2022年11月10日
【文章術?】『THE FORMAT』石倉秀明
THE FORMAT
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった文章術本。タイトルにある「フォーマット」もさることながら、一般的な文章の書き方やチャットのやり方等も参考になりました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
この本には「文章力ゼロでも、スラスラと、誤解のない文章が書けるようになる9つのフォーマット」が載っています。
誰でも、このフォーマットに沿って書き込んでいくだけで、伝わりやすく、誤解がない、そして成果の上がる文章が書けるようになります。
中古価格が定価を大きく上回っていますから、「10%OFF」のKindle版が無難かと……。
Printing my articles / the Italian voice
【ポイント】
■1.確実に伝わる万能フォーマットぼくがもっともよく使っているフォーマットを、まずご紹介します。
リモートワークのみで仕事をしてきて、たどり着いた決定版、万能のフォーマットとも言えるものです。
仕事で作る文章の7割は、これを最初にコピー&ペーストしてから書き始めることで、かなりわかりやすく、簡単に書けるようになるはずです。(中略)1.この文章を何のために書くのか?(詳細は本書を)
2.この文章を誰が読むのか?
3.今日、相談したいこと
4.現状はこうなっています
5.問題はこれです
6.こういう対策をしようと思っています。
7.判断してほしいこと
8.いつまでに返事が欲しいか
■2.テキストコミュニケーションは「会話をそのまま文字にする」
●上司に何度もチャットやメールを送るのは失礼かもしれないから、なるべく1回でやりとりを終わらせたいけど、すごくややこしくなってしまう……こんな悩みを、多く聞きます。
●長いメールを書いたのに、欲しい返事がこなくて困ってしまう
ただ、ぼくがリモートワークを長くやってきて思うことは、テキストコミュニケーションは、「会話を、そのまま文字ですること」こそが大事だということです。(中略)
もちろん、「言いたいことを整理してまとめてから送った方がいい」と考えるのは正解です。ただ、それをまとめて一気に伝えてしまうと、受け取る側は混乱します。整理したからこそ、小分けにして、オフィスで会話しているように1つずつ投げかけていきましょう。
■3.推測しないで、具体的に書く
文字で聞くときのコツは、曖昧な言葉を使わないこと。×大丈夫ですか?このように、具体的に心配な点を挙げて、聞いてみましょう。
○突然お願いしてしまいましたが、スケジュールなど、ご無理をかけていないですか?
いくら仲のいい人でも、「こう考えているだろう」と推測したことが、すべてあっていることはありません。
一緒に住んでいる家族でも、パートナーでも、10年来の親友でも「そんなふうに思っていたんだ!」と驚くことがありますよね。ですから、仕事関係の人の気持ちを100%予測するなんて、不可能なのです。
そのためにも、察しようとせず、聞いてみることが大切です。
■4.そのまま使える5つの資料フォーマット
ここから、どんな会社でも目にしたことのある5つのビジネス文書のフォーマットを紹介していきます。
いずれも、実際にとある仕事で使われている実例にチェックを入れながら、改善し、完成フォーマットに仕上げていきます。忙しい方は、まず、最終形だけを抜き取って使っていただくのもいいかもしれません。
5つのフォーマットとは、以下のものです。(1) 書くだけで仕事が進み、結果が出やすくなる 営業部定例会議の資料フォーマット(詳細は本書を)
(2)変えられない実績を「良く見せる」ための 実績報告書、年次報告書フォーマット
(3)「アイデア」をたくさん出してもらうための 会議の進行表のフォーマット
(4)自分のやりたいことが通り、余計な質問をされずに早く承認を得る 予算承認のための資料のフォーマット
(5)全員を同じ行動に向かわせる 会社方針の通達のフォーマット
■5.上司からなかなか返事が来ない場合の対処法
「返答がなかなかこない」と困っているなら、実践してもらいたいことが2つあります。ツールを使い分けること。ツールについては、連絡をメッセンジャーやチャット、メールで送ります。そして、見てもらいたい企画書はメモアプリに書き、そのリンクを貼り付けるようにしましょう。
返答期限を書いておくこと。
つまり、チャットやメッセンジャー、メールは会話に使い、企画書の提示と確認は別のツールで行うよう分けます。
これは、考えを整理することにも役立ちます。ツールを分けてあると頭が切り替わり、忙しい中でも1つ1つの業務を確実に処理していくことができます。
返答期限がないと、返事ができないタイプの人というのは、確実に存在します。
「◎日までに、お返事をいただけますか。難しい場合はご連絡ください」と書き添えておくだけで、失礼にも当たりませんし、イライラも減ります。
【感想】
