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2022年09月20日

【韓流の強さの秘密?】『韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか』菅野朋子


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韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか (文春新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「文藝春秋 ポイント還元キャンペーン」からの1冊。

相変わらず趣味で藤井風さんを追う過程において、K-POPのアーチストやプロモーションについても知っておきたかったので、未読本記事の時点では見送った作品を手に取ってみました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
近年、韓国発のエンターテインメントの世界的な活躍のニュースは毎日のように目に入ってきます。7人組ボーイズグループBTSの国連でのスピーチやパフォーマンス、Netflixドラマ『イカゲーム』や『愛の不時着』の世界的ヒット。髪型やファッションをK-POPアーティストに寄せることも今では珍しくありません。その韓国エンタメ産業の躍進は、実は韓国社会の変化と大きく結びついています。

送料を足した中古よりも、こちらのKindle版が400円以上お得な計算です!

(以下引用部分を含めて敬称略)






KCON 2012 / Peter Kaminski


【ポイント】

■1.韓国エンタメのターニングポイント
韓国のエンタメ産業がここまでの発展を遂げるまでにはいくつかのターニングポイントがあったといわれている。いずれも韓国社会の変化と密接につながっており、大まかに分けると、

(1)1980年代末の韓国の民主化による「表現の自由」の獲得
(2)1997年のIMFショックによる韓国の産業構造の転換
(3)世界のデジタル社会化
の3つになるだろう。そこに、分野によっては政府によるエンタメ産業の環境作り、裾野作りという後方支援を入れてもいいかもしれない。


■2.BTSの躍進を支えたARMY
 BTSのグローバルな活躍は彼らのファンであるARMY抜きには語れない。
 アメリカ市場でBTSの存在を広めるために、計画的にYouTubeに集中してアクセスしたり、また、ツイッターでは2018年だけでおよそ1億個のBTS関連の検索語(ハッシュタグ)を作ったという(『BTSとARMY わたしたちは連帯する』イ・ジヘン、桑畑優香訳、イースト・プレス)。BTSをさまざまなネットサービスのアクセスランキングの上位に食い込ませることで、BTSを知らない人たちにも彼らの曲が届くようにしたのだ。
 BTSがビルボードのメインチャート「HOT100」に初めて登場したのは2017年だったが、ファンたちは率先してビルボードに影響力のあるラジオ局をマーケティングし、DJにリクエストする際の詳細なマニュアルまで作った。たとえば、BTSを知っているDJと知らないDJでは、リクエストメッセージを変えるなどの工夫をしていたという。


■3.ドラマのクオリティが劇的に上がった理由
「韓国ドラマは、投資額に比べて完成度が高いとよく言われます。投資する側にとっては韓国のヒット作はまずコストが米国と比べて安い。そういう一面もあるのですが、なぜ韓国ドラマが世界でウケているかというと、それは韓国ドラマの内容が普遍性を持っているからです。そして他国と異なる韓国的なもの、ローカル色も合わせ持っているというのが強みではないでしょうか」(中略)
こうした高いクオリティのドラマを支えているのは、「高いクオリティの作品が書ける脚本家と、その脚本をグローバルな水準にまで引き上げられる演出家。そして彼らの存在を支持する辛口の視聴者の存在でしょう」(同前)。
 韓国のドラマはそれぞれ公式HPを持っている。そこには視聴者が書き込める掲示板が必ずある。視聴しながら、ドラマのストーリーや俳優の演技に賞賛も批判も多く書き込まれ、制作者側は常に視聴者の反応を参考にし、作品に反映させるという挑戦をしてきた。


■4.泡沫と見られていたBTS
 BTS自身もデビューまもない頃のインタビューで、「最近は新人グループが生き残るのは厳しいという話をよくされますが、わたしたちは必ず生き残って大衆から愛されるグループになります」(リーダー、RMの発言。STAR NEWS、2013年6月13日) と語っている。「生き残る」というところに切実さがにじみ出ている。
 当時人気絶頂だったのは、YG社所属の5人組ヒップホップボーイズグループ「BIGBANG」だ。BIGBANGをロールモデルにしているというコメントも同記事には添えられていたが、そんな言葉尻をとらえて「お前らがBIGBANGのようになれると思っているのか」といった、辛辣な声もたくさんあったという。(中略)
 通常、大手事務所であれば、潤沢な資金による億単位のプロモーションが行われる。しかしBTSの事務所にはそんな資金はなかった。そのため、YouTubeやSNSといったネットサービスを積極的に使い、パフォーマンスや日常の投稿を続けながら、ファンとのつながりを増やしていった。


■5.NiziUは日本限定活動なのか?
 NiziUはメンバー全員が日本人のK−POPアイドルグループだ。2020年12月のデビュー前から日本では人気スターとなったが、韓国や他地域での認知度はまだまだ低い。
 韓国でのデビューも取り沙汰され、その遅れは日韓関係が冷え切っているためと見るメディアもあったが、複数の韓国人記者は1致して、「そもそもJYPが彼女たちを韓国でデビューさせようと考えているのか」と首を傾げる。
「あくまでもビジネスですから、韓国でデビューさせるタイミングを計っていることは確かでしょうが、本当に実現するのか、記者たちはみな量りかねています」と記者のひとりは語る。韓国人記者たちのNiziUの認識はあくまで日本を活動の場とするK−POPスターなのだ。


