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2022年11月07日

【10選】『一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本』から選んだ10冊


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一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、比較的最近発売されたブックガイド。

著者の大岡 玲さんは、芥川賞受賞もされた一方で、「書評、美術評論、ワインエッセーなど幅広い分野で活躍」されている方でもあります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「芥川&三島」W受賞作家にして、“読書の達人”大岡玲による知的興奮に富む書評エッセイ! カフカにマルクス、司馬遼太郎。水滸伝からゴルゴ13……。誰もが名を知る古典や文豪の名作は言うに及ばず、埋もれたノンフィクションの佳作から、各分野の専門家たちの労作、そして古今の人気漫画まで。混迷の時代に読むべき名著・傑作を網羅。そこに展開される話題のレパートリーの多彩さは、博覧強記の作家の面目躍如だ。

中古価格が定価を大幅に上回っていますから、若干でもお得なKindle版がオススメです!






Books / Joe Shlabotnik


【『一冊に名著一〇〇冊が詰まった凄い本』から選んだ10冊】

■1.『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』ヤニス・バルファキス

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父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
この本の特徴は、著者の文学的素養が見事なアクセントになっている点にある。「ファウスト博士」の伝説を下敷きにしたクリストファー・マーロウの戯曲を持ちだして〈借金〉を語り、労働市場とマネー・マーケットを混乱させる魔を説明するのに、ソポクレスの『オイディプス王』を使い、その他にもたくさんの文学作品が経済のあり方と結びつけられる。それにより、経済は科学であるよりむしろ感情なのだ、ということがよく納得できる。

◆当ブログでもレビューしている、このジャンルとしてはベストセラーと言える1冊。

財務大臣でありながら、さすがギリシャ人はひと味違うと思わされる切り口でした。

参考記事:【経済】『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』ヤニス・バルファキス(2019年03月29日)


■2.『うまれることば、しぬことば』酒井順子

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うまれることば、しぬことば
酒井さんによれば、〈一九八〇年代は、明るく、楽しく、軽いことが正義とされた時代〉であり、そのことに〈居心地の悪さを感じ〉た人に〈しっくりくる言葉が、「根暗」〉だった。つまり、〈「根暗」はすなわち、時代の流れに対する反発を告白する言葉〉なのだというのである。そんな〈明るいフリはしているが、根っこは違う〉、〈すなわち表側だけが明るいのが「根暗」であったのに対して、「陰キャ」の人は、表面だけが暗い〉と酒井さんは解釈するのである。
 なるほど、〈「陰キャ」〉=「陰気なキャラクター」=〈「陰気な性格」〉と捉えると、実情とはズレるのだ。

◆私自身、「陰キャ」と「根暗」は同じようなものだと思っていましたが、まったく異なる模様。

他にも「はえ」とか「ばえ」のような、若者言葉の定義もイマイチ自信のない方は、要チェックかもしれません。


■3.『サンゴは語る』大久保奈弥

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サンゴは語る (岩波ジュニアスタートブックス)
サンゴの生態についてはほぼ無知なので、読んでいると思わず「へー」とか「ほー」という声が洩れる。たとえば、サンゴ同士が喧嘩をする、なんてまったく知らなかった。たしかにたいていのサンゴは一度着生すれば動けないわけだから、群体として大きくなると隣の群体とぶつかることがあるわけだ。ただ、その戦い方はなかなかエグイ。〈スウィーパーテンタクルと呼ばれる、相手の肉を溶かしてしまうことのできる触手を出して攻撃〉するのだそうで、SFホラーめいている。

◆第4章は科学ネタがテーマということで、こちらのサンゴ本を。

著者の大岡さんならずとも、普通サンゴの生態など知らない人がほとんどでしょうから、科学的好奇心がわいた方にのみオススメしておきます。


■4.『ロビンソンの末裔』開高 健

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ロビンソンの末裔 (角川文庫 か 4-9)
 太平洋戦争の最末期、アメリカ軍の空襲に 苛まれる東京から、一群の人々が北海道に向けて出発した。語り手「私」はその中のひとりである。彼は都庁に勤務していたのだが、「食糧増産のための北海道入植者募集」の要項を見る。(中略)
 だが、「私」は見事に足をすくわれる。津軽海峡を横断する船中で 玉音放送が流れ、敗戦によって陸軍工兵隊云々の条件は消失。というより、その他の条件も、すべて政府が場当たり的に決めたずさんな政策だったので、空文といっていいものだった。そこから始まった「私」たち一家やその他の「開拓団」の人々の苦闘は、かのロビンソン・クルーソーを上回るほどの悲惨に満ちていたのである。

◆この作品の元になった計画とは、「空襲によって罹災した人々の疎開と食糧増産を抱き合わせにして『解決』するという荒業だったよう。

本書で大岡さんは、この件を現在の「年金問題」や「非正規労働者」になぞらえています(詳細は本書を)。


■5.『法の精神 上・中・下』モンテスキュー

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法の精神 上 (岩波文庫)
 人間は弱いものであるがゆえに、社会を形成して連帯する必要がある。その連帯を保障し、皆が幸せに暮らすために法制度は存在するのであり、だからこそ権力者が法を勝手に変えてはいけないのであり、「法」を支える根拠は「道徳心」なのである、とモンテスキューは考えた。そんな人の著作を、「道徳心」の持ち合わせどころか、そもそも法律を守らないことをもっておのれの権力のあかしだと思っている人々、あらゆる批判に耳を貸さない人々の行動に対比させて語るなんて、そんな野蛮でむなしいこと、私にはとてもできません。

