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2022年12月18日

【トヨタ流】『トヨタの会議は30分 〜GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術〜』山本大平


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トヨタの会議は30分 〜GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術〜


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」からの仕事術本。

一足先に、『独立思考』をレビューしている、山本大平さんのデビュー作となります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、トヨタが大企業病から逃れるうえで重要な要素の一つになっている「社内でのコミュニケーション術」について、実際にトヨタマンとしてビジネス人生の基礎を築いた著者が、愛を持って振り返りつつ分析、一般に紹介する1冊です。
「カイゼン」など、生産管理手法についてはすでによく知られているトヨタ自動車の社内で、実際にどんなコミュニケーションが行われているのかが明らかになります。
……すべてのジャパニーズビジネスパーソン、必読の書と言えるでしょう。

中古が値下がりしていますが、送料を加味すればこのKindle版の方がお買い得です!






Model factory / Mr Wabu


【ポイント】

■1.ほとんどの会議は30分で終わらせられる
 早速ですが、トヨタでは「会議は30分!」と口を酸っぱくして言われていました。
 日本の会社では、会議や打ち合わせの所要時間として「1時間」を設定する場合が多いと思います。しかし実際には、ほとんどの会議は30分で終わらせられます。(中略)
 とはいえ、議論が白熱すれば30分では時間が足りなくなることもあります。その場合には、必要な分数だけ延長することもよくありました。
 ただしそれも30分までで、それ以上に時間がかかりそうなときには、別の会議を設定する、という形で運用されていました。
 この延長時間を確保するため、会議の予定は立て続けには入れず、最低30分はあいだを空けて入れるようにも指示されていました。


■2.上司の承認を得るための資料のまとめ方
(1)「何の話か」を書く
 まず結論から書くのではなく、「何の話か」から書いてください。
 この資料のお題は何か? ということです。
(2)「いま、(上司に)どんな回答や判断が求められているか」を書く
 次に(1)で提示したお題に関して、「いま、上司にはどんな回答や判断が求められているか」、つまりどんなポイントについて上司に判断をしてほしいのかを書いてください。
(3)「結論」を書く
 (1)と(2)のあとに初めて「結論」、つまりあなたがどう思っているか、どのように調整したかを書きます。
(4)「論拠」を列挙する
 最後に(3)の結論を導いた論拠を列挙します。できるだけ3点の箇条書きにまとめて書くと、より上司が理解しやすいでしょう。
(5)必要に応じて「補足」を入れる


■3.必要に応じて電話をかける
 我々もよくよく使い慣れた「メール」ですが、このコミュニケーションツールは、そのメリデメをしっかり認識したうえで利用しなければなりません。
 やり取りの履歴を残すには適しているものの、手早く意見のラリーをするには向いていないのです。
 そうした議論や意見交換をしたいときには、さっさと相手に電話をかけてしまったほうが早いでしょう。(中略)
電話を「時間泥棒」と呼んで忌避するオピニオンリーダーが最近では多くいますが、私としては業務上の電話でのコミュニケーション復権を、声を大にして主張したいと思います。
 なぜなら、そのほうがずっと早いし、生産性が高いから。そうしなければ「時間泥棒」ならぬ「給料泥棒」になってしまいかねません。
 相手の時間に配慮するのと同じくらい、自分の、そして自分の会社の時間を気にすることも必要です。


■4.あらゆる事柄について疑問を持ち自ら考える
 トヨタといえば「なぜを5回繰り返す会社」としても有名ですが、実態は少し違います。
 どういうことかというと、トヨタの現場では5回どころの話ではないからです。
 確かに5回はなぜを繰り返せという社内慣習がありますが、それはあくまで最低限の話で、必要ならばどこまでもなぜを繰り返すことを求められます。
 私が入社して1年半ほど経った頃には、上司に次のように詰められたこともありました。
「山本、なぜを5回繰り返すのはなぜか? お前の考えを言ってみろ」
 トヨタでは万事がこの調子で、あらゆる事柄について疑問を持ち、自ら考えるように訓練されます。標準化されている社内ルールですら、自分自身で考えて、その本質を理解しないといけない会社なのです。


■5.嫌われることを恐れずに若手を叱る
 私の短い人生で、お客様のために我を忘れて怒鳴る人を、東京では、いやトヨタ以外では一度も見たことはありません。しかしトヨタではそれが〈日常〉なのです。
 オヤジさんたちが若手を叱るときは、いつでも自分の都合ではなくお客様の代弁をしています。だからこそ、トヨタは強いのです。(中略)
 大の大人が我を忘れて若手を叱るなんて、大きなリスクがある行為なんです。
 それでもトヨタのオヤジさんたちは若手を鞭打つのをやめません。「嫌われてナンボ」というマインドを持っています。
 そうしなければ若手が成長せず、トヨタのものづくりの魂がなくなってしまう、トヨタの現場力がなくなってしまうと思っているから、たとえリスクがあろうがなんだろうが間違っている若手にはビシバシと鞭を打つのです。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、すでに山本さんの作品を1冊読んでいましたから、本書のテイストもある程度事前に予想しており、ほぼそれに沿った内容でした。

