2022年11月01日
【自己啓発】『THE HERO CODE ヒーローコード』ウィリアム・H・マクレイヴン
THE HERO CODE (扶桑社BOOKS)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本趣味・実用書キャンペーン」からの自己啓発書。著者のウィリアム・H・マクレイヴン氏は、「米海軍特殊部隊SEALs司令官にして元海軍大将」であり、本書の中にも戦場での描写が多数登場しています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
私たちには生まれながらに、ヒーローたり得るコード(行動規範)が備わっている!
世界を救うのはスーパーマンではない。
勇気、謙虚さ、利他心、忍耐力、ユーモア、希望をもった私たち一人ひとりである。
誰もが、誰かのヒーローなのだ。
中古があまり値下がりしていない一方、「65%OFF」と値引率が高い結果、このKindle版が1100円弱お買い得となっています!
U.S. Navy and Japan Air Self-Defense Force aircraft fly in formation over USS Ronald Reagan. / Official U.S. Navy Imagery
【ポイント】
■1.犠牲心「手榴弾だ!」
ジョンソンはそう叫ぶと、躊躇なく爆発物の上に体を広げてかぶさった。
この19歳の海兵隊員は身を挺して仲間の兵士を爆風から守ったのだ。
手榴弾はラルフ・ジョンソンを切り裂いた。彼は即死だった。(中略)
ベトナムの真ん中にある孤立した丘陵地のような場所が、アメリカに変革をもたらすとは誰も思いもしなかった。しかし、146高地の戦いの後、ラルフ・ジョンソンが自らを犠牲にして仲間を救ったというニュースは瞬く間に広がった。米国最南部に育ち、きちんとした教育をほとんど受けず、黒人差別の中で生活していたこの若い黒人海兵隊員は死力を尽くした献身を共に戦う兵士たちに注いだのだ。(中略)
1960年代、人種間の紛争が激化する中、ラルフ・ジョンソンの私心のない行動と、仲間の海兵隊員を救うために下した一瞬の決断は、多くのアメリカ人の目を覚まさせた。肌の色に関係なく、人は皆尊敬に値する存在だと気付かされ、心を動かされたのだ。
■2.思いやり
誰かに何かを与えるという行為をすると、脳から幸せを感じるホルモンが分泌されるということが化学的にわかっている。しかし、そんな科学的な根拠や説明がなくても、慈善活動をすると気分が良くなることくらい、ほとんどの人は子どもの頃から知っている。(中略)
「与えたい」という気持ちが他の人よりも強い人もいる。そういう人は人の痛みがわかる人たちだ。人の死や不幸に共感する、生まれながらに思いやりがある人たちだ。あなたの周りにもそういう人が中にはいるだろう。 しかし、ほとんどの人は、「親切にしたい」という気持ちをあえて意識しなくてはならない。生きているとどうしても利己的になり、仕事、富、イメージなどに優先順位が偏りがちになってしまう。私たちの人格、つまり私たちの人間らしさの本質、社会に適合する素養が、近代合理主義的な考えによって損なわれていっている。
幸いにも、その対策方法は簡単だ。ホームレスに1ドル、炊き出しに1時間、教会のバザーに1食、帰還兵に感謝の気持ちを1回伝えるなど、その小さな親切が人格を鍛え、魂を強くし、社会との繫がりを保ってくれるのだ。
■3.忍耐力
では、どうすれば忍耐強く続けることができるのか。シールズの訓練にはこんな言葉がある。「1つずつ進化していけ」。「フロッグマン」と呼ばれる潜水特殊工作隊を目指す我々は、訓練では「おたまじゃくし」からスタートし、目標に到達するために進化していかなければならない。その進化とは、長距離走、外洋遠泳、何時間にもわたる肉体的なトレーニングである。そして、そのどれもが苦痛と疲労や時には失敗を伴う個人の戦いなのだ。その己との戦いの結果としての「進化」なのだ。先のことを考えすぎる訓練生は、自分の能力以上のことをしなければならなくなるのではと不安になる。この先延々と壁がやってくるものだと思ってしまうと、挑戦することにおじけついてしまう。しかし、先のことは考えず、1つ1つの壁を克服していけば、いつの間にか克服した壁が1つ、2つ、3つと増えていく。そうやって課題をクリアしていくのだ。
■4.任務
こんな昔のことわざがある。
「釘が1本足りなかったために馬蹄が駄目になり、馬蹄がひとつ足りなかったために馬を用意できず、馬が1頭足りなかったために騎士が乗れず、騎士が1人足りなかったために戦いに負け、戦1つに負けたために王国が滅びた。つまり、1本の釘が足りなかったために王国が滅びた」
この古いことわざにはさまざまな解釈があるが、私にとっては、自分の任務を果たすことを象徴しているように思う。(中略)
任務というのは単純なものだ。私たちは皆、人生の中でやるべき仕事を持っている。それがどんな仕事であれ、私たちは自分の仕事に最大限の努力を持って取り組まなければならない。レストランでの接客であれ、家族の世話であれ、子どもたちの教育であれ、街の取り締まりであれ、病人や弱者の世話であれ、門を守ることであれ、軍の行動規範に従うことであれ、国を率いることであれ、自分の利益のためではなく、他人の利益のためにきちんと仕事を行わなければならない。
■5.許容
黒人の信徒が集まるサウスカロライナ州チャールストンにある「エマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピコパル教会」で、白人至上主義者のディラン・ルーフが黒人信者9人を殺害した事件があった。
その後、彼が法廷に立ったとき、被害者の家族はそれぞれ順番にルーフの凶悪で理解しがたい犯罪に対してこう言った。
