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2022年11月25日

【アイデア】『問題発見の教科書 ゼロから革新的なヒットをつくり出す』高岡浩三


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問題発見の教科書 ゼロから革新的なヒットをつくり出す


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて人気の高かった1冊。

元ネスレ日本社長である高岡浩三さんが、ヒットを生み出す秘訣をレクチャーしてくださってます。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
仕事の9割以上が、仕事ではなく作業だ。会議から儲かる商品は生まれない。問題解決の前に、課題を「発見する能力」が、いま求められている──。世界を相手に挑戦し続けてきた、超巨大グローバル企業・元ネスレ日本社長が物事の本質にたどりつくための思考力、結果を出し続けるための仕事術を伝授。
Uber、ダイソン、ライザップ、キットカット……革新的なヒットはいかにして生まれるのか。多くのビジネスパーソンが誤解している、「問題解決」よりも大切な仕事の本質とは。ネスレで10年間増収増益を続け、「ジャパンミラクル」と称されたプロ経営者が、さまざまな実例をもとに、その思考法を明かす。

中古価格が定価を大きく上回っていますから、若干でもお得なKindle版がオススメです!





Coffee and Kindle / preetamrai


【ポイント】

■1.「問題解決」より「問題発見」
 実は、近年「画期的な商品(サービス)だ」といわれているものは、「問題発見」ではなく「問題解決」しているものばかりです。
「問題発見」ができた商品やサービスは、人々のライフスタイルを変えるぐらいのインパクトがあります。
 それがAmazonであり、UberやAppleなどが成し遂げたことです。日本ではメルカリやLINEもそれに当たります。(中略)
 基本的に日本人は、問題解決は得意ですが、問題発見は苦手です。
 ランナーがより早く走るためのシューズは、足に負担をかけないようにクッション性を高くする、反発力を強くするなど問題点はハッキリしているので、それを1つ1つ解消していけば、いいシューズができます。
 一方、キットカットは夏場の売り上げは落ちていたのですが、誰もが「そういうものなんだ」と思うだけで、問題だと認識していませんでした。
 それを「焼く」という斜め上の発想で解決したのです。このようなちょっとしたことでも、十分イノベーションになります。


■2.中吊り広告で問題を見つける
 小さな問題から大きな問題まで、あらゆる角度から問題を考えてみる習慣を身につけると、やがて問題の質を見極められるようになります。
 問題発見力を鍛えるために、私は電車で通勤していた頃に車内で脳のストレッチをしていました。
 それは、中吊り広告で問題を見つけるというトレーニングです。
 以前は、「週刊文春」や「週刊新潮」などの一般週刊誌のほかに、「週刊ダイヤモンド」といった経済誌の中吊り広告も出ていました。
 それを見ながら、どこかの企業で不祥事が起きたというニュースが出ていたら、「自分が経営者だったらどう解決するか」と考えるのです。
 たとえば、大塚家具の騒動では、父親と娘が経営方針を巡って対立していました。
 私はその広告を見て、「自分が父親の立場だったら、どうするか」「自分が娘の立場だったら、どうするか」と真剣に考えます。


■3.「新しい現実」を見極める
 実は、新しい現実を見つけること自体は難しくありません。既にデータに出ているような事実が新しい現実になります。
 注意したいのは、最近言われるようになったことが新しい現実ではないという点です。
 たとえば、若者の恋愛や結婚離れが進んでいるという話。この話を真に受けて、若者の出会いの場をつくるビジネスを始めても、長期的にはうまくいかないでしょう。
 この場合、新しい現実は「平均賃金は30年間上がっていない」という点です。
 それが結婚できない理由につながっているので、その問題を解決しない限り、恋愛や結婚している余裕はないままです。
 つまり、新しい現実を考えないと、それに続く問題発見も解決も、すべてその場しのぎになってしまうのです。