◆ややもってまわった言い方をされていますが、これはこの書評が掲載された頃に、検察官の定年を政府の判断で延長できるようにする検察庁法改正案が問題となっていたから(後に廃案)。

本書内ではちょくちょく、当時の政権批判が垣間見れるので、その辺で好き嫌いは分かれるかもしれません。


■6.『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
 読みどころは、それはもうたくさんある。音楽や演劇を多用する〈元底辺校〉の教育には深い共感をおぼえるし、一方で移民の子が他の移民の子を強固な偏見で差別したり(親の考えの投影だ)、貧困や地域差別やその他もろもろの問題も息子くんの眼前に立ちはだかる。そのたびに彼は戸惑いつつも、粘り強く事態を考察し対処していく。〈母ちゃん〉はそれを、時にサポートし、時に一緒に困惑しながら伴走する。その思考と対処の根幹にあるのは、〈自分で誰かの靴を履いてみること〉である。
 これは、〈他人の立場に立ってみる〉ことを意味する英語の定型表現だ。

◆すでに続編も出ていますが、紹介されているのはこちらの方。

本書に関しては、「子育て世代はもちろん、祖父母である方々にも、ぜひ読んでもらいたい逸品である」と大岡さん絶賛されていました。


■7.『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロンランド

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FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
人は何事によらず、単純化したりステレオタイプ化した方が理解しやすい傾向を持つ。だが、現在の世界は、〈悲しいくらい無能な大統領がいる国でも〉、テクノロジーを駆使して社会基盤を整備する〈普通の人〉たちの活躍によって、私たちの〈ドラマチック〉で〈ネガティブ〉な先入観よりもかなりマシなものになっている。それを正しく受けとめるために、〈根拠のない希望を持たず、根拠のない不安を持たず、いかなる時も「ドラマチックすぎる世界の見方」を持たない人〉になることが重要だ、とロスリングは主張する。

◆当ブログでも大人気でしたし、その後も数多くの本で言及されていたミリオンセラー。

自分が読んだので言うワケでもないですが、もし未読でしたらセールの機会等でお目通しされると良いかもしれません。

参考記事:【思い込み?】『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロンランド(2019年01月02日)


■8.『旅する少年』黒川創

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旅する少年
 実際、1970年以前に生まれた人は、本書から立ちのぼる「あの頃」のざわめきや匂い、空気に触れると、自分用のタイムマシンに乗ったような気分になるのではないかと思う。北沢少年は、学級新聞の編集委員として地元の伏見警察署の署長にインタビューし、「狭山事件」について質問をして相手から真摯な回答を得たり、ジョニー大倉の出自に衝撃を受けたりしながら、京都・出町 にあった喫茶店にして一大文化拠点だった伝説の「ほんやら洞」(北沢少年の父は、この喫茶店の創設に関わっている)でアルバイトをしては、それを資金に北は北海道から南は沖縄まで、日本中を旅したのである。

◆私は一応1970年以前に生まれているので、本書の「空気感」は味わえるのかも!?

私自身、大学を卒業するまで、ひとり旅をしたことがなかったので、当時12歳の少年が京都から東京へ行き、名古屋経由で紀伊半島をめぐって、最終的に京都まで帰ってくる、という「旅」は素直に脱帽しましたが。


■9.『もてなしとごちそう』中村安希

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もてなしとごちそう
〈人に会ったら欺きたい? それとも喜ぶ顔が見たい?〉という問いかけが、〈クスクス〉の章に登場するが、まさしく旅人をもてなして〈喜ぶ顔が見たい〉無償の善意が、本書のどのページからもあふれでる。中村さんが旅の疲れを癒やす寄港地のようにしているスロヴェニアの家庭などは、そうした善意の結晶のようであり、しかもそこで食べられる〈ごちそう〉の材料はすべて自家製。〈ハムもサラミも〉パンも野菜もハチミツも、さらに〈ワイン〉も、すべてが自作もしくは近くの親戚の手製。〈この家のなかには市販の食べ物はほとんど置いてない〉のである。

◆この本は文字通り、第13章の「呑んで、食べて、愛して」からのもの。

この本、何やらどの章も、いかにも美味しそうな料理の描写が登場するらしく、個人的にも読んでみたい1冊です。


■10.『作詞入門: 阿久式ヒット・ソングの技法』阿久 悠

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作詞入門: 阿久式ヒット・ソングの技法 (岩波現代文庫)
 阿久悠は、彼のことを〈はっきりしたカラーがない。何でも書いてしまう〉作詞家と評す声に対して、昔なら〈詞になる世界、ならない世界というのもあった〉が、〈今はない〉のだから自分はタブーなどなしになんでも書く。ただ、〈商品なのだから、自分だけがわかることばはいけないという〉〈唯一のタブー〉だけは必ず守る、と言い放つ。
 思えば、高度成長期は戦前の制度的父権性が崩れ、「父」なる存在が形を失いはじめた時代だった。そんな流れの中、歌詞で〈時代性〉を全面的に引き受けつつ、彼本人は「強い男=父」たらんとしたのではないか。そんな哀愁を含んだ感想が、本書を読んでいるとなぜか浮かんでくる。

