【コミュニケーション】『職場の人間関係が劇的によくなる！ほめコミュニケーション』原邦雄:マインドマップ的読書感想文

2022年11月24日

【コミュニケーション】『職場の人間関係が劇的によくなる！ほめコミュニケーション』原邦雄

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である【ブラックフライデー】「最大80％OFF Kindle本キャンペーン」の中でも個人的に気になっていた1冊。

版元のワン・パブリッシングさんを取り上げていないため、当ブログとしては初登場となるワケですが、かつて当ブログでも「ほめ本」は人気が高かっただけに一足先に読んでみました。

アマゾンの内容紹介から。

「上司とそりが合わず会社に行くのが憂鬱だ」「同僚と話すのがストレスになる」「小言を言う先輩が苦手」……。その悩み、すべて「ほめコミュ」で解決！独自のほめ育メソッドで知られる人材育成のエキスパートが、自己・他者を伸ばす話し方の秘訣や、人を動かすためのコミュニケーション術、最高の人間関係を築くためのノウハウを伝授します。

中古価格が定価を大きく上回りますから、こちらのKindle版が800円弱お買い得となります！

【ポイント】

■1.人間関係の悩みの種は「過去の自分の記憶」にある

人間は、そもそも知識と記憶をもとに良し悪しを判断する動物です。そして、それが感情ともつながっています。
　これを人間関係に置き換えると、ある人と人間関係が良くないのは、その人との間に〝過去〟に何かがあったからです。(中略)
　さらに言うと、あなたは自分の過去の記憶に囚われていますが、相手はそれを覚えていないことがよくあります。
「半年前に、●●さんは僕にこう言ったじゃないですか。あれ、すごくトラウマになってるんです」
　もしもあなたがこのように勇気を持って言ったとしても、相手は、
「え、そんなこと言った？　っていうか、そんな風に解釈してたの？」
　ということがよくあるのです。
　もちろん、それで人間関係が改善するわけではありませんが、まずは「悩みの種は自分の過去の記憶にある」ということと「それを相手は覚えていなかったりする」ということを認識してもらいたいと思います。

■2.「自分ほめ瞑想」で自分の欲求を満たす

　人間はそれぞれ次の言葉をかけられることで自尊心の三大欲求が満たされ、自分に自信を持ち、能力を最大限に発揮することができるようになるのです。
　ビジネスで言えばやりがいを持って仕事をし、誰かから必要とされる存在としてイキイキと働ける状態になることができます。
　自尊心の三大欲求のそれぞれを満たす言葉は次の通りです。
・自己重要感が満たされる「ありがとう」
・自己有能感が満たされる「すごいね、成長したね」
・自己好感が満たされる「好きだよ」「好感が持てるよ」
　これを言われることで人間は自分が他者から必要とされる存在であることを認識し、かつ自分が有能であることを認められ、さらに好かれたいという欲求を満たすことができるのです。

■3.「成果につながるプロセス」をほめる

　最近の〝ほめる系〟の書籍や考え方ではプロセス（過程）をほめることを推奨する本が増えてきています。(中略)
　ですが、プロセス重視になってしまうと「うまくいかなかったけど、がんばったからいいよね」となってしまいます。それではモヤモヤは残ってしまうでしょう。これはほめる側も、ほめられる側も同様に感じると私は考えています。
　また「成果をほめること」を重視する傾向もあります。
　完全実力主義的でグローバル社会に則しているようには思えますが、これだと「プロセスはどうでもいいのか？」「成果だけであとはどうでもいいのか？」となってしまいます。(中略) 　
　こう考えてみると、やはりベストなのは「成果につながるプロセス」をほめることです。なぜなら、それならば成果が出る確率が上がるからです。「なぜうまくいったのか？」という成功事例の分析と共有がしやすくなり、仮にうまくいかなくても、分析によって次の作戦が立てられます。

■4.「視点移動」でバックストーリーを妄想する

　例えば「自分に常にプレッシャーをかける課長」で考えてみます。
　仕事に対して常に厳しい目線で発破をかけ、時には厳しい指導の言葉を投げかけてくるとしましょう。あなたはその課長が嫌で「どうして自分にだけ厳しいんだ」と腹が立つ半面、苦手意識も持っているとします。
　そこで妄想の視点移動です。
　実は、その課長はあなたに目をかけているのですが、あなたが転勤の候補になってしまい、何とか今の部署に引き留めて、もっと成長させたいと思っています。
　そこで自分の上司である部長にかけ合って「まだ粗削りだけどあいつは絶対に伸びます。自分が責任を持って一人前にしますから、3ヶ月だけ人事を待ってください。ダメだったときの責任は私が取ります」と伝えていました。
　常識的に考えれば、そんな都合のいいことはないかもしれません。
　ですが、これをやっていいのです。なぜなら、あなたが相手に対しての感情をコントロールして人間関係を改善することが目的だからです。

