2022年11月04日
【アイデア】『アイデアの育て方』小沼敏郎

アイデアの育て方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中から、個人的に読みたかったアイデア本。著者の小沼さんは、多分野で「トータルプロデュース、ブランド構築、クリエイティブディレクション、経営マネジメント、戦略アドバイザリーなどを手掛ける」というアイデアマンです。
アマゾンの内容紹介から。
若くして様々なビジネス分野で活躍する著者が伝える14日間26の質問で、誰でもアイデアを育て、実現させることができる一冊。
中古が定価の倍値以上のお値段ですから、「9%OFF」のKindle版がお買い得です!

Killer idea / khalid Albaih
【ポイント】
■1.横に広げず縦に伸ばせあなたが、あるアイデアを持っているとしよう。そのアイデアは、きっとほかの人も持っている。すると、あなたはこう考えるかもしれない。「みんなが思いつくんじゃつまらない」と。(中略)
そして、「多くの人が思いつかないものを考えよう」となれば、発想を横に広げていくしかない。横に広げていけば、中心から遠ざかる分、ニッチになりエッジが効いてくる。「冴えている」と感じる。しかし、それは本質からズレていることを意味する。「どうだ。こんなことは誰も思いつかないだろう」と息巻いてみても、ニーズの乏しいものなのだ。
それよりも、ほかの人が横に逃げている間に、縦に高く登っていこう。多くのニーズがあるところを徹底して極めていけば、大きな花が開く。これが僕のすすめる99パーセントの努力であり、アイデアを育てるという作業だ。
■2.アイデアを言葉にできるか
ノートとペンを用意したら、どんどん言葉にして書いてみよう。あなたのアイデアを、話し言葉ではなく書き言葉に変換することはとても大事だ。アイデアそのものについて、湧いてきた疑問について……自分の頭の中に留めておいてはいけない。書こう。
やってみると、思っていることを書き言葉にするのは案外、難しいはずだ。だからこそ、あえてそれをやることで、あなたの考える能力が深化し、アイデアが育っていく。
下手くそでもいい。途中までしか書けなくてもいい。とにかく書いてみよう。そして、何度も書き足したり、書き直したりしてみよう。すると、最初と最後では、あなたのアイデアは赤ちゃんと大人くらいの違いが出ているはずだ。
■3.そのアイデアで喜ぶ1人と1万人を考えられるか
あなたのアイデアで、最高に喜んでくれる1人は誰だろう。もし、20代の女性なら、どこでどんな生活をしていて、何に悩んでいるのだろうか。顔や名前、仕事ぶりまで想像してみよう。あるいは、友人や恋人をあてはめてみてもいいだろう。
その1人が、あなたのアイデアによって喜んでくれるストーリーを、徹底的に突き詰めて考えよう。想像できない部分があってはダメだ。
アイデアが実現したときに、相手はその価値を受け取って、どんな反応をして、どう変わってくれるのか、具体的にストーリーで考え抜こう。
実際に、そのストーリー通りになるかどうかが問題なのではない。そこまで突き詰めて考えないと、アイデアは育たないということだ。
次に、1万人という不特定多数を喜ばせることができるかを考えてみよう。すると、1人を相手にしたときとはまったく状況が違ってくるはずだ。たとえば、1人相手に5時間かけたことを、1万人に対して同じようにはできない。
■4.アイデアを捨てられるか
どんなに一生懸命に育ててきても、「このアイデアはやっぱりダメだ」と気づくことがある。せっかく手間暇かけてきただけに認めたくないかもしれないが、こだわることはない。そのときは、惜しげもなくポイと捨てよう。(中略)
もっとも、「捨てる」と言っても、焼却してしまう必要はない。いろいろ書き込んできたノートは取っておこう。
僕は、古いアイデアノートを10年にもわたって保存してあり、今もときどきパラパラめくる。すると、そのときはダメだと判断したものが、今考えているアイデアに素晴らしいヒントを与えてくれたりする。ときには、新しいアイデアとして再び生まれ出ることもある。(中略)
実は、たくさんのアイデアを次々と花開かせているような人は、寝かせているストックが多い。しかも、「ストックを増やそう」と狙っているわけではなく、「なんだかイマイチ」と放り出しているものが溜まっているだけだ。
だから、あなたもそのストックを増やすつもりでアイデアを捨てていい。あなたのアイデアはあなたのものだから、また気が向いたら拾えばいいのだ。
■5.失敗、撤退の定義はできているか
あなたのアイデアは、どうなれば失敗かを明確に定義し、言葉にして書き出そう。そして、そこに至るまでは諦めずに全力を尽くそう。ただし、定義された失敗に至ったなら、さっぱり撤退しよう。「ナイスチャレンジでした!」でいいのである。
僕も、絶えずそれをやっている。ビジネスで何か提案するときには、撤退ポイントも一緒に伝えている。ほかの人たちは、たいてい成功について語るだけで失敗の想定を示さないから、僕の態度は誠実なものとして喜んで受け入れてもらえることが多いのだ。
