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2023年03月19日

【働き方】『仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番』田中耕比古


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仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった仕事術本。

以前、当ブログでレビューしている『一番伝わる説明の順番』のクオリティが高かったので、本書も読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

★8万部突破『一番伝わる説明の順番』の第2弾!
★戦略コンサルタントが教える一番成果が出る「仕事の順番」を公開!
★「何を、どの順番で、進めるか」で生産性、効率、成果は大きく変わる!

中古が定価を上回る一方、上記未読本記事での時点では用意されていなかった、Kindle版は「20%OFF」とお買い得な状態で配信されています!






DAIM - Rehearsing The Future / The Royal Danish Academy of Fine Arts, School of D


【ポイント】

■1.作業時間をしっかり見積もる
 締め切りや納期を守ることは、仕事における、いわゆる「基本のキ」です。まったく意識しない人は、さすがにいないと思います。
 他方、「基本のホ」とでもいうべきものが「作業時間の見積もり」です。(中略)
 作業時間をしっかりと見積もれなければ、納期を守ることなどできません。
 大事なのは「ちゃんと間に合いそうか」を精度高く理解することです。
 仕事に取り掛かる前に「ちゃんと間に合いそうか」を考えます。そこで「間に合いそうにない」ということがわかっていれば、上司やお客様との間で納期を少し後ろ倒しに調整できるかもしれません。もし納期を動かせないのであれば、「ほかの人に手伝ってもらう」「自分が担当しているほかの仕事を調整して、納期を守るための作業時間を作る」といった手が打てます。


■2.仕事を推し進める5ステップ
 ありとあらゆる仕事を、同じ手順に合わせてやろうとすると「いいからさっさと動けよ」「考えているうちにやったほうが早いだろ」「面倒くさいやつだな」などと言われてしまうかもしれません。
 しかしながら、初めて取り組む仕事や、非常に複雑で定型的には進められないような仕事に取り組むときには、理想となる手順を意識し、型を守って進めることが、成功への近道となります。
 本書では、その手順、すなわち仕事の順番を5つのステップにまとめました。
G:Goal /目的・目標を定める
R:Route /道筋・打ち手を考える
A:Agreement /すり合わせる
P:Progress /実行する・進捗を管理する
H:Harmonize /調和させる
 この順番を、それぞれの頭文字をとって GRAPH と呼ぶことにします。
(詳細は本書を)


■3.「重いタスク」に取り掛かる前に「軽いタスク」を片づける
 人間の脳内メモリーは有限ですから、一度に多くのことを考えたり、それらを同時に処理したりするのは困難です。何かひとつの物事にあたる際には、どうしても、そのことだけに処理能力を集中させることになります。
 重いタスクは、長い時間がかかりますし、高い集中力も求められます。長時間集中して仕事をするときには、あらかじめ、気が散る要素を減らしておくことが望ましいです。
 軽いタスク、たとえば、メールを返信する、会食のお店を予約する、打ち合わせの時間を調整する、会議室を押さえる、年末調整の書類を提出する、オフィスのコーヒー豆を注文する……といった「その気になれば一瞬で終わること」は、日々の仕事のなかでたくさんあります。
 そういう軽いタスクをやらないままにしておくと、重いタスクに集中できません。


■4.「言いたいことを言う」前に「話の前提」を揃える
「結論から話しなさい」
 伝え方や話し方、プレゼンテーションなどに関するそんなアドバイスをよく耳にします。(中略)
 しかし、初めて顔を合わせた取引先、久しぶりに会った先輩、専門領域の違う担当者などと話す場合には、「結論から話す」よりも先に「前提知識・前提情報」を揃える必要があります。
 具体的には、
・相手は、これから話すテーマにどれくらい詳しいか
・どの程度かみ砕いて話すか、専門用語などを使って大丈夫か(中略)
 を考えます。相手が自分の持っている知識、これから話そうとしている内容に対して、あまり詳しくないようなら、前提情報を多めに伝える必要があります。
 そのときに意識すべきは、
「どの程度かみ砕いて話すか」
「どこまで話をするか」

 といったことです。


■5.「誰のせいか」ではなく「なぜ起こったか」を確認する
 何かミスが起きた際には、どうしてミスが起こったのかを確認していきましょう。前節でも述べた通り、誰かの責任を追及することが目的ではありません。
 大事なのは「Who」ではなく「Why」です。
 つまり、なぜ起こったのか、が重要になります。
 ですから、原因の解明にあたっては「責任追及が目的ではない」ということを、しっかり明言するくらいでもいいかもしれません。責任の話をしてしまうと、事実確認が進まなくなるおそれがあるからです。(中略)
 再発防止策は、仕組み化・プロセス化されていることがもっとも大事です。
 そのために、「振り返り」をして、原因を究明し、原因そのものを潰し込む。組織・チームで仕事のやり方を変えて、再発抑止につなげます。これが、今後の仕事の質を上げ、失敗を減らすという意味でとても大切な仕事のプロセスです。


【感想】

◆冒頭でも触れているように、本書の著者である田中さんは、以前、このような本を出されています。

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一番伝わる説明の順番

参考記事:【思考術?】『一番伝わる説明の順番』田中耕比古(2018年06月20日)

こちらのタイトルに「説明の順番」とあったことを踏まえたのか、本書は「仕事の順番」というテーマに。

ただ、前作もそうだったのですが、実はどうしても順番がボトルネックとなるTIPSはそれほど多くなくて、「●●ではなく▲▲」のように、別の本だったら、「Before vs After」や「正解 vs 不正解」的なものも少なくありません。

