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2023年03月05日

【コミュニケーション】『否定しない習慣』林健太郎


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否定しない習慣


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、明日で終了となる【新生活SALE】「最大60%OFF Kindle本キャンペーン」における人気作。

軽く集計してみたところ、あまりの人気ぶりにあわてて読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
あなたがもし、人間関係を良くしたい、信頼関係をつくるコミュニケーション力を身に着けたいと思っているのであれば、「否定しない習慣」を手に入れましょう。
本書では、プロのコーチが使っている「否定しないコミュニケーション技術」と そのコミュニケーションの習慣化についてまとめた一冊です。
人間関係をよくしたい、誰かといい関係を築きたい、いい関係をつくるコミュニケーションを身に着けたいという方にオススメです。

送料を加味すると中古価格が定価を上回るため、「60%OFF」のこのKindle版が900円以上お買い得です!






One to One (or a defined many) communication / Wesley Fryer


【ポイント】

■1.「否定していない」という人はいつも無自覚
 本書で述べている「否定する人」というのは、「何を言っても『でも』『だって』と言って否定する人」に限りません。もちろん、そういう人も含まれますが、それだけではないのです。
 皆さんは、普段のコミュニケーションで次のようなことをしていないでしょうか。
●相手が話している途中でさえぎって、話し出してしまう
●相手が意見を述べたときに、「それもいいけどさ」と自分の意見を言ってしまう
●相手の話を聞くとき、目を合わせないで、別のことをしながら聞いている
 これらに共通するのは、「言葉上は否定していない」ということ。
 これらのコミュニケーションは日常的に多く行われているはずです。たとえば、配偶者から話しかけられているのに携帯を見ながら話を聞いて空返事をしている、なんていう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 これだって立派な「否定」なのです。


■2.相手の感情に理解を示す
 うまくできない相手を否定することは簡単です。
 プロのコーチでさえ、つい「今のままではあまり良くならないので、じゃあ、こういうふうにしましょうよ」とか「これが足りてないんじゃありませんか?」など、言葉は丁寧ですが、相手を否定してしまうことがあります。
 それをグッと我慢して、「今、◯○さんは精一杯やっているんですよね」というひと言を添え相手の感情に理解を示す。それだけで、安全な会話が担保できるということがあるのです。
 相手を否定するか。それとも、「その人はその人なりに精一杯やっているよね」と唱えて、クールダウンして会話を進めるか。
 それが、「どういう未来にしたいのか?」の分岐点になると言っても過言ではありません。


■3.「能動的に黙る」ことを覚える
「否定しない」ということは、言い方を変えれば、「相手の意見・考え・言葉を受け入れる」ということです。コミュニケーションのトラブルの多くは、相手を受け入れることなく、脊髄反射的に言葉を返したりすることから始まります。
 SNSによるトラブルがその象徴です。相手のSNSに悪口や意地悪な言葉を書いてしまう人は、相手がどう思うかなんて考えませんよね。反射的、直情的に書き込んでいるわけです。ここに問題があります。
 脊髄反射的なコミュニケーションから抜け出すために、まずは「能動的に黙る」という習慣をつくることが大切です。
 反射的に言葉を返すのではなく、いったんブレーキを踏んで相手の言葉を聞き、伝えたいことや相手の状況や感情を理解する。これによって、つい否定してしまうことがかなり少なくなります。


■4.同意ができないとき、別の選択肢を提示させる
 たとえば、一緒に食事をする相手に、「今日、何食べたい?」と聞いたとき。相手が「うなぎを食べたい」と言ってきたとします。
 ところが、あなたはその日、胃が疲れていて、あっさりしたものを食べたい。
 そんなときは、どう会話をつなげるか?
 相手の言葉を否定せず、別のメニューにしてもらいたいなら、こんな回答です。
「うなぎか。それもいいね。ほかにも何か食べたいものある?」
 相手がうなぎを食べたいことは受け取りました。それに対して同意はできないとしたら、別の候補を教えてもらう、という流れですね。
 相手によっては、「○○さんは、何を食べたいんですか?」と聞いてくれるかもしれません。そして、このタイミングで相手から、「発言していいよ」という許可が出たわけですから、そうしたら、「ちょっと胃が疲れていてさ。おそばなんかどうかな?」と自分の考えを伝えられます。


