹介されているのですが、私はこんな手書き製品走りませんでしたよ……。

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一方、テキスト入力ならば、田中さんはおなじみの「ポメラ」を使用されているそうです。

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◆また、第4章の「思考スピードを上げる技術」から抜き出したのが、上記ポイントの4番目。

この「別領域に当てはめてみる」というテクニックは、コンサルティングファーム出身の田中さんにとってはお手のものでしょう。

特にビジネスモデルの他業種への展開は、よく聞くお話ですし。

さらには上記ポイントの5番目は、第5章の「相手のことを考えながら、伝える」から抜き出したもの。

ただこれは、伝える順番に限らず、中身自体も相手に合わせるべきだと思います。

なお、割愛した中で興味深かったのが、「説得しようとしない。納得してもらう」というTIPSです。
 説得は感情に訴えかけることも検討する必要がありますが、納得は論理で作れます。
「そもそも、納得していない状態で、説得されるわけがないのです」という一節にはうなずくばかり。


考える技術を身につけるために読むべし!

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思いつきを価値あるアウトプットに変える 思考の手順 (PHPビジネス新書)
第1章 思考は、積み上げるもの
第2章 「思いついた!」を「考えた!」にする技術
第3章 思考を客観視する技術
第4章 思考スピードを上げる技術
第5章 相手のことを考えながら、伝える


【関連記事】

【働き方】『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』田中耕比古(2023年03月19日)

【思考術?】『一番伝わる説明の順番』田中耕比古(2018年06月20日)

【思考法?】『考え方の教室』齋藤 孝(2016年01月11日)

【問題解決】『上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法』ダン・ヒース(2021年12月17日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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