◆阿久 悠さんの本は、当ブログでも下記参考記事の作品を読んで、いたく感動した記憶が。

本書はより「作詞」に特化している分、クリエイティブに携わる方に向いていそうです。

参考記事:【クリエイティブ】『「企み」の仕事術』阿久 悠(2012年06月05日)


【感想】

◆各章から1冊ずつ、合計10冊選んでみました。

ただし本書は全部で17章あるので、1冊も取り上げていない章もあるのですが、お許しを。

と言いますか、章によって収録冊数がまちまちで、4冊しかない章もあれば、12冊も収録した章もあるので、正直各章1冊という縛りが正解だったのか微妙ですが。

そして、選書的にも、あきらかに「ド定番文学モノ」は除きました。

実は第5章は『異邦人』やら『悲しみよ、こんにちは』やら『大地』(パール・バックの)が紹介されていたのですが、章ごとカット。

また、第7章の中国ネタも割愛しております。

結果、結構柔らかめの本ばかり選んでしまったので、実際に本書を読まれて「は?」となる方が出ませんように……。


◆なお、順番が逆になりましたが、本書は
2019年4月から22年8月までの3年4か月にわたり、「日刊ゲンダイ」紙上で週間連載をしたコラム「熟読乱読世相斬り」を元にしている
とのこと。

もちろん「元にしている」とあるように、そのままではなく、編集者さんが「選別&再構成」をしているのだそうです。

また、実際には、コラムの本文の前にリード文が付されており、本書も基本的にはそのリード文を各節の冒頭に持ってきているのですが、私が引用した部分と必ずしもマッチしていなかったので、本エントリーではこれまた割愛させていただきました。

たとえば、初っ端の『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』ですと、リード文はこうです。
みずからが経済を運営する一員だという意識が必要な理由
もちろん、本書で本文全体を読むと、まったく違和感がないのですが、こちらも当方の都合でカットした次第。

いずれにせよ、本書を通読することで、ハズレでない本100冊のエッセンスを得られるのは悪くないと思います。


教養を得るためのブックガイドとしてぜひご検討を!

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一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本
Part1 知恵と知識の博覧会! 専門家の著した傑作 29編
第1章 時には専門家の書いた傑作で「知ったかぶり」も悪くない
第2章 歴史とは探検・探索するもの。最後に闇が残るのも、悪くない
第3章 言葉の重みに真正面から取り組む
第4章 科学は実に愉快である

Part2 やっぱり凄い古典的名作 26編
第5章 名作を再読する悦楽。そこには必ず発見がある
第6章 混迷の時代の今だからこそ、あらためて読みたい古典
第7章 古代中国のロマンに思いを馳せる

Part3 この世界のリアルを描く 21編
第8章 この時代に生きる人々を観察し、記録し、考える
第9章 複雑にして怪奇な世界を読み解く
第10章 政治を政治家だけにまかせてはいけない
第11章 ユニークな戦争モノを掘り起こす

Part4 人生の愉しみを語る 11編
第12章 人はなぜ旅に魅かれるのか
第13章 呑んで、食べて、愛して
第14章 芸能界の面白さは、洋の東西を問わず

Part5 作家の魂に触れる 13編
第15章 本の中の登場人物に惚れる
第16章 この著者の意気地が好きだ
第17章 懐古から予見まで。数奇な作品に光を当てる


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【HONZ本】『ノンフィクションはこれを読め! 2014 - HONZが選んだ100冊』成毛 眞 編著(2014年10月28日)

【読書】『ビジネスパーソンのための「最強の教養書」100』(2014年06月25日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【音声DL付】杉田敏の 現代ビジネス英語 2022年 春号

おなじみ杉田敏さんのビジネス英語本は、Kindle版が600円弱お得。

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J02 地球の歩き方 東京 多摩地域 高尾・御岳・奥多摩と全30市町村を完全網羅 (地球の歩き方J)

地球の歩き方の奥多摩地区版があるとは知らなかったのですが、Kindle版が1500円弱お買い得。

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日経キーワード 2022-2023

昨年12月に出た作品なので、そろそろ賞味期限が微妙とはいえ、こちらのキーワード本は、「499円」のKindle版が700円以上お得な計算です!


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本趣味・実用書キャンペーン」の続き分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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サバイバル決断力 「優柔不断」を乗り越える最強レッスン

参考記事:【決断?】『サバイバル決断力 「優柔不断」を乗り越える最強レッスン』(2022年11月06日)

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元気なままで長生きしたければ「腸にいいこと」だけをやりなさい! (扶桑社BOOKS文庫)

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よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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