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2022年12月24日

【働き方】『ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式』増子裕介,増村岳史


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ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった働き方本。

ハイパフォーマーの仕事ぶりを参考にしたい方なら、見逃せない1冊です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
スキルだけを求める時代は終わった!
大手企業のトップ人材からトップアスリートまで、1000人の分析と実践にもどづく知的体力の鍛え方
本書は、ハイパフォーマー=継続的に高い成果を上げている人々 の秘密を紐解き、それを誰でもまねすることのできる形にまとめた「自分自身の知的体力をアップデートし、自身のパフォーマンスを無理なくアップさせるための指南書」となります。

中古が定価より1000円以上高値となっていますから、「10%OFF」のKindle版がオススメです!





Hard work, funny work / Marco Gomes


【ポイント】

■1.部門・職種を問わない「思考・行動様式」を身につける
 パソコンやスマートフォンのOSは、基本構成は変わらずに定期的にアップデートされます。そして、OSがアップデートされたのに対応して、アプリケーションがアップデートされます。
 人の思考・行動様式も同様です。OS上でアプリケーションが動くように本人の思考・行動様式がなければ、身につけたスキルをうまく活かすことができません。いや、スキルを身につけようとする思考・行動様式がなければ、そもそもスキルなど身につきません。スキルは使ってこそ生きてくるものなのです。
 さらに、スキルも、思考・行動様式があるからこそ、そのなかでアップデートされていきます。思考・行動様式は、知的体力をアップデート(向上)するための土台(基礎)となるのです。


■2.組織の中間層を育てる
会社や組織には、2割の『言われなくてもできる』層、6割の『言われればできる』層、2割の『言われてもできない』層の3つがあると言われています。
 私がやったことは、大きく次の2つです。
・上位2割が継続的に成果を上げている要因を抽出する
・それを6割の中間層が実践するための仕組みを整える
 野球でたとえれば、全盛期の落合博満とイチローと松井秀喜が「共通して実践していたこと」を抽出し、それを他のバッターが真似ることで底上げを図るようなものでしょうか。


■3.洋の東西を問わない「ハイパフォーマーが育つ2つの条件」
(1)早い(若い) 段階でハイパフォーマーに出会うこと
(2)真似るべきポイントを言語化すること
 まず(1)ですが、「OS・アプリ」のたとえ通り、なるべく白紙に近い状態で「正しいOS」をインストールするのが効率的だということです。(中略)
 次に(2)に関して説明すると、「せっかくハイパフォーマーと出会っているのに、真似るべきポイントを理解できていない」という残念なパターンが散見されるのです。たとえばトップクリエイターの時間管理のルーズさや服装に関する無頓着ぶりなど、「そこじゃないだろう」という部分を真似ているケースもあります。一方、自分が出会った尊敬すべき人物を特定し、「その人の何が素晴らしいのか」を記録しているハイパフォーマーも複数いました。


■4.先の見通しが利く「パスポート型のライフプラン」は通用しない
 ここには本書のテーマである「思考・行動」のワナが潜んでおり、受験エリートなど、それまで順風満帆な人生を歩んできた人ほど「まず足場を固めて、安心できる環境を確保してから一歩を踏み出そう」という思考パターンに陥りがちです。つまり、「これくらいの大学に行っておけば、これくらいの企業に入社できて……」という「先の見通しが利くパスポート型のライフプラン」を描きたがる傾向があるのです。社会基盤や経済構造が長期にわたって安定していた時代はそれでも良かったのでしょうが、VUCAと言われる現代においては、むしろ避けるべき思考様式です。
「有名大学卒」や「○○ホルダー」といった肩書で安定的に稼ぐことができる「セーフティーゾーン」が存在するのであればそれでもかまわないのですが、「最強の資格」といわれた司法試験合格ですら市場価値が暴落しているというのが現状です。


■5.「『なんとかなる』と思ってやってみる」チェックリスト
 まず大事なのは、「現時点において自分がやってみたいこと」の見極めですが、これは「人それぞれ」としか言いようがありません。第3章の冒頭でご紹介したように、「命を懸けて革命を起こしたい」と考える人もいれば、「手の指を2〜3本失ってもかまわないから山に登りたい」という人もいるからで、そこに理屈の介在する余地はありません。ですから、あなたにとっての「どうしてもやりたいこと」を見つけるために、次の問いに答えてみてください。
・「何でも好きなことをやって良い」と言われたら何をしたいですか?
・今までの人生で最も楽しかったのはいつで、その時あなたは何をしていましたか?