■4.日本の家電メーカーの欠点とは
 海外の掃除機は汚れゼロを目指すのではなく、ゴミを8〜9割吸い取ればいいという考え方です。また、海外の食洗器はグラスの模様が消えてしまうぐらいに強烈な洗浄力で、乾燥機はついていません。(中略)
 パナソニックは300以上ものレシピを紹介したスチームオーブンレンジを開発していますが、一度もつくられないまま終わるレシピが大半でしょう。機能が細かくなると操作が複雑になり、高齢者は使えなくなるので、誰に向けて開発しているのだろうと思います。
 主要な家電メーカーが細分化された機能を追い求めているのに対して、最低限の機能しかない家電をつくっているのがアイリスオーヤマです。機能が少ない分操作しやすく、商品の値段も安いので、アイリスオーヤマの業績は好調です。


■5.小さくテストして壁を突破する
 また、「カフェ・イン・ショップ」という大賞をとったアイデアは、秋田県のスーパーの営業を担当していた社員が考案しました。
 彼女はスーパーに買い物に来る高齢の客が、休憩場所で困っているという問題を見つけました。カフェを併設しているスーパーもありますが、コーヒー一杯で300〜400円ぐらいするので、毎回利用するのは年金生活者にとっては抵抗があります。
 かといって、椅子に座っているだけでは休んだ気になれません。疲れていても我慢して家に帰る客が大勢いました。
 そこで、スーパーの中にネスカフェのコーヒーマシンを置いて休憩するスペースをつくってもらいました。バリスタなら自動販売機と違ってサイズが小さくどこにでも置けるので、すぐにスペースをつくれます。
 そして一杯100円で売ったところ、一日で100杯近く売れるようになったのです。 私はすぐにこの企画を全国展開させました。


【感想】

◆著者の高岡さんと言えば、ネスレ時代に「ネスカフェアンバサダー」を生み出された方として、広く知られています。

私も直接高岡さんの著作を読んだワケではないのですが、ビジネスモデルをテーマにした作品で、その概要は存じていました。

たとえばこの本ですとか。

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ダントツ企業―「超高収益」を生む、7つの物語 (NHK出版新書 544)

参考記事:【ビジネスモデル】『ダントツ企業―「超高収益」を生む、7つの物語』宮永博史(2018年07月21日)

ただ、本書で初めて知ったのですが、高岡さんは、あのフィリップ・コトラー氏と対談していたんですね!

コトラー氏いわく、「ネスカフェアンバサダー」は、「マズローの欲求5段階説における、『自己実現の欲求』を満たした問題解決」であり、「自己実現の欲求を満たす、初のマーケティングモデル」なのだそう(スゲー!)。

ちなみにお2人の共著がこちら。

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マーケティングのすゝめ (中公新書ラクレ 567)

こちらのレビューが、かなり詳しく説明してくれていますが、やはり「ネスカフェアンバサダー」が取り上げられている模様。

そして、そういうアイデアを思いつくために、高岡さんがどのように発想しているかを明かしているのが本書なわけです。


◆さて、第1章は「ビジネスは問題発見が9割」ということで、その章題に沿ったものとして上記ポイントの1番目を抜き出しました。

本書で高岡さんは、「問題を解決した」ものを「リノベーション」、「問題を発見した」ものを「イノベーション」と呼んでいるのですが、その後者の例として挙げていたのが、引用部分にある「焼きキットカット」です。

これはネスレで毎年行われている社内コンテストである「イノベーションアワード」で大賞を受賞したもので、「キットカットをオーブントースターで2分間焼くだけ」の超簡単なアイデア。

「キットカットを焼くと表面が少し焦げてサクサクしたビスケットのような食感になり、夏でも食べやすく」なるのだそうで、「しかも、焼いたら溶けづらくなるという不思議な現象も起きる」のだとか。
 他の役員からは「キットカットを焼くだけじゃないか」と言われましたが、半ば強引に大賞にしました。その後、トースターで焼くキットカットを発売し、大ヒット商品になりました。
 暑い時にあえてチョコを焼いて食べる。見事な逆転の発想だと思います。
こちらGIGAZINEでも記事になっていたんですね。

