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2022年08月19日

【定年後】『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』坂本貴志


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ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う (講談社現代新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、個人的に読んでみたかった作品。

まさに私のような中高年が熟読しなくてはならない内容でした。

アマゾンの内容紹介から。
年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70代男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く……全会社員必読! 知られざる定年後の「仕事の実態」とは?
漠然とした不安を乗り越え、豊かで自由に生きるにはどうすればいいのか。豊富なデータと事例から見えてきたのは、「小さな仕事」に従事する人が増え、多くの人が仕事に満足しているという「幸せな定年後の生活」だった。日本社会を救うのは、「小さな仕事」だ!

中古が定価を上回る一方で、Kindle版は「16%OFF」となっています!






Retirement Key / CreditDebitPro


【ポイント】

■1.定年後の年収は300万円以下が大半
 まず、定年後の年収はいくらなのだろうか。
 国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、2019年の給与所得者の平均年収は436.4万円となっている。(中略)
60歳以降の就業者全体の年収分布をみていくと、60代前半では平均収入は357万円で、上位25%所得は450万円、収入の中央値は280万円となる。60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、上位25%所得は300万円、中央値が180万円まで下がる。定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかる。
 また、収入の平均値やその分布は、就業者を分母として算出される。このため、当然であるが非就業者は算定の対象外になる。定年後は非就業となる人、つまり収入がゼロになる人が多くいるため、高年齢者全体である程度の収入を得る人は非常に少ないというのが実情ということになる。


■2.小さな仕事に充実感をもって働く
 以上の結果から判明することは、多くの人は、定年後に仕事に関する能力と負荷の緩やかな低下を感じながらも、結果的にその関係性に納得感を抱き、満足して働いているという事実である。
 要するに仕事というのは、必ずしも負荷が高いものが良いといえるわけではないのである。人はどうしても現役時代の仕事の延長線上で、仕事の量が多く責任も重い「大きな仕事」が好ましいと考えがちである。しかし、必要となる収入水準が低い状況下であれば、負荷が低い仕事を選ぶことが結果として良い選択になることも多い。
 そして、たとえ小さい仕事であっても、いまある仕事に確かな意義を見出せたとき人は充実感を持って働ける。データが示しているのは、こういった事実なのではないだろうか。


■3.経済とは「小さな仕事の積み重ね」である
 典型的には、50代の頃に年間で700万円から800万円程度の収入を稼いでいた人がいたとする。従来であれば、この人は定年が来ると同時に仕事を辞めていたかもしれない。しかし、生涯現役時代を迎える現代において、彼らは定年後に住み慣れた地域で無理なく200万円の稼ぎを得るようになる。こうしたライフサイクルが多くの現代人に浸透していくことは、社会的にみてとても望ましいことなのである。
 平均給与の低下が問題視されている。十数年前までの日本型雇用のモデルにおいては定年後には仕事を辞めてしまうことが主流であったから、定年後は非就業者となり、統計上も日本人の見せかけの平均賃金を引き上げていた。しかし、それは社会的に見れば大きな損失なのである。多くの人がたとえ小さな仕事であっても、働くことで無理なく社会に貢献することは、今後の日本経済や財政の持続可能性にとっても欠かせない。


■4.週末勤務で会社を支える
仕事内容は定年前の59歳から大きく変わった。数百ある全国の店舗から送られてきたデータをもとに、中古車を査定し下取り価格を設定する。お客様が待っているので、値付けの理由とともに、数字をすぐに返す必要がある。給料は大きくダウンした。
「そんなに難しい仕事ではありません。毎日多くの件数をこなさなければなりませんが、これでお金をもらっていいのかと思うくらいです。上司との難しい折衝なんかもありませんしね。勤務日数もいまは金土日と祝日だけの出勤です。要するに、忙しいときだけ。でも、私が仕事をしているから若手や中堅の従業員が休日にゆっくり休めて、家族との楽しい時間を過ごせるんです。だから、私の仕事はとても意義がある仕事だと思っています。休息時間に同僚と話すことも楽しいですよ」(谷雄二郎氏・仮名)


■5.ペイパフォーマンスの徹底を
 年800万円の報酬を得る傍らで、800万円分の仕事をなす社員は良い社員である。それと同時に、300万円分の仕事をして、その対価として300万円の報酬を得る社員も良い社員である。ペイフォーパフォーマンスの原則が成立していれば、この二者の企業に対する貢献は同一であり、報酬の高低の差はあっても、従業員としての優劣はない。これはつまり、企業は高齢期の小さな仕事をもっと尊重してもいいのではないかということである。
 逆にいえば、そこそこの仕事しかしていないにもかかわらず、高い給与を得るという報酬体系を用意することは、組織として行ってはならない。その人の働き以上に報酬を与えてしまえば、ほかの従業員に必ずしわ寄せがいってしまうものである。


