2022年10月21日
【富裕層?】『日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか』大森健史
日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか (朝日新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった1冊。著者の大森健史さんは、比較的最近(2017年以降)増えてきた特徴的な富裕層を「シン富裕層」と名付け、その「生態」を本書で明らかにしています。
アマゾンの内容紹介から。
不動産投資、暗号資産、オンラインサロンなど、自らの才覚で巨万の富を手にする人々が続出し、日本の富裕層は近年大きく変化した。海外移住サポートを通して2万人以上を知り尽くした著者だから知る彼らの哲学、新時代の稼ぎ方を大公開!
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【ポイント】
■1.「シン富裕層」の4つのタイプ(1)ビジネスオーナー型シン富裕層の中ではやや古いタイプ。自分の実力で企業を経営してきた。移住の準備に時間をかける。ロジック好きであり、参考になる新時代の資産形成術(第3章) は、このタイプから学べる。(2)資本投資型開業医や一流企業勤めのサラリーマンなどが、世間一般の平均よりも高い給与を元手に、株式や不動産、最近だと暗号資産投資で増やしていく。(3)ネット情報ビジネス型インターネットを活用し、株式投資や情報商材、動画配信などの新しい分野にいち早く飛び込み稼いできた、ファーストペンギンタイプ。決断が早い。(4)暗号資産ドリーム型暗号資産で、数億円から数百億円規模の巨額の資産を手にした人々。暗号資産が乱高下しても、一切売却することなく持ち続ける忍耐力がある(キャッシュが必要となり、一部のみ換金するケースはある)。
■2.ツルハシビジネスで情報商材を売る
情報商材で最近多いのは、「動画配信のやり方」に関してノウハウを販売している人たちです。
19世紀半ばにアメリカで巻き起こった「ゴールドラッシュ」で、実際に儲けたのは、金を掘りに来たプレイヤーではなく、ジーパンを売ったりツルハシを売ったりと、プレイヤーにさまざまな物資を供給したサプライヤーだったと言われています。それと同じように、ごく一部のスターユーチューバーを除き、スターユーチューバーを夢見る人たちにノウハウを売る人たちのほうが儲かるということなのでしょう。
動画配信に関する、「効果的な動画の撮り方」や「編集のしかた」「台本の作り方」などを、商品化して販売しているのです。ユーチューバーになりたい人や、ビジネスで活用したい人たちは大勢いますので、見込み客の母数も多くいます。
■3.値切っていいものと値切ってはいけないもの
「モノは値切ってもいいけど、人にしてもらうことは値切ってはいけない」と、かつてお客様だった不動産業のビジネスオーナーに教えられたことがあります。
高価な壺を買うことを決めたとして、販売員がどんなに心のこもった接待をしてくれたとしても、壺というモノ自体の価値は変わらないから、いくら値切ってもいい。一方で、人の行動次第で質が変わるサービス、たとえばリフォームや美容院、教育関係、コンサルティングなどについては、値切ってはいけない、ということです。むしろ、相手に平均よりも多くのお金を支払い、どうやって平均以上のものを得るかに常に気を遣うのが、「(1)ビジネスオーナー型」の人たちなのです。
■4.「自宅投資」を繰り返す
「都会でいい雰囲気の場所といえば、青山かな?」という理由で、まずは港区の青山にマンションを買いました。東日本大震災の直後で、不動産市場が冷え込んでいたころのことです。
その後10年の間に、青山から赤坂、六本木と、港区内を転々としてきました。それぞれ、売るころには、マンション価格が2〜3割値上がりしたのです。(中略)
そんなの無理だ、と思うかもしれませんが、夫婦ともにそれなりの企業で働いていれば、2人のペアローンで1億円以上借りられるわけですから、夢のまた夢というわけではないのです。10年前なら、青山の新築マンションの最上階も、買おうと思えば買えたはずです。
そこでローンを組むことに躊躇してしまい、都心まで1時間以上かかるような地域で安価な戸建てなどを買ってしまうと、その後売るに売れず、資産も築けない、ということになるわけです。ひと昔前は、家を買うなら郊外、借りるなら都心、というのが定説でしたが、今は逆なのです。
■5.ビザを持っていることは他人に言ってはいけない
最後に注意点として、投資家ビザ取得には多額の資産や一定の期間がかかりますから、ビザ名を伝えるだけで相手にだいたいの総資産がわかってしまいます。私もよくシン富裕層の人々には、「投資家ビザを持っていることは人に言わないほうがいいですよ」と伝えています。
私も、お客様が問い合わせをしてきて「どこの国のビザをお考えですか」と聞き、行き先を聞いただけで、だいたいの資産額が予想できます。
たとえばアメリカに移住している人に、「どんな仕事をしているんですか」と聞き、「投資家です」と答えたら、1〜2億円くらいのキャッシュがあるんだな、とわかる人にはわかってしまうわけです。
「オーストラリアに、投資家ビザを取って移住します」と話したら、最低でも3億円くらいは持っているということがばれてしまうのです。
前述したように、シン富裕層には、資産を目当てに詐欺師も群がってきます。ビザも重要な個人情報ですから、リスク回避のためにも、不用意に漏らさないよう気をつけましょう。
【感想】
◆当初考えていたよりも、「儲け」のヒントがちりばめられていた作品でした。そもそも著者の大森さんは、富裕層の海外移住のサポートをするのが本業ですから、本来はクライアントの稼ぎ方まで知らなくてもいいハズです。
……と思っていたのですが、どうもビザの申請に、行っている事業の内容や実績、さらには手持ちの金融資産の入手経路等も必要らしく(犯罪や脱税を行う者だとまずいため)、必然的にどのように「富裕層になったか」を知ることになったようで。
もちろんクライアントの中には、世間的にもおなじみの「親からの相続」組もいて、これらは上記ポイントの1番目ではカットしましたが「(5)相続型」に分類されています。
本書の第1章では、この(1)〜(5)までの、通称「シン富裕層」について解説されており、その具体例がいずれも興味深いものでした。
◆その1つが上記ポイントの2番目に挙げた「情報商材」。