それに、アイデアを動かし始めるときに失敗の定義をしておくことは、参加者それぞれがとるべき行動を明確にし、成功への確率を上げるものだと僕は思っている。
【感想】
◆さすが数多くの場数を踏んでこられたという、小沼敏郎さんの作品でした。比較的多くのアイデア本が、「0⇒1」の創出方法に取り組む中、本書はすでに読者の中で生まれている「1」やそれ未満のモノを具体的なアイデアに育て上げる手順を示しているという感じです。
そういった「アイデアの前提」について述べられているのが、本書の「アイデアって、本当はなんなのか?」という冒頭の部分(「章」ともまた違うので何と呼べばいいのか)。
こちらは単なる「はじめに」ではなく、かなりのページを割いてアイデアについて言及しています。
そしてそこから抜き出したのが、上記ポイントの1番目の「横に広げず縦に伸ばせ」。
小沼さんは「横に広げる」ことを「横に逃げる」と表現しており、なるほど普遍的なアイデアであっても、上方向に極めれば良いのだと、深く納得しました。
◆続くパートでは、期間を「14日」と区切り、その間に「26の問いかけ」に答えていく仕様になっています。
その日程と内容については、下記目次をご参考のこと。
たとえば上記ポイントの2番目の「アイデアを言葉にできるか」は、最初の2日である「アイデアを育てると決める」から抜き出したものです。
いきなりノートとペンが冒頭に出てくるのは、その前の問いで用意するよう促されているため。
確かに「言語化」の重要性は、さまざまな作品でもうたわれていますが、本書のようなアイデア本でも、それは同じなようですね。
◆次の3日目から5日目の「アイデアにイマジネーションを与える」からは、上記ポイントの3番目をセレクト。
「誰か1人をイメージする」、というのは、マーケティング本でいうところの「ペルソナ」に近い気がします。
ただ、その後の「1万人という不特定多数を喜ばせることができるか」というのは、初耳かも。
もっとも、不特定多数を相手にしない、コアな人だけを対象とするビジネスも可能です。
ライブだって、ホールを満員にするより、ディナーショーの方が単価が高くてコスパが良かったりしますからね。
ただいずれにせよ、小沼さんが言うように「1人を喜ばせることができない人は、1万人を喜ばせることはできない」ということ。
まずは、1人を対象として超ミクロで考え、それを超マクロに移行できるかを検討し抜こう。しごく真っ当かと。
◆また、ちょっと飛んだ7日目から8日目の「アイデアなんて忘れる」からは、上記ポイントの4番目の「アイデアを捨てられるか」が印象的でした。
ただしこれも、完全に捨てるのではなく、「ノートは保存しておく」というもの。
再利用ではないですが、その時は不要でも、後になってから大きなアイデアに育つ可能性だってあります。
実際、色々な発明やビジネスは、もちろん先行者利益みたいなものもある一方、タイミングや技術的な問題で「後世に出ていたら」というものもちらほら。
特にインターネットをインフラとするビジネスは、昔と今では回線スピードが全然異なりますからね。
◆そして最後のポイントの5番目の「失敗、撤退の定義はできているか」は、9日目の「アイデアを否定する」からのもの。
「失敗」「撤退」の定義や基準が明確であれば、それまで一生懸命取り組めるというものです。
ただ、ここのお話で
結婚するときには、「こうなったら離婚」という条件を決めておけば、案外うまくいくのではないか。「僕たちの結婚が失敗するはずがない」というところからスタートするから、大変なことになるのだ。というクダリは、辛辣すぎて泣けましたw
「浮気」や「親との同居」みたいに明確な基準を別にすれば、どちらかというと「何となくイヤになった」みたいなのが多いと思うんですけどね。
というか、結婚前に実現が予想できるような将来の懸念点があれば、逆に結婚しない方がいいんじゃないでしょうか。
……とアイデアとはズレましたが、アイデア出しだけできて、そのままになっているような方なら、本書で飛躍できるんじゃないかと思います。
アイデアを実現させるためには必読の1冊!

アイデアの育て方
アイデアって、本当はなんなのか?
あなたのアイデアを育てる14日間
アイデアを育てると決める【DAY1〜2】
アイデアにイマジネーションを与える【DAY3〜5】
アイデアを突き詰める【DAY6】
アイデアなんて忘れる【DAY7〜8】
アイデアを否定する【DAY9】
アイデアを洗練させる【DAY10〜11】
アイデアを話す【DAY12〜13】
アイデアを旅に出す【DAY 14】
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「IDEA HACKS!」原尻淳一 ・小山龍介(著)(2006年07月29日)
【編集後記】
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