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2023年02月23日

【自己破壊的行為?】『感情戦略』ブリアンナ・ウィースト


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感情戦略


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本ポイントキャンペーン」の中でも人気の1冊。

実はタイトルからして、てっきり「感情面に訴えるマーケティング本」だと思いきや、かなりディープな自己啓発本でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書には、感情がどれほど人間をさりげなく操るのかが書かれています。私たちは、「安心感」を求めてたり、過去に受けた傷を見ないようにしたり、はたまた自分が今味わっているつらい感情を見ないためなら、なんでもします。
「自分の心の赴くままに行動するべき」だなんて、ウソです。なぜなら、人間は快適なところにいたがるものだからです。それが実は自己破壊的であるかもしれなくても。理性で決断し、戦略をたてる生き方が人生を最高にします。
あたりまえのことですが、このあたりまえのことをすることが、どんなに難しいか。この本を読んで、ぜひ感情について、新しい知識をとりいれましょう。

今年1月に出たばかりとあって、中古価格が定価を大きく上回っていますから、このKindle版が900円弱お買い得です!






Brain research / Arenamontanus


【ポイント】

■1.自己破壊的行為をするのは、無意識のネガティブな思い込み
 自己破壊的行為の原因は、たいていの場合、自分が達成したいことがあったとしても、それを心の奥底ではよくないことだと思っていることがあります。誰かすでに達成している人を見て、ネガティブに思っているのです。
 たとえばあなたの悩みが、「金銭的に安定したいのに、いつも自分で自分の努力を台なしにしてしまう」ならば、まずは自分がそもそもお金に対して本当はどう思っているのか知る必要があります。
 両親は、お金をどう扱っていましたか?
 もっと重要なことがあります。それは、親はお金持ちやお金を持っていない人のことを、どう言っていましたか?
 金銭面で苦労している人の多くは、お金そのものを否定することで、お金のない人生を正当化しています。彼らは、お金持ちはみんなひどい人だと言うでしょう。もしこれまで、お金持ちについてそんな話ばかり聞かされながら育ったのであれば、お金を手にすることを拒絶してしまうのではないでしょうか?


■2.「嫉妬」の奥を見つめる
 嫉妬とは、別の感情を隠すための感情です。怒りや批判として表現されますが、本当にそこにあるのは、悲しみや自己不満です。
 自分が人生で何を本当に求めているのかを知りたければ、誰に対して嫉妬を感じるかを見てみましょう。もちろん、その人が手にしているものとまったく同じものが欲しい、というわけではないかもしれません。けれどあなたが味わっているその感情は、「あの人はあれを追いかけることができているのに、私にはできない」という怒りなのです。
 たとえばこうです。とても欲しいものがあるけれど、追いかけたい気持ちを我慢しているとします。それを手に入れている誰かを見たとき、私たちは、その人を非難せずにはいられなくなります。そうすれば、追いかけたいのに我慢している自分の行動を正当化できるからです。


■3.変化はマイクロシフトで起こる
 人生は、目が覚めるようなブレークスルーがたった1回起きるから変わるわけではありません。小さな変化「マイクロシフト」が変えるのです。(中略)
 大切なのは、日々の生活の中で積み重ねていく小さな変化です。マイクロシフトとは、1回の食事の一部を1度だけ変えるようなこと。そしてそれを、2度、3度と続けていくことです。気づかないうちに、新しい行動パターンが身についているはずです。
 毎日の行動は、人生の質と成功の度合いを決定します。努力していると「感じる」か否かではなく、とにかく実際に努力するか否かなのです。(中略)
 人生を変えたいなら、ほとんど気づかないような小さな決意を、それが習慣になるまでいついかなるときも毎日、していく必要があります。そうすれば、ある日それがカチリと身につくときがくるのです。
 スマートフォンをいじる時間を減らしたいなら、スマホをチェックする機会があったときに、今日は1度だけ我慢してみてください。


■4.SNSにいい自分をのせるのは、心がからっぽだから
「前に進む」とは、リベンジすることではありません。
 あなたの「美しい成長」〔かつてパッとしなかった人物が、美しく成長すること。特にその姿をSNSで披露すること〕 は、ほかの人には分からないかもしれません。表面的に見える変化ではない可能性もあります。
 大変身したらSNSに大々的に投稿する世界で、癒しとは、自分を磨くとは、人生を前に進めるとは一体どういうことかを、私たちは見失っています。
 もし人生を変えたい理由が、ほかの人に「変わった」と思われたいだけならば、あなたを愛さなかった人たちや愛するつもりもなかった人たちの意見が、今もあなたの世界の中心にあるということです。(中略)
 だから、覚えておいてください。もし次回、魅力的なキラキラした自分の成長物語をほかの人に自慢しようと思ったら、なぜ自分はいまだにその人たちの承認を求めてしまうのだろう、と自問することを。
 答えは十中八九、あなた自身が自分を認めていないから、でしょう。


■5.相手の感情を認められれば、自分の感情も認められる
 他人の感情の妥当性を認めることも大切です。そのためには、共感を広げましょう。
「そう感じるのも当然だよ」という言葉で会話を始めます。
 そんな感情を抱いてはダメだと言うと、相手は恥を感じて心を閉ざしてしまいます。そんな感情を抱くべきではないというのは、本人がすでに分かっているのです。会話の始めから相手に壁をつくらせたり、パニックに追い込んだりすると、状況が悪化してしまいます。
 ここで、同じ立場なら誰だって同じ感情を抱くはずだ、とか、圧倒されるほど強烈な感情を抱いても人生がすべてダメになるわけではない、とか、目の前にひどいことがあれば、ひどい気持ちになるのは当然だ、などを相手に思い出させるように会話を始めれば、その人の重荷を軽減できます。
 ほかの人の感情が妥当だということを認める行為を通して、自分の感情の妥当性もどう認めればいいかが分かります。そして感情の妥当性の認め方を学ぶと、これまでよりも強くなれます。