■5.感情をニュートラルにして相手の言動を見ていく

　自動車やバイクを運転している人ならわかると思いますが、AT車でもMT車でも1速、2速とギアがあって、その中に「ニュートラル（N）」というギアがつながっていない状態が存在します。このときはどれだけアクセルを踏んでも車は前に進みません。
　同じように、あなたの感情のギアも意識的にニュートラルに入れることで、相手の行動や発言が見えてくるようになります。
　ちなみに、このときに見るべきポイントは次の2つです。
・自分よりも優れている「お客様を喜ばせている行動や発言」
・部署やチームのみんなのために自主的にしている行動や発言(中略)
　ただ、そもそもが人間関係のこじれている相手を見るわけですから、あまり視界に入れたくないのが正直なところだと思います。(中略)
　代わりに「興味」を持ってみてください。そして、観察するのです。
　すると「こんなことをしていたのか」「こんな一面もあったのか」「このお客様には人気がある」など、今までは目を背けて少ない情報で嫌いなところだけを切り取って記憶していたものが、新しい情報を発見できるようになります。
　そうやって一目置ける部分を見つけていくことで、相手に対する印象や感情が変化していきます。

【感想】

◆すっかり忘れていたのですが、本書の著者である原さんの「ほめ本」は、以前こちらの作品をご紹介しておりました。

たった一言で人生が変わるほめ言葉の魔法

参考記事：【ほめテク】『たった一言で人生が変わるほめ言葉の魔法』原邦雄（2017年07月27日）

今般あらためて上記レビューを読み返してみても、内容的にはきわめてオーソドックスな感じ。

抜き出したTIPSのどれも、うなずけるものばかりです。

それが今回の作品では、類書とはひと味違うテイストとなっている点に少々驚きました。

……と言っても、ほめ本を読むこと自体、かなり久しぶりなのですが。

◆そもそも本書の場合、主たるテーマは「あまり関係の良くない相手」とのコミュニケーションを深める、というもの。

それがタイトルにもある「職場の人間関係が劇的によくなる」という部分に表れています。

それにしたって「ほめ本」なのですから、「普通の仲」の相手とさらに仲良くなるのかと思いきや、むしろ「微妙な仲（苦手な仲）」の相手との人間関係好転に踏み込むとは!?

そこで本書の第1章では、そのような「ほめることでのコミュニケーションの改善」を目指す、「ほめコミュニケーション」についての言及されています。

なるほど上記ポイントの1番目にあるように、「過去の自分の記憶」によって、相手に対する印象が悪くなったりするのですね。

そしてまずは、そのことを認識せよ、と。

◆続く第2章では、その「過去の自分の記憶」をプラスに置き換えるための技術が紹介されています。

まずは上記ポイントの2番目の「自分ほめ瞑想」で、自尊心の三大欲求を満たすべし！

本書では具体的な3ステップが記されているのですが、「自分の1日を振り返り」、「『今日のMVP』を見つけて」、「三大欲求を満たす言葉で自分を労って」あげる模様（詳細は本書を）。

その際留意すべきは、上記ポイントの3番目にあるように、「成果につながるプロセス」をほめることになります。

私はムスコに対して、当初「成果」をほめていたのが、色々学んだ結果「プロセス」をほめるようになったのですが、何でもかんでも「プロセス」をほめていてはいけなかったのですね（手遅れ）。

この件、子育て本では、あまり指摘されていなかった気がするのですが……。

◆さて、第2章もハイライトを引きまくりましたが、本書の中で一番のキモなのが、それに続く第3章ではないか、と。

ここでは「Re Connect（つなぎ直し）」と称して、相手に対する記憶を「良い記憶」に上書きしていきます。

それを端的に示しているのが、上記ポイントの4番目。

できるだけ忠実にお伝えしようと、引用が長めになってしまいましたが、ここにあるように、ある意味「自分の都合のいいように妄想」していくのだそうです。

というのも、それを行うことで「相手に対しての感情をコントロールして人間関係を改善する」ことができるから。

実際には相手は、まったくそんなことを考えてもやってもない可能性がある（というか高い？）のですが、「目的」を達成するためにはそれも「アリ」なんですね。

◆もう1つ、相手に対する感情を改善するために効果がありそうなのが、第4章から抜き出した上記ポイントの5番目の「ニュートラル」にする、というもの。

たとえ気にくわない相手であっても、いったんは感情をニュートラルというか「無」にして、ここに挙げた2つのポイントを探します。

もし見つかれば「好き嫌い」を置いといて、そこに「興味」を持ち、「観察」すれば、マイナスだった感情が好転するかもしれません。

それに続いて、見つけたポイントを「噂」として外にひろめていく（＝間接ほめ）のですが、手順等、詳しくは本書にてご確認ください。

……私自身は、いったん「ダメ」となった相手には、なかなか「興味」が持てませんが、ある程度の社員さんがいる会社なら、そうもいかないのではないでしょうし、不仲な人がいる方ほど、本書の価値は高くなりそうです。

苦手な人がいなくなるようにするため読むべし！