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2022年12月02日

【仕事術】『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』猿渡 歩


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1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて人気の高かった仕事術本。

すでに土井英司さんがメルマガでプッシュされているので、お読みの方も多いかもしれません。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOが初めて語る、大逆転の新手法。
適度にサボると生産性は上がる。
27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEO。
参入したほぼ全製品カテゴリーで、オンラインシェア1位の秘密とは?
後発でも圧倒的速さで成長できる、シンプルな6つの習慣を初公開。

中古価格が定価を上回っていますから、「10%OFF」のKindle版がお得です!





Entrepreneur Macbook Pro / MorseInteractive


【ポイント】

■1.90%を99.9%にする
 90%の仕事ができたとき、それを99.5%、99.9%と高めていけるかどうかで勝負が決まる。
「神は細部に宿る」というが、そこをやりきれるかどうかで会社の業績は大きく変わってくる。
 私たちのモバイルバッテリーやケーブルなどを競合製品と比較したとき、細かな違いはあるが、劇的な差別化ポイントがあるわけではない。
 少し充電が速い、少しサイズが小さいということはあっても、充電速度が競合より10倍速いということはない。
 そう考えると、最終段階での1%の詰めの部分を徹底的に突き詰める努力をしているか否かでマーケットシェアは大きく変わる。
 こういった他社製品より少し速く充電できる、サポート体制がしっかりしているなどラスト1%のこだわりの積み重ねによって、ファンになってくれる人が増え、ブランド力が高まってくる。


■2.前提が1つ違えばすべてが変わる
 羽生善治氏は、著書『直感力』(PHP研究所)の中でこう言っている。
「いつも、『自分の得意な形に逃げない』ことを心がけている。戦型や定跡の重んじられる将棋という勝負の世界。自分の得意な形にもっていけば当然ラクであるし、私にもラクをしたいという気持ちはある。しかし、それを続けてばかりいると飽きがきて、息苦しくなってしまう」
「自分の得意な形に逃げない」 ためには、目の前の仕事とこれまでやった仕事の変数の違いに注目することだ。
 1つでも変数が違ったらゼロベースで考える。

 たとえば、同じカテゴリーの製品ページをつくるとき、以前にうまくいった経験があると、8割程度は同じやり方を踏襲し、2割を変えて仕上げようとする。ついラクをしてしまうのだ。しかし、機能や価格帯などの変数に着目し、お客様に何を訴えるのがベストかをゼロから考えたほうが売上は伸びる。
 前提が1つ違えばすべてが変わると覚えておこう。


■3.仮説が先でデータが後
 課題を1つひとつ分析して答えを導くのではなく、まず「仮の答え」を出し、それを分析して証明する。このほうが問題解決のスピードが段違いに速くなる。
 アンカー・ジャパンに入社したとき、まだシェア1位ではない製品カテゴリーがあった。
 これらを1位にするには、どうしたらいいか。仮説思考で考えた。
 競合製品と比べ、性能は同レベルなのに価格で負けているなら、「価格を下げれば勝てるのではないか」。性能が同レベルで価格も同じなら、「もう少し性能を上げれば勝てるのではないか」。あるいは量販店でしか買わない人もいるから、「アマゾンだけではなく量販店にも取り扱ってもらえれば、もっと売上を伸ばせるのではないか」など、仮説を常に立てていた。
 このように聞けば当たり前と思うかもしれない。
 しかし仕事をするうえで仮説、つまり仮の答えを先につくるより、まずはデータを集めようというのが習慣化してしまっていないだろうか。
 仮説が先でデータが後。
 その習慣を持つだけで仕事はグッと速くなる。


■4.「悔しさ」というバロメーターはあるか
 以前、当社で予算が達成できなかったとき、「この結果はすべて私の責任」と言ったうえで、「みんなは悔しいですか」と問いかけたことがある。
「テレビ番組でコンビニの商品開発担当者がプロの料理人に商品を試食してもらう企画がありますが、酷評された担当者は悔しがって泣いています。努力が足りなかったと。みんなは予算が達成できずに悔しいですか。みんなの能力が高いことはよくわかっていますが、泣くほど悔しいですか」
 予算が達成できなかった、プロジェクトが失敗した、そんなときに心から悔しいと一緒に思える仲間がどれだけいるか。相手がどんな強豪校であったとしても、甲子園で負けて悔し涙が出ない球児はほとんどいない。そういうメンバーを集められれば1位は一気に近づく。


■5.一歩引いて確認する
「こうなりたい」という自分の姿を実現する行動ができているかを、定期的に振り返る機会をつくろう。
 忙しいと思考停止してしまう。目先の仕事を処理したり、トラブルに追われたりすると、どうしてもそこに集中してしまい、時間と労力を奪われる。
 その瞬間は仕方ないが、適度にサボっているときに一歩引いて、「 今、自分は、本当に歩きたい道を歩いているだろうか」 と考えてみよう。
 困難にぶつかってすぐにあきらめてしまう、三日坊主になってしまう人の中には、本当にやりたいことをやっていない人もいる。
 今やっていることに対する「やりたさ」が少ないからだ。適度にサボることで鳥の眼で自分を見つめ、本当の自分を呼び覚ましてみてほしい。