◆当ブログで元々人気の文章術本ですし、かつ、生産性も高そうな「フォーマット」がテーマということで、すでにご紹介した段階でそこそこ(当ブログ的に)お求めいただいているこの本。冒頭の内容紹介にもあるように、フォーマット自体は厳選された9つとなっています。
フォーマットの形式とその解説にページを割いているのは当然としても、フォーマット以外のお話も含まれているのは、これまた冒頭でも触れたとおり。
たとえば本書の序章では「書くこと」自体をテーマにして、その重要性を力説されています。
なお、ここで言う「書く」とはメールや報告書等だけでなく、チャットやメッセンジャーを含むもの。
特にチーム内のメンバーとのコミュニケーションも「書くこと」をレベルアップすることで、改善されるようです。
私はソロ活動なので縁がないのですが、ビジネスチャットを活用すれば、非同期で疑似的に集合できますし、かつ、そのやりとりも記録として残るのは良いな、と思いました。
◆続く第1章から抜き出したのが、上記ポイントの1番目の「確実に伝わる万能フォーマット」。
これは第1章に収録された4つのフォーマットのうちの1つであり、本書内ではこのフォーマットに続いて、具体的な記入例や、実際に相手に送付した文面も収録されています。
……ただし、これらの個々のポイントを抜き出すと膨大な量になるので、当然ですが割愛。
なお、残りの3つは「指示のフォーマット」「承認のフォーマット」「相談のフォーマット」というものなのですが、詳細は本書にてご確認ください。
もちろん、必ずしも項目を丸写しする必要はないと思いますが、逆に著者の石倉さんががブラッシュアップしてできたものと思えば、「巨人の肩の上」に乗っても良いかと。
◆一方第2章は「『どう書けばいい?』がなくなる10のテクニック」なるもので、いったんフォーマットから離れて、文章術全般における10のテクニックが紹介されています。
たとえば上記ポイントの2番目もその1つ。
個人的にはこれはビジネスチャット文化ゆえのテクニックかな、とも思うのですが、「会話をそのまま文字にする」というのは、一歩間違うと、やり取りが長期化しかねません。
そこで本書では、会話部分はチャットで、相談内容は資料にして送付することを推奨しており、なるほどこれなら両方のいいとこ取りができるかな、と。
さらに上記ポイントの3番目もこの10のテクニックのうちの1つ。
相手を慮ってしまう人ほど、むしろ遠慮がちに尋ねてしまうものですが、そこはしっかり聞きただせねば!
書く側も、指示を受ける側もメッセージをやりとりするうち、自分のやるべきことの解像度が高くなり、結果としてアウトプットの質も上がっていくのです。なお、残りの8つのテクニックは、とりあえずネタバレ自重しておきます。
◆さて第3章は、再びフォーマットのお話が登場。
上記ポイントの4番目の「5つの資料フォーマット」こそが、本書の残りの5つのフォーマットに該当します。
この章では、それぞれのフォーマットの個々の項目にまで踏み込んでおり、逆に1つ2つだけ抜き出すのが難しかったため、このようにフォーマットの名称を列挙しました。
なお、こうしたビジネス文書では、数字を入れたり、その数字も比較するのがお約束。
まずは、事実と数字。考えや目標のアピールは、事実と数字をベースにして「引き出された結論」として書いておく方がいいのです。これはもう、常識ですよね。
◆また、上記ポイントの5番目は第4章の「今さら聞けない、仕事の悩み。こんなときはどうすればいいの?Q&A」からのもの。
石倉さんの会社では、リモートワークが前提のスタイルとのことで、それがゆえか各種ツールの使い分けや使い方に対するQ&Aが多かったです。
たとえば、メールが何通も来ているところに、チャットやメッセンジャーにも数通来ていたらどうすべきか?
マルチタスクの基本は「すぐやる、すぐ返す」です。さらには上司からなかなか返事が来ない場合は、上記ポイントの5番目をご覧アレ。
とはいえ、複数ツールをまたいで1つずつ処理するのは効率が悪いので、メールだったら5通を今すぐ返す。次にSlackの3通を返す、続いてメッセンジャーを……と片っ端から処理していくのがポイントです。
私は1人で仕事をしているので、この辺のテクニックは活用しようがなかったものの、本書が役にたつ方は結構いらっしゃると思います。
テキストコミュニケーションを極めるために読むべし!
THE FORMAT
序章 「書ける人」にだけ、訪れる未来
第1章 あなたの「書く」を劇的に変える方法
第2章 「どう書けばいい?」がなくなる10のテクニック
第3章 あなたの「書類力」を爆上げする5つのフォーマット
第4章 今さら聞けない、仕事の悩み。こんなときはどうすればいいの?Q&A
第5章 「テキストだけで仕事をする」に切り替えていくと生まれる未来
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【編集後記】
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