これは「(3)ネット情報ビジネス型」に該当するのですが、おそらく私たち一般読者にとっても実践できるとしたらこちらくらいでしょう。
もちろん中には値段に釣り合わない不当な商材もあるのでしょうが、昔より口コミで淘汰されるのではないか、と。
また、この界隈でも往年の「ツルハシビジネス」が正解、というのも興味深いです。
割愛した中でユニークだったのが、資格を持っているのに税理士としての仕事はほとんどせず、税理士試験をはじめとした資格試験のノウハウ本を書いた「情報商材」を売っていた男性で、その方年間6000万円(!?)の収入を得ていたのだとか。
……大昔、このブログと並行して、勉強法のブログを書いていただけの私とは大違いですね。
しかもこの方、「税理士資格を持っている人が書いたノウハウ本」というブランド力をつけるために資格を取ったとのことで、本業でも全然そんなに稼げない私としても頭が上がりませぬ(グヌヌ……)。
◆続く第2章では、「富裕層になれる人、なれない人」ということで、「人」としての特徴等についてフォーカス。
これがまた、上記ポイントの1番目のタイプによって全然違うのが面白いです。
たとえば「(1)ビジネスオーナー型」と「(3)ネット情報ビジネス型」は、仕事に対してポジティブなのに、「(2)資本投資型」は本業が忙しくて、早くリタイアしたい(ので移住を考えている)のだそう。
さらに「(4)暗号資産ドリーム型」は、自ら色々調べて暗号資産を購入した積極的な人と、たまたま話に乗って暗号資産を購入してバカ当たりしてしまった人とで、まったく人種が違うみたいです。
特に後者の場合、単なるラッキーなだけの「普通の人」なので、
たとえば3億円相当の暗号資産を持っていて、法定通貨の円に換えたい、でも1億5千万円を税金で払いたくない、と悩んでいるのに、税理士に2時間相談して数万円の相談料の支払いをケチるのだとか。
それに対して上記ポイントの3番目は、さすが実務をこなしている「(1)ビジネスオーナー型」の方の話だな、と思う次第。
◆一方、第3章の「新時代の資産形成術」から抜き出したのが、上記ポイントの4番目の「自宅投資」です。
これは本書内でも第1章とこの第3章で結構なページを割いて解説されているのですが、まだローンが組める年齢の方なら、検討しても良いテクニックではないか、と。
実際、新聞の折り込み広告で、文字通り「億ション」を見るたびに「誰がこんなの買うんだろ?」と思ってましたが、高く売却できる見込みのある物件なら、全然「アリ」でしょう。
ただし、これはあくまで現在の税法の規定(「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」)に立脚しているので、これがなくなると話が変わってくるのですが。
No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
実際、今年に入ってから、相続開始直前に多額の借金をして賃貸不動産を購入した(今まで普通に「節税テクニック」として行われていました)事例が、最高裁で認められなかったりしていますので、一応ご留意ください。
◆逆に第4章からは、具体的な移住のお話が続くので、読む分には面白かったのですが、実践するにはまず先立つものがないと難しいワケでして。
上記ポイントの5番目の注意点も、「なるほど! 気を付けねば!」と思っても、そもそもお金がなくてビザなんか手に入らないですし。
ちなみに、第5章では移住に焦点を合わせた、国別の特徴や評価が載っており、こちらは読む分には興味深かったです。
たとえば東南アジアではどこがオススメで、以前と違って厳しくなったのがどこか等々、雑学的知識として持っておいても良さげ。
有名どころではUAEのドバイが人気なのがなぜか、というのも本書を読んで初めて理解しました。
それと意外に評価が高いのが、まったくその手の話を聞いた事がなかったポルトガルで、私ももし可能なだけのお金があったら、ぜひ移住してみたいと思ったくらいポイント高し!
4800万円以上の不動産購入でOKらしいので、詳しくは本書にてご確認ください。
巨万の富を築きたい方なら要チェックの1冊!
日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか (朝日新書)
序 章 日本の「お金持ち」に変革が起きている!?
第1章 「シン富裕層」のリアル
第2章 富裕層になれる人、なれない人
第3章 新時代の資産形成術
第4章 なぜ富裕層は海外移住するのか
第5章 国別に見る海外移住のメリット・デメリット
【関連記事】
【お金の真実】『執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学』新井直之(2015年10月10日)「日本の富裕層」臼井 宥文 (著)(2006年08月21日)
【お金持ち】『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』に学ぶ7つのコツ(2013年05月24日)
【起業】『本物の大富豪が教える金持ちになるためのすべて』フェリックス・デニス(2017年10月06日)
【自己啓発】『大富豪がわが子に伝える秘密の法則』スティーブ・シーボルド(2019年02月21日)
【編集後記】
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【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本ストア10周年キャンペーン」のSBクリエイティブ分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。絵がふつうに上手くなる本 はじめの一歩×上手い絵の技術×安定して稼ぐ秘訣
観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか (SB新書)
参考記事:【考え方】『観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』佐渡島庸平(2021年09月09日)
一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書【宗教編】 公立高校教師YouTuberが書いた
2025年日本経済再生戦略 国にも組織にも頼らない力が日本を救う (SB新書)
よろしければご参考まで!
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