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2022年10月03日

【失敗?】『世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道』荒木博行


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世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「Kindle本読書の秋キャンペーン」にて、個人的に読みたかった1冊。

以前、未読本記事で取り上げたものの、日経BPさんの作品で値引きがなかったため、手を出しそびれていた作品をやっと読むことができました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
■すごい会社も派手に「失敗」していた!
アップル、グーグル、アマゾン、任天堂、ソニー、トヨタ、etc……グローバル企業20社の「失敗」事例をイラストと共に徹底解説。ベストセラー『世界「倒産」図鑑』の著者が贈る、トップ企業の「失敗」をあなたの「成功」に変えるケーススタディ集。

中古があまり値下がりしていませんから、このKindle版が700円弱お買い得となります!






【ポイント】

■1.アマゾン/ファイアフォン 自社が描いた将来像を重視しすぎて失敗
 では、なぜファイアフォンは失敗したのでしょうか。
 それは端的に言えば、ユーザーがスマートフォンに求めるものとのズレがあったということにあるでしょう。
 アマゾンの「買い物をよりシームレスにする」「世の中全てをショールーム化する」という野望は、ユーザーには受け入れられませんでした。
 ユーザーにとっては、スマートフォンにおける「買い物」の位置付けは、その他多くの機能のうちの一部分でしかありません。もはや1日のうちで最も多くの時間を共にしていると言っても過言ではないスマートフォン。そのスマートフォンで買い物が少し便利になったからといって、簡単に買い替えるでしょうか。(中略)
 そういう意味では、この商品は「ユーザー視点で見た現在」を疎かにしたまま、「自社視点で描いた未来」に重心をかけすぎていたと言えるでしょう。


■2.グーグル/グーグルプラス 企業側の戦略を優先して失敗
 例えばフェイスブック、ツイッター、インスタグラム。これらのSNSは全て開始時点ではスタートアップによるサービスであり、最初は限定的なユーザーが楽しみながら活用し、ユーザーが使い方を見出しながら徐々に大きくなってきたという歴史があります。SNSはユーザーがコンテンツを投稿することによって事後的に方向性が定まることを考えれば、企業の狙いや都合よりも、ユーザーが楽しめる場を手探りで作っていく過程が重要だと言うことができるでしょう。(中略)
 その観点で見ると、グーグルプラスにユーザーが熱狂しなかった理由も見えてきます。つまり、アカウントの統一や実名の強制などを通じて、ユーザー側にグーグルという企業の存在や、その都合が見えすぎてしまっていた、ということです。


■3.ナイキ/ゴルフ用具事業 強みを活かせない隣接市場に参入して失敗
 なぜナイキはゴルフ用具事業から撤退することになったのでしょうか。
 それはゴルフ用具事業に対して、ナイキの強みが活かせなかったからです。ナイキはご存知の通り、スポーツのアパレルやシューズにおけるトップブランドとしての地位を築いています。しかし、それ以外のスポーツ用具系(=ハードウエア) のビジネスには、成功しているものはほとんどありません。(中略)
 その理由は、ナイキがスポーツ用具を製造する際に求められる金属素材の知見や加工・生産技術を保有していないことにあります。ゴルフボールもクラブもその大半はOEMという生産委託の形式であったため、ビジネスとしての利益率は低く、そして技術的な強みが積み上がっていきません。(中略)
 さらに言えば、アパレルやシューズと、用具系のビジネスに相関があまりなかったということです。


■4.東芝/HD DVD 最初のシナリオを修正できず失敗
 東芝が描いた戦略は、「価格勝負」という極めてシンプルな戦い方です。スピーディに低価格商品を出すことでハードウエア市場を席巻することができれば、HD DVDのソフトウエアのシェアも高まり、最終的には最大のステークホルダーであるハリウッド勢をHD DVD陣営に取り込むことができる、という目論見でした。このスピード勝負という戦略そのものは、1つのシナリオ候補としてあり得るものと思います。
 しかし、ここでの東芝の戦略における致命的な欠陥は、これ以外のシナリオを用意していなかったことです。つまり、どこかで前提がズレてこのシナリオが使えなくなると、身動きが取れなくなる、ということです。
 そして実際にこのシナリオは、いくつかの前提のズレに直面します。