【感想】

◆とにかく、思ったよりもハイライトを引きまくるハメになりました。

などと言いつつも、冒頭で触れたように、当初はマーケティング本だと思っていたのですからお恥ずかしい限り。

ちゃんと内容紹介を読めば、まったくそんな作品ではないことが明らかだったのですが……。

いずれにせよ、本書のテーマとして繰り返し登場するのが、上記ポイントの1番目の見出しにある「自己破壊的行為」です。
あなたには「どうしてもこれをした方がいい、あるいはやめた方がいいと分かっているのにできない」問題はありませんか?
この本では、そういう行為を「自己破壊的行為」と呼んでいます。
上記ポイントの1番目ではお金の話が出てきますが、他にもダイエットや運動、転職や貯金や投資等々、やった方がいい、もしくはやめた方がいいのに、そうできない「自己破壊的行為」が山ほど登場。

そして、それらをなぜしてしまうか(できないのか)、を覆い隠しているのが「感情」というワケです。


◆本書の第2章では、この「自己破壊的行為」について、典型的な具体例を挙げて詳しく検証。

「問題行動」とその「対処法」という組み合わせが、全部で10個ほど掲載されています。

実はそれぞれにほぼ全部ハイライトを引いたのですが、逆に絞り込めず割愛してしまいましたので、詳細は本書にてご確認ください(スイマセン)。

続く第3章では、さまざまな「感情」とその「本質」についての言及が。

「悲しみ」「罪悪感」「ばつの悪さ」「憤り」「後悔」「慢性的な恐れ」、そして上記ポイントの2番目の「嫉妬」もその1つです。

引用の後半にあった、
とても欲しいものがあるけれど、追いかけたい気持ちを我慢しているとします。それを手に入れている誰かを見たとき、私たちは、その人を非難せずにはいられなくなります。そうすれば、追いかけたいのに我慢している自分の行動を正当化できるからです。
というクダリは、アーチストの「ファンダム」でも感じるところ。

過度な自治厨も、その内面では「自分もしたいのにできない」という「嫉妬」の感情があるような気がします……。


◆一方、第4章から抜き出した、上記ポイントの3番目の「マイクロシフト」のお話は、習慣化の本ではおなじみかもしれません。

当ブログでもご紹介している、こちらの本もそうですね。

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小さな習慣

参考記事:【目標達成】『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ(2017年05月26日)

ポイントの3番目ではスマホの例が登場しますが、これは他の習慣でも同じこと。
 もっと健康的な食事を取り入れたいなら、今日はコップ半分の水を飲んでみます。睡眠時間をもっと長く取りたいなら、今夜は昨日より10分早く布団に入りましょう。
……今この下書きは、夜中の3時過ぎに書いているのですが(涙目)。

なお、この「変化」に関連して、たとえ人生にポジティブな変化が起きても、すぐには幸せを味わえないかもしれない、という点は心しておかねば!

つまり新しいものは、たとえ良いものでも慣れるまで居心地悪く感じますから、結婚や出産、転職等も場合によってはストレスになりうるので、その旨ご留意ください。


◆さらに該当する方もいそうなのが、上記ポイントの4番目。

これは第5章から抜き出したものなのですが、「SNSにいい自分をのせる」なんて、モロにSNS(特にFacebookやインスタ)の醍醐味じゃないですか。

もっとも「美しい成長」ではなくて、「何を食べた」「どこへ行った」というレベルがほとんどでしょうけど、それだって「いいね」がもらえなかったらがっかりするのだとしたら同じこと。

……こういう話を読むと、ホント自分が若い頃にSNSがなくてよかったと思います。

そして第6章から引用した上記ポイントの5番目は、再び感情にフォーカスしたもの。

そもそも人が感情をぶちまけているときというのは、助けを求めているのではなくて、「多くの場合、その感情を抱くのは当然だ、と誰かに認めてもらいたい」のだそうです。

そういう相手の感情を認めることで、「自分の感情の妥当性もどう認めればいいかが分かる」という指摘はなるほど、確かに。

本書を読むことで、日頃あまり意識してこなかった、ないしは単に押さえつけるだけだった「感情」について、非常に理解が深まりました。


「感情」を理解して、日々の生活に役立てるために読むべし!

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感情戦略
第1章 どうしてもそびえたつ問題は、あなたが原因である
第2章 心から求めていることを知らないと、人生は悪化する
第3章 感情を信じてはいけない
第4章 心の知能指数が高いとは、本当の感情を理解していること
第5章 人間は感情を回避するためには何でもやる
第6章 脆さは人生の何よりも大切である
第7章 抑圧は無意識、コントロールは意識的


【関連記事】

【目標達成】『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ(2017年05月26日)

【メシウマ?】『正しい恨みの晴らし方』中野信子,澤田匡人(2015年02月08日)

【感情?】『感情の正体──発達心理学で気持ちをマネジメントする 』渡辺弥生(2019年05月12日)

【働き方】『職場の「感情」論』相原孝夫(2021年10月14日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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スピーキング力を手に入れるための 英語独習法

タイトルどおり英語独習のムック本。

中古があまり値下がりしていないため、Kindle版が500円以上お買い得です!


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