2022年12月05日
【21の思考】『人生は図で考える 後半生の時間を最大化する思考法』平井孝志
人生は図で考える 後半生の時間を最大化する思考法 (朝日新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本冬のキャンペーン」からの自己啓発書。朝日新聞出版さんの作品ということで、まだ版元単位で取り上げてはいないのですが、一足先に読んでみました。
アマゾンの内容紹介から。
人生の後半は前半の延長にあらず。残された時間の「配分」と「運用」には戦略的な思考法が何よりも大事。外資系コンサルを経て大学で教鞭を執る著者が、独自で編み出した21のメソッドを図解で紹介。誰でも今日からできる幸せのビッグ・ピクチャーがここに!
中古に送料を足すとほぼ定価並みとなりますから、このKindle版が500円弱お買い得となります!
Eisenhower-Matrix / o.tacke
【ポイント】
■1.自分の考えを客観的に観察する「中年の危機」という言葉をよく聞きます。英語では「ミッドライフ・クライシス(Midlife crisis)」。中年期特有の鬱っぽい心理不安のことです。
実は、この感覚こそが、「相転移」へのシグナルです。中年の危機は、避けようのない肉体的な死を意識し始めたときに起こります。それまで自分を支えてきた考え方や、こうあらねばならないという自分の「枠」を壊して、新しく創り直すことへの恐怖から生まれます。(中略)
そんなときに有効なのが、前節のセンスメイキングです。
「何かが違う」。そう感じたのなら、まずは素直にその感覚に従う。
次にゆっくりと、「どうしたいのか」を探ります。ありていに言えば、「どうすれば幸せになれるのか?」について、自分で自分の考えを客観的に観察するのです。
大事なことは、正直になることと、「主体が自分となる感覚」に集中することの2つです。つまり、「他人に評価されたい」「多くの人に認められたい」といった他者の感覚は一切手放してしまうこと。だって、他者は他者。どうにもならないことですからね。
■2.なぜ人生の後半生は瞬く間に過ぎるのか
次のような論理があります。
「歳を取ると未経験のことが減るから、その分、時間を短く感じる」というもので、「ジャネーの法則」と呼ばれるそうです。つまり、1歳のときに感じる時間の流れはそのまま1年分であり、2歳のときに感じた1年は、2年間の人生の内の半分なので2分の1に感じる。(中略)
ですから100歳まで生きるとしたら、人生全体の体感時間は、1+1/2+1/3+1/4+……+1/99+1/100になるということです。
40代の頃、実際にこの算式を計算してみました。
さて、いかがでしょう。40歳時の体感時間はどのくらいの数字になると思いますか。さらに、その時点で「人生の何%がすでに費やされている」と思われますか。私はそれを知り、愕然としました。
前述の式を、100歳をゴールにして合計します。その値は5.2。そして40歳までの合計の数値は4.3でした。なんと人生の約83%(=4.3/5.2)がすでに終わっていることになるのです! しかも、50歳時点では87%終了です。
■3.二律背反を超えた両立を目指す
ビジネス界でよくある話ですが、売り逃しを防ぐために、在庫を多く持たないといけないと考えて在庫を増やす。すると結局、売れない商品の在庫だけが溜まり、売れる商品の在庫がないという状況に陥ってしまう……。これは、安直なトレード・オフに飛びついたことによる業態悪化です。(中略)
どうすればいいのでしょうか。
最初に取り組むべきは、「在庫を減らす」ことです。つまり、現状では売れない在庫が ある わけですよね。ですから、まずはそれを減らす(在庫→小)。そのためには在庫を減らしながら、売れない商品と売れる商品の動きをしっかりと見極める必要性が生じます。そのうちにオペレーションの質が向上し、売れる商品の在庫が手元に残り、結果的に売り逃しがなくなる。こうして、トレード・オン(在庫→小、売り逃し→小) の状況を手に入れることができるのです。
■4.1日1つ新しいことを楽しむ
目の前のことを自ら楽しむこと。とことん楽しむこと。実はこれは裁量権も決定権も自分にあり、どうするかは自分で決められるのです。どんなに親しい他人でも、「楽しむこと」を強制することはできません。心の底から楽しむか楽しまないかは、結局自分次第なのです。ですからそれを、有効利用すればいいのです。
「私は1日1つ、新しいことを楽しみます」
そのように決めればいいのです。
新しいことは好きなジャンルがいいでしょう。決めたら素直に楽しむだけ。するとどんどんそれが増殖していきます。大事なことなので繰り返しますが、コツは 決める こと。楽しむ、と主観的に決めるのです。そうすれば、いくつになっても自分の興味を絶やすことなく、心の赴くままに新しい世界を切り拓いていくことできます。その先に「自分らしい」幸せがあるのは言うまでもありません。
■5.「今、ここ」を生きる
まずは、ゆっくり呼吸をしながら、「今、ここ」の匂いを嗅ぐのもいいでしょう。
自然に鼻から入ってくる空気を感じながら、目の前を観察してください。
自分の持ち物を1つひとつ確かめます。次に、自分に関わりのないものも1つひとつ眺めます。
次第に視野が広がり、自分が今、どのような場に 存在しているのかをいつもとは違う感覚で味わえます。その場で、自分は、何をしているのか。どんな役割なのか。何をしたいのか。それをゆっくりと感じてみます。
するとどうでしょう。自分と自分の間に落ち着いたスペースが生まれ、自分自身を客観的に見つめることができます。そしてもう一度、深呼吸。これであなたは、「今、起きていること」と「自分の意識」が重なった存在になれました。あえて言えば、主体的に自分を客観視できているのです。