■5.モトローラ/イリジウム 「課題の賞味期限」が見極め困難に陥って失敗
 イリジウムの件で言えば、1990年段階において、世界中で「スムーズに会話できない」という課題は確かに存在していました。しかし、サービスをローンチした1998年にはその課題はもはや賞味期限が切れていた、つまり既存の技術の革新によりほぼ解消されていたのです。だから、多くのユーザーにとって、わざわざコストがかかり不便なイリジウムを契約する必然性はありませんでした。
 ではなぜ賞味期限は見極められないのでしょうか? それは、2つの「見通し」が簡単にはできないからです。1つは自社がその技術を確立させるまでのスピード。そして1つは、既存技術の改善の可能性です。(中略)
 その観点で、イリジウムは、企画構想からローンチまでに約10年かかりました。この長期間において、既存技術の改善についての予測を行うことは、本質的に不可能とも言える難しさだったはずです。


【感想】

◆非常に興味深いネタが20個も揃った作品でした。

その20個については、実は上記ポイント以外の残り15個を含めて、すべて下記目次に記されているのですが(アマゾンにあったのでそのままコピペしてます)。

いや、これだけ「失敗」製品が揃うと、なかなか壮観と言いますか、むしろ上記5つ以外にも本来載せるべきネタがあるような気がします。

有名なところでは、マーケティング本でもよく紹介されるコカ・コーラの「ニューコーク」ですとか。

それとファーストリテイリングの「スキップ」というのは、目次を見た時には何のことか分かりませんでしたが、あの野菜事業のことでした。

ファーストリテイリング:青果事業 - Wikipedia


◆逆に上記で挙げた5つは、その存在や失敗したことは知ってはいたものの、詳細までは知らなかったので、本書を読んで「なるほど」と思った次第。

たとえば上記ポイントの1番目の「ファイアフォン」は、自分の意識としては、スペックに問題があるのかと思っていました。

実際、当時の不満の声としては、電池の過熱や持続時間に対するハード面の不満も少なくなかったようです。

しかしよく考えたら、この「ファイアフォン」の利点とは、上記で抜き出したようにアマゾンでの買い物だけに過ぎません。

それはあくまで「スマホにおける用途の1つ」にしか過ぎず、しかもアマゾンでの買い物が便利になるだけですから、それ以外のショップだと関係ないという。

最終的に199ドル(というのも安いですが)から99セントになっても、消費者には支持されなかったのもしょうがないと言えるでしょう。


◆また、GAFAMの失敗としては、上記ポイントの2番目の「グーグルプラス」の同様です。

こちらも思い返せば、実名が強制されたり、かつ、GmailやYouTubeのアカウントとの統合が強制されたのでした。

私もYouTubeはともかく、Gmailは普通に仕事でも使っていましたから、いやいやグーグルプラスを始めた記憶があります。

ところがこの方針が批判を浴びて、最終的には統合を解除し、やがてサービス自体もすたれていったのでした。

確かに当時は似たようなサービスとしてFacebookが全盛を誇っていましたから、初めから勝ち目はなかった気が。

……今はそのFacebookも一時ほどの勢いがありませんから、また何かしかけたら勝ち目はあるのかも!?


◆こうしたハイテクネタから一転して、上記ポイントの3番目ではナイキのゴルフ用具事業にフォーカス。

と言いますか、私がゴルフをやっていないこともあるのですが、ナイキがウェアとシューズ以外にもゴルフボールを開発していたとは知りませんでした。

しかも当時全盛期だったタイガー・ウッズの活躍もあって、全米オープンで4人以外の全てのプレイヤーがナイキのボールを選んだのだとか。

しかしこのボールも、実際にはOEM先のブリジストンが開発したものであり、上記ポイントでも触れたように「利益率は低く、そして技術的な強みが積み上がっていかない」状態でした。