【感想】

◆従来の中高年本とは一味違った作品でした。

たとえば類書はどちらかというと、中高年以降に「お金が足りない」「いい会社に転職できない」「所得が下がる」といった懸念点を掲げ、「ではどうするか」といった問題解決を図るような作品が多かった気がします。

一方本書は、所得が下がっても、それはしょうがないこと、と割り切って、違った形での「幸せ」を求めるスタンスのよう。

実際、上記ポイントの1番目にあるように、収入自体は下がるものの、同じような時期に教育費等がなくなって生活費も下がれば「行って来い」です。

従って本書の試算ですと、平均的な年金がもらえるという前提であれば、1000円程度の資産があれば大丈夫らしく。

もっともこの辺は個々人によって違うと言いますか、「持ち家と借家」でも全然違いますし、持ち家でも残債がいくら残ってるか等々、一概には言えないところかと。


◆一方で定年後の身の振り方もさまざまです。

多いのが同じ会社での定年後再雇用で、お給料が減る代わりに仕事量も減るパターン。

私も大昔にはこのシステムを知らなくて、調査に来た税務署の高齢の職員の方からもらった名刺に肩書がなくて、驚いたことがあります。

その後も何人か、そういう方に遭遇したことがありますが、打ち解けて話をすると、仕事がラク(とあちらから言われました)なせいか、飄々とされていたのが印象的でした。

もっとも、ヤルことはしっかりヤッていかれたので、なるほど上記ポイントの2番目のように、いい意味で割り切って働かれていたのかな、と。

ただし、後半の証言集でお1人いたのですが、定年後再雇用でお給料は大幅に下がるのに、仕事量が変わらないという方がいて、さすがにこの方は再雇用を選ばず、普通に別の働き口を見つけていました。


◆ちなみに大昔はどうだったかというと、定年も55歳だったり、年金も今より早く支給されていましたから、「定年後再雇用」のようなシステムはありませんでした。

退職金をもらい悠々自適で働かない、というのが、ある意味デフォルトだったワケでして。

しかし、最近では上記のように年金をもらうまでの間、もしくはもらい始めてからでも、年金で不足する分を埋め合わせるべく、働く必要が出てきました。

それは定年後再雇用に限らず、それこそハローワークや、地元にもあるような「小さな仕事」であり、少子高齢化の我が国の労働力不足を考えると、まさに「今後の日本経済や財政の持続可能性にとっても欠かせない」次第です。

さらに、意外かもしれませんが、年齢別の幸福である人の割合は、50歳時点でほぼ底(38.2%)を打った後は、上がる一方という(60歳:45.1%、70歳:54.9%)。

つまりこれからの日本では、定年後にこうした「小さな仕事」に従事するのが正解なのだと思います。


◆さて、ここまでが本書の第1部で、第2部では実際に「小さな仕事」で働いている中高年の方が7人登場。

ご自身の現状を匿名で語ってくだっています。

最初に一覧表形式で、お年や収入、雇用形態等が把握できるのですが、収入は120万円〜400万円とさまざま。

もちろんお仕事もバラエティに富んでおり、「包丁研ぎ職人」「学校の補助教員」「寮の管理人」といった「小さな仕事」がありました。

なお、上記ポイントの4番目は、定年再雇用で自動車販売会社にお勤めの谷さんのお話。

ここでは割愛しましたが、仕事にも創意工夫をこらし、やりがいもおありのようでした。

ただ、ここの7人の方におおむね言えることなのですが、やはり年を取るにつれて、身体に無理が効かなかったり、持病を抱えたりするのが、この世代ならではのようなので、私たちも今のうちから覚悟しなくては。


◆そして上記ポイントの5番目は、第3部の「『小さな仕事』の積み上げ経済」からのもの。

この部では今までの現状や実例を踏まえて、提言がなされています。

確かにここにあるような、「そこそこの仕事しかしていないにもかかわらず、高い給与を得る」という報酬体系は望ましくないもの。

バブル時代ならまだしも、もうどこの会社もこのような甘い汁を吸う社員を養える余裕はありません。

私自身は結構早く会社員生活から足を洗ってしまったため、まわりに実例になるような人がおらず、今ひとつピンと来ない部分はありますが、これからの日本を考えれば、この「小さな仕事」が重要なのは明らかだと思います。


中年以上のすべての方に捧ぐ1冊!

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ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う (講談社現代新書)
第1部 定年後の仕事「15の事実」

第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで

第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済


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【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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