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2022年12月27日

【話し型?】『説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング 説得力が飛躍的にアップする28問』深沢真太郎


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説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング 説得力が飛躍的にアップする28問 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げていたビジネスコミュニケーション本。

土井英司さんがメルマガで激プッシュしていたのを見て、「そこまで推すなら」と手に取ってみました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
人は話し方で評価されてしまうものです。
話す内容の前に、話し方で、「こいつはダメだな」「頭が悪い」と思われてしまいます。
そんな話し方を改善するには、どうすればいいのか?
それには「数学的思考」を身につけることです。
思考が変われば、自動的に話し方も変わります。

中古価格が定価の2倍以上しますから、「22%OFF」のKindle版が大変お得です!





Slide17 / PhilWolff


【ポイント】

■1.数学的思考とは5つの行為で成り立っている
 まずは数学的思考について定義をしましょう。
 数学的思考とは「数学をするときに頭の中でする行為」のことです。
 あなたはかつて学生時代に数学の授業を受けていたとき、あるいは問題を解いていたとき、何かしらの行為を頭の中でしていたはずです。それを言語化すると、実は次の5つに整理することができます。
●定義
●分解
●比較
●構造化
●モデル化
 この5つを組み合わせて物事を考えることが数学的思考なのです。
 少し難しい表現や聞いたことのない言葉があるかもしれませんがご安心ください。これらは決して新しく特別な思考法ではなく、あなたが日常で無意識にやっている行為のはずです。


■2.「導入」と「解説」がすべて
 あらためて、型を構成する4つの要素を確認します。
「導入→主張→解説→結論」
 この4つのうち、話す内容を考えるにあたり悩む必要のない箇所が2つあります。「主張」と「結論」です。例えば先ほどの就職活動をする学生の例でも、「行動力が強みだ」という主張したい事実が先にあるわけですから、ここで考えたり悩んだりする必要はありません。
 つまり、私たちが話をするときに悩む箇所は、「導入」と「解説」ということになります。
「導入」で悩む
→「本題に入る前に何か話しておかなきゃいけないことはあるかな……」
「解説」で悩む
→「どう説明して主張に納得してもらおうかな……」
 つまり、人の話し方で差が生まれているのはこの2つのいずれか、あるいは両方となります。導入の仕方と解説の仕方がすべてなのです。


■3.話の導入で目的を定義する
 かつて私が会社員として働いていた頃、次のようなフレーズをまず冒頭で伝えたうえで本題を話し始める人物がいました。
「深沢さん、情報共有です」
「山田さん、相談です」
「部長、承認してもらいたいことがあります」
 常に短く簡潔に、わかりやすく話す人物だった記憶があります。
「深沢さん、情報共有です」と冒頭で伝えれば、聞き手の私(深沢)はこのあと情報共有を目的としたコミュニケーションが始まるのだなと認識できます。情報共有ですから、議論したり意思決定したりする必要はないコミュニケーションと理解したうえで、そのつもりで話を聞くことができます。(中略)
 繰り返しですが、ビジネスにおいて目的のない仕事などありません。コミュニケーションも仕事ですから必ず目的があります。それを導入の場面ではっきり伝えてはどうでしょうか。つまり目的を定義してから話し始めるのです。


■4.比較対象は相手の知っているもので
 例えばあなたが日本という国の特徴を中国人に説明しなければならないとします。このとき、どこの国と比較して説明するのが最も相手に理解してもらえるでしょうか。正解はもちろん中国ですが、その理由は単純明快。中国人は中国のことならすぐにイメージが湧くからです。
 私たちは、何かと何かを比較すること、そこに自分にとって都合の良い意味づけをすること、説得力を備えること、そんなことばかりに熱心になってしまうあまり、この当たり前のことを忘れてしまうことがあります。ピンとこない。イメージが湧かない。しっくりこない。今日も世界のどこかで人間同士がこのようなコミュニケーションをしてしまっているのではないでしょうか。
 しかしその理由のほとんどは「日本の特徴を中国人に説明しなければならない場面でなぜかアメリカと比較して論じてしまう」からです。


■5.「正しい」ではなく「正しそう」
 これがもし数学の(机上での)論述だとしたら、当てはめるモデルは必ず正しいものと言って構いません。(中略)
 しかし数学の世界と私たちがいる現実の世界は違います。私たち人間がいる現実世界において語られるモデルとは、必ずしも正しいものとは限りません。例えばパレート(2:8)の法則が当てはまらない企業もどこかには存在するでしょうし、10000時間の法則が当てはまらないケースもたくさんあるはずです。(中略)
 つまり本章でご紹介してきたモデルと呼ばれるものは、どれも100%正しいと断言することはできないものばかりなのです。実はこの違いこそが、「数学」と「数学的」の違いです。
 数学:正しいことを説明する
 数学的:正しそうに説明する
 本書はあくまで数学的な話し方を推奨するものです。私たちが現実の世界においてモデルを使って話すということは、正しい内容を伝えることではなく自分の主張を正しそうに伝えることなのです。