結果、リーマンショック時にゴルフ産業が打撃を受けたのと、タイガー・ウッズのスキャンダルもあって、アパレルとシューズ以外から撤退したのだそうです。


◆一方、上記ポイントの4番目に挙げた東芝の「HD DVD」にいたっては、その存在をほぼほぼ忘れていました。

自分の頭の中では「DVD⇒ブルーレイ」という流れにしかなっておらず、今般その経緯を本書で改めて確認したという。

しかも、かつての「ベータ vs VHS」のように、負けたベータの方が技術的に上だったのと違い、この「HD DVD」は、低価格だけがウリでした。

そこで勝てず、かつ、ハードウエアが売れても、「ハリウッド勢をHD DVD陣営に取り込む」ことができなかったというダブルで読みがはずれた結果、東芝としても撤退せざるを得なかった模様。

なお、この「読みがはずれた」のは、上記ポイントの5番目の「イリジウム」も同じで、「開発に時間がかかった」挙句「その間に他の携帯がつながりやすくなった」結果、ただの「端末がでかくて、料金がやたら高い」サービスとなってしまったワケです。

ただ、それこそ「後出しジャンケン」と同じ。
私たちが知る通り、1990年代中盤から後半にかけて、携帯電話が世間に普及する過程での通信状況の改善や通信機器の軽量化、グローバル化、そして利用料金の低下のスピードは凄まじいものがありました。
ですから、途中から負け戦を承知の上で、サービスを開始したのでしょうね(合掌)。


「失敗」を学んで、将来につなげるために読むべし!

B09HXDSTSQ
世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道
事業の構造編
「ユーザー視点」を学ぶ
Case01 アマゾン/ファイアフォン 自社が描いた将来像を重視しすぎて失敗
Case02 フォード/エドセル 社内的な正しさを追求して失敗
Case03 コカ・コーラ/ニュー・コーク 適切なコミュニケーションができず失敗
Case04 フェイスブック/フェイスブック ホーム 無理なチャレンジを仕掛けて失敗
Case05 グーグル/グーグルプラス 企業側の戦略を優先して失敗
Case06 ファーストリテイリング/スキップ 「プロダクトのレンズ」を外せず失敗

「競争ルール」を学ぶ
Case07 マイクロソフト/ウィンドウズフォン 初期段階の出遅れを挽回できず失敗
Case08 任天堂/Wii U 理想を追求しすぎて仲間を作れず失敗
Case09 NTTドコモ/NOTTV 成功体験にとらわれて失敗
Case10 ナイキ/ゴルフ用具事業 強みを活かせない隣接市場に参入して失敗
Case11 東芝/HD DVD 最初のシナリオを修正できず失敗
Case12 セガ・エンタープライゼス/ドリームキャスト

「社内不全」を学ぶ
Case13 セブン-イレブン・ジャパン/セブンペイ 「自社だけが特別」思考に陥って失敗
Case14 ソニー/AIBO 経営陣の事業尺度に合わず失敗
Case15 ネットフリックス/クイックスター 反対意見が言いにくい空気に気づけず失敗

事業を取り巻く力学編
「大きな力学」を学ぶ
Case16 サムスングループ/サムスン自動車 経済危機に見舞われて失敗
Case17 ゼネラル・エレクトリック/プレディックス 顧客の準備が整わず悪循環に突入して失敗
Case18 アップル/ニュートン 主要事業の不調で無理な勝負を迫られ失敗
Case19 モトローラ/イリジウム 「課題の賞味期限」が見極め困難に陥って失敗
Case20 トヨタ自動車/パブリカ 高度経済成長期のスピードについていけず失敗


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ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『7つの危険な兆候』の真実(2011年11月07日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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2度目の会話が続きません

おなじみ野口敏さんの会話術本は、中古に送料を足すと定価を超えるので、Kindle版が1000円ほどお得。

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つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい―――鼻の奥が万病のもと!退治する7つの方法

内容紹介にある症状に該当する方なら一読の価値がありそうな1冊は、Kindle版が500円弱お求めやすくなっています!


【編集後記2】

◆一昨日の「KADOKAWA ニコニコカドカワ祭り2022」のビジネス分の記事で人気が高かったのは、この辺のラインナップでした(順不同)

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世界基準の「部下の育て方」 「モチベーション」から「エンゲージメント」へ

参考記事:【マネジメント】『世界基準の「部下の育て方」 「モチベーション」から「エンゲージメント」へ』田口 力(2019年09月25日)

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断言する。情熱で人生は変えられる。 (中経の文庫)

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採用側の本音を知れば就職面接は9割成功する

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嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命

よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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