2023年01月17日
【投資】『60代を自由に生きるための 誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』榊原正幸
60代を自由に生きるための 誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話 (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、実は先日の「未読本・気になる本」の記事で一番人気だった1冊。中高年以降が「お金と仕事」を考える際に、参考にしていただきたい作品です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、60歳になる前に「自主定年退職」した大学教授が、「お金の不安」と「仕事の不安」をまとめて解消し、理想的な60代を過ごすための方法を指南するもの。
ポイントは、
・イヤじゃない仕事
・副業
・株式投資による運用
の「3本の矢」。この3つを手に入れれば、60代は「第二の青春」どころか、若い時よりもっと楽しい「第一の青春」にもなり得るのだ。
中古価格が定価の倍以上のお値段ですから、「10%OFF」のKindle版がお買い得です!
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【ポイント】
■1.「自宅不動産投資」はインフレ対抗力アリマンションやアパートを一部屋単位、あるいはまるまる一棟ごと購入し、それを賃貸に出すことで安定的な収入を得るといういわゆる「不動産投資」については、私は素人が手出しするものではないと考えています。(中略)
しかし、不動産にはインフレ対抗力があるのも確かです。
そこでオススメしたいのが、「自宅不動産投資」です。自分が住む自宅を購入しておくのです。不動産投資とはいっても居住者は自分なので、家賃の取りっぱぐれがない「無リスクの不動産投資」というわけです。
「自宅は購入すべきか? 賃貸か? どちらがお得か?」という議論は永遠のテーマであり、明確な答えは出ません。結局は、「どちらがいいかは、個々人のライフスタイルによる」ということになるのですが、今のような状況下では明確に、「インフレ対策の一環として、賃貸ではなく購入」に軍配が上がります。インフレになると賃貸の場合の家賃も上がってしまいます。ポイントは「インフレ対策」です。
■2.「イヤじゃない仕事」に就く
「イヤじゃない仕事」というのは重要な概念なので、少し詳しく書いてみます。
「イヤじゃない仕事」というのは、文字通りのことを意図しています。その仕事は「イヤじゃない」のですが、「好きでもない」のです。
「この程度の仕事をするだけで、このくらいの給料がもらえるなら、イヤじゃないよ」という感じの仕事であれば、それも「イヤじゃない仕事」です。
そして、仕事というのは、ほとんどの場合において、「プラスの面」と「マイナスの面」の両方を持っています。プラスの面だけの仕事があるなら、それは「大好きな仕事」ですし、マイナスの面だけの仕事なんて、速攻で辞めているはずです。(中略)
そこで重要なのは、プラスの面とマイナスの面の「バランス」です。
「イヤじゃない仕事」とは、プラスの面とマイナスの面のバランスを考えた時に、差し引きでプラスが残る仕事です。
■3.本業の辞め時と副業の収入は関係ない
なお、「副業の収入が本業の収入を上回るようになったら、本業の辞め時だ」ということを言う人が多いですが、私はこの考え方に真っ向から反対します。
上司や同僚に妬まれてしまい、リストラの対象にされてしまった場合以外は、副業がいくら繁盛したとしても、本業を辞める理由にはなりません。本業を辞めるかどうかは、本業と副業の収入額の多寡とは関係ないのです。副業の収入額とはまったく切り離して、「本業がイヤか、イヤじゃないか」で決めるものです。
副業がいくら繁盛したとしても、「本業がイヤじゃない」なら、辞めないほうがいいです。一般的には、本業の収入は比較的安定しているのに対して、副業の収入は不安定な場合が多いですし、本業の信用が基盤となって、副業が繁盛しているという場合もあるからです。
■4.投資対象となる「国際優良企業」と「財務優良企業」
●[国際優良企業の選別基準]〈基準1〉毎年10月31日において、東証のTOPIX Core30とTOPIX Large70に該当している大企業●[財務優良企業の選別基準]
〈基準2〉海外売上高比率が30%以上
〈基準3〉1日平均の売買代金が30億円以上
〈基準4〉BPSの値が500円以上、かつ、自己資本比率が30%以上〈基準1〉プライム市場に上場している企業(詳細は本書を)
〈基準2〉純資産額が500億円以上
〈基準3〉純資産額が1000億円以下の企業は、1日平均の売買代金が1億円以上
〈基準4〉BPSの値が1000円以上、かつ、自己資本比率が 60%以上
■5.「銘柄の分散」と「上限額の設定」
ここで重要な注意事項について簡潔に述べておきます。それは「銘柄の分散」と「上限額の設定」です。
投資対象とする銘柄の数は、「少なくて3銘柄、多くても7銘柄まで。標準的には5銘柄程度」とします。1銘柄や2銘柄では「分散のメリット」を得られませんし、7銘柄を超えると、人間の注意力が散漫になるといわれているからです。
また、銘柄数だけではなく、「上限額」も設定しておくのが適切です。
たとえば投資資金の総額が1億円ならば、銘柄数をたとえば4銘柄と仮定して、1銘柄当たりの上限を「2500万円」とするという感じです。また、投資資金の総額が2億円ならば、銘柄数をたとえば5銘柄と仮定して、1銘柄当たりの上限を「4000万円」とするということになります。
要するに、投資資金を適度に分散させて、特定の銘柄に偏りすぎないようにすることが大事なのです。
【感想】
◆予想していたとはいえ、やはり株式投資方面に関する言及が多い作品でした。それもそのはず、著者の榊原さんは、その著作のほとんどが株式投資に関する作品であり、自らも株式投資の情報定期用をするオンラインサロンを運営されている方です。