【感想】

◆相変わらずと言いますか、深沢さんらしく分かりやすい作品でした。

実際、日頃から深沢さんのお話は「分かりやすい」とよく言われるそうなのですが、それもまた納得。

さっそくですが、「はじめに」に続く第1章では、本書のテーマでもある「数学的思考」について解説しています。

上記ポイントの1番目に挙げられた5つの行為のうち最初の3つについては、当ブログの読者さんにもおなじみではないかと。

ただ、後ろの2つについては、やや深沢さん固有の使い方をしていると感じたので、簡単に補足を。

まず「構造化」に関しては、いわゆる対象の「構造」を明らかにするだけでなく、似たような構造の分かりやすい例を説明に使うという点で、「たとえ話」に近い印象を受けました。

また「モデル化」というのも、いわゆる広く知られた「法則」や「現象」を用いて解説している、と言えると思います(それぞれ第6章、第7章をご参照のこと)。


◆続く第2章では、「話し方」ならぬ「話し型」(話し方の型)がテーマ。

深沢さんは、上記ポイントの2番目にもあるように
「導入→主張→解説→結論」
の型で話すことを推奨しています。

そしてこのうち、「導入」と「解説」がキモであるのは、上記で掲げたとおり。

さらには、この2つの質を上げるのが、「定義・分解・比較・構造化・モデル化」なワケです。

具体例として紹介されていたのが、トヨタの豊田章男社長のこちらのスピーチ。



本書ではこの中の一部を書き出して、「導入→主張→解説→結論」に落とし込んでいますから、ぜひご確認を。

……いやー、それにしてもスピーチの中で映像で紹介されている「オヤジ」さんたちの「濃い」こと!!

先日読んだこちらの作品で触れられていた「トヨタ」らしさを、期せずして満喫してしまいました(今月の月替わりセール対象です)w

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トヨタの会議は30分 〜GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術〜

参考記事:【トヨタ流】『トヨタの会議は30分 〜GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術〜』山本大平(2022年12月18日)


◆一方第3章からは、「定義・分解・比較・構造化・モデル化」のそれぞれについて、1つずつ章を割り当てて解説しています。

まず第3章は「定義」ということで、典型的な「言葉の定義」の例として登場するのが、おなじみ勝間和代さんの動画。



キチンと初っ端の「導入」にて、「マウンティングとは何ぞや?」について定義されているのがお分かりになると思います。

さらには上記ポイントの3番目では、「目的を定義」することの重要性にも言及。

そういえば前述の『トヨタの会議は30分』でも、「資料で『結論』を書く前に『何の話か』から書け!」と言われたばかりでしたっけ。


◆また1つ飛んだ第5章では「比較」がテーマです。

実はこの章は結構ハイライトを引きまくったのですが、要は「何と何を比較すべきか」について、考えさせられました。

たとえば有識者の方々の話では、「時間軸での比較」で話すことが多いのだそうです。

また、意外だったのは、「数字で話せ」と言われてもなかなかできなかった深沢さんの研修の参加者たちも、「比較して話せ」と言われると、自然と数字を使って会話できるようになったのだとか。

これは私自身、意識してみたいところです。

さらには上記ポイントの4番目で抜き出した、比較の対象の選び方についても、ありがちだと思われますから、あわせてご留意ください。


◆そして最後のポイントの5番目は、第7章の「モデル化して話す」から引用したもの。

本書の目指すのは、あくまで「数学的」、つまりは「自分の主張を正しそうに伝える」ことですから、そこは「数学」の世界のお話とは分けて考えねばなりません。

確かに、パレートの法則も、1万時間の法則も、当てはまらない例は多々ありますけど、説明する場合において、例として用いる分には非常に伝わりやすいと思います。

なお、こうした例を用いる際に、「枕言葉」として「皆さんよくご存じかとは思いますが〜」ですとか、「これはご存じ〜」のようなフレーズを先に話す、という工夫も、ぜひ見習いたく思う次第。

さすが人前で数多く講演やスピーチをされた方は、ひと味違いますね。


説得力を高めるために読むべし!

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説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング 説得力が飛躍的にアップする28問 (PHPビジネス新書)
第1章 なぜ「数学的に話す」なのか 〜数学とは説明である〜
第2章 数学的な話し型 〜「頭がいい人」の話し方を科学する〜
第3章 定義してから話す 〜「頭がいい人」の始め方〜
第4章 分解して話す 〜難しいことをわかりやすく伝える秘訣〜
第5章 比較して話す 〜物事を意味づけして伝える技術〜
第6章 構造化して話す 〜もっと深く伝わる魔法〜
第7章 モデル化して話す 〜正しそうに伝えるコツ〜


【関連記事】

【思考法】『数学的思考トレーニング 問題解決力が飛躍的にアップする48問』深沢真太郎(2020年12月29日)

【思考術】『徹底的に数字で考える。』深沢真太郎(2020年02月16日)

【数字】『数字で考える力』佐々木裕子(2014年08月26日)

【トヨタ流】『トヨタの会議は30分 〜GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術〜』山本大平(2022年12月18日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本クリスマスセール」の複数版元・続き分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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