【感想】

◆久しぶりに読んだ「正攻法」の仕事術本でした。

いい意味で「アツい」と言いますか、真っ向から仕事に立ち向かう感じ。

もっとも著者の猿渡(えんど)さんは、新卒でコンサル会社に、その後もファンド系にお勤めの後、アンカーという外資系に入社されてますから、その働きぶりも当然かもしれません。

さっそく第1章から抜き出した上記ポイントの1番目でも、その仕事に対する真摯さが表れています。

さらに、こうしたクオリティの面だけでなく、マーケティング的な施策も見逃せないところ。

たとえば、土井英司さんがメルマガで紹介しているので割愛したのですが、アンカーがノートPCの交換用バッテリーに参入した話は非常に興味深かったです。

何でも、当時は「1万円程度の純正品」と「1000円程度で品質は不安定&保証もない製品」とに2極化していたところ、アンカーは「3000円程度で保証付きの良品」を出せば売れると考えたのだとか。

……まさに私たちが待ち望んでいたモノ!


◆また1つ飛んだ第3章では、「学び」がテーマです。

「インプット力と地頭力が磨かれる5冊」として紹介されている作品のうち、当ブログではこの2冊をレビューしていました。

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イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」

参考記事:【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)

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やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

参考記事:【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)

ちなみに、レビューはしていないものの、こちらの作品は、東洋経済さんのセールで、「50%ポイント還元」となっていますので、よろしければ。

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仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考

一方上記ポイントの2番目は、この章の「アンラーニング」の節から抜き出したのですが、猿渡さんは将棋も高校時代に東京都ベスト4だったそうで、本書内でも何度か将棋のお話が登場しています。

実際に将棋打ちの方の書籍は、ビジネスパーソン向けの作品が結構あるのですが、特に羽生さんは良作が多く、私も何冊か読んだことがあります。

この『直観力』も、ちょうど10年前にレビューしていましたね。

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直感力 (PHP新書)

参考記事:【棋士の思考法?】『直感力』羽生善治(2012年11月07日)


◆続く第4章では、コンサル的な要素が満載でした。

「MECE」や「因果関係」「相関関係」のほか、上記ポイントの3番目の「仮説思考」は、猿渡さんがコンサル時代に「厳しく叩き込まれた」ものなのだそうです。

本書では具体的に「仮説思考」によって、訴求方法を使い分けた事例が紹介されていました。

たとえばオンラインですと、お客さんに製品や技術にリテラシーが高いので「性能比較表」を表示し、実店舗では「利用シーン」を訴えたとのこと。

また、「仮説思考」に関連して、未来から逆算する「バックキャスティング思考」も紹介されています。

実際に猿渡さんは、内定を勝ち取るべく、夏休み中のインターンで1日8時間、週40時間働いて実績を上げたのだとか。


◆一方、第5章は「1%にこだわる習慣」ということで、アンカーが後発ながらもシェア1位を獲得できた理由が明かされています。

要は「99%」からの「1%」の積み上げにこだわるということ。

たとえば、いわゆる「4P(Product,Price,Place,Promotion)」においては、プロダクト・ファーストですし、プレイスについても、アンカー・ジャパンの公式サイトには購入ボタンの下にあえてアマゾンへのリンクをはっているのだそうです。

Anker 521 Power Bank (PowerCore Fusion, 45W) | バッテリー搭載USB充電器の製品情報

……ホンマやw

ただ、個人的には、上記ポイントの4番目で触れた「悔しさ」のお話が印象的でした。

なるほど、こういう「熱量」のある人材を集めてこそ、「1位」になれるのですね……。


◆なお、上記ポイントの5番目は、第6章の「サボる習慣」からのもの。

この章では、これまでの章でのハードコアな働きぶりとはひと味違う、「息の抜き方」を指南しています。

たとえばアンカーでは、リモートワーク時においても監視ツールは用いないとのこと。

猿渡さんいわく「重要なプロセスに対する内部統制は必要だが、社員を信用せず、なんでもかんでも性悪説からルールをつくるとムダが増える」のだそうです。

そこで成果を上げるには、上記ポイントの5番目にあるように、「一歩引いて確認する」のがミソ。

まぁこの章を通じて「サボる」といってもあくまで「適度に」ですから、その辺はお間違えのないよう。


圧倒的速さで成長したいなら読むべし!

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1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣
第1章 全体最適の習慣
第2章 バリューを出す習慣
第3章 学ぶ習慣
第4章 因数分解の習慣
第5章 1%にこだわる習慣
第6章 サボる習慣


【関連記事】

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)

【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)

【棋士の思考法?】『直感力』羽生善治(2012年11月07日)

【人事戦略】『NETFLIXの最強人事戦略〜自由と責任の文化を築く〜』パティ・マッコード(2018年12月17日)

【新たな学び?】『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』柳川範之,為末 大(2022年02月23日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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