今まで当ブログでは、基本的に投資本をレビューするにしても、投資信託を柱とする作品がほとんど(というかほぼすべて)であり、本書のように「自分で銘柄を選んで投資する」作品は極めてまれでしょう。
しかも本書の場合、投資信託は「イマイチ」とバッサリ。
「プロに任せて安心」などという宣伝文句に踊らされてはいけません。「プロはプロですから、しっかりと手数料を徴収していって、個人投資家には残りカスしか渡してくれませんよ」というのが、宣伝抜きの真実の言葉です。……これは手厳しい。
◆ところで順番が前後しますが、具体的な投資対象株式の考え方については、第4章に詳しいです。
そこから抜き出したのが、上記ポイントの4番目。
ちなみにここにある「国際優良企業」と「財務優良企業」というフレーズは、それぞれ榊原さんの造語なのだそうです。
どちらの基準も分かる人には分かるんでしょうけど、ピンと来ない人(含む私)は、本書にて詳しく解説されていますのでご安心ください。
ただし、この基準で絞り込んでも、「国際優良企業」が42社、「財務優良企業」が199社あり、両者に含まれる13社を除いても、全部で228社もあることになります。
そこで本書では、安定的に高い配当実績を示してきた企業群を10社に絞り込んで表にまとめているのですが、そちらは一応ネタバレ自重ということで。
なお、前述の228社も本書の巻末に掲載されていますから、株式投資に関心のある方は、そちらも投資対象としてお考えいただいていいと思います。
◆とはいえ、上記ポイントの5番目の内容を見て、その動く金額の大きさに、ひるんだ方も多いのではないでしょうか?
銘柄を分散させることや、その銘柄数については納得できるものの、投資金額の総額が「1億円」って、それだけあれば人によってはFIREしてるんじゃないかと(涙目)。
ところが榊原さんは、「お金を貯めたら、働かずに一生暮らす」ようなFIREにも否定的。
代わりに提案しているのが、「3本の矢」(「イヤじゃない仕事」に就く、「副業」をする、「株式投資による運用」をする)です。
この中で、個人的に「目からウロコ」だったのが、上記ポイントの2番目で触れた「イヤじゃない仕事」という考え方。
よく「好きなことを仕事にする」ことの是非が論じられたりしますが、「好きなこと」に比べたら「イヤじゃないこと」を仕事にするハードルは低いと思います。
私もまぁ、本職は「イヤじゃない仕事」ですしね。
◆さらに「副業」については、上記ポイントの3番目にあるとおり。
私の記憶でも、確かに「副業の収入が本業の収入を上回る」というのを、本業を辞めるタイミングとして挙げていた作品がちらほらありました。
ただ、副業の種類にもよると思いますが、アフィリエイトの料率が、いきなりガクっと下げられてしまうことは、アマゾンではおなじみのこと。
Amazonアソシエイトプログラムが料率変更 → フィギュアが0.5%に - ネタフル
……これ、以前は商品ジャンルごとではなくて、販売数が多くなるほど料率が高かった(3.5%⇒最大8%)ので、大量にフィギュアを販売していた人は、いきなり「93%OFF」とかになっちゃったんですよね。
そう考えると、続けられるなら本業は続けるべきかと。
◆また、上記ポイントの1番目の「自宅不動産投資」は、先日ご紹介したこちらの作品でも触れられていました。
日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか (朝日新書)
参考記事:【富裕層?】『日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか』大森健史(2022年10月21日)
この時は、自宅のマンションが値上がりするたびに買い替えをし、そこで発生した利益を「居住用財産を譲渡した場合の特例」を使ってほぼ無税にする手法が紹介されていましたが、本書はインフレ対策。
個人的には、今後の人口減のことを考えたら、不動産はいずれ値下がりすると思っているのですが、昨今のインフレ具合を考えると、今後は「持ち家」が正解なのかもしれませんね。
なお、本書はこのように色々と考えさせられた一方、榊原さんがご自身の体験や事例を取り上げてらっしゃる中身がレアケース過ぎて(取り扱い金額含む)、そこはあまり参考にならないかもしれないので、一応ご留意ください。
お金に困らない老後をおくるために読むべし!
60代を自由に生きるための 誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話 (PHPビジネス新書)
第1章 60代こそ青春時代!
第2章 誰もが抱える「老後の不安」への賢い対処法
第3章 60代を青春にするための「3本の矢」
第4章 「株式投資」の具体策
第5章 「理想の60代」の過ごし方
【関連記事】
【富裕層?】『日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか』大森健史(2022年10月21日)【お金?】『いま君に伝えたいお金の話』村上世彰(2018年09月09日)
【投資家必読!】『生涯投資家』村上世彰(2017年11月04日)
【お金?】『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ』高井浩章(2018年07月06日)
【マネー・リテラシー】『外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話』ジョン太郎(2017年02月21日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。測度・確率・ルベーグ積分 応用への最短コース (KS理工学専門書)
読む人を完全に選ぶ作品と言いますか、「『測度』って何?」とググったワタクシ。
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この記事のカテゴリー:「資産運用・投資」へ
この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ
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