【感想】

◆本書は「韓国エンタメ」をテーマにしているだけあって、音楽、映画、ドラマ等、多岐に渡っています。

ただボリューム的にはやはり音楽面のお話が中心。

それはさすがに、アーチストの数や実績がダントツなのが大きいと思います。

特におなじみBTSは圧倒的で、試しに本書のKindle内を「BTS」で検索をかけたら、142件ヒットしました。

それは上記ポイントのでも上がった音楽の話だけでなく、冒頭の内容紹介にもある国連でのスピーチの話や、今回割愛しましたが第8章にある「兵役」問題でも登場するから。

ちなみにスポーツ選手は、オリンピックのメダルで兵役が免除されるんですが、BTSの「ビルボード1位」の方がハードルは高いハズなんですよね……。


◆それはさておき、まず第1章では韓国がグローバルに舵を切ったきっかけに触れられています。

それをまとめたのが上記ポイントの1番目。

本書では3つのポイントそれぞれについて、ページを割いて解説しているのですが、(2)のIMFショックが大きい、というのは意外でした。

IMFによる韓国救済 - Wikipedia

本書内で引用されているのですが、
「経済危機は、エンタメ産業へ牾阿暴个襪海箸世韻生き残る道瓩箸い切迫した危機意識を呼び起こし、韓流の最初の動力はこのIMFの介入だったといっても過言ではない」「1997年、IMFにより、漢江の奇跡と呼ばれた製造業中心の韓国は崩壊した。韓流はまさしくIMFショックの時に生まれた独特の文化でもある。IMFショックがなかったら韓流は生まれただろうか? 答えはノーだ」(『韓流の歴史』カン・ジュンマン)
とのこと。


◆続く第2章では、(3)のデジタル化を掘り下げたもの。

特にSNSを活用したのがこれまた音楽系アーチストということで、そのお話がメインです。

2007年にスマホが登場してからというもの、SNSを活用する人が増え、そんな中、YouTubeに自分の動画を投稿して人気者となったジャスティン・ビーバーは、ビルボード・ミュージック・アワードの「トップ・ソーシャル・アーティスト」部門で6年間トップだったのだそう。

そして2017年にその座を奪ったのが、BTSでした。

特に彼らの場合、上記ポイントの2番目にあるように「ARMY」と呼ばれるファンが、今で言う「推し活」のような活動をしていた模様。

……引用内に登場するこちらの作品、なぜか今なら半値なんですが(どのセールかは不明です)。

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BTSとARMY わたしたちは連帯する

もう1点、SNSに関連して「韓国の音楽事務所はSNSを爛沺璽吋謄ング瓮帖璽襪箸箸蕕─△茲曚匹凌害でなければ放置してきた」というのも大きいらしいのですが、その辺についてはデリケートなお話なのでノーコメントで。


◆一方、第3章では「韓国ドラマ」がテーマです。

この辺は過去の「韓流ブーム」の歴史(『冬のソナタ』等)を踏まえて解説されているのですが、私が1つも観たことがないので、今ひとつピンときませんでした(すいません)。

ただ、これは意外だったのですが、最近の人気ドラマの原作に、韓国のウェブマンガである「ウェブトゥーン」発のモノが増えてるということ。

韓国発デジタル漫画「ウェブトゥーン」が世界的成功、日本に欠けている視点とは | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

その代表が『梨泰院クラス(イテウォンクラス)』で、リメイクされた日本版の『六本木クラス』は、まさに現在放映中です。

木曜ドラマ『六本木クラス』|テレビ朝日

こうした韓国ドラマのクオリティの秘密は、上記ポイントの3番目をご確認ください。


◆そして第4章では、再びK-POPにフォーカス。

ここではキーマンとして、日本でもNiziUのプロデューサーとしておなじみのパク・ジニョン氏が大きく取り上げられています。

といいますか、あの方、元はアーチストだったんですね(知らなんだ)。

さらにはBTSの事務所であるHYBEの創業者のパン・シヒョク氏は、かつてパク・ジニョン氏のもとにいて、そこから独立したのだそうです。

とはいえ、韓国の三大事務所(「SMエンターテインメント」「JYPエンターテインメント」「YGエンターテインメント」)以外の事務所はかつては苦労したらしく、上記ポイントの4番目にあるように、BTSも最初は「泡沫」扱いだったのだとか。

しかし、それがゆえのSNSの活用が、その後の躍進につながったワケですから、この辺は日本のアーチストさんにも見習っていただきたいところ。


◆なお、上記ポイントの5番目のNiziUのお話は、第9章の「韓国における日本のエンタメの現実」からのもの。

日本では普通に人気のあるNiziUも、韓国ではデビューしていなかったとは知りませんでした。

上記のパク・ジニョン氏が指導しているのですから、実力はしっかりあるハズなんですが。

ただ、日韓の差については、以前ちょっとだけ取り上げたことのある、「プロデュース48」でも明らかでした。

日韓アイドルの差、くっきり 「PRODUCE48」:朝日新聞GLOBE+

また、こういう日本側に「耳イタイ」話だけでなく、第6章、第7章では韓国におけるスキャンダルや「自死」事件にも言及されており、かなり読み応えがありました。

この内容でセール期間内ならワンコインというのは、興味のある方ならお得かと。


韓国エンタメの概略を学ぶには、うってつけの1冊!

B09QKKMQ6F
韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか (文春新書)
第1章「グローバル韓流」のはじまり
第2章 デジタル化の波に乗る
第3章 なぜ韓国ドラマが人気なのか
第4章 K−POP界のキーマン
第5章 韓国エンタメの次世代戦略
第6章 アンタッチャブルになった韓流スターたち
第7章 悪質リプライと 女性嫌悪 に苦悩する女性スターたち
第8章 大きくなる韓流スターの政治的影響と「ブラックリスト」
第9章 韓国における日本のエンタメの現実


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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