トースターで焼いて食べるキットカットが発売、実際に焼いてみたらクレームブリュレ風味になりました - GIGAZINE


◆続く第2章は「問題発見の爛愁爛螢┃瓩砲覆襦廚箸いΕ織ぅ肇襪如◆嵬簑衄見」のやり方を指南。

「ブレインストーミング」のような会議を否定している代わりに、身の回りにあるさまざまな問題について、独自の考えを述べてらっしゃいます。

俎上に上がっているのは、「入社式」や「高齢者ドライバー」「営業日報」などなど。

中でも興味深かったのが、ネスレでスイスの上司から問われた「日本は先進国なのに、なぜいまだにスーパーマーケットが400社もあるのか?」という質問で、実際、先進国では大手と一部の数社に集約されているのに対して、日本の「400社」というのはけた違いの多さなのだそうです。

これは高岡さんが必死に考えても答えが見つからず、たまたまテレビで観た『秘密のケンミンSHOW』という番組によって答えにたどり着いたとのこと(質問から5年かかったそうなので、一応ネタバレ自重)。

そして具体的なトレーニング法として提言されていたのが、上記ポイントの2番目の「中吊り広告」でした。

確か似たようなことを、大前研一先生もなさっていたような……?


◆一方第3章は「問題発見の達人になる4ステップ」とあるように、高岡さんが作り出した4つのステップで構成されている「NRPS法」なるメソッドを公開しています。

NRPSとは、「新しい現実(New Reality)」「新しい問題(new Problem)」「解決策(Solution)」の頭文字を組み合わせたもので、具体的には
ステップ1.顧客は誰か?
ステップ2.新しい現実は何か?
ステップ3.顧客の問題は何か?
ステップ4.問題の解決策
の4つのステップを踏むもの。

高岡さんいわく、
 このステップに沿って進めていくと、問題発見ができます。それができれば、イノベーションにつながる解決策を導けます。その解決策が今までにない製品やサービスにつながります。
ということで、上記ポイントの3番目ではステップ2の「新しい現実は何か?」から引用しました。

実際、この「新しい現実」を見極めるのが結構厄介で、ここを間違えると当然問題解決も誤ってしまいます。


◆本書の第4章では、さまざまな事例について、この4つのステップを踏まえて解説されており非常に分かりやすかったのですが、その事例の1つが「ルンバ」や「ダイソン」といった掃除機でした。

どちらも色々な本で取り上げられていますから、その開発の過程や考え方についてはご存じの方も多いことかと。

逆にその反面教師的にやり玉に挙がっていたのが、上記ポイントの4番目の「日本の家電メーカー」のお話でした。

……もっともこちらも、私たち自身、重々分かっていることなんですけどね。

さらに本書の第5章では、問題発見の対象を「身の回り」から「新しい未来」へと移しているのですが、こちらはまだ「正解」が出ていないものが多く、思考実験的な要素が強いので割愛。

代わりに最後の第6章から、上記ポイントの5番目をセレクトしました。

どこにでも「抵抗勢力」はいますが、上記の「焼きキットカット」みたいに自分がトップでもない限りは押しきれないもの。

そこでここにあるように「小さくテスト」して、それを広げていくのが正解なんですね。


「問題発見力」を身につけたい方なら要チェックな1冊!

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問題発見の教科書 ゼロから革新的なヒットをつくり出す
第1章 ビジネスは問題発見が9割
第2章 問題発見の爛愁爛螢┃瓩砲覆
第3章 問題発見の達人になる4ステップ
第4章 問題発見力の犇み
第5章 問題発見で新しい未来をつくる
第6章 イノベーションを阻む「抵抗勢力」に挑め


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【仮説検証】『アウトプットの質を高める 仮説検証力』生方正也(2015年07月23日)


【編集後記】

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参考記事:【科学的自己啓発書】『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』堀田秀吾(2020年08月12日)

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◆一昨日の【ブラックフライデー】「最大80%OFF Kindle本キャンペーン」の翔泳社分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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