「私はあなたを許します。そしてあなたの魂に慈悲を与えます」
彼らは、ルーフを許すことで、彼への怒りが自分たちの苦しみにならないようにしたのだ。(中略)
イギリスの文豪、哲学者、神学者であるギルバート・キース・チェスタトンはかつて、「愛するとは、およそ愛せないものに愛を注ぐこと。許しとは、許されざるものを許すこと」としている。
ディラン・ルーフの行為は許しがたいものだが、遺族たちは彼を許すことで、この卑劣な行為が生み出す憎悪の念から自らを解放したのだ。彼らは憎み続ける被害者から、許しを与える勝者となったのだ。
【感想】
◆きわめてまっとうな自己啓発書でした。下記目次にある10章=10項目は、いずれも妥当というか自己啓発書として王道的なもの。
そう言う意味では、「目からウロコ」的なTIPSはほぼありませんでした。
ただし、その辺の普通の著者が書く自己啓発書と違うのが、著者であるウィリアム・H・マクレイヴン氏の経歴と、それに伴う数々のエピソード。
何せアマゾンの「著者について」という部分から抜き出すと
2003年、イラクにおける「赤い夜明け作戦」で逃亡中のサダム・フセインを捕獲。2011年、「ネプチューンの槍作戦」を指揮し、ウサマ・ビン・ラディンの殺害に成功。その後、四つ星階級章の大将として米国特殊作戦部隊の司令官を務め、2012年には、ソマリアで武装グループに監禁されていた人道支援団体のメンバー2名の救出作戦を成功させたとのことですから、むしろそっちのノンフィクションで本が数冊書けそうです。
◆また、こうしたご本人の戦場の話もあれば、他の方の体験、もしくは過去の事件や紛争等々も登場。
たとえば第3章から抜き出した、上記ポイントの1番目のエピソードは、1968年のベトナム戦争時に、1人の若者が身を挺して舞台を救ったお話です。
この時、その若者によって命を救われた彼の上官は、その後の人生を、亡くなったラルフ・ジョンソンとその仲間たちの物語を伝えることに注いだのだとか。
ちなみに、その彼にちなんで名づけられたミサイル駆逐艦もあるとのことです。
ラルフ・ジョンソン (ミサイル駆逐艦) - Wikipedia
日本にも来てますね。
米国海軍艦船「ラルフ・ジョンソン」が八戸港に入港します|青森県庁ウェブサイト Aomori Prefectural Government
◆また第5章から抜き出したのが、上記ポイントの2番目の「思いやり」。
アメリカは日本と違って、寄付行為が日常的に行われているようですから、また多少ニュアンスは違うのかもしれませんが、「利他」の精神は持ち続けたいものです。
ちなみに長いので割愛しましたが、この章に登場するエピソードは、俳優のゲイリー・シニーズが、マクレイヴン氏の出席していた打ち合わせに、訪れるというもの。
しかもその目的は、彼が買った大量の学用品をアフガニスタンの子どもたちに運ぶべく、彼の上司にC-130輸送機を借りるためでした。
さすがに私たちはそんなことはできませんが、ポイントの2番目の最後にもあるように「小さな親切」なら可能かと。
そういえば私も、以前毎月定額の寄付をするサービスに申し込んでいましたっけ(ほんの少額ですが)。
困窮するひとり親家庭に食品の贈り物を|認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン
◆一方、上記ポイントの3番目は、第6章から抜き出したもの。
ここにある「シールズ」というのは、もちろんネイビーシールズのことで、その訓練について描写されているワケです。
これはもう、その章題のとおり「忍耐力」以外のなにものでもありませんね。
ちなみに当ブログでご紹介しているこちらの作品は、やはりネイビーシールズの隊員が書いたものなのですが、やはりネイビーシールズは「忍耐力」が問われる組織のようです。
STRONGER「超一流のメンタル」を手に入れる
参考記事:【米海軍式?】『STRONGER「超一流のメンタル」を手に入れる』ジョージ・S・エヴァリーJr. 博士,ダグラス・A・ストラウス博士,デニス・K・マコーミック博士(2016年11月22日)
◆さらに続く第7章から引用したのが、上記ポイントの4番目のTIPS。
軍隊はもちろん「任務」は重要ですが、それは私たちの日常生活も同じことでしょう。
ちなみにこの章では、マクレイヴン氏が大統領に戦況報告に急いで行こうとして、ゲートの警備を行う女性に足止めを食らうお話が登場します。
いくら「急いでいる」と言っても、「許可がないと通せない」と言い続ける彼女に対し、マクレイヴン氏は何と言い、そして彼女は何と返したか(詳細は本書を)。
また、最後のポイントの5番目は、最終章の「許容」からのものになります。
自分が被害者の家族だったとして、果たして許すことはできるのか?
許せたら本当に「憎悪の念から自らが解放」されるのか?
私自身、許せる自信はありませんが、留意しておきたいと思います。
ヒーローたり得るコード(行動規範)が学べる1冊!
THE HERO CODE (扶桑社BOOKS)
第1章 勇気
第2章 謙虚さ
第3章 犠牲心
第4章 誠実さ
第5章 思いやり
第6章 忍耐力
第7章 任務
第8章 希望
第9章 ユーモア
第10章 許容
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【自己啓発】『ペンタゴン式 ハードワークでも折れない心のつくり方』カイゾン・コーテ(2015年12月14日)
【メンタル】『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか? 実践版「レジリエンス・トレーニング」』久世浩司(2014年11月03日)
【編集後記】
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