どんな気持ちが湧きますか? それが、あなたの「今、ここ」なのです。
【感想】
◆著者の平井さんの作品は、過去当ブログで2冊ご紹介していました。本質思考―MIT式課題設定&問題解決
参考記事:【コンサル流】『本質思考: MIT式課題設定&問題解決』平井孝志(2015年01月26日)
武器としての図で考える習慣―「抽象化思考」のレッスン
参考記事:【図解思考】『武器としての図で考える習慣―「抽象化思考」のレッスン』平井孝志(2020年11月13日)
……いずれも東洋経済さんの作品で、ちょうど今回の「Kindle本冬のキャンペーン」の対象で、「50%ポイント還元」になっているのですが、それはさておきw
いずれもどちらかというとビジネスユースだったのに対して、本書はほぼほぼオフタイムのお話です。
まさに「人生は図で考える」というタイトルどおり、私たちの人生、特に上記ポイントの2番目の見出しにもあるように「後半生」について言及している次第。
◆たとえば第1章から抜き出した上記ポイントの1番目でも、「中年の危機」なるフレーズが登場しています。
私自身はとっくに中年を越えているのに、身に覚えがなくて申し訳ないのですが、もしこのような感覚があったのなら、自分の人生を見つめ直すチャンスである、と。
ここで大事なのが、引用にもあるように「他人に評価されたい」とか「多くの人に認められたい」といった感覚を手放すことです。
実際、平井さんは奥さんと旅行に行った際、「『道の駅』にできるだけ立ち寄り、行ったことのある道の駅を日本地図にメモして、記録することを始めた」のだそう。
これなどは、他の人にとってはほぼ意味のないことですが、平井さんご夫婦にとってはかなりの意味があり、かつ、「効果や効率に囚われない大学転身後の生き方の図絵として、今この瞬間もさりげなく支えてくれている」と言われてます。
確かにこの境地にたどり着くには、「『どうすれば幸せになれるのか?』について、自分で自分の考えを客観的に観察する」必要はありますよね。
◆そして第2章の初っ端で登場するのが、上記ポイントの2番目の「ジャネーの法則」のお話。
ジャネーの法則 - Wikipedia
そう考えると私の場合、体感時間では余裕で90%を超えているわけでして(涙目)。
ただ平井さんいわく、ここから言えることは、1つは「時間は大切な希少資源」だということ。
もう1つは「未知の体験にいくつも挑戦すれば、1年が単なる何十分の1ではなく、あらためて『1』に近づくような1年にできるかもしれない」ということ。
つまり、1歳の赤ん坊のような気持ちで41歳の日々を生きてみるのです。「なんだろう?」とすべてをゼロから眺めてみるのです。ちょっと極端な言い方になりましたが、「一年毎に新しい経験をして、新鮮な時間を生きる」ことで、生きる時間が増えるわけです。そう考えると、中高年の女性たちが、生まれて初めて「推し活」をする、というのを私は藤井風氏の界隈で目にしているのですが、あれなどはまさに時間価値が増大してそうです。
……もちろん私も含めてw
◆一方第3章では、「図解でより良い選択を導く」というテーマらしく、コンサル業界ではおなじみの「ディシジョン・ツリー」を用いて意思決定をする方法が指南されています。
具体例が「早期退職して独立するか否か」というものなので、結果の確率や儲けのリターンが推測しにくいところですが、確度はともかくこのように整理して考えるのは大事かと。
また、私が初めて聞いたフレーズが「トレード・オフ」ならぬ、上記ポイントの3番目の「トレード・オン」です。
これはまさに「二律背反」ではなくて「両立」を目指すものであり、トヨタの「ジャスト・イン・タイム」が該当するのだとか。
さらにこの応用として、「都内で美味しい和食を食べたい奥さん」と、「近場でジャンクフードを食べたい『私』」という対立構造を、抽象化で問題解決する例が紹介されていました。
ネタバレになるので、詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、図解を軸にした本書らしく「二段階『田の字』」なる図が活用されており、これはなかなか興味深かったです。
◆なお、第4章では「苦難を克服する」ことがテーマなのですが、そこから抜き出した上記ポイントの4番目は、上記ポイントの2番目の部分で触れたお話とも関連するもの。
目の前のことを自ら楽しみ、そして年を取ってからでも、新しいことにトライすることで、それを楽しむ、と。
私も時間に余裕ができたら、挑戦したいことがいくつもあるのですが、このブログをやっている間はなかなか難しいんですよね……。
そして第5章から引用した上記ポイントの5番目は、アプローチとしては、いわゆる「マインドフルネス」に近い気が。
過去に捕らわれたり、未来を憂う暇があったら、「今、ここ」に集中すべきなのですけど、これは実は結構難しいのかも。
なお、本書は「図で考える」とタイトルにあるくらいなので、論点がいくつも図で整理されてはいる(「2×2」のマトリックスがメイン)のですが、引用することができず割愛している旨、ご了承ください。
人生を図で整理して考えたい方にオススメ!
人生は図で考える 後半生の時間を最大化する思考法 (朝日新書)
第1章 図解で後半生を捉え直す
第2章 図解で自己実現する
第3章 図解でより良い選択を導く
第4章 図解で苦難を克服する
第5章 図解で幸せを考える
【関連記事】
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【資料作成】『外資系コンサルタントの図解の技術』橋本歌麻呂(2015年01月06日)
【編集後記】
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