また、第1章では「仕事ができない人は何が間違っているのか?」と題して、仕事ができない人の特徴を列挙していますから、こちらも順番はあまり関係ない感じです。

ちなみに上記ポイントの1番目も、小見出しは「作業時間を見積もらない」というものでしたが、「ならどうするべきか」を抜き出したもの。

納期のように相手が存在するものだけでなく、自分1人で働くにしても「仕事の見積もり」が不正確だと、予定が不安定になりますから、ここは日頃から「事前見積もり」と「フィードバック」をセットにしたいところです。


◆一方、第2章の章題にも出てくる「GRAPH」の概要とも言えるのが、上記ポイントの2番目。

この章では、「GRAPH」の5つのステップそれぞれについて、ページを割いているのですが、詳細についてはボリューム的に本書をご覧いただくしかないかな、と。

ただ、興味深かったのが、最初の「G:Goal」のところにあった、「ゴールには2種類ある」というお話です。

その2種類のゴールとは、「アウトカム(成果)」と「アウトプット(作成物)」であり、仕事において大切なのは、「アウトカム(成果)」であるとのこと。

つまり、ただ「やってできました」で終わったら、それは「作業」にとっての「ゴール」であり、「仕事」における「ゴール」は、何らかの価値を生み出さなければなりません。
 たとえば、「集客用のチラシを作る」というタスクがあるとします。
 用紙やプリンターを用意して、企画内容をワードやパワーポイントで作って、印刷して……その結果、できたアウトプットは「チラシ200枚」です。
 では、このときのアウトカム(成果) は何でしょうか?
 そうです。「200枚のチラシを配って、集まったたくさんのお客さん」です。あるいは、もう一歩踏み込んで、「集まったお客様の購買(=店にとっての売上)」と考えてもかまいません。
 いずれにしても「ポスターというアウトプットを作って終わり」ではなく、「アウトプットの先にあるアウトカムを狙う」という意識を持つことが大切です。
これはぜひ意識しておきたいところです。


◆また、第3章のタイトルは「仕事の質とスピードを上げる『終わらせる』順番」ということで、一応手順に趣きを置いている模様。

そこで抜き出したのが、上記ポイントの3番目のタスクの手順のお話です。

これは類書でも扱われているテーマですが、全体的に見ると本書同様、「軽いものから終わらせる」という意見が多かった記憶が。

ただ、その理由が脳内メモリーに起因するというのは、確か無かったハズです。

また、いざ重要度の高い仕事に取り掛かっている最中に電話やメール等の「軽いタスクが降ってきた」時には、「極力その瞬間で終わらせるべし」とのこと。
 そもそも、電話やメール、あるいは話しかけられたというタイミングで、すでに集中力は途切れています。どうせ集中できていないのですから、その場で、さっとメールを返す。さっと打ち合わせの時間調整をする。さっとコピーを取って上司に渡す。そんなふうに終わらせてしまいましょう。
類書だと、こういう場合に「メモに書いて、忘れてしまいましょう」と言われてた気もしますが、本書の場合は、そもそもメモに書いても頭から消せない前提ですからね。


◆続く第4章も「会議・ミーティングの順番」というタイトルですから、上記ポイントの4番目にあるように、順番に関係のあるTIPSをセレクト。

確かに「話の前提」を揃えないで話をしても、ちんぷんかんになるのは当然でしょう。

なお、これが講演や講義でしたら、いくつか質問をして参加者に挙手させることにより、相手の前提を探ることが可能ですね。

ちなみに伝える順番の基本は以下のとおり。
(1) 前提を揃える
(2) 結論
(3) 根拠(理由・事実)
(4) 補足情報
(5) 相手に促したいアクション
……すいません、こちらすっかり忘れていましたが、上記の『一番伝わる説明の順番』でも触れられていることだそうなので、お持ちの方はそちらでもご確認を。


◆そして最後のポイントの5番目は、第5章の「ミス・失敗を減らす仕事の順番」からのもの。

こちらも抜き出したTIPSは「順番」というより、「Good vs NG」のお話だと思うのですが、「大事なのは『Who』ではなく『Why』」というのは、よく言われていることです。

実際「責任の話をしてしまうと、事実確認が進まなくなるおそれがある」とあるように、そういう文化が定着してしまうと、問題になる前から、ミスや失敗を隠蔽する可能性もでてきます。

丁度先日も、こんなニュースが話題になっていましたし……。

赤れんが庁舎前の複合高層ビル、建設工事“やり直し”の異常事態…施工不良と虚偽報告発覚、大成建設の取締役ら辞任へ | TBS NEWS DIG (1ページ)

ちまたでは「大成建設の他の建築物は大丈夫か」等言われていますが、以前から問題の「Why」が明確になっていたら、問題も起きなかったかもしれませんよね。


生産性、効率を上げる仕事術を身につけたい方に!

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仕事の「質」と「スピード」が上がる 仕事の順番
第1章 仕事ができない人は何が間違っているのか?
第2章 仕事を進める基本の型「GRAPH」
第3章 仕事の質とスピードを上げる「終わらせる」順番
第4章 会議・ミーティングの順番
第5章 ミス・失敗を減らす仕事の順番
第6章 仕事を円滑に進めるスキル


【関連記事】

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【スタッフ部門の生産性向上!】『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』佐々木眞一(2015年11月16日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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