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2022年09月26日

【働き方】『その働き方、あと何年できますか?』木暮太一


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その働き方、あと何年できますか? (講談社+α新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で個人的に読んでおきたかった働き方本。

木暮太一さんの作品は、以前立て続けに読んだことがありますが、本書は10年ぶりくらいの再会でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
成功者とつきあうとなぜ成功者になれるか、でも誰でもその方程式が当てはまるわけではありません。結果が出せる人とそうでない人の違いは、運や努力だけではないのです。あなたの「働き方」を変革するポイントもここにあります。
著書累計180万部にのぼるビジネス書作家が、ベストセラー『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』に続き、いよいよやりがいが見いだしにくい日本の働く現場で、豊かに働く方法を指南します。

中古価格が定価を上回っていますから、お得なKindle版がオススメです!






DAIM - Rehearsing The Future / The Royal Danish Academy of Fine Arts, School of D


【ポイント】

■1.日本企業はフルタイムで働かせるために仕事をつくる
 しかし現状はワークシェアリングどころか、反対にやるべきことが次から次にわいてきて、労働時間は依然として長いままです。
 なぜそんなことになるのでしょうか?  
 それは、新たに仕事がつくり出されているからです。フルタイムで働くことは前提とされ、空白の時間を埋めるために「やるべきこと」がわざわざつくられています。本当はまったくやる必要はないのに、次から次にタスクが増えていきます。(中略)
 あなたの会社にも何のためにやっているかわからない定例ミーティング、ありませんか? そして何のためにやっているかわからないミーティングなのに、その議事録をまとめている人、いませんか? その議事録、誰かが一度でも見返したことがあるのでしょうか?
 もちろん、百パーセント無駄なミーティングではないと思います。もし百パーセント無駄と思えてしまうようなものだったら、「空白の時間を埋める」という目的が達成されません。


■2.「好きを仕事に」を許せない日本人の道徳観
「好きを仕事に」を非難する人たちも、自分の教訓から言っているわけではありません。「自分も好きなことで生きていこうとしたけど、とんでもない目にあった。だからやめておいたほうがいい」と忠告してくれているわけではないのです。自分たちもやったことがありません。でも批判的な感情が出てきます。
 なぜか? それは「好きなことで生きていく」が、ぼくらの道徳観に反するからです。
 道徳観に反するとはどういうことでしょうか?  
 これはもちろん「自由に生きてはいけない」ということではありません。自分がやりたいことをしてすごすのは非難の対象にはなりません。道徳に反すると思われるのは「労働を楽しいことと捉える」ことです。つまり、楽しいことを仕事にしてはいけないという前提が、ぼくらの中にあるということです。


■3.赤の他人から言われたことを気にする問題
 本来、ぼくらが賛同してもらいたいのは、自分にかかわる人のはずです。「そんなことやったら、織田信長に非難されるよ」と言われても何も気にならないのは、自分が織田信長とかかわっていないからです。(中略)
 でも、同じように自分と本当は無関係であるはずのネットの民の批判には凹みます。ネットの民がリアルの世界で自分に危害を加えに来るとは思っていないのに。でもすごく気にしますよね。何も関係ないし、何もされないことは理解しているのに、それでもすごく気にしますよね。
 それはぼくらが顔色をうかがう対象に、ネットの民も含まれてしまっているからです。そして、自分の道徳観を形成する基準として、はるか遠い存在であるはずのネットの民の目も取り入れてしまっています。


■4.「Stay foolish」に自分のフロンティアがある
「Stay hungry」はビジネス現場で語られていてもまったくおかしくない言葉です。より貪欲に、現状に満足せず、もっといいものを出していこう。そんなイメージかなと思っています。
 一方で「Stay foolish」はあまりビジネスの現場で語られません。しかも、通常「foolish」はどちらかというといい意味では使われません。(中略)
 しかし、今ぼくらが求められているのは「Stay hungry」より「Stay foolish」です。ジョブズの意図とは少し異なるかもしれませんが、ぼくはこの言葉を「無難に収まるな」と訳したいです。無難に収まらないFoolishこそが、フロンティアになり得ると思うのです。(中略)  
「まじめな発想をしていたら、口にするのもはばかられるようなこと」を考えよう、「これまで人が思いとどまってきたこと」をやろう。「Stay foolish」という言葉から、そんなメッセージをぼくは受け取りました。