■5.相手の話を引き出す「合いの手」の5フレーズ
 合いの手は「餅をサッとひっくり返すイメージ」ですから、長ったらしい言葉では、相手の話の腰を折ってしまいます。餅つきなら、 杵 で手を叩かれてしまいますよね。
 ですから、「相手に有益なことを伝えなくては」なんて余計なことはさらさら考えないで、短い言葉で済ませてください。
 合いの手の基本となるフレーズは、次の5つです。
「そうなんですね」
「もう少し詳しく」
「ほかには?」
「というと?」
「だとしたら?」
 極端に言えば、この5つを手元にメモしておいて、相手の話に合わせて順番に使うだけで、ほかに何も言わなくても会話が成立します。
 相手は、「あー、たくさん話せて満足」と満足感を覚えてくれるでしょう。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、本書はセール作品として紹介しただけで、すでに多くの方にお求めいただいていました(多謝!)。

レビューしたわけでもないのに、「なぜゆえそんなに?」と思って、今さらのように(明日でセールが終わるのに)読んでみたワタクシ。

なるほど、グサグサと思い当たるフシがありました。

たとえば第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目のお話からして、身に覚えアリ。

事例の最後の「別のこと」まではしませんが、相手が間違っていたら(事実関係等)、かぶせるようにして話してしまうことは結構あります。

……さすがに顧問先にはしなくとも、家族や友人レベルなら平常運転かも。


◆このことは、続く第2章の冒頭でも言及されており、章題の「否定しないマインド」をつくるための基本的な考え方は、以下の3つだそうです。
1.「事実だから否定してもいい」という思考はしない
2.「自分は正しい」という思考はしない
3.「過剰な期待」はしない
まさに1番目が実践できなかったということ。

そして3番目に関連して、著者の林さんは、依頼した仕事のパフォーマンスが低かったり、仕事ができなくとも、頭の中で「その人はその人なりに精一杯やっている」と、呪文のように唱えているのだそうです。

そこで私たちも上記ポイントの2番目のように、実際に「精一杯やってるんですよね」と言って、相手の感情に理解を示すべし。

実際に林さんが見てきた限りでは、部下に厳しく接して強引に周りを引っ張るタイプの人がトップにいる会社組織やリーダーは、長期的には破綻してしまうのだそうです。


◆一方第3章では、否定しないためのテクニックが多々。

まずは上記ポイントの3番目の「能動的に黙る」ことを厳守しましょう。

しかし実はこれが結構難しいらしく、プロのコーチであってもつい自分ばかりしゃべり続けてしまう人がいるのだとか。

林さんもコーチングを学んだときも、
「なぜ今、あなたがしゃべっているのか?   常にその問いを自分に立てなさい」
と教わったのだそうです。

なお、割愛しましたが本書の第4章でも
 会話のときは、基本的に、「自分はいるだけですでに役割を果たしている」。
 この考え方こそが、否定しないセルフコーチングで大事な前提なのです。
と重ねて言われていましたから、心しておきたいところです。


◆またもう1つ、第3章における否定しないテクニックが、上記ポイントの4番目。

この「別の選択肢を提示させる」というのは、汎用性が高そうです。

ちなみに本書では触れられていませんが、まず「それもいいね」と言って、相手の意見を肯定しているのがミソではないか、と。

さらに付け加えると、この事例であれば「うなぎが好きなんだね。覚えておくよ。今度、ゆっくり時間を取って行こうね」と、相手の最初の考えをいったん、保留にします(これを林さんは「冷蔵庫に入れる」と表現しています)。

そして後日、しっかりうなぎに誘って「ちゃんと覚えていてくれた」 と思ってもらうのだとか。

……冷蔵庫からの出し忘れに注意ですね。


◆なお、上記ポイントの5番目の「合いの手」は、第5章からのもの。

合いの手について紹介している作品は多いですが、本書のように「餅つき」のお餅を返す人に例えているのは初めて見ました。

ただ、ググってみたら実際にあのお餅を返す人のことを「合いの手(返し手)」と呼ぶんですね(知らなんだ)。

もちつき用語集 | うすいちくんの“もちつき講座”

なるほど、余計なことは言わなくても、この5つで相手との会話は成立するのだとは。

また、この第5章では、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分けや併用法(「まず、オープンクエスチョンで聞いて、同じことをクローズドクエスチョンでもう一度聞く」 )も紹介されていましたので、こちらもぜひご確認を。


「否定」をやめたい方なら読むべし!

B0BPBT54VJ
否定しない習慣
第1章 気づかないうちに否定する人の心理
第2章 「否定しないマインド」のつくり方
第3章 否定しない技術
第4章 「否定しない自分」をつくる習慣
第5章 「いい人間関係」をつくる会話の技術


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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