まず第1章は、本書のタイトルでも掲げられている「時短会技術」がテーマ。

「ホントに30分でいいの?」という疑問に応えるべく、上記ポイントの1番目ではその点について本書から引用しました。

基本的に30分なのは事実なのですが、例外はある模様。

ただし、30分で終わらせるべく、さまざまな工夫がなされています。

その1つがアジェンダ(議題)の周知。

さすがに事前に資料を送ったりはしていないようですが、議題の事前共有ができていないと、「どうなってるんだ?」と矢のような催促が来るのだそうです。


◆ちなみにトヨタというと、「なんでもA3用紙1枚にまとめる」という印象が強いですが、これは当ブログでもご紹介したこちらの本の内容に尾ヒレが付いたためで、実際にはデータや議事録を1枚にまとめる作業はほとんどなかったのだとか。

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トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術

参考記事:【紙1枚!?】『トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術』浅田すぐる(2015年02月17日)

また、会議の議事録も、その場で作成するものの、ホワイトボード上に手書きでまとめられたものをプリントアウトし、それをPDF化したものを出席者に送付していたのだそうです(山本さんの退社後は直接データ化するホワイトボードが使われているとのこと)。

「え? スマホで撮影しないの?」と思われた方も多いかもしれませんが、トヨタでは情報漏洩対策で、カメラ付きのスマホやガラケー、ノートPCをオフィス内に持ち込むことは禁じられていたのだとか。

結果的に、会議の最中にホワイトボード内に収まるよう、議論をコントロールする力や、まとめて記述する力(「リアルタイム要約力」)が備わったそうです。

……たださすがにこの辺は、ケースバイケースと言いますか、ホワイトボードをスマホで撮影したり、ノートPCでその場で会議内容を打ち込んだりする方が一般的でしょうが。


◆続く第2章ではコミュニケーションがテーマです。

そこでここでは上記ポイントの2番目に挙げた、「上司の承認を得るための資料のまとめ方」をセレクト。

いきなり結論から書きたくなるところ、やはり「何の話か」や「どんな回答や判断を求めているか」から書かねばなりません。

ここでは文章のみ抜き出していますが、本書ではA4の「ペライチ資料」の例が画像で掲載されていますから、ご参考まで。

そしてこの資料をもって、上司に「〇〇さん、1分いいですか?」声をかけて、即決してもらうのだそうです。

なお山本さんは、トヨタ退職後のTBSやアクセンチュアでも、この順番にのっとった資料をよく使っていて、どこでも上司やクライアントの評価は上々だったとのこと。

……これは私たちも真似しなくては!


◆同じく第2章から抜き出したのが上記ポイントの3番目の電話のお話。

これも「メリットデメリットをしっかり認識した上で」という前提の上で、判断したいところです。

どうも多くのビジネススキル本を読んでいると、「電話=悪」みたいになっていますが、必ずしもそうではない、と。

確かにスケジュールの設定等は、電話で直に話した方が話は早いでしょうね。

ただ、これも山本さんご自身が、ある程度大きな会社組織で働かれていたのも大きいんじゃないか、とは思います。

とにかくフリーランスの方は、電話を嫌う印象がありますし、かけても初期設定で留守電になる人には、自重した方が良さげ。


◆一方、第3章ではトヨタの在り方に迫る「本質思考」がテーマです。

上記ポイントの4番目にあるように、「なぜを繰り返す」のも、5回どころか「必要であればどこまでも繰り返す」のがトヨタなのだそう。

上司にどこまでも問い詰められたら、今ならパワハラが危惧されますが、そもそもトヨタでは、上記ポイントの5番目のように、「嫌われることを恐れずに若手を叱る」らしく。

もちろん、ここにあるように若手が間違っているからこそ叱るのでしょうけど、確かに「大きなリスクがある行為」だと思います。

ぶっちゃけ時短会議を行う会社とは結びつきにくい気がする会社のカラーですが、それもまたトヨタということなのでしょう。

というか、今までトヨタ関連の本をそれなりに読んできましたが、こういう点に言及していた作品は、記憶にありません。

本書のサブタイトルにもある「骨太」というフレーズに思わず納得したワタクシ。


日本を代表する会社であるトヨタのメソッドがここに!

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トヨタの会議は30分 〜GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術〜
第1章 極限まで無駄を減らす「時短会議術」
第2章 確実に相手を仕留める「コミュニケーション術」
第3章 トヨタ魂の根幹「本質思考」
第4章 スピリットをつなぐ「トヨタの教育」
第5章 良好な人間関係を築く方法
第6章 人間力を嵩上げする「配慮」のつくり方


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