【感想】

◆最初、本書のタイトルを見た時にイメージしたのは、昨今、精力的に出版されている、越川慎司さんの一連の作品でした。

たとえば当ブログでもレビューしているこちらの作品ですとか。

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AI分析でわかった トップ5%社員の習慣

参考記事:【仕事術】『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』越川慎司(2020年10月06日)

確かに「トップ5%」であれば「ハイパフォーマー」でしょうから、似たような内容かも、と感じたのは、私だけではないかもしれません。

ただ、実際に読んで分かったのは、本書はデータ分析によって書かれたものではなく、1人1人に時間をかけてインタビューした上で、ある種レイヤーを上げて共通項を探っているということ。

実際に本書では、10名ほどのハイパフォーマーへのインタビューから、それぞれ「思考・行動様式」が抽出されているのですが、ここから「共通エッセンス」(「自分の役割を限定しない」等)にまとめあげるなんて、かなりテクニカルだと思います。

ちなみにこうした作業の一部をAIに任せられないかと、スパコンで試してみたところ、散々な結果に終わったとのこと。

そういう意味でも「AI」を前面に打ち出している越川さんとはちょっと違うのだと思います(優劣という意味ではなく)。

なお、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目の「OS」の考え方は、類書でもよく見かけるもので、要は「スキルや知識がアプリ」で、「思考・行動様式がOS」ということ。

そして本書で扱っているのは、OSである「思考・行動様式」なわけです。


◆さて、「思考・行動様式」に関して言うなら、著者の1人である増子さんは、電通時代に電通インドネシアという拠点で、ハイパフォーマー分析から抽出された特徴的な「思考・行動様式」を評価制度に組み込んだことがあるのだとか。

すると翌年、400社以上のクライアントの投票で決まる「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」を圧倒的な評価(前年10部門中ゼロから6部門獲得)で受賞したのだそうです(スゲー)。

ただし、この手法は全員をエースにするのではなく、第2章から引用した上記ポイントの2番目にあるように、基本的には「組織の中間層を育てる」ことを目的とするもの。
・「3割5分打てるバッターを計画的に育成するのは不可能」と割り切り
・安定的に3割5分打っているバッターに共通する要素を抽出し
・2割5分のバッターがそれを真似ることで、2割8分打てるようになることを目指す
という本書にあった表現が分かりやすいと思います。

また、こうした「OS」のインストールについては、上記ポイントの3番目の「2つの条件」もお見逃しなく。

ただし、「本人自身が腹落ちして心を入れ替えれば、40歳からでも50歳からでも『正しいOS』を習得することは可能」だそうですから、ご安心ください(含む私)。


◆一方第3章では具体的に「ハイパフォーマーの7つの思考・行動様式」が解説されています。

ポイントで挙げようかと思っていたら、アマゾンに全部載っていたので、上記で割愛した代わりにこちらに転記。
(1)「なんとかなる」と思ってやってみる
(2)柔軟に方向転換する
(3)自分とは異なる価値観や文化を認め、受けいれる
(4)仕事を「プレイ」する
(5)「新たに学ぶこと」から逃げない
(6)人との縁を大切にする
(7)物事を斜めから見る
実際に本書では7つそれぞれについて、インタビューやそこからの学びがまとめられていますので、本書にてご確認を。

なお、この章から抜き出したのが上記ポイントの4番目で、特に勉強好きが多いであろう当ブログの読者さんには、心しておかれたく思います。

つまり資格を取って安心するのではなく、やりたいことの先に資格があったら、それを取るのが正しいということ。

本書で紹介されていた例では、まず子ども相手にやりたい企画があって、「子どもを預かるにあたって、保護者に安心してもらうにはどうしたらいいか」を考えた結果、保育士の資格を取った方のケースがありましたが、まさにそういうことですね。


◆さらに上記ポイントの5番目は、第4章の終わりにあった「『7つの思考・行動様式』チェックリスト」からのもの。

ここでは上記の7つの「思考・行動様式」それぞれについて、ポイントの5番目のような留意点並びにチェックポイントが掲載されています。

なお、今回抜き出したのは、言うまでもなく(1)の「『なんとかなる』と思ってやってみる」。

ちなみに引用内の「命を懸けて革命を起こしたい」というのは、チェ・ゲバラのことで、「手の指を2〜3本失ってもかまわないから山に登りたい」というのは、夢枕獏の小説『神々の山嶺』のモデルにもなった森田勝という伝説的なアルピニストを指しています。

森田勝 - Wikipedia

少々分かりにくくて恐縮ですが、この部分はここまでの部分を読んでいる前提で書かれているため、簡単に補足させていただきました。

もちろん、(2)以降のチェックリストもお見逃しなく。

……いや、この本キチンと読み込んで実践したら、結構スゴイことになりそうな気がするんですが。


自分のパフォーマンスを上げたい方なら要チェックの1冊!

4799329200
ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式
第1章 そもそも仕事ができること、そして「優秀」の定義とは?
第2章 「ハイパフォーマー分析」とは?
第3章 ハイパフォーマーに学ぶ7つの思考・行動様式
第4章 人生100年時代、キャリアシフトは続く


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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