■5.自分の思い込みから抜け出す
 自分が思い込んでいた内容で成果を上げている人はいるでしょう。でも、違う2パターンもあります。
1.自分が思い込んでいる内容をやっているのに、成果が出ていない人。
2.自分が思い込んでいることと違うことをやって、成果を出している人。
 が必ずあるのです。(中略)
 この2パターンの具体事例を見つけることができれば、自分がよかれと思ってやってきたことが「単なる思い込み」だったことに気づくことができます。その具体事例はイレギュラーなケースかもしれません。でも、イレギュラーだろうが何だろうが、存在しているということに気づくことが大事です。1例でも存在していれば、自分の主張が当てはまらないケースがあるということがわかります。自分の想定が百パーセント正しいわけではない、と気づくだけで思い込みから抜け出しやすくなります。


【感想】

◆色々と気づかされた作品でした。

まず「日本人は生産性を上げよ」という声はあるものの、ホントにやらなければならない仕事は、どれほどあるのですか、と問うているのが、第3章から抜き出した、上記ポイントの1番目。

そこで指摘されている「定例ミーティング」も、もしあれば、ある前提で仕事が割り振られる一方、逆になくなればその分暇になるかというとならないのがミソです。

この辺は、自分が会社員だったのが大昔なのではっきり記憶にないものの、もし急に時間が空いたら、85のクオリティでいい仕事を、90とか95のクオリティにしていたかも。

それは100のクオリティから見たら、あくまでも「妥協の産物」と当時考えていたのですが、そもそも85でも十分だったのに、時間が空いたとはいえ余計な手間をかける必要があったのか、今さらですが疑問です。


◆続く第4章からは「好きを仕事に」が、なかなか実現しない理由を探った、上記ポイントの2番目を抜き出しました。

本書で指摘されているのが、「汗水垂らして労働することが善」という日本人の価値観です。

そしてその価値観のルーツとなるのが、「武士道」とその時代背景というのが木暮さんの主張。

新渡戸稲造の『武士道』では、「教師が非常に尊厳が高い存在だったという前置きをしたうえで、その報酬はお金で支払われるべきではない」としているのだそうです。

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武士道 (ハルキ文庫)

いや、しっかりお給料払わないから先生の成り手がいないんですが!?

こういう道徳観があるからこそ、何かしら仕事をしても、心情的にお金を要求しにくかったりするわけですね。


◆一方で、人目を気にするのも私たち日本人であり、第5章から引用した上記ポイントの3番目では、その点を指摘しています。

というのも、日本では「同じであること」が大切だから。

たとえば起業をしようとする人がいた場合、日本では「失敗したらどうするの?」等の行動を思いとどまらせる言い方をすることが多いでしょう。
 ではその点をアメリカ人はどう考えているのか? 相手が失敗するかもと思っても、背中を押すのでしょうか?
 それに対してぼくが聞いた答えは「Who cares?(知ったこっちゃない)」でした。要は、その人がやりたければ背中を押すけど、失敗してもまた別のチャンスがあるだろうし、やってみれば? というニュアンスです。ドライな言い方にも聞こえますが、相手の意思を尊重しています。
もっともこの辺は、日本人の特性というか、遺伝子レベルで心配性だという話もこの本にあったのですが。

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成功する人は心配性

参考記事:【心配性?】『成功する人は心配性』菅原道仁(2017年06月29日)


◆そこで木暮さんは、「人目を気にしてやってこなかったビジネス」を第6章にて「フロンティア・ニーズ」と命名。

分かりやすいところでは、YouTuberも最初の頃は「やりたい」と言う人もほとんどいなかったでしょうし、プロゲーマーもそうでしょう。

さらには、あのスティーブ・ジョブズの名言も「フロンティア」を意図する、と指摘したのが、上記ポイントの4番目。

確かに「Foolish」という言葉のニュアンスには、従来の「優等生」的なものはあまり感じられませんよね。

とはいえ、私たちは固定観念にとらわれていて、新しいやり方はなかなか受け入れにくいモノ。

そこで木暮さんは最終章で、上記ポイントの5番目のようなTIPSを提唱しています。

実際、こうした「思い込み」に当てはまらない具体例を両面から見つけられれば、思い込みから抜け出すこともできるはず。


働いて幸せになるために読んでおきたい1冊!

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その働き方、あと何年できますか? (講談社+α新書)
第1章 生産性が向上したらあなたの「給料」は上がるか?
第2章 ぼくらが目指してきた「正解」が消えた
第3章 なぜ、ぼくらは「仕事の目的」を失ってしまったのか?
第4章 なぜ、「熱意あふれる社員」の割合が5%なのか?
第5章 ぼくらの働き方は誰が決めるのか?
第6章 こんな時代だから、フロンティア・ニーズがある
第7章 やりがいなき時代に「自己生産性」を上げる
第8章 よいシナリオを持てば、今が変わる


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【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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